WEAVERの河邉です。4月からアルバム『Night Rainbow』を引っさげてのツアーが始まりました。全国9カ所をまわるツアーです。本を読む時間もない、と思いきや移動時間に読書を楽しむことができています。 今回は名作短編集を5冊紹介させていただきます。そもそも短編という言葉の定義も曖昧かと思いますが、とりあえずここでは、「読みやすい長さの物語が複数収録されている本」ということにしておきます。
私が短編集を好きになったきっかけの本でもある。大学生の頃に熱心に本を読んでいた時期があり、その時に出会った本の一つだ。どの物語も「こんな話を聞いた」というフレーズから始まるという、他の短編集にはない共通点があり、それが一つの本としての世界観を彩っている。そして物語の最後には必ず思いがけない結末が待っている、まさに手品のような作品である。新鮮なアイデアと、素晴らしい起承転結。この二つが組み合わさることで、最高の短編が生み出されるということに気づかせてくれるのだ。
- 著者
- 阿刀田 高
- 出版日
- 2007-08-28
多数のSF作品を手がける鬼才、筒井康隆さんによるショートショート24編。誰もが知っているであろう映画『時をかける少女』の原作を書いた方でもある。時に皮肉で、時に気持ち悪く、時に意味不明、しかし読み終わった頃には好きになっている不思議な作品達である。
- 著者
- 筒井 康隆
- 出版日
- 2015-12-22
坂木司さんによる、読んだ後、気づかないうちに生活に影響されてしまう短編集。上の二つの本のような言葉のトリックや上手さといったものより、アイデアや新しい価値観がそのままの形で飛んでくるような感覚を覚える本である。着飾らない表現であるが故に、その威力は強い。日常のどこかで見たことのある景色と、物語の言葉がリンクするのである。
- 著者
- 坂木 司
- 出版日
- 2011-02-09
星新一さんによる作品が36編収録された、読み応えのある本。作品一つ一つのプロットや言葉のトリックが素晴らしく、それぞれの作品に、なるほどと頷かされてしまう。一体どこからこんなにたくさんのアイデアがやってくるのだろうか。短い文章の中に人の愚かさや残酷さ、時には美しさまでを描き出している。『悪魔のいる天国』というこのタイトルにも、読んだ後には合点がいくだろう。また、2ページ程で一つの物語が完結するものもあるので、移り気な方にもお勧めである。
- 著者
- 星 新一
- 出版日
- 1975-07-29
辻村深月さんによる、直木賞を受賞した作品。五つの珠玉の物語が詰め込まれている。数年前に書店で、タイトルに詩的な響きを感じて手に取ったことを覚えている。そして読んだ後に、これは読んで良かったと強く思えた本だ。
- 著者
- 辻村 深月
- 出版日
- 2015-07-10
本と音楽
バンドマンやソロ・アーティスト、民族楽器奏者や音楽雑誌編集者など音楽に関連するひとびとが、本好きのコンシェルジュとして、おすすめの本を紹介します。小説に漫画、写真集にビジネス書、自然科学書やスピリチュアル本も。幅広い本と出会えます。インタビューも。