太田紫織のおすすめ小説4選!アニメ・ドラマ化された人気シリーズの作者

更新:2021.12.21

人気推理小説を多数手がける太田紫織。彼女の魅力がたっぷり詰まったおすすめ小説を、映像化された『櫻子さんの足下には死体が埋まっている』も合わせて5作ご紹介します。

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人気のライトミステリーシリーズを描く作家、太田紫織

1978年、札幌で生まれた太田紫織は幼少の頃からコナン・ドイルやアガサ・クリスティーなどのミステリーを愛読していました。そんな彼女が手がける作品の多くもミステリー小説です。札幌出身のためか、北海道を舞台とした作品が多く、自身の体験や経験を作品に活かしている様子が伺えます。

彼女のデビューのきっかけは無料投稿サイト。小説・俳句・写真など、多岐にわたって作品を投稿しており、2012年に発表した『櫻子さんの足下には死体が埋まっている』が翌年文庫化され、小説家デビューを果たしました。デビュー後も、文芸誌などにて精力的に活動を続けており、続々と新作が発表・書籍化されています。

誰でも気軽に作品を投稿できる現代において、投稿作品が絶大な人気を誇り作家デビューとなった太田紫織。デビュー後は、人気シリーズ作品が映像化されるなど、彼女の活躍は今後も大いに期待できます。

ここではそんな彼女の人気作品を紹介していきます。

アニメ化に続きドラマ化まで!太田紫織の小説家デビュー作

レトロなお屋敷に住む美女・櫻子と平凡な男子学生・正太郎のコンビが本シリーズの主要人物です。櫻子は良家で育ったお嬢様だというのに、骨が好きすぎるという、少し変わった嗜好があります。そんな彼女に、正太郎は日々振り回されてばかりいるのです。

人嫌いで無神経な櫻子とそれに渋々ついていく正太郎は、行く先々で様々な事件に巻き込まれてしまいます。人として欠陥はあるも、検視官・標本士をこなす博識な櫻子は、出会った事件の謎を解かずにはいられません。遺体とその骨から、彼らは事件の謎や真相を詳らかに明らかにしていきます。

無事事件は解決するのか、この奇妙な関係の2人の行く末はどうなるのか。シリーズ作品ですので、長く楽しむことができるミステリー小説です。

著者
太田 紫織
出版日
2013-02-23

本作は人気ミステリーシリーズで、アニメ化・ドラマ化されました。投稿サイトへ発表後から、怪盗ロワイヤル小説大賞優秀賞など様々な賞を受賞している作品です。

短編集となっており、櫻子の博識さによる見事な謎解きは感心させられ、主人公2人の会話のやりとりが面白くて読み応えもあります。ライトミステリーといえる本シリーズでは、謎解きだけでなく、このコンビの行く末も気になるところでしょう。

シリーズの中には映像化されなかった話も多数あるため、アニメ・ドラマから作品を知った人でも十分楽しめる内容となっています。

魔女と青年とハーブ

北海道にてハーブ園を経営するのは若い女性です。彼女は人の心が読める「魔女」と自称します。そんな彼女の下で働き、彼女を支えるのが、病気で恋人と職を失い東京からやってきたある青年。そんな2人を中心に物語は始まります。

農園には心に秘密を抱えたお客がやってきました。聞かずとも、その人の心に潜む秘密や嘘を見通してしまうのが、ハーブ園を営む「魔女」。隠された善悪を暴いたあとに残るものとは……。

著者
太田 紫織
出版日
2014-11-20

誰もが隠したい秘密や嘘を抱えているでしょう。そしてそれを見破れる力を持ってしまうのは、ある意味不幸なことなのかもしれません。

しかし、隠された秘密は必ずしも悪いものばかりではないはずです。誰かを守るために、誰かを想うがためにつく優しさの嘘や秘密もきっとあるでしょう。

事件よりも登場人物のやりとりに重点を置いた作品のためスラスラと読めますが、そこから伝わる気持ちの葛藤などは考えさせられるものがあります。読んだ後の余韻に、登場人物への想いを馳せてしまうようなヒューマンドラマが描かれた作品です。

私が死んだ理由とは

「あしたはれたら死のう」と書き残し橋から飛び降り。そのとき一緒に飛び降りた同級生・志信は死に、少女・遠子は生き残ってしまいました。自殺未遂前の数ヶ月の記憶と一部の感情を失って。「なぜ私は自殺をしようとしたのか」という、失われた記憶と自殺の理由を探っていく物語です。

自殺前後でまったく別人のようになってしまった主人公。周囲の人や、記憶をなくしたため自分自身でさえも、なぜ2人が死を選んだのか理由はわからず、唯一の手掛かりは日記がわりのSNS。自殺の理由を探っていき、遠子が見つけた答えとは……。またその理由を知ったとき、遠子は生と死、どちらを選択するのか……。

著者
太田 紫織
出版日
2016-12-01

意味深なタイトルは主人公が自殺前日に書き残したメモの内容。本作は、「自分自身が死にたくなった理由を探す」ということがテーマの物語です。

思春期特有の感情の起伏や母親との関係、自殺の理由など、ドロドロとした部分はあるも起承転結がはっきりしているため読みやすくなっています。

自殺の理由探しから、自殺前の自分自身を見つめなおす。彼女の自分探しに、読者もいろいろな思いを感じとれる作品となっています。

太田紫織が描く、19世紀のような現代の世界

とある派遣家政婦にやってきたのは「完璧なヴィクトリアンメイド募集」の依頼。それは「19世紀の貴婦人になりたい」という老婦人の生涯の夢を叶えるためのものでした。日本人の主人公・愛川鈴佳も「アイリーン」と名乗るよう命じられる徹底ぶりです。洗濯機や電子レンジ、シャワーなどもない19世紀の生活を再現した暮らしのなか、新人メイド「アイリーン」は家事に四苦八苦していきます。

気難しい奥様の注文に屋敷の皆と協力しながら応えるうちに、メイドは奥様のある秘密を知ってしまうのですが……。

著者
太田 紫織
出版日
2015-08-28

よくあるタイムスリップもののように主人公が19世紀に行くのではなく、19世紀の生活を現代で再現するという少し変わったお話です。

老婦人の夢「19世紀の貴婦人になりたい」を叶えるために、登場人物にも英国風の名前や服装があったり、家電を排除した生活や調度品が揃えられたりしているなど、こだわり抜かれています。

現代を舞台としながら、まるで19世紀にタイムスリップしたような生活を送っているため、2つの世界を行ったり来たりと不思議な感覚を味わえることでしょう。

19世紀の生活模様や新人メイドの奮闘、奥様の秘密など、読み応え十分の物語です。

異色な設定や個性的なキャラが多く登場し、斬新な魅力がたっぷり詰まった太田紫織作品。内容もミステリからヒューマンドラマ、日常系まで幅広く手掛けています。作品には特異な面がある反面、読みやすい文体は多くのファンを魅了してやみません。舞台を北海道としていたり、どこにでもいる学生を主人公としていたり、身近に感じられる部分も多々あるので、作品にどんどん引き込まれていくことでしょう。

作家としてデビューした後も、投稿サイトでは続々と新作を発表するなど精力的に活動し、人気作品を多数生み出し続けています。未だ書籍化されていないシリーズもありますので、今後の活躍に大いに期待できます。

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