未成年に手を出す店長にストーカー教師、ロリコン男……地雷臭のするキャラばかりのサイコホラーな漫画が『ハッピーシュガーライフ』。2018年にアニメ化もされた原作です。 可愛くて男遊びが激しかった主人公の女子高生・さとうは、心に決めた人ができました。その愛を守るため、彼女は手段を選びません。2人「だけ」のお城を作れたら、きっとハッピーシュガーライフを送れるはず……。本作のタイトルの意味は、そんな歪んだ怖い愛情が現れたものです。 この記事では、狂気の愛にハマってしまう本作を最終回までご紹介。ネタバレを含みますので、気になる方は無料で読めるスマホアプリで読んでみてください。
ハッピーシュガーライフは、主人公がどんな手段を使ってでも愛する相手との甘い生活を守ろうとする純愛サイコホラー作品となっており、コミックスの発行部数は70万部を突破している人気作品です。
- 著者
- 鍵空 とみやき
- 出版日
- 2015-10-22
・作画がかわいい上に、キャラクターの心理描写がちゃんと描かれている
登場人物達がかわいいのはもちろん、過去をしっかりと描いていることで、その人物達の現在の数々の行動、言動を裏付けすることができるため構成力の高い作品となっています。
・伏線回収がしっかりとされている
この作品は数々の謎が多く散りばめられているのですが、その謎をただそのままにするのではなくしっかりと謎を回収していくためどんどん話が進んでいき、考察が楽しくなります。
・ご都合主義では終わらない
誘拐劇を社会悪として扱わない作品が多い中 、ある日突然全てのことが良くなることがないようにハッピーシュガーライフは誘拐犯の思い描く甘い生活はいつか必ず壊されるという悲劇をしっかりと描いています。
こんな方々におすすめです。
「やめるときも すこやかなるときも
よろこびのときも かなしみのときも
とめるときも まずしいときも
しがふたりをわかつまで
私はさとちゃんが大好きなことをちかいます」
(『ハッピーシュガーライフ』1巻より引用)
こんな結婚式のような誓いの言葉から始まる本作。一見、ほのぼのとした純愛に思えるかもしれません。しかし、この2人の関係は、人に言えない秘密を抱えたものだったのです……。
2018年にアニメ化もされた原作漫画『ハッピーシュガーライフ』。花澤香菜や久野美咲などが声優を務めました。
アマゾンプライムでも配信中なので気になる方はぜひご覧ください。原作は、主人公の美少女・さとうを筆頭に、やばいキャラしか出てこない狂気に溢れている鬱漫画です。
この記事では、そんな本作の見所を最終回まで全巻ご紹介します。ネタバレも多少含まれますので、ご注意ください。
まずは1話だけでも読んでみたいという方は、以下からスマホアプリ「マンガUP!」で無料で読めるのでおすすめです。
美少女な高校生・松坂さとうは、頼んだらすぐヤらせてくれると噂のビッチ。しかし「心に決めた人ができたから」と、そんな生活をやめたと嬉しそうに友人に語りました。
そんなさとうがいそいそと学校から帰ると、自宅では幼い少女・しおが迎えてくれます。彼女たちは数日前に知り合ったばかりですが、キスをしたり、抱きしめ合ったりと、とっても仲良しな様子。
かわいいキャラが百合百合していて、眼福な展開です。そんななか、さとうはしおへの思いをこう語ります。
「この子は どんなものよりも甘い欠片で
わたしの瓶(こころ)を満たしてくれる
きっとこのキラキラしている感情が 愛と呼ばれるものなのね」
(『ハッピーシュガーライフ』1巻より引用
一見ほのぼのとするような、まっすぐに愛について語られた名言のようでもありますが、ふたりの住んでいる環境には少し違和感を覚えます。
広いマンションの一室に、両親はおらず女子高生と幼女のふたりだけ……さらに、しおは一日中家から出ている様子はありません。街中には、しおが行方不明の子供として書かれているチラシまであります。
そんな2人が暮らす家には、さとうしか入れない開かずの間が。そこに入った彼女はこう言うのでした。
「ありがとう
結構 住み心地いいよ」
(『ハッピーシュガーライフ』1巻より引用)
どこかが、狂ってる。
その部屋には、こびりついている血に、謎の袋など、不穏な雰囲気を感じさせる要素があります。
果たして袋の中身は何なのか、そもそもこの部屋の持ち主は誰なのか、なぜ彼女はひとりでマンションに住んでいるのか……。読者に違和感と狂気を感じさせながら、徐々にその理由も明かされていきます。
しおを養うため、新しくバイトを始めることにしたさとう。
そこは美人の店長がいることで有名なカフェでした。バイトを始めてから間も無く、同僚のイケメン・三星太陽に告白されます。
もちろん、「心に決めた人がいるから」ときっぱり断るさとう。その日のバイト帰り、店長室に入っていく店長と太陽を見かけます。不穏な空気の2人。それ以来、彼は店から姿を消しました。
その翌日から、急に店長に目をつけられるようになったさとう。長時間の残業が続き、同僚からもいじめられます。そんな日を耐える日々。しかしある日、玄関で寝ているしおを見て、さとうはこのままではいけないと恐ろしい表情で決意するのです……。
翌日、明らかに少ないバイト代を店長に直訴しにいくさとう。しかし店長はまったく取り合わず、むしろ彼女が職場に迷惑をかけたから、給料は妥当だと言ってくるのです。勝手に減給することが許されるのかと聞くさとうに、店長はこの店のことをこう言います。
自己愛が強く、自分の意に沿わない相手を容赦なく排除してきた店長。しかしさとうもこのまま黙っている訳ではありません。店長に容赦なく切り込みます。
「やっぱり納得できません
だって ダメですよ 店長
未成年に手を出しちゃ」
(『ハッピーシュガーライフ』1巻より引用)
そしてさとうは、最近見なくなった太陽と店長の関係について暴いていきます。
ある日、学年主任の北埋川(きたうめかわ)から呼び出されたさとう。
学校のことで電話をしたのに、なぜ出なかったのかと問われました。のらりくらりと答える彼女ですが、会話の途中で予鈴が鳴ってしまいます。その場を去ろうとしたとき、北埋川は彼女の手をとりました。
「何か困ったことがあったら言ってください。他の子より不安定で心配」といわれた彼女は、「昔の様に男遊びはしていない」と答えます。
そして「最近ストーカーに尾けられている様な気がして困っている」ということも相談しました。
その日のバイトの帰り道、またしても視線を感じ、後ろから尾けてきている人物がいることに気がつきました。行き着いた路地裏で待っていたのは北埋川。
そのことに気づいていたさとうに、ずっと見ていたと告白します。そんな愛するさとうに本命ができたと聞き、相手をめちゃくちゃにしてやろうと考えている北埋川。それを聞いた彼女は、持っていた防犯ブザーを鳴らしてどうにか逃げます。
しかしやはりそれだけでは終わらないのが本作です。翌日、彼女は既婚者である北埋川の家を訪ね、彼の知られざる性癖を明かしていきます……。
- 著者
- 鍵空 とみやき
- 出版日
- 2015-10-22
ある日、なかなか帰ってこないさとうに不安を覚えたしおは、彼女を探すため家を飛び出してしまいます。
しおが走る横には、彼女を探す張り紙が。しかしそれにも気づかないほど、必死にさとうを探しています。
一方さとうは、自分の黒い感情と戦っていました。もし感情を制御できなければ、しおと一緒に暮らせないと思い、その感情がなんなのか考えます。考え続けた結果、その感情が嫉妬だと気づきました。それに気づいた瞬間、愛から生まれた感情を自分が持てたことに幸せを感じます。
誰かを愛したゆえに生まれた感情なのだ、大事にしよう、と。
- 著者
- 鍵空 とみやき
- 出版日
- 2015-12-22
そんな幸せな気持ちで帰宅すると、そこにはしおの姿がありません。涙があふれるさとう。愛する人を探すため、走り出します。
一方でしおもさとうを探していたのですが、彼女が出会ってしまったのは、太陽。しおの純粋さに心を奪われた彼は、もっと自分を浄化してほしいという考えに行き着き……。
登場人物が全員異常な本作。本巻には、しおの兄らしき人物や、さとうの叔母、そして後味の悪すぎる読み切りなどが描かれています。徐々に明らかになってくるふたりの「幸せな生活」の全容から目が離せません。
どうにかしおと再会することができたさとう。今度は2重の鍵をかけて彼女を監禁し、一見いつもどおりの幸せな生活が戻ってくるかに思えました。しかし、しおが外に出たことから物語が一気に動き出します。
3巻でキーとなるのはバイト先の後輩・すーちゃん。彼女はさとうが好きすぎるあまり、シフトを同じにし、持ち物や、化粧品、メイクまですべてを真似します。それでもまだ足りない彼女は、「家庭環境だけでも揃えようかな」とまで言いだすのです。
一番触れてはいけないところに踏み入ってきた彼女にさとうは……。
- 著者
- 鍵空 とみやき
- 出版日
- 2016-05-21
さとうに嫌われることを恐れた彼女は「何でも言うこと聞きます」と言ってしまうのでした。
この他にも、太陽のしおへの愛がエスカレートしていたり、さとうの親友・しょうこの家庭環境について描かれたりと、今後に繋がりそうな内容が多く描かれており、見ごたえ抜群の内容です!
登場人物たちの関係性が複雑になっていく4巻。
そして、さとうが歪んでしまった理由が明らかになります。その事実を突き止めたのが、彼女をストーカーしていた北埋川。さとうの過去が明らかになり、立場が逆転になるかと思いきや、彼女はどんどん有利な立場になっていくのでした。
この他にも、今後に関わってきそうな登場人物たちに変化が。しょうこが、しおを探す張り紙を貼っているあさひと接触します。しかし、さとうのためを思ってとったこの行動が、逆に彼女たちの溝を深めるこことに……。
- 著者
- 鍵空 とみやき
- 出版日
- 2016-11-22
4巻最大の見所は、さとうの叔母についての描写です。彼女について、あることが明らかになり、1巻から仕掛けられていた伏線が実はミスリードだということが判明するでしょう。
そして、本巻でのキーワードはDV。これまで、さとうなどのサイコな人物にただ恐怖を覚えるだけでしたが、彼女がそうなってしまった背景を知ると、胸が苦しくなってきます。
さとうはあさひの存在に気づき、自分の幸せな生活を邪魔する者として排除しようとします。自分の手は汚さずにことを運ぼうとした彼女は、小間使いとして太陽を呼び出します。
さとうの申し出を断る彼でしたが、しおの靴下というボーナスアイテムで懐柔されてしまいました。
- 著者
- 鍵空とみやき
- 出版日
- 2017-05-22
あさひを排除しようとしますが、あえなく失敗。逆にあさひから疑われることになってしまい、何と靴下まで彼に渡してしまうのです。
しかしその時のあさひの顔が、なんともいえない訳のありそうな表情。しおが幸せに生きていくために必要な場所はどこなのか疑問に思ってしまいます。さとうと暮らすのも、ひとつの幸せなのではないかと考えてしまうのでした。
しょうこにまつわる事件や、彼女があさひに送ったさとうとしおのツーショット写真から、ふたりの生活に危機が訪れます。
危機が迫っていることを察したさとうは、今住んでいる「お城」を捨てて出て行くことをしおに提案します。
しかし理由も言わずに2人の大事なお城を捨てることを決めたさとうに、しおは疑問を抱きました。2人のくらしを守るために言ったさとうの言葉がしおには理解できず、すれ違いを感じ部屋に引きこもってしまいました。
- 著者
- 鍵空とみやき
- 出版日
- 2017-08-22
しかし結局はこのやりとりを経て、さらに絆を深めることになります。異常な関係性でありながら、2人の絆に感動してしまうところが、本作の凄いところです。
さとうはさとうで自分の考えに忠実で、しおに対してはまっすぐな愛情を持っています。ただそれがいき過ぎてしまっているのでした……。
そして「不完全」な者同士、「共犯者」として進んでいくことを決めたさとうとしお。裏で動き始めているあさひの動きにも注目の6巻です。
7巻はしおの家庭環境が明かされます。
彼女の父親、母親など登場人物の全員がどうしようもない性格で、どこまでも救いのない展開が描かれます。
しおの母親・ゆうなは、夢を見すぎの美少女。両親にすべての選択権をゆだね、いつの日か誰かが自分を選んでくれるだろうなと思っている、他力本願な性格でした。
そんなある日、道でぶつかった男にいちゃもんをつけられ、恐怖から「何でもする」と言ってしまったゆうな。そのままその男に連れていかれ……。
- 著者
- 鍵空とみやき
- 出版日
- 2018-03-22
それからというものの、その男と付き合うことになってしまい、暴力を受ける日々。最終的にその男の子供を妊娠し、両親に言いくるめられ、いやいや結婚することになってしまうのでした。
そのあとも思い浮かぶ限りの最悪なシナリオが続きます。最低な父親に染められた母親もどんどんこわれていってしまいます。常軌を逸したキャラしか出てこない本作、ますます鬱展開が加速していきます。
不測の事態に追い込まれた結果、さとうは嫌々ながら叔母のもとを訪ねます。今まで謎に包まれていた親戚。実は彼女は同じマンションの下の階に住んでいました。光のない目に妖しく笑う口元は、油断のならない人物だということを感じさせます。
そこでさとうは、今まであったことを包み隠さずに話します。
- 著者
- 鍵空とみやき
- 出版日
- 2018-06-22
そんな衝撃の告白に対して、叔母はとても優しい微笑みで協力すると答えます。
しかしそれは、さとうのトラウマにもなっているほどの博愛精神なのでした。彼女がしおだけに永遠の愛を誓っているのは、叔母との関係にも秘密がありそうな展開。
さとうは敵意をむき出しにしながらも、どうにか叔母に協力して高跳びする算段を整えていきます。そしてその中で気になるのは「小鳥」という存在。しょうこのことを匂わせますが、はっきりとしたことはわかりません。これからのストーリーに関わる重要な伏線になりそうです。
その他にも、しおを取り戻すために太陽と協力して動こうとする、しおの兄・あさひ。彼らの動きにも注目です。物語が結末に向けて、大きく動いていく8巻です。
9巻で物語は、どんどん泥沼化していきます。ほとんどの登場人物がいきづまるような展開です。
最初はまずこの2人から……。汚れてしまった自分を祓ってもらおうと、しおを探す太陽の前に、さとうの叔母が現れます。彼女からしおが結婚するということを聞き、発狂して彼女の首を絞めてしまいますが、叔母はむしろ「爪で血がでるくらい」強くしなさいとアドバイスするくらい。
しかも嫌がる彼に無理矢理迫り……。
- 著者
- 鍵空 とみやき
- 出版日
- 2019-07-22
一方、逃げようとするさとうとしおは、あさひと再会。あさひは2人の家でしょうこの変わり果てた姿を見て、さとうへの怒りを募らせています。
さらにしおは、あさひの登場で過去の記憶がよみがえりはじめ……。
すべての人物に逃げ場がなくなって、ひとつの結末に達しようとしていることが感じられます。究極のヤンデレラブストーリーともいえる本作は、いったいどういう最後を迎えるのでしょうか?次巻でついに完結です!
ついにさとう、しお、あさひが対面した9巻。10巻でもさとうとあさひは、しおを自分のもとに呼び寄せるため、戦います。
物語が大きく動いたのは、2人を止めたしおに、あさひが真実を伝えた時でした。彼は母親が夫と同じようになることを恐れてしおを手放したこと、「いらない」と言ったのは、しおにとって、もう母親である自分が必要ないという意味だったことを伝えるのです。
それを聞いたしおは……。
- 著者
- 鍵空 とみやき
- 出版日
10巻でついに本作も幕を閉じます。しかし、その結末は人によってバッドエンドか、ハッピーエンドか意見が別れるであろう、奇妙な余韻のあるものです。
その終わりでは、今まで出てきた登場人物たちにそれぞれのラストが訪れたことがニュースから分かります。そして最終回ではそれから何年かが経ち、成長したある人物のその後の姿が見られます。
具体的な結末は、ぜひご自身でご覧ください。最後までさとうとしおの愛が描かれていますが、あなたは2人の想いにどういう感想を持つでしょうか?
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