ビートルズの詩の世界
1981年03月20日
ジョン・レノンとポール・マッカートニーが書いたビートルズの曲は、たとえどちらか一人が手掛けたとしても、全て「レノン=マッカートニー」扱いにするという取り決めが二人の間であった。その並びのせいで、昔(主に60年代)はジョン=作詞、ポール=作曲と勘違いされることもあった。ジョンが死んだ時にポールの単独作「イエスタデイ」を流す放送局があったのは、そのためかもしれない。今回は、数ある日本のビートルズ詩集の中から、ポールにも味わい深い詞があり、ジョンにも心に残る曲があるということも伝わる5冊を選んでみた。
掲載されているのは、大きく分けてジョン18曲(「マザー」「イマジン」含む)・ポール20曲・ジョージ2曲の計40曲(巻末に原詞も掲載)。思わずいじり倒したくなる曲がほとんど選ばれている。中でも、副題(「おれはタマゴだ、セイウチだ」)と表紙のイラストにもあしらわれている「アイ・アム・ザ・ウォルラス」の「グー・グー・グ・ジューブ(こいつは、け、け、けっこうな商売ですワ)」は、まさにグッジョブ、である。ビートルズの詩の世界
1981年03月20日
英文法に則って、とはいっても、歌詞の解釈はひとつではないため、ところどころ、半ば強引に切り込んでくる著者の妄想的解釈の思い切りの良さが痛快。サウンドや楽器の分析は盛んだけれど、歌詞の分析は、英語の力と素養と当時の文化や国や時代背景が組み合わさってこそ説得力が生まれる。それを直に楽しめる面白味満載。
- 著者
- 秋山 直樹
- 出版日
- 2007-08-10
70年代には、日本人によるビートルズの詩集がいくつか発売されたが、他の本とは明らかに一線を画すのは、ほぼ直訳でまとめた歌詞の「解釈」だ。「ベイビー」を「赤ちゃん」と訳した直訳ロッカー・王様ほどの過激さ(?)はないけれど、前後の文脈にはお構いなく、一文ごとに日本語に置き換えて並べた無味乾燥な味わいは、読めば読むほどじわじわ沁みてくる。訳すことを放棄し、聴き手に解釈を委ねた思い切りの良さと、そのわりにはほとんどの曲に(勝手な)邦題を加えた妙味。その混ざり具合がすごい。ビートルズ詩集
1973年05月30日
ビートルズの歌詞が一通りの解釈ではないと先に触れたけど、本書の書名の元にもなっている「愛こそはすべて」もしかり。冒頭の一節は、「やろうと思えばなんでもできる」なのか、それとも「できないことはやろうと思っても無理」なのか――。ジョン・レノンが書いたこの普遍的なラヴ・ソングについて、ポール・マッカートニーでさえ「意味がよくわからない」と言っているのだから、それこそ聴き手が自由に解釈すればいいのだろう。66年にオノ・ヨーコに出会ったときに“Yes”も文字に救われたというジョンが、その翌年に書いた曲なので、個人的には肯定の意味で受け取ってはいるけれど。ちなみに本書の訳は「できないことはない」である。ビートルズ詩集:愛こそすべて
1971年06月20日
本書はそんな70年代の緩い時代に数多く刊行された日本人によるビートルズ詩集のなかでも、自由な解釈(置き換え)を取り入れた、つまり訳詞を読んでいるだけでも面白い1冊だ。ジョン、ポール、ジョージのソロ曲も含め(ジョンが圧倒的に多い)全54曲が原詞とともに掲載されている。ビートルズ詩集
1973年04月20日
本と音楽
バンドマンやソロ・アーティスト、民族楽器奏者や音楽雑誌編集者など音楽に関連するひとびとが、本好きのコンシェルジュとして、おすすめの本を紹介します。小説に漫画、写真集にビジネス書、自然科学書やスピリチュアル本も。幅広い本と出会えます。インタビューも。