1999年に出版されて以来、多くの子ども達に読まれ愛されてきた『そらまめくんのベッド』。シリーズとして新しい作品も発表され、愛らしいキャラクターと温かなストーリーは読者の心を掴み続けています。長く愛されるシリーズの作品たちを紹介します。
出版されてから20年近く経つ今でも、多くの子ども達に読まれ続けている名作です。
主人公は、そらまめくん。サヤでできたフワフワのベッドが宝物です。ある朝、えだまめくんとグリンピースの兄弟、さやえんどうさんにピーナッツくんがやってきました。皆そらまめくんのベッドで眠ってみたいと言うのです。しかし、彼は大事なベッドを貸そうとはしませんでした。
そんなある日、彼の大事なベッドがなくなってしまったのです。他のみんなは初めはベッドを貸してくれませんでしたが、次第に可哀そうになり自分のベッドを貸してあげることに。でもやっぱり合わなくてしっくりきません。
何日もベッドを探してやっと見つけたと思ったら、なんとうずらがそろまめくんのベッドの中で卵を温めているではありませんか。
さて、たった一つの大事な大事なベッド。そらまめくんは貸してあげることができるのでしょうか。
- 著者
- なかや みわ
- 出版日
- 1999-09-30
自分の大切な物を他の人に貸してあげることはとても勇気がいりますよね。そらまめくんも初めは、誰にも大事なベッドを貸してあげる事ができません。
そんな時に出会った、うずらの親子。初めはしぶしぶベッドを使わせてあげていましたが、だんだんと卵からかえる雛たちを応援するように。自分の大事な物を自分一人で使うのではなく他の誰かに貸してあげることができるようになり、思いやりの心を学んだのです。
この絵本を読んで子どもたちは、人を思いやる気持ちを学んでくれるでしょう。
「そらまめくん」シリーズ2作目の作品です。思いやりというテーマが子ども達に伝わる温かなストーリーは前作と同様に、新しく登場するキャラクターがさらに優しい気持ちを子ども達に伝えてくれます。
雨上がりのある日、サヤを船にして水たまりで遊ぶお豆の仲間達。しかし、そらまめくんは大事なベッドが濡れるのが嫌で水たまりに入ろうとしません。そんな彼をピーナッツくんは自分の船に乗せてくれましたが、重すぎて船が沈んでしまいます。水たまりに潜ってしまった2人ですが、そこにはなんとも美しい世界が広がっていたのです。
仲間達も誘って皆で水たまりの中に。そこで出会ったのが小川から流されてしまっためだかの子。何とか小川に戻してあげようとサヤのベッドに入れて運んであげることになりました。しかし、どのベッドも薄かったり狭かったり上手くいきません。
そこでそらまめくんが提案した方法とは……。
- 著者
- なかや みわ
- 出版日
- 2000-09-15
そらまめくんの心の移り変わりが丁寧に描かれ、優しい気持ちになれる作品です。
大事なベッドを水に濡らしたくなくて、皆と一緒に船遊びもしませんでした。しかし、小さなめだかとの出会いによって気持ちに変化が生じます。
自分のためではなく、困っている友達のために自分の大切なものを犠牲にして助けるそらまめくんの行動に、思いやりに溢れた優しい気持ちになります。裏表紙に描かれた、めだかの子がお父さん、お母さんと一緒に泳ぐ姿を優しく見つめる姿が、更に気持ちを温かくしてくれるでしょう。
自分よりも小さな子や周りの誰かの為に行動できる、そんな優しい心を子ども達にも感じてもらいたいですね。
仲間達と過ごす楽しい1日を描いた、気持ちがほっこりとするお話です。
そらまめくんの1日は、大事なベッドから目覚めることから。顔を洗って朝露を飲んだらお出掛けです。タンポポ畑で綿毛を見つけて良いことを思いつきました。大きな穴を掘って綿毛をたくさん入れて、フワフワベッドの完成です。
友達にも見せてあげようとみんなを呼びに行くことに。しかし、途中で雨が降って来たのです。雨宿りをしてやっと綿毛のベッドを見せられると思ったのに、なんと穴は雨が溜まって水たまりに。みんながっかりです。
そんなみんなの所に雨の後のお楽しみが待っていたようですよ。
- 著者
- なかや みわ
- 出版日
- 2006-06-21
今回の作品では、自分で作った綿毛ベッドをすぐに友達に見せようとするそらまめくん。サヤのベッドを独り占めしていた頃とは全然違っていて、成長を感じます。
しかし、せっかく皆に喜んでもらおうと思ったのに見せることができなかったショックな気持ち。きっと子ども達にも経験があるのではないでしょうか。でもそこで終わりではなく、新しい楽しみは必ず見つかるし、1度ダメになってしまっても、もう一度やり直せば良いという事を教えてくれます。それが友達と一緒ならやり直すことも楽しみの一つとなりますね。
素敵な物は見せたくなるし楽しいことはもっと楽しくなる、友達って良いなと改めて思うことができる1冊です。
今回の物語は、初めて登場する三尺豆の兄弟との交流を描いたお話です。
ある日そらまめくんが昼寝をしていると、グリンピースの兄弟が慌ててかけて来ました。ついて行くと何だか変な物が。皆で引っ張ってみると中から見たこともない長いサヤに入った三尺豆が出てきたのです。
そらまめくんは自慢のベッドを見せますが、三尺豆の兄弟は自分たちのベットが一番だと言って譲りません。そこでどちらのベッドが一番良いベッドなのかを決める競争をすることに。そり滑りに水たまりでの船競争。しかし、そらまめくんのベッドは勝つことができません。
そんな時、三尺豆の一番小さい弟が船競争の途中で水たまりに落ちてしまったのです。その場にいた全員が今まで争っていたことも忘れて協力して弟を助けようとします。皆の一生懸命な姿に胸が熱くなりますね。皆の思いは届くのでしょうか……。
- 著者
- なかや みわ
- 出版日
- 2009-04-01
自分の譲れないものへの思いが強ければ強いほど、時には争ったり、けんかになったりすることもありますよね。しかし、だからこそ相手の良い所を認め合って仲良くなれたら素敵ですね。そらまめくんと三尺豆との交流は、そのまま子ども達の社会と、友情を築いていく様子を描いています。
そして、誰かを助けたいという強く優しい気持ちを通して、心を通わせていく様子には気持ちが温かくなります。
アイデアいっぱいの競争を楽しみながら、相手を認め合うことの大切さを感じられる作品です。
そらまめくんの大切なベッドが大変なことに!なんと中の綿が前に比べて元気がなくなってしまったのです。仲間達に綿の実が実る綿の木がどこかにあると聞いて、綿の木を探す旅に出発です。
ちょうちょとめだかの子に聞いて、流れの速い小川を下り、やっとたどり着いたのは見たことのない場所。うずらまめとひよこまめ、スナップえんどうの姉妹が助けてくれます。そして、案内してくれたのは綿の木の畑。しかし綿は1つもありません。しかも、家への帰り道が分からなくなってしまったのです。
寂しがるそらまめくんですが新しい友達ともすぐに仲良くなりました。そり遊びや船遊びをしたり、綿が育つためにお天気になる様にと皆でてるてる坊主を作ったり……。そんなある日、綿の木が大きな花を咲かせましたよ。そらまめくんは無事に綿を家まで持って帰ることができるのでしょうか?
- 著者
- なかや みわ
- 出版日
- 2015-05-27
仲間達の元を離れて1人で冒険の旅へと出掛ける、そらまめくんの成長を感じる物語です。落ち込んだり、寂しくなったりすることもあるけれど新しい友達ともすぐに仲良くなることができました。でもやっぱり、いつもの場所と仲間達の元が一番という思いも伝わってきて、なんだか嬉しくなります。
お話としては他のシリーズよりも少し長いのですが、いつしか一緒に冒険をしているような、ワクワクした気持ちでどんどん読み進めてしまいますよ。
この作品から読み始めてももちろん楽しめますが、途中で前のシリーズに登場しためだかの子が登場したりと、他の作品を知っているとより楽しむことができますので、ぜひ合わせて読んでみてくださいね。
長い間子どもの心を掴み続ける「そらまめくん」シリーズ。どれも可愛らしい描写で、生き生きとした自然を感じながら楽しむことができる物語ばかりです。そして、そらまめくんが思いやりの気持ちを学ぶ中で子ども達も一緒に思いやりの気持ちを感じ、友達との交流や冒険を通して成長する姿に自分を照らし合わせながら、一緒に成長していける物語でもありますね。ロングセラー作品であるのも納得です。ぜひ、親子で読んでみてください。