恋愛女子は忙しい。 まして、アラサー・アラフォーの大人女子ならなおさらだ。マンガを山積みにして読んでいるヒマなんてない! そんな女性や、そのパートナーに相応しい男性にぜひとも読んでもらいたい、わずかのページ数で全てを語る「1冊完結マンガ」たち。 「そうそう、それが言いたかったの」。 マンガの中に等身大の自分を見つけ、あなたは、きっと驚きと感動に包まれるはず。 大人女子の本音を知るために、多くの時間は必要ない。
アラサー・アラフォーの大人女子たちの恋愛の先には、いつもチラつくモノがある。そう、“結婚”という二文字だ。
小さいころは、結婚といえば、ただただ純粋に憧れるだけの存在だった。夢は○○君のお嫁さんという可愛いセリフも、20代も後半に差しかかると、急に現実味を帯びだして、おいそれとは口に出せなくなってくる。
そう、大人女子にとって結婚は漠然と想像するものではなく、毎日の生活設計そのもの。差し迫った“誰とどう暮らすか?”という問題として意識されるのだ。
そんな大人女子たちのリアルな感情をたった1巻でとても巧みに描き切ったマンガがある。
- 著者
- 谷川 史子
- 出版日
- 2011-03-15
誰かと暮らす、ということは、それほど楽なことじゃない。ましてや元々他人同士なら当然のことである。この本のスゴい所は、それを男女の同居で表現するのではなく、女三人の同居というシチュエーションで描き表わしている点にある。
一度でも経験したことのある人はうんうんと頷いてしまう、「他人暮らし」の不自由さと息苦しさ。独身キャリア女性、新婚主婦、バツイチ女子…。アラサー・アラフォー女子なら、誰もがう~んと唸らされるはずである。気が付けば私たちは、結婚について、深く、でも読後感良く考えさせられている。
右足と左足のあいだには何がある?
そんな中学男子が喜びそうな謎かけも、大人女子にとっては笑い事では済まされない重大な問題なのである。
- 著者
- 雁 須磨子
- 出版日
- 2014-06-07
衝撃的なタイトルの表題作を始め、このマンガには、どこかすれ違ってしまう男女の思考に踏み込んだ短編が集められている。“言わなくても通じる”のが恋に恋する乙女たちの少女マンガのセオリーだとしたら、アラサー・アラフォー女子の読むマンガは、“言わないと通じない”が原則。いや、恋愛の現実はそんなに生易しいものではない。“言ってもズレてしまう”のだ…。この本には、そんなリアルがギュッと詰め込まれている。
男と女はそもそも脳の構造が違うと言われる。そのためか、女性の立場から言わせると、男性は驚くほど話が通じないときがある。男性からの非難を承知で言うならば、まだメスザルの方が話が通じるのではないか、と思う場面さえある。頷いた女性は多いことだろう。
10代の頃、恋する少女はこの現実に気が付かない。20代になるとさすがに違和感を感じるが、憧れや理想という名のフタを閉めてしまう。
さて、アラサー・アラフォーの私たちは、いったいこのズレにどう向き合うのだろうか?この本にはその答えのパターンがいくつも用意されているのである。
そして、自戒の念を込めて。この本をよく読み、男性から、まだオスネコの方が可愛いと言われない女になりたいものである。
ケーキと聞いて、まず思い浮かぶのが、ストロベリーショートケーキ。イチゴもケーキも女子の大好物。定番であり王道である。次は、この可愛い食べ物の名前をタイトルに持つ、決して甘くない物語を紹介しよう。
- 著者
- 魚喃 キリコ
- 出版日
ケーキ屋の店先に並んだストロベリーショートケーキをじっくり観察してみたことはあるだろうか。他のデコレートされたケーキに比べると思いのほかシンプルだったり、実は一つとして同じ大きさのイチゴが飾られていなかったり…。無難で安心感はあるものの意外と人気があるのは目新しい季節のケーキということも。
そして、何より、特別な日に選ばれるのは、決して細切れになったストロベリーショートケーキではなく、まだ汚れを知らない真っ新のホールケーキなのである。
もうお分かりだろう。私たち女性はまるでこのストロベリーショートケーキ。そして、この本に出てくる四人の女性たちは、私たちの等身大の姿なのだ。どんなに切なくて惨めでも、今日も笑顔で店先に並ぶストロベリーショートケーキを愛おしく思わない人はいない。
2006年に映画化。岩瀬塔子の芸名で作者自身がイラストレーター役を好演したことでも話題となった作品だ。
女に生まれてよかったか?そう聞かれたら、何と答えるだろう。
損なこともたくさんあって、辛い思いもいっぱいして…。でも、次生まれ変わっても女でいたい。そんな風に思える瞬間を切り取ったような一冊完結マンガがこれだ。
- 著者
- 宇仁田 ゆみ
- 出版日
- 2003-04-08
「マニマニ」=まにまにとは、流れに逆らわず成り行きに任せる様を言う。それは、一見とても弱い生き方のようにも思える。でも、アラサー・アラフォーの大人女子になった今ならわかる。実は、“自分”を持っているからこそできる、強い生き方であるということが。
水のまにまに浮かぶ桜の花びらを想像してみよう。確かに行先は水任せなのかもしれない。でも、橋の上から花見客が、綺麗だね、とため息交じりに見ているのは、決して水の流れではない。桜の花なのである。
桜は桜。女は女。たとえ男という名の流れに身を任せても、この健気で美しく、そして強い生き物たち。自分の生き方に自信がなくなって迷いが生まれたとき、繰り返し読みたい一冊である。
アラサー・アラフォーの大人女子にとって、忙しい時間の中で女性としての自分の存在を考えてみることは、とても大切なことである。
10代や20代の頃と比べてしまい、自信をなくしてしまうことも少なくないかもしれない。それでも、失くしたものの数だけ必ず手に入れた魅力がある。
わずかの時間でそのことに気付かせてくれる大人の恋愛を描いた一冊完結本は、私たちの強い味方なのだ。