プロ目線で選ぶ料理マンガおすすめ6選。これで本当に美味しい料理が作れる!

更新:2021.12.21

最近は料理マンガが大人気。どの作品を読んでも、美味しそうなレシピが載っています。そこで、今回はプロの目線で本当に美味しい料理が作れるマンガを選んでみました。

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父と娘のための丁寧な初心者向け料理レシピ

著者
雨隠 ギド
出版日
2013-09-06

妻を亡くして育児に奮闘する数学教師・犬塚。娘のつむぎのために食事を作ろうと苦戦し、教え子の小鳥と一緒に料理を作ることになったのだが…。というストーリーで展開されるハートフルな食卓ドラマ。

料理が苦手な父親が娘のために挑戦するエピソードが多いので、料理の難易度は簡単なものが多いのが特徴。また、紹介される料理の内容は実に様々。定番の家庭料理から、子供たちが喜びそうなちょっと遊び心のあるものまで幅広く取り揃えています。温かい人たちの優しいストーリー展開に重きを置いているためか、料理のコツの紹介などは少な目ではあるものの、分量や作業工程などはしっかりと書かれており、料理が苦手な人でも再現しやすいと思います。

お子さんがいる方は、今度の週末に一緒に本書のレシピを試したらきっと楽しいはずです。

料理上手の脳内を完全再現

著者
よしなが ふみ
出版日
2007-11-22

料理マンガ好きの間では既に有名になっている本作。弁護士で主夫でもある主人公の筧が、恋人のケンジのために料理の腕をふるう話なのですが、まぁこの筧先生がとにかく料理の手際が良い。普通の料理マンガは大体1話1品なのですが、本書は「献立」を作ることに重きを置いていて主菜1品プラス副菜2品に汁物まで作っちゃうんですね。

料理が上手な人は、「ほうれん草をお湯で茹でている間にザルと氷水の準備。賞味期限近いゴマがあるから胡麻和えにしようかな。ってことは、ちょっと甘めになるから主菜は…」みたいなことを作りながら考えるのですが、本作の筧先生の思考はまさにこれ。すごい文字量で次から次へと動きのイメージを作り上げています。料理のコツもしっかり抑えられていて、かなりレベルの高い家庭料理をつくることができます。料理上級者になりたい人は、しっかり読んでみると腕が上がるでしょう。

和割烹のコツの宝庫。プロの手仕事を漫画で学ぶ

著者
きくち 正太
出版日
2000-08-21

様々な料理マンガの中で最も勉強になる1冊は?と聞かれたら僕が間違いなく選ぶのが『おせん』。老舗割烹「一升庵(いっしょうあん)」の若女将、おせんこと半田仙(はんだ・せん)。普段は呑んだくれの彼女ですが、料理の才能は抜群。お客さんのためを思う、丁寧な仕事で素晴らしい料理を仕上げていきます。

本作のすごいところは、料理の知識の造詣の深さでしょう。例えば、あさりの味噌汁に出汁として使うあさりと、身として食べるあさりを分けて作ることで、身も汁もどちらも美味しい味噌汁に仕上げたり、タコ飯と煮ダコでぬめり取りの下処理の方法を変えたりと、実に老舗割烹らしい丁寧な手仕事を紹介しています。こうしたコツはインターネットや料理本にはなかなかまとめられておらず散らばっているため、集めようとすると大変なんです。

本作を読みさえすれば、こうした集めにくい情報が一気に手に入ります。実際に『おせん』の中で紹介されているテクニックは僕も使っているものも多く、家庭料理をワンランク上げて割烹レベルに持っていくには、これほど優れた作品はないと思います。ちなみに調味料の分量などのレシピはほとんど載っていませんので、再現しようと思う場合は普通の料理本やネットなどを併用して作りましょう。

主人公たちと同じ目線で燻製スキルが身につく。

著者
大島千春
出版日
2014-08-20

最近は1点特化型の料理漫画もよく見るようになりました。本書のテーマは「燻製」。同性カップルの緩やかな日常を燻製作りを交えて綴っていきます。ほっこりするようなストーリー展開と同じく、ここで作られる燻製たちはマニアックすぎない。燻製というとオジさんの凝りに凝った料理のイメージがありますが、『いぶり暮らし』を読むと「あ、こんなに簡単につくれるんだ」という気になれます。

全くの燻製初心者だった二人が徐々にハマっていくのも、読者と歩調をあわせている感じがし、これから燻製作りを始めてみようかなという人には、まさにうってつけの1冊でしょう。燻製という料理の特性上、必ず発生するのが「待ち時間」。その時間を使って色々な話をしたり、他のメニューの下ごしらえを一緒にしたり、一足先に乾杯したりと二人だからこその燻製の楽しみ方も気づかせてくれます。

中華鍋1つから燻製はスタートできるので「いぶり暮らし」を参考に趣味の燻製生活始めてみてはどうでしょうか?
 

ネットで話題の料理マニア漫画家がおくる、”やりすぎ”料理漫画

著者
小林 銅蟲
出版日
2016-11-22

趣味の料理を突き詰めて、行きつくところまで行きついてしまったマンガ家小林銅蟲。毎回豪快な調理工程を紹介するブログは凄まじく、更新されるたびにファンが増えていくような状況です。そんな小林先生が満を持して出したのが、本作。ブログで紹介された数々のレシピをマンガ化。ストーリーも料理にハマったマンガ家が仲間に振る舞うという、ほぼノンフィクションのような内容になっています。

本書の特徴は、とにかくマニアックで豪快。普通の家庭料理で使わないような数キロサイズの肉塊やフォアグラ、はてはクジラまで。扱う食材は一般に手に入らないものが多数。解体するとなれば、医療用のメスを使って解体。レシピもほぼ分量は示されず、料理の心得のない人にはまず再現不可能。どれほど変態な料理マンガか皆さんにも伝わったでしょうか。

しかし、それでもなお、この料理マンガが実際に作れそうなのは、実際に作者が試して気になる点を細かく説明してくれているからです。例えば火入れの温度や解凍方法など、ここを手抜きすると失敗するというポイントは実に詳しい。料理に慣れた人であれば、調味料の分量よりもそういう事のほうが知りたいんですよね。話の最後に付けられているレシピも「概念図」というフローチャートになっていて独特。理系っぽく料理を作りたい人であれば、再現できると思います。

食べてくれる人を想像するから、生まれるレシピがある

著者
白乃 雪
出版日
2017-04-21

主人公、辺清美(あたり・きよみ)の特技は食べた料理のレシピを即座に当ててしまうこと。しかし、重度のコミュ障で人見知り。本作はそんな清美が定食屋「阿吽」で苦手な接客に戸惑いながらも、心を込めた料理でお客さんの感動を作っていく話。

先述のとおり、多くの料理マンガはシンプルに1つの料理レシピを紹介することがほとんどです。でも、それは普通の料理本でもできることなんですよね。本書はそういう「1つのレシピを紹介する」という枠組みから外したところが見所です。例えば、偏食で少食の女子大学生にはこってり系の鯖の味噌煮をあっさりとさせる工夫をほどこしたり、関西出身の疲れたサラリーマンには関西風の出汁と大根おろしをあわせた消化に優しいうどんにしあげたりと、とにかく食べる人を意識してメニューをアレンジしていきます。

本来料理は食べてくれる人が一番食べたいと思うものを作ることが大事なんでが、普通の料理本ではそういう所を示すことはできません。でも、マンガならストーリーがあるので食べてくれる人を観察し、その人にあったアレンジを加えることができます。普段作っている料理を食べる人の好みを想像してアレンジするテクニックを知るには最適な1冊です。

今回は実際に作れる「料理マンガ」を選書してみました。料理本は読むのがちょっと…という人も、料理マンガならすんなりと読めて試してみたいと思えるんじゃないでしょうか。素敵な再現料理ぜひ試してみてください!

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