1人の男性に一途に想われるのは嬉しいものですが、その想い方は爽やかなものからちょっと病み気味なものまで様々です。ここでは、一途男子が登場する作品の中でも特にオススメの作品をご紹介します。
小学5年生の柳尚人(やなぎなおと)は、勉強もスポーツも常にトップで、父親は大手リゾートホテルの社長で家は金持ちということもあり、周りからは常にちやほやされていました。自分が常にトップにいるのは当たり前で、学校は全て自分の天下だと思っていた柳でしたが、クラスに九条美琴という女の子が転校してきたことで一変します。
勉強もスポーツも美琴に抜かれてしまった柳は、彼女に勝ちたい一心で塾と家庭教師を増やして猛勉強しますが、疲れがピークになってしまった柳は道端で倒れてしまいました。柳が目を覚ますと、そこは何と美琴の家で……!?
- 著者
- 天乃 忍
- 出版日
- 2012-01-04
少女向け漫画雑誌「LaLa」に連載されていた作品で、コミックス全11巻で完結しています。
主人公の尚人は、成績優秀、スポーツ万能、家は金持ちで、本人はそのことをひけらかすわけではないのですが謙虚になることもなく、周りが自分のことをチヤホヤするのは当たり前だと考えるような性格です。
そんな尚人の前に現れたのが、転校生の九条美琴です。彼女は尚人とは反対で家はそれほど裕福ではありませんが、勉強やスポーツは尚人よりも上をいく優秀さで、そのために尚人のプライドはひどく傷ついてしまいました。それでも何とか美琴より上にいたい尚人は、自分の父親が大手リゾートホテルの社長だと自慢しますが、美琴は、「社長の息子だかなんだか知らないけど、それはあなたのお父さんがすごいんであって、あなた自身がすごいわけじゃない」と一蹴します。
その後も、大学まで何だかんだとずっと一緒に過ごすことになる2人ですが、尚人は美琴に負けたくないという思いが次第に恋心へと変わっていくことに気が付きます。そして、惚れたら負けという言葉にヒントを得た尚人は、美琴が自分に惚れたら美琴の負けというラストゲームを挑むことにするのです。
一生懸命に美琴を自分に惚れさせようと奮闘する尚人ですが、当の美琴は恋愛面に関してはまったく疎いタイプで、彼の言動は毎回空回りしてしまいます。ストーリーや設定そのものに奇抜なものはそれほどありませんが、それでもぐいぐい読ませるのは、優秀なのにちょっと残念な尚人と、優秀なのに鈍い美琴のキャラクターがそれぞれ魅力的なことと、そのキャラクターの心理描写が丁寧であるためでしょう。2人のゲームの結末がどんなものであるのか、ぜひ手に取って確認してみてください。
『ラストゲーム』については<漫画『ラストゲーム』が無料で読める!最終11巻までの見所を全巻ネタバレ!>の記事で紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。
高校生の宮沢雪野は、かわいくて勉強もスポーツもできて、そのうえ優等生ぶることがないと周りからの評判が高い女の子です。しかしそれは、表向きの顔。家では、中学時代のジャージに身を包みダラダラ過ごす頑固な性格の持ち主だったのです。雪野は、人から尊敬されたりちやほやされたりするのが大好きな見栄王でした。
そんな雪野は、クラスメイトの有馬総一郎をライバル視していました。高校に入学した時、有馬に学年総代の役目を奪われてしまった雪野は、それ以来、有馬に勝つための努力に打ち込んでいます。その努力の甲斐あって試験で有馬に勝つことができるのですが、目標を達成したのに不思議と喜ぶことができません。
そんなある日、雪野はひょんなことから、有馬に本当の自分の姿を見られてしまい……!?
- 著者
- 津田 雅美
- 出版日
- 2011-04-22
少女向け漫画雑誌「LaLa」に連載されていた作品で、「カレカノ」の略称で親しまれています。コミックスは全21巻発売されており、日本に留まらず海外版も発売されるなど、根強い人気を誇っています。また、1998年に作成されたテレビアニメは、「新世紀エヴァンゲリオン」などで知られる庵野秀明が監督したことでも話題になりました。
主人公の雪野は、とにかく周りから注目されたり良く見られたりすることが好きで、そのために自分磨きや勉強などの努力を怠らない女の子です。自らを「見栄王」と言い切るほど自他ともに認める見栄っ張りで、そのため家と外でのギャップがかなりあります。
一方、有馬は雪野にも負けない優等生で、勉強もスポーツも何でもこなす完璧な人間です。しかし、その完璧さの裏には、実は誰にも言えない過去に関わる秘密がありました。それゆえ、彼にもまた内に隠している本当の自分がおり、雪野と同様、完璧な自分を演じていました。表と裏の2つの顔を持つ雪野と有馬は、お互いにその裏の顔を知ることで交流を深めていくのです。
作中には随所に笑えるギャグも散りばめられており、笑いながら読み進められる一方で、雪野と有馬の心理がストーリーと共に丁寧に描かれているので、2人が変わっていく様子を細かく追っていくことができます。感情移入できるキャラクターの変化がよく伝わってくるのは、読者としてとても面白く感じられます。キャラクターに感情移入できる理由としては、表向きの顔という誰でも少なからず持っているはずの見栄をテーマにしているからかもしれません。
物語が進むにつれて、少しギャグ要素は減ってきて、代わりに2人が抱えている暗い部分も描かれてくるようになっていきます。読み進めるほどにストーリーに深みが出てくる作品なので、ぜひ最後まで読み切って頂きたい作品です。
製菓学校に通う小動爽太(こゆるぎそうた)は、高校1年の頃から4年間も片想いし続けたサエコと、数カ月前に念願叶って初キスを果たしました。それからの爽太は、妖精さんと付き合っているのだと公言するくらいサエコに夢中になり、バレンタインには彼女の好きなチョコレートを気合も十分に作り上げ渡すことにします。
しかしサエコは、その気合の入った本気チョコを、付き合っている人がいるからと受け取りを拒否します。二股をかけられていたのだとショックを受ける爽太でしたが、サエコの方は何と爽太と付き合っているというつもりもなかったことがわかり、さらにショックを受けるのでした。
失恋した爽太は、そのままの勢いでフランスへ渡り、有名パティスリーへ飛び込み働かせてくれと直訴するのですが……!?
- 著者
- 水城 せとな
- 出版日
- 2009-01-09
講談社漫画賞少女部門やananマンガ大賞を受賞した作品で、2014年に実写テレビドラマ化もされました。コミックス全9巻で完結しています。
主人公の爽太は、高校時代から一途に想い続けたサエコと念願叶って恋人同士になるも、サエコに振り回されて別れることになってしまいます。失恋後はフランスに渡りショコラティエの修行を積みますが、それは全てサエコをもう一度振り向かせるという強い思いがあってのことでした。フランス語もできないのにフランスに渡り、いきなりパティスリーの名店に飛び込んでしまう行動派ですが、思い込みが強い性格でもあります。
一方サエコは、高校時代から男子から絶大の人気を得ており、本人も気軽に男子と付き合うタイプの女性です。爽太との別れのきっかけになったのは、爽太の告白へいったんはOKしたものの、エッチはしていないという理由から交際しているつもりはなかったというものでした。爽太と別れた後に結婚しますが、結婚生活の中で葛藤や悩みを抱えるようになっていきます。
爽太のサエコに対する執着にも近い気持ちには好みが分かれるかもしれませんが、その気持ちがサエコ自身にではなく、サエコを振り向かせるためのチョコ作りに向けられているために、熱くも爽やかな印象を抱くことができます。
また、サエコというキャラクターは、作中でも女性からはあまり好ましく思われていないというタイプなのですが、だからこそリアリティがあり、こんな人いる! と思えるのも面白いところです。
サエコを思う爽太、現状に期待を抱けなくなっていくサエコなどの心理も丁寧に描かれているので、読めばよむほど物語に引き込まれていくでしょう。また、作中にはたくさんのチョコレートが登場するのですが、専門的な知識も散りばめられながら描かれているスイーツは、読むとお腹が減ってしまうほどです。青春のきらきらした恋愛とは違う、大人の恋愛物語を読みたい方はもちろん、チョコレート好きの方にもぜひ読んで頂きたい作品です。
16歳の日下部まろん(くさかべまろん)は、新体操部に所属している女子高生です。しかし、その正体は、美しい絵画ばかりを狙い世間を騒がせている怪盗ジャンヌでした。ジャンヌ・ダルクの生まれ変わりとして神の力を持つまろんは、准天使のフィン・フィッシュの力を借り、怪盗ジャンヌとして美しい絵画にひそんでいる悪魔を回収して回っていたのです。
ある日、まろんが1人で暮らすマンションに、名古屋稚空(なごやちあき)という少年が引っ越してきます。稚空はまろん達と同じ学校へ転校してきた途端、まろんに付き合ってほしいと言ってくるのですが、その裏には何か隠し事がありそうで……!?
- 著者
- 種村 有菜
- 出版日
1998年から2000年にかけて、少女向け漫画雑誌「りぼん」に連載されていた作品です。テレビアニメは原作と共に海外での人気も高く、2013年にはノベライズ化もされました。
主人公のまろんは、容姿はもちろん勉強もでき、所属している新体操部でも優秀な成績を残すなど万能タイプの女の子です。明るい性格で常に物事を前向きにとらえることができますが、一方で、両親は仕事が忙しくほとんど一緒にいなかったため、人知れず孤独な気持ちを抱えていました。
まろんは怪盗ジャンヌとして活動していますが、そんな彼女を邪魔する存在して現れるのが、怪盗シンドバッドです。彼は、実はまろんと同じ学校に通う稚空と同一人物であり、シンドバッドとしても稚空としても、まろんと関わっていくことになります。
普通の少女がある日天使と出会い怪盗になって悪魔の潜む絵を盗み出すというストーリーは少女向けらしいわかりやすいものです。まろんが怪盗になっている時は躍動感あるアクションシーンも描かれており、テンポの良いストーリーはどんどんページをめくることができます。明るく元気いっぱいで何でもでき、そんなまろんを想ってくれる稚空の存在など、まろんは少女達の憧れになれるキャラクターと言えるでしょう。
一方で、物語が進むにつれて意外な展開が待っていたり、思わず考えされてしまうようなテーマが隠されていたりします。初めて読む方はもちろん、再読の方もまた新しい見方をすることができるかもしれません。きらきらした少女漫画らしい少女漫画を読みたい方におすすめです。
20歳の高槻湊(たかつきみなと)は、友達の真樹の引っ越しを手伝いに出かけたのですが、そこで高校の時の制服を発見します。高校時代はセーラー服だったこともあり、ブレザーの制服が嬉しい湊は、真樹に勧められるまま制服を着て、さらにメイクや髪形もいつもとは変えた姿で渋谷に出かけました。
しかしそこで、義理の弟の透と遭遇してしまいます。その場は強引に別人だと言い通してごまかしますが、透からは携帯電話の番号を渡されてしまいました。昔からモテて女遊びも激しい透のために、周囲の女子から敵対視されていた湊は、透が自分のことを別人だと思い込んだらしいことを良いことに、ちょっとした仕返しのつもりでわざと透を遊びに誘い、そのまますっぽかしてやろうと思うのですが……。
- 著者
- 金田一 蓮十郎
- 出版日
- 2010-11-25
女性向け漫画雑誌「デザート」に2010年から連載されている作品で、2015年には講談社漫画賞の少女部門にノミネートされました。
主人公の湊は、親の再婚で出来た同い年の義理の弟・透とはあまり仲が良くありません。それは、透がモテるうえに女グセが悪いことに起因していて、透を好きな女子達から湊が攻撃されてしまっていたからでした。姉弟とはいえ義理なので、女子達から妙な邪推をされることが多かったのです。
一方、透は、イケメンで女遊びが激しく、多くの女性と簡単に肉体関係を結んでしまうプレイボーイ。異性にだらしない面は、多少読者の好みの分かれるキャラクターかもしれませんが、透のそういった行動の意味も物語が進むにつれて明らかになってくるので、ぜひ最初の印象だけで読むのをやめず、読み進めてみてください。
また、本作は恋愛だけにドキドキするのではなく、湊の変装がバレるかバレないかというドキドキもあり、そういった緊迫感がページをめくらせる力にもなっています。偽物の女子高生を演じる姉と義理の弟の恋愛がどういう結末になるのか、ぜひ読んで確認してみてください。
小さい頃から仲がよく、お互いを大切に想っていた兄妹の弓弦と愛衣。両親が離婚し弓弦は父親と、愛衣は母親と暮らすことになり離れ離れになってしまいました。そして10年後、中学生になった愛衣に弓弦が会いに来て再会するところから物語は始まります。
久しぶりに会った弓弦は背が高くかっこよくなっており、兄と分かっていてもドキドキしてしまう愛衣。数時間だけしか一緒に居られませんでしたが、連絡先を交換したことでまた会える、と幸せな気持ちになります。
2人が連絡を取り合っていることは内緒でしたが、まさかの両親の再婚。また家族で暮らせることになりました。弓弦の通う高校へ入学し、仲良しな兄妹として過ごす2人でしたが……。
- 著者
- 杉山美和子
- 出版日
- 2013-05-24
実は幼い頃から愛衣を恋の相手として好きだった弓弦。ずっと愛衣のことだけを想ってきましたが、その気持ちは誰にも内緒です。しかし、愛衣も弓弦と一緒にいればいるほど男性として惹かれていってしまい、それが恋心だと気付くのです。
兄と妹という、禁断の恋。想いあうことで両親や友人など、周りの人にも迷惑をかけてしまう……けれどお互いにいけない恋だと分かっていても止められない。そんな切ない気持ちが描かれていて、胸がぎゅっと締め付けられるようなストーリーです。
兄妹や家族ではなくても、「好きになってはいけない相手」や「好きになっても想いが届かない相手」など、辛い恋をしたことがある方は多くいることでしょう。その気持ちは切なく苦しいものですが、結局2人は最初から最後まで一途にお互いを想い続けます。
物語の後半で明らかになる事実により、最後は2人の笑顔が見られます。途中で諦めていたら叶わなかったかもしれない幸せ。前途多難な恋でも諦めなければ叶うかもしれないと教えてくれる、杉山美和子の感動作です!
いかがでしたか? 一途に想われたり想うことは恋愛の醍醐味でもありますよね。これを機に自分にピッタリな一途な恋愛物語を探してみてください。