こんにちは。藍坊主のvo.hozzyです。今回のテーマは「他人の“価値観”が、小気味よく響いてくる小説」です。皆さんもご存知のように、本を読んでいると実に様々なキャラクターがストーリーの中に出てきますが、話に没頭は出来ても、意外に主人公には共感できなかったり、好きになれなかったり、ってことがあるかと思います。俺も本を読んでいて「当たりの本」に出会う事に比して、好きになるキャラクターは滅多にいない気がします。
この話大好きです。短編集の中で表題作品になっている「プラナリア」は、50ページほどの物語なんですが、ゆるむページが全くなくて、今までもふと思い出しては何度も読みかえしました。主人公の女性は20代で乳がんの手術を受けてから、生来の性格も手伝って周囲に露悪的な発言をしたり、ひねくれたような行動をしたりと、周りからよく思われなかったり、引かれてしまうことがあったりするんですが、読み手から見ると彼女の心の動きが手に取るように分かります。
- 著者
- 山本 文緒
- 出版日
- 2005-09-02
みなさん、さようなら。ってなんとも暗い感じのタイトルですが、内容はそんなに暗くないです。むしろびっくりするぐらいの青春感や、夜のベランダから見える爽やかな風景みたいなものを感じる瞬間がたくさんありました。主人公は引きこもりの少年です。といっても、部屋にずっと閉じこもっているわけではなく、自分が住む団地内限定の引きこもりで、友達もいたり、体を鍛えていたり、果てはバイトをしはじめたりと、割とコミュ力もパワーもあるアクティブな人物です。
- 著者
- 久保寺 健彦
- 出版日
- 2010-08-05
登場人物中、一番頭のおかしそうだったキャラクターが、実は一番まともな人間なんじゃないかと思えてくる少し変わった話です。始まりは、夏休みに弟・タカシが姉の一人暮らし先に滞在し始めるというところから始まるんですが、一見純朴そうだった弟がだんだん変わった行動をとり始めるところから話の筋がカオス方面にずれていきます。
- 著者
- 角田 光代
- 出版日
- 2004-01-16
本と音楽
バンドマンやソロ・アーティスト、民族楽器奏者や音楽雑誌編集者など音楽に関連するひとびとが、本好きのコンシェルジュとして、おすすめの本を紹介します。小説に漫画、写真集にビジネス書、自然科学書やスピリチュアル本も。幅広い本と出会えます。インタビューも。