円居挽のおすすめ作品4選!ミステリー小説「ルヴォワール」シリーズなど

更新:2021.12.22

京都が舞台のミステリーを描き、雰囲気のある舞台設定に定評のある円居挽。ミステリー小説だけでなく、ゲームのノベライズも手掛けるなど、気軽に楽しめる作品を多く発表しています。ここでは、その著作の中からおすすめの4作をご紹介致します。

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現代京都ミステリーの牽引役、円居挽

円居挽(まどい・ばん)は、1983年7月25日、奈良県生まれ。奈良学園高等学校卒業後、京都大学へ進学。大学では推理小説(ミステリ)研究会に所属していました。京都大学の推理小説研究会といえば、綾辻行人や麻耶雄嵩ら人気作家を輩出したことでも有名です。

2009年11月に『丸太町ルヴォワール』で単行本のデビュー。正式な作家デビューは2008年10月、雑誌「パンドラ」に掲載された「盗人待ルノワール」でした。同年12月には、再度「解人待ルノワール」が掲載され、その時の読者の人気投票の結果が『丸太町ルヴォワール』としての単行本デビューに繋がりました。

趣味は麻雀で、作中にも度々麻雀用語や麻雀のシーンが登場することがあります。『丸太町ルヴォワール』をはじめとする「ルヴォワール」シリーズは、『烏丸ルヴォワール』や『河原町ルヴォワール』などその後も京都の地名を関したタイトルで続々と出版。著作はほぼ全てにおいて京都が舞台となっています。

円居挽の人気シリーズ1作目『丸太町ルヴォワール』

御曹司である主人公の城坂論語は、ある日祖父殺しの嫌疑をかけられてしまいます。彼は事件当日、自分が屋敷でルージュという謎の女と一緒にいたと証言しますが、誰もその姿を見ておらず、その女がいた形跡はすべて消失。やがて事件は自然死として片付けられましたが、その3年後、古来よりの私的裁判である「双龍会」がおこなわれることに。

「双龍会」は、判事を「火帝」、検事を「黄龍師」、弁護士を「青龍師」、被告を「御贖(みあがない)」として行われる、裁判と似た形式の疑似法廷。私闘制度に由来しますが、法的な実行力はなく、バレなければ証拠を捏造することや故意に嘘をつくことも可能です。論語のアリバイを証明できるのは、謎の女「ルージュ」だけ。彼女は一体誰なのでしょうか。

著者
円居 挽
出版日
2012-09-14

「ルヴォワール」シリーズの記念すべき第1作。過去には「このミステリが読みたい!」新人賞国内部門第2位に輝きました。軽快な会話で繰り広げられる論理合戦と、どんでん返しに次ぐどんでん返しが起こるストーリー展開が魅力です。スリリングな裁判、そして序盤から張られる伏線が意外な結末を呼ぶ作品となっています。

論語の初恋の女性「ルージュ」。本作は異色のミステリーでありながら、ラブストーリーの側面も。円居挽の趣味である麻雀の用語も多数登場し、個性的なキャラクターたちが織り成すやりとりと相まって不思議な雰囲気を醸し出しています。

「謎」がお代?奇妙なバーが登場する『クローバー・リーフをもう一杯』

いつも大学のどこかに神出鬼没に現れ、営業を始める不思議なバー「三号館」。謎を抱えた人たちが知らず知らずのうちに行き着くそのバーには、女マスターである蒼馬美希がいます。彼女が、お代を貰うかわりに彼らの謎を解き明かしていくのです。

謎解き青春ミステリー小説です。気軽に読める短編連作集となっており、5章に分かれた短編のタイトルには、それぞれにカクテルの名前がつけられています。

京都大学法学部1回生の遠近倫人は、友人に誘われ京都市内を散策するサークル「賀茂川乱歩」に入部。彼らが京都を散策中に様々な謎や事件が巻き起こりますが、同じくして「謎を解決する」という不思議なバーの伝説を耳にすることに。そのバーは決まった場所ではなくいつも気まぐれに出没するのですが、ある日遠近はついにその店に入ることに成功します。

著者
円居 挽
出版日
2014-10-01

バーのマスターの蒼馬美希は、客を見るだけで謎を推理し、飲むとなぜか自分も謎を解決できてしまうオリジナルのカクテルを作ってくれます。しかも、支払いはお金ではなく「謎」。ここは、謎を持つ人間にしか行くことのできないバーだったのです。

タクシーに乗ったサークル仲間がこつぜんと姿を消す表題作「クローバー・リーフをもう一杯」、ある劇場で隣に座った人が突如入れ替わる「ジュリエットには早すぎる」など、雰囲気の良い5編の物語が収録されています。三号館と蒼馬美希の謎は、最終話の「名無しのガフにうってつけの夜」で明かされることに。ほのぼのとしていて読みやすく、殺人の起こらないミステリー。思わずお酒を飲みながら読みたくなってしまう作品です。

円居挽が描く、ホームズ譚のオマージュ的作品『キングレオの冒険』

名探偵の「キングレオ」こと天親獅子丸。京都の街で次々と起こる事件を助手の大河と共に鮮やかに解決しています。この作品世界の京都では探偵が公的な職業となっており、「日本探偵公社」なる組織が設立されていました。

シャーロック・ホームズとワトソンを彷彿とさせる、獅子丸と大河のコンビが活躍する、ライトノベル風ミステリー。作品内もシャーロック・ホームズへのオマージュで溢れ、探偵バトルが繰り広げられます。見え隠れする黒幕の正体とは?獅子丸・大河コンビのBL的な関係性にも注目です。

著者
円居 挽
出版日
2015-06-20

大河がミステリの新人賞に応募したことに端を発する「赤影連盟」、暗号による麻薬取引を扱った「踊る人魚」など、全部で5編を収録。どの短編も獅子丸の卓越した推理力が光ります。各編のタイトルはシャーロック・ホームズの聖典(シャーロック・ホームズの全シリーズの総称)に関するものとなっており、ファンならばニヤリとしてしまうかも知れません。

「ルヴォワール」シリーズと同じ名前のキャラも登場する、一種のパラレルワールド的作品。特に『丸太町ルヴォワール』に登場した城坂論語は本作のキーマンとしての役割を担っています。ホームズの聖典を知っていればより楽しめる、犯人との知恵比べが痛快なミステリーです。

その告白は、必ず成功する。『コクラセ』

大人気フリーゲームのノベライズ作品。ゲームにはない完全オリジナルストーリーを収録した短編集です。イラストもゲームと同じどろみずが担当し、新キャラクターも登場。ゲームとはまた違った視点から楽しむことができます。

受けた依頼は必ず果たす、「コクラセ」という存在。彼らは依頼人が想いを遂げられるように告白の舞台をセッティングし、それを成功へと導く秘密集団でした。舞台は、文化祭が近付く羽里高校。次々とコクラセに依頼が舞い込んできます。

著者
円居 挽
出版日
2016-05-14

内容は、全3話から構成されています。第1話は、幼馴染に告白するためシャーロック・ホームズのある事件をベースに計画が練られる「O・Kティーチャー」、第2話は依頼人のわからない依頼が飛び込み、多目的棟を訪れたメグを罠が襲う「せぷてん」、そして第3話は「破局の暴君」と呼ばれる天王洲タイラーが、コクラセに目を付ける「タイラント・ブレイク」。どれもゲームの世界観を大切にしながら、円居挽らしくアレンジされています。

「コクラセ」は作者・galantiが原作のフリーゲーム。操作するキャラクターを入れ替えながら、告白を成功させるべくシナリオを進めていくというゲームです。もちろん、ゲーム未プレイでも楽しんで読むことができ、その独特の世界観を存分に味わえます。

円居挽作品は、練られた世界観とキャラクターたちが魅力です。ぜひその不思議な世界を覗いてみてください。

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