見方が変われば世界は変わる! 14歳の自分に読ませたい本

見方が変われば世界は変わる! 14歳の自分に読ませたい本

更新:2021.12.13

こんにちは。藍坊主のベース、藤森真一です。すっかり暖かくなりましたね。スタジオに閉じこもるには少しもったいない季節になってきました。音楽制作の休憩時間は、本棚から数冊ひっぱりだして、窓を全開にして、ソファーにゴロン。そんな感じで本を読んでいます。

hozzy(Vo)、藤森真一(Ba) 神奈川県小田原市出身の4人組ロックバンド。ジャンル、サウンドのスタイルを様々に変化させながらも、秀逸なメロディーと2人のソングライターにより表現される「日常」と「実験的」な世界観の歌詞、確かな演奏力と透明感のあるボーカルが魅力のバンド。 2004年のメジャーデビュー後は数々のフェスやイベントに出演し、2011年5月には自身初の日本武道館公演を開催し大成功に収める。2015年には自主レーベルLuno Recordsを設立しより精力的に活動範囲を広げている。2016年9月14日(水)には『ココーノ』以来、1年9ヶ月ぶりとなる自身8枚目のアルバム『Luno』をリリース。 Vo hozzyは「MUSIC ILLUSTRATION AWARDS 2014」にてBEST MUSIC ILLUSTRATOR 2014を受賞する等、ジャケットデザインの描き下ろしの他にも映像作品の制作、レコーディング機材の制作や楽曲のトラックダウンを自身で行う等、アーティストとして様々な魅力を発揮している。2015年7月からよりパーソナルでコアな表現活動のためのプロジェクト「Norm」をスタート! Norm HP norm.gallery Ba 藤森真一は関ジャニ∞「宇宙に行ったライオン」や水樹奈々「エデン」等への楽曲提供を行う。 藍坊主公式HP http://www.aobozu.jp
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こんにちは。藍坊主のベース、藤森真一です。すっかり暖かくなりましたね。スタジオに閉じこもるには少しもったいない季節になってきました。音楽制作の休憩時間は、本棚から数冊ひっぱりだして、窓を全開にして、ソファーにゴロン。そんな感じで本を読んでいます。

さて今回紹介したいのは『14歳の自分に読ませたい本』です。女の子と手が触れただけで顔が真っ赤になってしまうくらいの初心さを持ちながらも「俺はもう世の中の8割ぐらいは知っているぜ! 」と、自分を大人だと思っていたあの頃。知らないくせに、根拠が無いくせに、自信だけはある。こんな矛盾を孕んだ14歳の頃の自分へ、この4冊をぶつけたいと思います。

現実に目を向けさせ、根拠の無い自信を摘み取ることが目的じゃありません。根拠の無い自信をより長く持続させて、根拠のある自信に変えるために必要な情報を注入する本です。「現実=夢から醒めた状態」ではなく「現実=夢に向かう起爆剤がある場所」と知らせたい。ドラゴンボールを探すドラゴンレーダーの点滅音のように、心拍数を羅針盤に出来るように好奇心を刺激したい。この頃までに出来た常識を一度壊してしまいたいのです。

例えば、運動=体育や部活。勉強=国語や算数や理科や社会。この2つの単語は、学校では別のもののようだけど、日常生活では2つで1セットです。

例えば、赤ちゃんがハイハイ(運動)を出来るようになると、目に映る風景が変わって、入力情報(勉強)が増えるように。

例えば、脳味噌という一つの器官が、入力は五感での情報収集(勉強)で、出力が運動で成り立っているように。

例えば、大工さんが(祖父が大工でした)平面の設計図を、頭の中で立体に変換しながら体を動かすように。


「見方が変われば世界は変わる」なんて言ったら、当時の俺に笑われるかもしれないけど、本当にそうなのだから仕方が無いのです。ではまず、そのような発見がある本を紹介します。タイトルはズバリ、『バカなおとなにならない脳』です。少年よ!いざ!ゆかん!!ワンダーランドへ!

対人関係に悩む子どもへ向けた、養老孟司のことば

著者
養老孟司
出版日
2011-07-16
「こころは何処にあるのですか」
「人とのコミュニケーションはどうすればうまくできますか」
「何故夢をみるのですか」
「頭の良さは遺伝しますか」
「思うようにいかないのは大人も同じですか」

未成年から沸き上がる質問疑問珍問に、解剖学者の養老孟司さんが真っ正面から答えていく本。読んでいて気になってしまうのが、対人関係で悩んでいる子供が多くいるということ。子供は無邪気だけど、無邪気を演じている部分もあると思うのです。友達はもちろん、親に気を使うこともあるような気がする。誕生日プレゼントを貰いラッピングを開ける時、欲しい物ではなかった時のために喜ぶ準備をした記憶があります。

学校に行けない子、家にも帰りたくない子。そんな子供たちに、著者が一貫して伝えようとしていることは「人間社会がすべてじゃないよ」ではないかと思います。逃げ込む場所も、トイレや図書室やゲームセンターなど、人間が作ったものばかり。都市化した現在、花鳥風月の欠如に警鐘を鳴らしている本なのかもしれません。「逃げ場を作りなさい」と言える大人の優しさに加え、分からないことは分からないと言う正直さ。14歳の自分に読ませたい1冊です。

「正義」への問い、その本質―私たちの正義とは 

著者
小林 よしのり
出版日
14歳の頃、僕は反抗期にありました。「子供というのは、罪はない存在。少々のことは許される」と勘違いし悪戯もしました。理由はすっかり忘れてしまったけれど、ある夜父親に向かって「オヤジの稼ぎが少ないからじゃねーか!」と怒鳴った記憶があります。その時、間髪入れず笊(ざる)が飛んで来て僕の顔面を直撃しました。

投げたのは、うどんを食べていた祖父(生前、うどんが好きでした)です。元大工の祖父は「働いたこともねーくせに生意気言うな!」と一喝。「ごめんなさい」という言葉を胸にしまい家を飛び出しました。詫びも入れられない自分に恥ずかしくなるけど、14歳という年齢は上手く気持ちを言葉に出来ないものなのかもしれません。この一連の流れの根本にある「自分は正義の側にいる」という馬鹿げた空想を壊してくれる本を紹介します。

「ごーまんかましてよかですか?」でお馴染みのゴーマニズム宣言より20年前に出版された脱正義論です。薬害エイズ訴訟を支える会に参加して運動し追放された著者が、運動の動機を見つめ直し、追放された原因を探り、訴える本。
何を訴えているかというと「信じ込んでいる自分の正義から抜け出せ!」「自分のやましさにもしっかりと目をむけろ!」ということ。

命がけで働いたことのない子供は「私は善良な市民だから大丈夫」と思ってしまいがち。食っていくという行為自体、ある方向から見たら悪なんだと思います。「批判されたくない。正義の側で生きていたい」というのも人間の性。ただ生きていること自体、悪であるということを知らないと、いつか深い傷を心に受けることになると教えてくれる本です。

思考を深化させる助け舟 池田晶子の知

著者
池田 晶子
出版日
2006-12-23
10代の頃、毎週土曜の夜は男友達と集まり、朝まで語り合ってました。トークテーマは学校で行った珍エピソード、女の子の話、ファッション、音楽、ヤンキーの話などなど。とことん笑った記憶があります。これらのトークテーマに平然と紛れ込んでいたものは、「国家とはなにか」「宗教は何のためにあるのか」「未来はどうなっていくのか」「相対性理論について」「死後の世界はどうなっているのか」などなど。珍意見や斬新な意見に盛り上がったり、時には喧嘩もしました。

ブッタの話をした後に、女の子にふられた話をして、死後の世界を話す。変わってますよね。ちなみに、風変わりな青春時代を共に過ごした仲間には、藍坊主のボーカルhozzyもいました。そんな当時の自分に紹介するのは『14歳の君へ―どう考えどう生きるか』です。「友愛」「道徳」「戦争」「自然」「幸福」「意見」「人生」「言葉」「個性」「歴史」など、幾晩あっても語りきれない数々のテーマに、哲学者の池田晶子さんが完結に意見をぶつけてくる本です。

テーマ「意見」の中で著者はこう言っています。「例えば「国と国とは仲良くしなければならないか」という議題があったとしよう。「好きか嫌いか」ではなく「正しいか正しくないか」の話し合いで、君が正しいと思っている根拠の殆どは『ただ自分がそう思っているからだ』と気づく筈(はず)だ。自分が正しいと思っていることを、正しくないと他人に言われて腹が立つのは、それが「ただ自分で正しい」と思っているだけのことだからだ」

これを読んでギクリとしました。まさに図星です。好き嫌いではなく、正しいか間違いかの議題で喧嘩になったら「このような議題で言い争う理由は何か」という議題まで踏み込みたかった。欲張り過ぎかもしれませんが、この1冊があれば、もっともっと楽しい青春時代になったような気がします。

「現実」の価値観を変えてくれる1冊

著者
ヨースタイン・ゴルデル
出版日
2011-05-26
この物語の主人公の名前はソフィー。14歳の少女です。少女に送られてくる手紙や、少女の身の回りで起こる不思議な出来事から、歴代の哲学者を紹介する本。登場人物の設定が面白いので、僕(藍坊主・藤森)が本を読んでいるのか、ソフィーが本を読んでいるのか混乱し「ひょっとしたら僕は実在しないどこかの物語の登場人物ではなかろうか」と不安になったりもします。

この物語を読むと知ることができる数々の哲学者の思想の中で、特に興奮したのがヘーゲルの弁証法です。僕はこの「トリオ思考法」を勝手にアレンジしたものを頻繁に使用します。例えば「すごく良い歌詞が出来たけど、メロディーを付けるなら長調が良いか、短調が良いか」と悩んだ時は、自分の頭の中に3人の人物を作り、会議させます。一人目は発案者、二人目は揚げ足取り、三人目は纏め役。

一人目「説得力がある歌詞だから、さらに切実に訴えられるように短調でいこーぜ!今の時代にぴったりだと思うし!」
二人目「シミッタレタ短調!?寒いわ。ライブで盛り上がれる曲のほうが自然と入ってくるんじゃない。っていうか今の時代に合わせる意味ってあるの?」
三人目「確かにね。短調でもテンポを少し上げて、体が勝手に動くリズムにしよう。時代は今に合わせても意味ないかもね。少し先取りしてリスナーに届く頃の季節感がベストだよ」

という自問自答を行い、考えを深めていくことを行っています。何が言いたいかと申しますと、自分がこの本の中に入り込んでしまうという錯覚の中で、人生を生きるのに必要なアイデアを発見出来る本だということ。

「現実=夢から醒めた状態」ではなく、「現実=夢に向かう起爆剤がある場所」
そして日常は夢にも劣らぬほどファンタジーだということ。14歳の自分が知っていたなら、さらに面白い人生になったと思います。この日常の不思議さは藍坊主の「アメーバ」(シングル『魔法以上が宿ってゆく』収録)という曲にも書いたので是非チェックしてみて下さい。

今月は『14歳の自分に読ませたい本』というテーマでお届けしました。次回も面白い本を見つけて紹介しますね。またお会いしましょう!藍坊主のベース藤森真一でした!

この記事が含まれる特集

  • 本と音楽

    バンドマンやソロ・アーティスト、民族楽器奏者や音楽雑誌編集者など音楽に関連するひとびとが、本好きのコンシェルジュとして、おすすめの本を紹介します。小説に漫画、写真集にビジネス書、自然科学書やスピリチュアル本も。幅広い本と出会えます。インタビューも。

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