英語と聞いただけで身構えてしまったお父さん、お母さん!子ども向けの絵本ぐらいの英文なら、そんなに難しくありません。是非気軽に手に取って、お子様と一緒にトライしてみて下さい !
英語の絵本というと、ちょっと敷居が高く感じられるかもしれません。
しかし、そもそも絵本は英語を覚える段階にいる幼児向けのものです。英語という言語に対しての理解、という点では、「英語が苦手な日本人」と「英語圏に生まれた幼児」に大した差はありません。
それに子どもに読ませる本ですから、複雑な言い回しにならないように、難しい語彙を避けるように、と作家さんも大変気を遣っています。文法を意識することなく読める英文がほとんどですよ。
さて今回は、3歳の子供も楽しめる、おすすめ英語の絵本5選をご紹介します。
絵本という物は、絵と文が揃って初めて成立する表現媒体です。多少言葉の意味が分からなかったとしても、絵で大体のニュアンスを読み取れてしまう、というのもあります。英語が苦手な方も、意味を理解することは意外と簡単にできると思いますよ。
どれも有名な作家さんの、読者への愛が詰まった絵本ですから、あまり身構えず、お子様と一緒にチャレンジしてみて下さい。
- 著者
- Margaret Wise Brown
- 出版日
- 2017-01-26
本作は『おやすみなさい おつきさま』として日本語版も刊行されている絵本の、原版となります。日本語版をご覧になった方も多いと思いますが、この絵本の本当の魅力は、やはり原語版を読まないと伝わらないでしょう。
この絵本の「とてもよく出来ているなぁ」と感心するポイントは、翻訳版では残念ながら、再現できていないのです。
英語圏での英語学習では、語尾や語頭の韻を踏んで、リズムやテンポを感じながら覚えるという手法を多用します。
本作でもその手法はちゃんと使われており、前半の「大きな緑のお部屋」の中を紹介していく場面の後、日本語版で「おやすみ おへや」となっているところからがそれなのです。
「room」と「moon」、「bears」と「chairs」など、後半の「おやすみ」の行は、語尾や発音で韻を踏む、ライミングのオンパレードで、見開き左側のページと右側のページが対応する仕組みに構成されています。
さらに文としても非常に耳に心地良く、優しい語感の言葉で綴られており、マーガレットがいかに子供たちの為に心を尽くしたかが感じられるのです。
日本語版も、決して悪い絵本ではありません。ですが、お子様に読んであげるなら、ぜひ原語版の方も読んであげて下さい。
絵本を通して感じられるであろう、著者の子供たちへの深い愛情は、お子様にもきっと何かを残してくれるでしょう。
- 著者
- Bill Martin
- 出版日
- 1996-09-15
『くまさん くまさん なにみてるの?』というタイトルで日本語版も出版されている本作。著者、ビル・マーティン・ジュニアは、アメリカでは非常に有名な作家です。遺した数え切れないほど多くの作品の中でも、本作は別格級の完成度を誇る作品になっています。
本作の絵を担当した作家は誰だと思いますか?ファンの方ならば、この絵のタッチで気付くかも知れませんね。
そう、この絵本の絵を担当したのは、あの『はらぺこあおむし』で知られるエリック・カールなのです!
実は、ビル・マーティン・ジュニアとエリック・カールは親交が深く、その縁で本作での共演を果たしました。
内容は、動物たちが次々とほかの動物の色を教えてくれるというもので、リズミカルな文章とともに色の呼び方を覚えるのがテーマのようです。
そう考えると、この絵本の絵に色彩豊かなエリック・カールがキャスティングされたのも頷けます。
ビル・マーティン・ジュニアの、歌のようにリズミカルな文章と、エリック・カールの色鮮やかな絵を、ぜひオリジナル版でお楽しみ下さい。
- 著者
- Mary Murphy
- 出版日
- 2005-08-01
『ママ、だいすき!』というタイトルで、日本語版も出版されているこの作品は、「ペンギンのおやこ」シリーズの1作です。
2004年、NHKの子供番組内で「リトルペンギン」というタイトルで、このシリーズのアニメを放送していたので、ご存知の方も少なくないでしょう。
「ペンギンのおやこ」シリーズだけでなく、他の作品も翻訳されているので、本屋さんで見かけたことがある方も多いはずです。
この絵本は、英語学習の手法をあまり取り入れていません。その代わり、ペンギン親子の「大好き!」でいっぱいの一日を描くことに集中しています。
「英語で読んであげる、情操教育に良い絵本」ですね。
子育てしていると、親であってもカリカリ怒りすぎてしまったり、イライラしてしまったり、この絵本のように穏やかではいられないこともあります。
そういう時、こういう穏やかな親子の話を普段から見ていれば、お子様もどうすればいいのか分かりやすくなるのではないでしょうか。是非読んでみてくださいね。
- 著者
- Karen Katz
- 出版日
- 2002-05-27
子供が、様々なことを知らないのは、初めは当然。毎日少しずつ教訓を得て、その時どうすれば良かったかという対応を身に着けていきます。
マナーというと、お行儀良くする為のしつけのように、小難しく考えてしまいそうですが、この絵本は「こんな時には何て言うの?」「どうしたらいい?」をさりげなく教えてくれるのです。
日常生活でもよくありますよね。子供がご近所のおばさんからお菓子をいただいた時、「あれ?こういう時は何て言うんだっけ?ありがとう、でしょ?」なんていう場面。
この絵本は、「おはよう」から「おやすみ」までに起こる様々なシチュエーションの、そういう場面を描いています。
例えば、「You burped!」のように、左側のページにシチュエーションが描かれていて(この場合「げっぷしちゃった!」という意味ですね)、右側のページには、その様子の絵と「What do you say?」という質問が書かれています。
面白いのが、この絵本、実は右側のページが上に跳ね上がるのです。
そして、跳ね上げたところに描かれているのが「げっぷをしちゃった時はこう言うのよ」というマナーの回答になっているんですね。
派手な仕掛けではありませんが、ページを跳ね上げるという動作が、ただページをめくるだけというパターンを崩し、答えを確認するのが楽しくなるようになっています。
絵本で遊びながら、英語と一緒にさりげないマナーまで身についてくれたら、親としてこんなに嬉しいことはありませんね。
- 著者
- 出版日
日本でも「バスの歌」として、子ども英会話教室で歌われていたりするので、歌としてご存知の方も多いでしょう。本作を手がけたアニー・キューブラーは、他にも童謡を絵本に仕立てた作品を数多く発表しており、『Head, Shoulders, Knees and Toes』のような、日本でも定番化してきた感のある童謡も、絵本にしています。
歌の歌詞を丁寧に絵本に仕上げた作品なので、CDが付いているMixed media版の方がおすすめですね。
読むというよりも、童謡の世界を絵で見て楽しむ感覚。CDを聞きながら、一緒に歌いながらお楽しみいただくといいと思います。
いかがでしたか?今回ご紹介した絵本作家はどの方も、絵本の向こうにいる、会ったことのない子どもたちへの愛情溢れる方ばかりです。自分の子も他人の子も関係なく、すべての子どもは自分たちの未来そのもの。子どもへの愛情の原点であるこの想いは、世界共通なのでしょう。
そう考えると、「英語の絵本」という認識は、私たち大人が勝手に造り上げた言語の壁なのかもしれませんね。この機会にそんな壁を取っ払って、お子様と一緒に純粋に絵本として楽しんでいただけたらと思います。