「金田一耕助」シリーズおすすめ小説ランキングベスト10!

更新:2021.11.11

映画やドラマ、漫画などでもお馴染みの、言わずと知れた名探偵・金田一耕助。やはりその活躍は、原作小説でじっくりと堪能したいところですね。ここでは、金田一耕助の魅力を存分に味わえるおすすめの小説を、ランキングにしてご紹介していきましょう。

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金田一耕助とは?

金田一耕助は、推理作家の横溝正史が、自身の執筆する小説で登場させた私立探偵です。1946年、長編推理小説『本陣殺人事件』で初登場して以降、数々の難事件を解決してきた人気キャラクターであり、明智小五郎と並ぶ名探偵として人気を博してきました。

ぼさぼさ頭に形の崩れた帽子をかぶり、よれよれの着物と羽織袴、そしてぼろぼろの足袋に下駄がトレードマーク。さえない見た目と、のんびりとしたユニークな言動とは裏腹に、興味のある事件に遭遇したときの、一気に眼差しを変える様子がたいへん魅力的です。

1978年に発行された『病院坂の首縊りの家』が、金田一耕助の最後の事件となっており、20代から60代までの、金田一耕助の長い探偵人生にピリオドが打たれる結末となっています。

10位・余韻がたまらない 金田一耕助が挑む最後の事件『病院坂の首縊りの家』

金田一耕助が、事件解決までに20年という歳月をかけた、最後にして最大の事件を描く本作。上・下2巻からなるこの大作は、人間関係が複雑に絡み合う2つの名家を巡り、凄惨な連続殺人事件が発生します。
 

著者
横溝 正史
出版日

病院経営などで名を馳せる「法眼家」と、大企業グループを運営する「五十嵐家」。縁戚関係を結んでからというもの、両家の深い関係は代々続いています。

金田一耕助は、本條写真館の直吉から、不可解な結婚記念写真についての相談を受けました。写真撮影場所として指定された場所が、空襲の被害で使用できなくなった法眼病院であり、撮影を頼んできた男女には不審な点が多々あったのです。

金田一はこの話に大いに興味を持ちました。ちょうど数日前、法眼病院理事長であり、五十嵐産業の会長も務める法眼弥生から、何者かに誘拐された、孫娘の由香利を探して欲しいと依頼を受けていたからです。ですが、写真に写っている花嫁が、どうやら由香利らしいことが判明し、花婿の正体も分かったところで、弥生から突然調査を打ち切るよう連絡が入ります。

横溝正史が得意とする、ドロドロとした複雑な人間関係が存分に描かれている作品です。登場人物も多く、一見誰が誰だか分からなくなりそうなのですが、丁寧に分かりやすく描かれているため、自然とそれぞれの関係を理解していくことができます。生首となって死体が登場するシーンはなんとも衝撃的。恐ろしく哀しげな世界観にどんどん引き込まれていくことでしょう。

事件は謎を残したまま一旦集結し、20年の時を経て再び動き出すという壮大な物語になっています。金田一耕助と共に、長年事件を解決していった等々力警部の姿も印象深く、2人で挑む最後の事件に感慨深いものがこみ上げます。

9位・シリーズの中でも異色な雰囲気を放つ傑作『仮面舞踏会』

夫を次々と変える、ある人気女優を巡って起こる事件が描かれています。金田一耕助シリーズには珍しく、現代性を多く取り入れた世界観が楽しめる作品です。

著者
横溝 正史
出版日

映画女優として押しも押されぬ大スターの鳳千代子は、4回の結婚・離婚を経験する、その男性遍歴にも注目が集まっていました。1959年、千代子の最初の夫である笛小路泰久が、軽井沢のプールで心臓麻痺を起こし死亡します。その前年には、2番目の夫であった阿久津謙三が交通事故で死亡していました。

そして1960年8月。台風の襲来した軽井沢で、千代子の3番目の夫であった槇恭吾が、青酸カリを飲まされ殺されているのが発見されたのです。千代子の現在の恋人飛鳥は、彼女の夫であった男が次々と死亡している事実を受け、ちょうど軽井沢に滞在していた金田一耕助に調査を依頼してきたのでした。

この作品では「金田一耕助」シリーズでお馴染みの、おどろおどろしい猟奇性がかなり抑えられているのではないでしょうか。その一方、様々な細かい伏線がいたるところに張り巡らされ、濃密な犯人探しが展開されていきます。意外な犯人と秘められた真相には心底驚かされ、その構成力の上手さに脱帽させられてしまいます。

一時執筆が中断されていた作品でしたが、晩年になって書き下ろしが加えられ、長い年月を経て仕上げられた傑作です。物語には、終始どんよりとした暗さが漂っていますが、とにかく内容が濃く読み応えは抜群。シリーズの中でも異色と言われている作品なので、ぜひ1度目を向けてみていただきたいと思います。

8位・絶世の美女に魅せられる1冊『女王蜂』

見れば背筋も凍りつくような絶世の美女を巡り、関わった男が次々と死んでいく物語。サスペンス色が強く、ドラマチックなストーリー展開が魅力的な本作は、これまで幾度となく映像化されてきました。

著者
横溝 正史
出版日
1973-10-15

今年18歳を迎える大道寺智子は、月琴島と呼ばれる小さな島で生まれ育ちました。19年前、月琴島を訪れた2人の青年のうちの1人、日下部達哉と、大道寺家の娘琴絵が恋仲になり、琴絵が身ごもった子が智子です。ですが父親の達哉は、智子が生まれる前に不審な死を遂げてしまい、琴絵は月琴島を訪れたもう1人の青年、速水欣造を婿養子として智子を生んだのでした。

18歳になった智子は、東京で成功している、義父の欣造の元へ引き取られることが決まっています。ところがある日「智子を島から出してはいけない。彼女は慕いよる男どもを死に至らしめる女王蜂である。」といった謎の脅迫文が欣造に届き、欣造の弁護士を通じて、金田一耕助に依頼が舞い込んだのでした。

物語は小さな島から始まりますが、事件の舞台となるのは東京です。殺人のトリックを推理していくミステリー要素はもちろんですが、運命に翻弄された登場人物たちによる、人間ドラマに惹きつけられる作品です。なかなか正体のわからない登場人物もいるので、先が気になりどんどん読み進めたくなってしまうでしょう。

一目見ただけで男を虜にするほどの美女、というヒロインの設定にもわくわくさせられ、彼女を巡り、様々な情念が交差する様子から目が離せなくなります。

凄惨なシーンは抑えられ、膨大な数の登場人物が入り乱れるといったこともないので、とても読みやすい物語ではないでしょうか。初めて「金田一耕助」シリーズを読むという方にもおすすめの1冊です。

7位・金田一耕助が手毬唄を使った見立て殺人に挑む『悪魔の手毬唄』

村に古くから伝わる、手毬唄になぞらえた連続殺人事件を描く本作。「金田一耕助」シリーズの中でも人気が高く、多くの読者から名作と評されている作品です。

著者
横溝 正史
出版日
1971-07-14

岡山と兵庫の県境にある「鬼首村」では、古くから名家として名を馳せてきた由良家と、急激に勢力を伸ばした仁礼家が対立関係にあります。

金田一耕助は、静養できる田舎を求めて岡山県警の磯川警部を訪ね、鬼首村にある「亀の湯」という温泉宿を紹介されました。ここでは、23年前に「亀の湯」の女主人、青池リカの夫であった源治郎が、詐欺師の恩田幾三に殺害されるという事件が起こっています。容疑者の恩田は消息を絶ち、事件は時効を迎えていました。

「亀の湯」の長男、歌名雄は村一番の美男子。由良家の娘、泰子と恋人関係にあるのですが、仁札家の娘、文子もまた歌名雄に想いをよせ、2人の関係に嫉妬心を募らせていました。一方金田一は、宿で多々羅放庵という老人と出会うのですが、放庵が行方不明となったことを皮切りに、凄惨な連続殺人が起こることになるのです。

山奥にある村の閉鎖感、手毬唄の通りに起きる身の毛もよだつ連続殺人、どろどろの男女関係、どれをとっても只々恐ろしく、読んでいて背筋がゾクゾクしてきてしまいます。

戦慄を感じながらも、提示されるいくつもの謎にはわくわくさせられ、真相が気になり読む手が止まらなくなる作品です。謎が解けたときの霧が晴れるような感覚は格別。ですが同時に、登場人物たちの悲劇に胸の詰まる思いがこみ上げます。

人間関係がとにかく複雑ですが、どの登場人物にも細かく丁寧に焦点が当てられ、知らず知らずのうちに感情移入してしまうことでしょう。頑張って自転車を漕いでみたり、磯川警部とコミカルな憎まれ口を叩き合ってみたりと、金田一耕助独特の魅力も随所に見ることができます。興味のある方はぜひ一読してみてくださいね。

6位・巧みなストーリー展開に引き込まれる人気作品『悪魔が来りて笛を吹く』

シリーズの人気作品。没落した貴族のお屋敷を舞台に、謎が謎を呼ぶ殺人事件が相次いで起こります。
 

著者
横溝 正史
出版日
1973-02-20

1947年1月、銀座の宝石店「天銀堂」で、店員たちに青酸カリを飲ませ殺害し宝石を奪う、という残虐な強盗事件が発生しました。

9月になり、金田一耕助の元に椿美禰子という女性が訪れます。美禰子は、「天銀堂事件」の容疑者として疑いをかけられ、後に失踪し自殺した元子爵、椿英輔の娘です。美禰子の話では、遺体が発見された後も椿子爵らしい人物が目撃されており、明晩、生死を確認するべく「砂占い」をするので、金田一に同席して欲しいとのことでした。

金田一が椿家に出向き、占いが行われると、砂の上には不思議な模様が浮かび上がり、どこからともなくフルートの音色が聞こえてきます。その曲は、椿子爵が作曲した「悪魔が来りて笛を吹く」。そしてその翌朝、占いが行われた部屋で、椿家に居候中の玉虫元伯爵が殺されているのが発見されたのです。

練りに練られた緻密な構成と、読者を最後まで引き付ける類稀な文章力が随所に発揮されている作品です。登場人物それぞれのキャラクターが巧みに表現され、戦後の没落貴族についてや、細かい時代背景までが丁寧に描き出されています。密室殺人のトリックも面白く、様々な事実が明らかになりながらも、なかなか真相がわからない展開にどんどんのめり込んでしまいます。

悪魔はいったい誰なのか?そしてなぜ悪魔になってしまったのか?本作では、その動機に最大の焦点が当てられています。ラストの切なさには胸が震えることでしょう。絶妙な余韻の中で本を閉じることができる傑作であり、陰鬱で悲哀に満ちた壮大な物語を、存分に堪能できる1冊になっています。

5位・驚きの結末に衝撃が走る金田一耕助シリーズの隠れた名作『夜歩く』

映像化された機会も少なく知名度こそ低いものの、「夢遊病」と「首なし死体」をキーワードに、推理小説の醍醐味を心置きなく堪能できる評価の高い作品です。

著者
横溝 正史
出版日
1973-03-01

ある晩、売れない推理小説家、屋代寅太の元に、友人の仙石直記が相談に訪れました。直記の腹違いの妹である、古神家の娘八千代が、昨年の10月に起きたキャバレーでの狙撃事件の犯人だったと言うのです。被害にあった男は画家の蜂屋古市で、右太腿を撃たれ負傷しました。八千代は人違いで撃ってしまったらしく、後日そのことに気づいた彼女は、蜂屋に興味を持ち接近。ついに古神邸で同居するまでの仲に発展します。

古神邸には、八千代の腹違いの兄守衛も住んでおり、守谷と蜂屋は身体的な特徴や雰囲気がよく似ています。八千代に惚れている守衛は、蜂屋が来たことで激しい嫉妬心を募らせ、古神邸には異様な雰囲気が漂っていました。寅太が招待を受けて、古神邸に訪れたその日の晩に惨劇は起こります。離れの洋館で首のない遺体が発見され、身体的特徴から、被害者は蜂屋だと断定されたのですが……。

ただならぬ空気を漂わせる屋敷内ですが、夢遊病者の存在と、誰なのか判断がつきかねる首のない遺体が、より一層物語の世界観をおどろおどろしいものにしています。金田一耕助シリーズの中では、比較的シンプルな設定と言える物語なので、混乱することなく読み進めることができるでしょう。

作品内には、いたるところに伏線が張り巡らされており、叙述トリックを駆使した極上の推理小説になっています。金田一は後半になりようやく登場するのですが、そのタイミングもよく計算されていて、その構成力に改めて驚嘆させられてしまいます。最後まで犯人がわからず、真相を知った時の衝撃は思わず声を上げたくなるほど。まったく予想もつかないような、あっと驚く結末が用意されている秀逸な作品です。

4位・小説でしか味わえない魅力が詰まったシリーズ屈指の傑作『八つ墓村』

たび重なる映像化と、ストーリーのインパクトの強さから「金田一耕助」シリーズの中でも一二を争うほどの知名度を誇る本作。ホラー要素を多分に含んでいますが、緻密なプロットや張り巡らされた伏線によって、至高の推理小説として仕上げられている作品でもあります。

著者
横溝 正史
出版日
1971-04-26

その昔、村にやってきた8人の落武者が、財宝に目が眩んだ村人たちによって、皆殺しにされてしました。落武者たちの祟りを恐れた村人たちが、8つの墓を立て手厚く葬ったことで、村はいつからか八つ墓村と呼ばれるようになります。

大正時代、八つ墓村の資産家田治見要蔵が、鶴子という女性を一方的に愛し、無理矢理自宅の土蔵に閉じ込めました。やがて鶴子は辰弥という男児を出産します。ですがその子供について、「要蔵との子ではなく、鶴子の昔からの恋人、亀井陽一の子ではないか」という噂話を聞いた要蔵は逆上。鶴子は辰弥を連れて逃げ出しますが、嫉妬に狂った要蔵は、日本刀と猟銃で村人たちを襲い、32人を殺害したのです。

村人たちはこれを落武者の祟りだと噂しました。それから26年後、鶴子の息子辰弥が村に戻ったことをきっかけに、八つ墓村で新たな惨劇が幕を開けることになるのです。

物語は辰弥の手記によって進められていきます。閉じられた村の、恐ろしく異様な空気感がこれでもかと演出され、主人公の行く先々で、次々に人が死んでいくスリル満点をストーリー展開になっています。それに加えて、ヒロインとの淡い恋模様や、落武者の財宝探しなど様々な要素が絡み合い、それらすべてが1つにつながっていく様子は圧巻。一気にクライマックスまで突入し、飽きるところがありません。

物語のスケールがとにかく壮大で、主人公の心理描写も素晴らしく、作品の世界にどっぷりとハマってしまう1冊です。それほど出番のない金田一ですが、謎解き場面では重要な役割を担い、ここでも魅力を十分に発揮してくれています。小説でしか味わえない面白さがぎゅっと詰まっていますから、映画やドラマで知っているという方にも、ぜひ1度読んでみていただきたいと思います。

3位・血みどろの遺産争いから目が離せない『犬神家の一族』

「金田一耕助」シリーズの中で、『八つ墓村』と並びお馴染みとなっているのが本作ではないでしょうか。
 

著者
横溝 正史
出版日

信州財界一の富豪犬神佐兵衛が、某大な遺産を残してこの世を去りました。佐兵衛に正式な妻はおらず、それぞれ母親の違う3人の娘と、その娘たちの息子が1人ずついます。遺された遺言状は、長女松子の一人息子佐清が、戦地から復員するのを待って開封されることになっていました。

金田一耕助の元には、犬神家の顧問弁護士である古舘の助手、若林から、犬神家の調査依頼を求める手紙が届きます。ところが金田一と会う前に、若林は何者かに毒を盛られ死亡。不穏な空気漂う中、戦地で顔を負傷したという佐清が仮面をつけて帰郷し、ついに遺言状が読まれることになります。しかしその内容は、佐兵衛の恩人の孫野々宮珠世が、3姉妹のうちの誰かの息子と結婚することを条件として、全相続権を珠世に譲るというものだったのです。

こうして遺産相続権を巡り、血みどろの争いが幕を開けるのですが、冷徹無慈悲の3姉妹や、無表情な絶世の美女珠世など、それぞれのキャラクターがとても濃くて分かりやすく、読みやすい作品になっています。金田一が事件に直面し、普段のおっとりとした様子から、ガラリと雰囲気を変える姿もとても魅力的。登場人物それぞれの思いや企みが絡み合い、偶然も重なって複雑化していく、事件の展開から目が離せなくなります。

「スケキヨマスク」や、湖畔から脚だけを突き出した死体があまりにも有名ですが、小説で読むと、一味も二味も印象が変わることでしょう。事件が起きた背景には、やはり物悲しさを感じますが、最後まで息もつかせぬ、エンターテインメント性抜群のストーリー展開が楽しめる作品です。

2位・密室殺人に挑む!金田一耕助の小説デビュー作品『本陣殺人事件』

シリーズ第1作目であり、金田一耕助の初登場となった作品です。第1回日本推理作家協会賞を受賞しました。表題作の他にも「車井戸はなぜ斬る」「黒猫亭事件」の2編が収録されています。

著者
横溝 正史
出版日
1973-04-20

1937年。岡山の片田舎に広大な敷地を持つ旧家、一柳家の長男賢蔵の結婚が決まりました。相手の女性は元教師の久保克子。賢蔵が一目惚れをしたのです。久保の家は、かつては一柳家の小作人であったため、身分が違うと結婚を反対されますが、賢蔵の意思は固く、周囲の反対を押し切っての結婚となりました。

婚礼はささやかに行われ、2人は離れの部屋で初夜を迎えます。ところが、明け方近くになり、離れの部屋で悲鳴と共に琴の音が響き渡り、駆け付けた家族たちは血まみれで倒れている賢蔵と克子を発見したのです。凶器の日本刀は庭に突き立てられ、部屋は密室状態。降り積もった雪には足跡1つありませんでした。殺された克子の叔父である銀蔵は、かねてより名探偵と見込んでいる男、金田一耕助に助けを求めます。

密室にするのが非常に難しいと言われる日本家屋を、見事なまでの密室に仕上げたことが、たいへん高い評価を受けた作品です。独創的なトリックや、様々な仕掛けで読者をミスリードする、鮮やかなストーリー展開に惚れ惚れさせられてしまいます。

金田一がなぜ私立探偵になったのかを知ることもでき、その人間味あふれる姿に惹きつけられること請け合い。どこか颯爽とした、頭のキレる青年として描かれていることにも新鮮味を感じます。犯行動機がこの時代独特のものになっているので、驚くかもしれませんが、今読んでも十分に読み応えのある推理小説になっています。文章はとても読みやすく、手に汗握る緊張感たっぷりの世界観に、最後まで飽きずに没頭できることでしょう。

他2編の短編も素晴らしいものになっていますから「金田一耕助」シリーズの原点となる本作をぜひ堪能してみてくださいね。

1位・シリーズ最高傑作と評される名作中の名作『獄門島

多くのミステリーファンから絶大なる支持を受け、長年にわたり愛され続けている傑作です。ミステリー界に多大な影響を与えたであろう本作は、スリリングな展開や物語の猟奇性、そして美しいまでに仕上げられたトリックに魅せられる作品です。

著者
横溝 正史
出版日
1971-03-30

1946年9月。終戦から1年が経った頃、金田一耕助は獄門島へ向かう船に揺られていました。戦地で親しくなった鬼頭千万太が、引き揚げ船の中で亡くなる際「おれがかえってやらないと、三人の妹たちが殺される。金田一君、おれの代わりに獄門島へ行ってくれ」と頼んできたのです。

鬼頭家は島一番の網元なのですが、本鬼頭と分鬼頭に分かれ対立状態にあります。千万太の腹違いの3人の妹、月代、雪枝、花子はとても美しく、しかしどこか尋常ではない空気を纏い、着飾った姿でくすくすと笑い合っていました。金田一はその異質な雰囲気にゾッとします。千万太の葬儀が行われた日の夜、第一の殺人が発生。着物の帯で脚を縛られ、梅の古木に逆さで吊るされた三女、花子の遺体が見つかったのです。

封建的な考え方が色濃く残った孤島を舞台に、有名な俳句になぞらえた見立て殺人が起こっていきます。タイトルの印象とは違い、おどろおどろしさは抑えられ、コミカルな場面に頬が緩むこともあるでしょう。それでも、戦後間もない時代背景には様々なことを考えさせられ、理不尽とも思えるような犯行動機に一抹の恐ろしさと哀愁を感じてしまいます。

仕掛けられたトリックは一級品としか言いようがなく、なんら不自然ではない巧妙な伏線の数々に感動必至。シンプルな描写であるにもかかわらず、登場人物たちの思いがひしひしと伝わってくる手腕にも驚嘆します。愛すべきキャラクターである金田一耕助の謎解きも光り、端々に見られる彼の優しさに心底親しみを感じることができるでしょう。ミステリーが好きな方にぜひおすすめしたい素晴らしい作品です。

「金田一耕助」シリーズの中から、おすすめの小説をランキングにしてご紹介しました。ミステリーが好きなら、避けて通れない名作ばかりです。読み応えのある面白い作品が揃っていますから、興味のある方はぜひ読んでみてくださいね。

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