最低な出会いから、10年。負け続けた彼が最後に挑んだ勝負とは……!? 何をやらせても完璧だった少年の前に現れたのは、すべてにおいて自分を上回る成績を残す転校生の少女でした。人生で初めての完全敗北を味わい、彼女に勝負を挑み続けますが……? この記事では、すれ違いの恋にキュンキュンする『ラストゲーム』の魅力をご紹介します!スマホの漫画アプリで無料で読むことができますので、ぜひチェックしてみてください。
家はお金持ち、容姿端麗、成績優秀、おまけに運動神経も抜群の少年、柳尚人(やなぎなおと)。生まれながらの勝ち組です。しかしそんな彼に見向きもせず、常に一歩先を行く少女、九条美琴(くじょうみこと)が現れました。
『ラストゲーム』はそんな2人が出会って10年目に迎えた最後の勝負の行方が描かれています。
一方通行の片思いと、潔いまでの塩対応が本作の魅力。また少女漫画ではめずらしく男性視点のストーリーも多いのが特徴です。
今回は、もどかしすぎてキュンとする本作の、全巻分の見どころをお伝えしていきます。ネタバレを含むのでご注意ください。
- 著者
- 天乃 忍
- 出版日
- 2012-01-04
運動も勉強も、何をやらせても1番だった柳尚人。しかし彼の天下は、小学5年生の時にやってきた転校生、九条美琴によって崩されました。
彼女が来てからというもの、テストも2位、短距離走も2位……しかも九条は、柳のことをこれっぽっちも意識していないのです。
それ以来、柳は彼女に勝つためだけに、中学、高校、大学と同じ学校へ進学。しかしいつまで経っても何度勝負をしても、勝つことができません。
出会ってから10年、20歳になった柳は、九条へ最後の勝負を申し込みました。さて彼は勝利をおさめることができるのでしょうか。
運動も勉強もでき、イケメンで、しかも家がお金持ち……常にちやほやされて、友人たちの注目の的だった柳。しかしトップを走り続けてきた彼の人生は、小学5年生で終了しました。
「…社長の息子だかなんだか知らないけど
それはあなたのお父さんがすごいんであって あなた自身がすごいわけじゃない じゃあ」(『ラストゲーム』1巻より引用)
最期の切り札だと思っていた「社長の息子なんだぞ」という言葉も一蹴され、柳は人生で初めて完全敗北を味わいました。
中学に進学したある日、友人たちの「惚れたら負け」という会話を耳にし、九条に勝つためには自分に惚れさせるしかないと決意するのです。
- 著者
- 天乃 忍
- 出版日
- 2012-01-04
九条を追いかけて同じ高校へ進学した柳。積極的に彼女に絡んでいきますが、なかなか振り向いてもらえません。
そして大学も同じところへ進学。このころになると、2人はたまに食事をする仲になっていました。柳は意識しまくりで、完全に自身の恋心を自覚しています。
一方の九条は、小学校から大学まで一緒なんて、偶然というのはすごいと思っている始末。2人を隔てる壁は高いのですが、ある出来事をきっかけに、彼女も柳が大切な存在であることに気づくのです。
「ーー私いつの間にか柳のことーー…すごく大事な友人だって認識してたみたい」(『ラストゲーム』1巻より引用)
認識の仕方に少々差はありますが、これまで完全に無関心だったため、大きな成長ですね。しかし九条の言動を見ていると、彼女も柳のことを「友人」以上に思っていることは明らか。本人は気づいていないようですが……。
そこで柳は、ある勝負を持ちかけるのです。
「正真正銘 最後の勝負 オレが九条に気持ちを自覚させたらオレの勝ち」
「オレが勝ったら左手の薬指に指輪はめてよ 九条」(『ラストゲーム』1巻より引用)
ついに腹をくくった柳と、鈍感すぎる九条の勝負がはじまりました。
大学2年生になると、九条は友人に誘われて天文サークルに入ることになりました。当然、それを聞きつけた柳も加入します。すでにテニスサークルに入っているにもかかわらず掛け持ちをするその愛の重さというか、単純さはさすがですね。
しかしそこへ、後輩の相馬蛍(そうまけい)という男子が現れます。顔がよく女性から人気のある彼は、天文サークルに入りたいそうで、しかもやたらと九条に話しかけるのです。
- 著者
- 天乃 忍
- 出版日
- 2012-07-05
積極的に九条にアピールしていく相馬の姿を見て、柳の心は乱されている様子。もともと男女交際というものを意識していない九条はガードが甘く、相馬の接触も気にしていません。柳の苛立ちは募るばかりで……。
そんななか、彼は九条と相馬が下の名前で呼び合っているのを耳にしてしまうのです。ついに彼女を捕まえて、もう少し警戒するよう忠告をしました。
「うるさい 柳に命令される覚えはない」(『ラストゲーム』2巻より引用)
バッサリと言い捨てられ、HPはゼロ状態。九条以外の女の子からはちやほやされて人気があるのに、本命にだけ上手く立ち回ることができない様子にもどかしくなってしまいます。
メンタルをごっそり削られてしまった柳。しかしここで、相馬が本当に九条のことを好きなのか冷静に考えます。彼の行動が、九条を落とそうとしているよりは、自分への当てつけのように思えたのです。
容姿も家柄も完璧な柳を、疎ましく思っている人はこれまでもいましたが、果たして相馬にはどんな思惑があるのでしょうか。
新歓を兼ねた合宿として、天文サークルのメンバーは柳家の別荘へ行くことになりました。
そこで、九条の友人の藤本が、サークル内の宮部と付き合っていることが判明します。初めて身近で「恋愛」を感じた九条。彼女の気持ちに変化は起こるのでしょうか。
- 著者
- 天乃 忍
- 出版日
- 2013-01-04
藤本から交際のきっかけをきいた九条は……あまりピンときていないようでした。これまで勉強とアルバイトに時間を費やし、それ以外のことは切り捨てる生活をしていた彼女にとって、恋愛は必要ないものだったのです。
「恋」が何かもわからない状態では、自分の気持ちになかなか気づけそうもありません。
さて合宿初日の夜、星の観察のために外に出た面々は、突然の雨に降られてしまいました。他のメンバーはすぐに別荘に戻ることができたものの、少し離れて歩いていた柳と九条は迷子になってしまいます。明るくなるまでその場に留まることにした2人。
ここで、外とはいえ夜に2人きりなのに警戒心がまったくない九条を見て、柳はあらためて自分が異性として意識されていないことを理解するのです。恋心を自覚させる前に、まずは男性として見てもらうミッションが残っていたんですね。
好きになってもらおうと奔走するたびに空回りしてしまう柳を、応援してあげましょう。
九条のこととなると、ついモテない男性のような対応をしてしまう柳。とはいえほかの女性には変わらずスマートに接しているので、九条と接しているところを見ていない人からすると、理想の男性に見えるようです。
そんななか、彼に言い寄る女の子が現れました。
- 著者
- 天乃忍
- 出版日
- 2013-07-05
非常に女の子らしくて可愛い、天然を装った橘桃香(たちばなももか)。他大学の1年生ですが、インカレで天文サークルに入ってきました。柳に近づきたい素振りを隠そうとせず、上目遣いを駆使して女の子アピールを続けます。
これまであまり他人と接してこなかった九条は無警戒で迎えいれますが、藤本は女の勘で何かあると思っている様子。また女性経験が豊富な柳も、彼女の態度に警戒しています。
柳、九条、相馬の三角関係のなかに4人目が投入され、波乱の兆しです。唯一の救いは、柳自身が橘の気持ちに気付いていることですが、自分の気持ちに気づいていない九条が橘の存在をどう感じるようになるのかがポイントかもしれません。
橘は、柳が九条にだけ違う態度で接していることと、そんな彼女を相馬が気にしていることに気づき、3人の関係性を理解したようです。
しかしこの程度のことでは諦めません。柳をモノにするために、九条と相馬をくっつけようと画策します。
- 著者
- 天乃忍
- 出版日
- 2014-01-04
橘は、九条と柳が遊園地に遊びに行くことを聞きつけると、2人で行かせませいとすかさず割って入ります。そして自分を狙っている先輩を利用し、サークル全員で行くよう提案してしまうのです。
当日、橘は、九条と相馬を2人きりにしようと計らいます。相馬は橘に自分の気持ちがバレていることを知りますが、このチャンスを利用せず橘の誘いに乗りません。自分と九条が一緒にいると、橘と柳が一緒にいることになる、それは九条を悲しませることに繋がると考えたからでした。
自分の恋心を押し殺しても、好きな人が悲しまない選択をする相馬……優しすぎます。
自身の気持ちに気づかず、柳のことは大切な友達だと思っている九条。自分は異性として意識されていないと思っている柳。叶わぬ恋に一歩引いている相馬。そして遠回しにフラれたものの、諦めることのできない橘。
4人の関係性と感情が明確になってきました。
ある時天文サークルは、合宿と称して相馬の実家に行くことになります。
- 著者
- 天乃忍
- 出版日
- 2014-07-04
恋に奥手な相馬の尻を叩いたのは、ほかでもない橘でした。相馬と九条をくっつけようとしたわけではなく、「可能性がある限りは諦めない」と自らの信条を示した結果、彼の尻を叩くこととなったのです。
「限りなく低くたって可能性が少しでもあるなら どんなにみっともなくたって私は諦めたりなんかしない」(『ラストゲーム』6巻より引用)
相馬が恋を諦めかけているのは、九条を困らせたくない、傷つけたくないと思う気持ちもあるでしょうが、最大の理由は自分が傷つきたくなかったからなのかもしれません。
九条と2人きりになった時、ついに一歩を踏み出します。
相馬と九条の距離感が今までと違うことに気づいた柳。ここでついに、相馬が九条に抱いている気持ちを知ります。
相馬も自分の想いを隠すことなく伝えますが、どうせ負け戦だという気持ちは変わらず、どこか諦めているようでした。
しかし当の柳はというと、出遅れたことを痛感し悔しがるのです。
- 著者
- 天乃忍
- 出版日
- 2015-01-05
これまで相馬は、さまざまなコンプレックスを抱えていました。しかし柳が自分に対して悔しい感情を抱いているのを見て、対等に見てもらっていることを知るのです。
そして、あらためて柳の恋のライバルとして立ち居振る舞うことを決めたようでした。ここから2人は、よきライバルであり、友人でもある関係になっていきます。
一方橘は、打算ではなく本当に柳のことが気になりはじめていました。そして、ちょっとした言葉の変化から、九条が間違いなく柳を恋愛感情で好いていることを察知するのです。こういう時の女子の勘というのは本当に鋭いもの。
柳のことをいつまでも「友人」だと言いはる九条に痺れを切らし、ついに直接対決を申し込みました。初めて本音でぶつかる九条と橘。2人の友情の形と、九条が出した自分の気持ちへの結論は?
橘と本音でぶつかった九条は、恋には汚い感情もつきもので、時には譲れないものもあると学びました。そして、たとえライバル同士だったとしても、友情は築くことができることも知ります。
さて、やっと九条が柳への想いを自覚しました。これまでは柳の気持ちを中心に物語が動いてきましたが、ここからは九条のターンです。
- 著者
- 天乃忍
- 出版日
- 2015-06-05
橘との決着をつけた九条は、次に相馬とも決着をつけることに。2人で水族館へ行くことになりました。相馬はフラれることがわかっているので、切ない最後のデートです。
ひととおり楽しんだ後、相馬はもう1度自分の想いを口にします。そして九条も、自分の気持ちを相馬に伝えました。九条を取り巻く恋模様に、これでひとつの区切りがついた形になります。
ただ大事なのはこれから。柳は、九条が自分のことを友人としか思っていないと思い込んだままで、九条も柳に対してとある勘違いをしています。せっかく両想いになったのに、2人はすれ違ったままなのです。
柳の気持ちも、九条の想いも、もはや知らないのは当人たちだけの状態。さてこれからどうなるのでしょうか。
天文サークルのメンバーは、柳の祖父母が経営している旅館に泊まりにいくことになりました。
ことの発端は、九条が柳のことをもっと知りたいと言ったこと。しかしこれまで散々「友人」発言をされてきた彼は、そこに特別な意味はないと期待を捨てていました。
- 著者
- 天乃忍
- 出版日
- 2015-12-04
自分が傷つかないようにするあまり、祖父母に対し、九条のことを全力で友達宣言してしまう柳。一方の九条も、柳に気を遣って「彼女なんていうのは事実無根だ」と全否定してしまうのです。お互いにお互いを傷つける結果となりました。
ある時、九条は柳に、「好きな人はいないのか」と問いかけます。このあたりは彼女の方が積極的ですね。柳は突然の問いかけに動揺するものの、少しでも自分のことを意識してもらいたいと「いる」と返答。その相手が自分だと気づいていない九条は、またもやショックを受けてしまうのです。
そして九条は、傷ついたことを悟られないよう柳の恋を応援し、その場を後に……。当然柳は、好きな人から恋を応援されたことで多大なダメージを受けています。
すれ違い続ける様子に読者のやきもきが止まりません!両想いなのに片想い状態を続ける2人ですが、そんななか九条がおみくじを引くと「告白が吉」と書いてあり……。
温泉からの帰り道、九条は柳の実家に寄ることになりました。手厚い歓迎を受けます。
しかし柳の父からは、どういうつもりで息子と一緒にいるのか問われてしまいました。あらためて柳の家柄を実感します。
しかし九条は、別に玉の輿に乗りたいわけではありませんし、家柄で柳を好きになったわけでもないのです。
- 著者
- 天乃忍
- 出版日
- 2016-06-03
九条の強い言葉を聞いた柳の父は、彼女の真っ直ぐさと性格を受け入れ、なんと恋の応援をしてくれることになりました。ちなみに柳の母と姉もこの事実を知っているので、九条の気持ちを知らないのは柳本人のみ……。もどかしすぎます。
しかし鈍感な彼も、これまでの行動パターンを分析し、九条の自分に対する態度が変わってきていることに気づきました。
もし両想いになっているとしたら……柳には、もうひとつ、ケリをつけなければいけないことが残されています。父からは、もし家を継ぐのであれば、留学をするよう言われていたのです。
せっかく結ばれようとしていた2人の恋、柳はどんな結論を出すのでしょうか。
橘から柳が留学することを聞いた九条。急いで大学を飛び出し、空港へ向かいました。柳に好きな人がいようと、フラれようと、遠くへ行ってしまう前に自分の気持ちを伝えなければと考えたのです。
空港で柳を見つけると、駆け寄ってストレートに自分の想いを伝えます。
突然のことに戸惑う柳。実は今回は留学の下見で、2週間後には帰ってくる小旅行だったのです。
- 著者
- 天乃忍
- 出版日
- 2016-10-05
九条の早とちりと勘違いでしたが、柳もそれどころではありません。もともとは「九条に気持ちを自覚させたら勝ち」として始まった勝負でしたが、彼は帰国したらきちんと告白をしようと考えていたのです。
まさに勝負に勝って試合に負けた状態。しかし、九条の気持ちに応えるように、柳も自分の中に抱き続けてきた想いをぶつけます。
「オレには九条は誰よりも可愛く見えるし お前じゃなきゃダメだ 10年前初めて会った時からずっと ずっと九条が好きだ」(『ラストゲーム』11巻より引用)
ついに、やっと、両想いになった2人。10年間も九条を追い続けていた柳の心情を思うと、感慨深いものがあります。
2人の勝負はついにゲームセット。7年後、九条の左手の薬指には指輪がありました。しかしここで、柳はまた新しい勝負を九条へ持ち掛けるのです。
1巻の冒頭を思い起こさせる展開。さて彼はどんな勝負を持ち掛けたのでしょうか。ぜひ実際に読んで確認してみてくださいね。
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