岡崎京子作『リバーズ・エッジ』が響きすぎて心が痛い【ネタバレ注意】

更新:2017.6.27

2018年に二階堂ふみ、吉沢亮出演で実写映画化される『リバーズ・エッジ』。岡崎京子の最高傑作とも名高く、彼女の才能を感じさせる独特の世界観があります。今回はそんな本作の魅力をご紹介!ネタバレを含みますのでご注意ください。

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岡崎京子作『リバーズ・エッジ』は言語化できない不穏さが漂う

岡崎京子の最高傑作としてファンの間では名高い『リバーズ・エッジ』。本作は言語化できない思春期の鬱屈とした気持ちを漫画で表現した名作です。

登場人物たちはどこかにいそうで、でもまったく現実的ではない少年少女たち。それぞれにコンプレックスを抱え、信じられないような道へと走っていきます。

そんな自分からは遠いと感じられる登場人物たちなのに共感してしまうのは、この作品が「不親切」に、そして誰しも感じたことがある気持ちを描いているから。

本人ですら手に負えないような若い気持ちの暴走。それはきっと誰しもが感じたことのある不穏な雰囲気を作品にもたらしています。

そしてその気持ちを、岡崎京子は説明を省いてそのまま読者の前に提示してくるのです。「不親切」な表現方法に読者は戸惑いますが、それは想像の幅が広がるということでもあります。自由度が高い分、読者は自分の好きなように少女たちの気持ちをトレースできるのです。

今回はそんな本作の魅力を登場人物と展開からご紹介させていただきます。

コンプレックスを埋めるために壊れる少女たち

「自分」というものが思っていたよりすごくないのだと気づいた時、人は心に大きな傷を抱えるのではないでしょうか。『リバーズ・エッジ』でも少年少女たちがそれに傷つき、現実と理想のギャップを様々な形で埋めようとします。

食べたものを吐く癖がある、スタイル抜群のモデル・こずえ、体を売ってお金を稼ぐルミ、好きな人に好きになってもらえず、ストーカーと化していくカンナ、家庭環境のストレスから暴力やクスリに頼るようになっていく観音崎……。

彼らは声にならない不満を、若さゆえに加減を知らない荒々しい方法で解消していきます。

全部壊れたらいいのに。リセットボタンを押してやり直せたらいいのに。

追い詰められ、そんな風に思ったことがある人も多いのではないでしょうか。大多数はそこまで荒々しい方法で解決する勇気がなく、ちょうどいいところで騙し騙し日々を送れるようになりますが、この作品の彼女たちはある意味純粋で、それができません。

どこかで感覚を麻痺させてきた読者に響く、まっすぐな登場人物たちがこの作品の魅力のひとつなのです。

「ドラマチック」という言葉ですら軽い、衝撃の展開

登場人物たちが過激ということで、彼らの物語もまた、衝撃の展開で進んでいきます。その怒涛の展開はルミの妊娠から始まりました。

彼女は数多くの男と関係を持っており、誰が父親か分からなかったものの、観音崎に責任を求めます。金を出すとは言ったものの、しぶしぶ言うその姿にショックを受けたルミは彼の弱点を責めるような言葉を浴びせるのです。

それにカッとなった観音崎は勢いで彼女を絞め殺してしまいます。ちょうどその現場を見かけた、観音崎にいじめられていた少年・山田はつとめて冷静に遺体の埋め方をアドバイス。一緒にルミを隠すのです。

ちょうどその頃、山田に想いを寄せているものの相手にされず、彼と仲のいいハルナへの恨みが最高潮に達したカンナは、ハルナの家に火をつけます。

そんなことは知らず、山田から連絡をもらってルミの遺体が埋まっている現場に駆けつけるハルナとこずえ。しかしそこにルミの遺体はありませんでした。

実は彼女はどうにか自分の家まで逃げ帰っていたのです。そこでルミが見たのは、勝手に部屋に入って彼女の日記を盗み読むオタクの姉の姿でした。罵声を浴びせるルミの胸を、姉は手にしたカッターナイフで切りつけます。

「あんたのこと大嫌いだった!いなくなっちゃえばいいと思ってた」

そこから物語はさらにスピード感を増して終わりに近づいていきます。「ドラマチック」という言葉ですら軽く思えるような息をもつかせぬ展開。結末はぜひ作品でご確認ください。

漫画『リバーズ・エッジ』に岡崎京子の才能を見る!

著者
岡崎 京子
出版日


今まで見たことのないような、それでいて共感できるストーリーの『リバーズ・エッジ』。岡崎京子の才能を感じさせる作品です。ぜひその独特な世界観を漫画作品で味わってみてください!

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