どん底から這い上がるために読みたい漫画おすすめ5選!

更新:2021.11.7

絶望的な気持ちの時、貴方はどうやって立ち直りますか?人と話したり出かけたりすることも良いでしょう。リフレッシュ方法として漫画を読む人もいるかと思います。そんな人のために、どん底から這い上がる力を与えてくれる素敵な漫画をご紹介いたします。

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科学の女神によってどん底から這い上がる、再生ストーリー集

『スキエンティア』は戸田誠二による、2010年に「ビッグスピリッツコミックススペシャル」から出版された1巻完結の作品です。

スキエンティアの意味は、「科学の女神」。本作は、絶望に打ちひしがれる人々が、あたかも女神に手を差し伸べてもらうかのように、科学の力で人生を変えていく物語です。

しかし科学の力で人生を変えると言っても、科学自体はきっかけにすぎません。結局は登場人物たちが大事なことに気づき、自力で成長し、立ち直っていくというのが本作の魅力です。

近未来を舞台とした、科学にまつわる短編が収録されています。

自殺願望のある女性が、四肢麻痺の老女に身体をレンタルする「ボディレンタル」、人を愛せない男性が惚れ薬を試す「媚薬」、娘を亡くした母親が娘の代わりを育てる「クローン」。

それから、うつ病に苦しむ男性が立ち直ろうとする「抗鬱機」、家庭内不和の女子高生が、愛が見えるという薬に手を出す「ドラッグ」、介護用ロボットと最期を迎える男性の話「ロボット」、才能を手に入れる代わりに寿命が短くなってしまう「覚醒機」の、計7編です。

著者
戸田 誠二
出版日
2010-01-29

当記事では、テレビドラマ「世にも奇妙な物語」の原作としても使用された、1話目の「ボディレンタル」について触れていきます。

人生に絶望し、何に対しても無感動になり、すべて投げ出したくなったことはありませんか?本作の主人公はまさにそれで、どうせ死ぬなら人の役に立ってから死のうと思い、ボディレンタルを承諾します。

レンタルの依頼をしてきた老女の正体は、IT関係の大企業の社長でした。経験ゼロの主人公の姿になって、働きまくる老女。その様子は主人公の視点から、まるで映画のように見えるのです。時々レンタルが一時停止し自分の感覚を取り戻すと、長年感じていなかった疲労感が……。

老女が快活に過ごすことで、主人公は何かをやり遂げる苦難と達成感を知っていきます。「生きる」ということは、ただ呼吸をしていればいいわけではない、何かに感動することで、初めて人間は「生きる」ということを本作は示してくれているのでしょう。

レンタルが終了したとき、主人公の心には何が残っているのでしょうか。老女の最期と、主人公の表情に注目してみると、きっと生きていくエネルギーをもらえるに違いありません。

鬱状態のどん底から這い上がるきっかけは、レズ風俗!?

『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』は永田カビによる自身の実話を描いた作品で、当初はpixivで掲載されていた漫画です。

大学を中退し、フリーター生活を続けていた永田は、気が付けば男性経験なしで28歳を迎えてしまいます。自分を認めてくれる場所がほしい、自分を抱きしめてくれる人がほしい。そのような願望とは裏腹に、息苦しい環境で永田は生活していました。

そんな彼女が目を付けたのはレズ風俗。年上のお姉さんに裸で抱きしめられたレズ風俗での出来事をきっかけに、自分を縛り付けてきたものから解き放たれようと奮闘します。

著者
永田カビ
出版日
2016-06-17

タイトルが強烈であるため、本屋で手を伸ばすには少々抵抗があるかもしれません。ですがいざ読んでみると、性的なエッセイというよりも、本当の自分と向き合うことに重点を置いたエッセイです。

作者の永田はリストカットや円形脱毛症、摂食障害などを抱えていました。リストカットをするのは「心の傷を可視化することで人々が自身に課すハードルを低くできる」と考えていたためで、摂食障害の原因は「自分には食事をとるのが許されない」と思っていたからでした。

これほどまで自己肯定感が弱く、人からの承認欲求が強くなってしまった理由は、彼女の母親にあるようです。作中でも触れていますが、永田は母親の存在によって性的な事柄に対して歯止めがかけられていました。

不安定な精神ではありましたが、作者はレズ風俗へ行き、そこで自分の漫画が評価されたことで前向きに成長していきます。世間から見たら大したことはないかもしれませんが、28歳まで希望を見いだせずに生きてきた作者にとっては大きな成功と言えるのでしょう。

主人公が普通、もしくは普通未満な存在であるからこそ、現在苦しんでいる人は自分と重ねて読むことができ、励みになる漫画と言えます。人間関係や自分の価値観で悩んでいる人に読んでほしい1冊です。

思想は十人十色!世界の広さを教えてくれる漫画

『絶望に効く薬』は「週刊ヤングサンデー」で連載されていた作品です。

慢性的に気分が落ち込みやすい作者の山田玲司が、様々な人にインタビューする様子を描いたドキュメンタリー漫画となっています。

忌野清志郎や宮藤官九郎、重松清などといった著名人たちと山田は対談し、「絶望に効く薬はあるのか」という問いの答えを探し求め続けるのでした。

著者
山田 玲司
出版日
2013-12-14

万年絶望感を覚える作者が、自身の絶望を癒すために成功談や思想などを聞き、啓蒙してもらうことが本作の趣旨です。1人1話のインタビューで終わることもあれば、1ヵ月分かけてインタビューすることもあります。

しかし、対談相手は十人十色です。山田はインタビューした相手のことを絶対に悪く書きませんが、どうしたって自分とは相いれない考えを持つ人もいたと思われます。

しかし、「人間のどうしようもない部分は、『救い』でもあるんです」と山田が述べているとおり、合点がいかない思想に触れることで、相手もしくは自身の心の異常事態に気付くこともあるのです。

読者も、もし気に食わない話があったとしても、山田のように広い目で「こういう考え方もあるんだ」「そのような環境だとこんな捉え方をするようになるんだ」と見てやってください。それが、あなた自身の心の傷への治療薬を見つけるカギとなり得るかもしれません。

そして本作では、現状のことを考えると心にしこりを感じてしまう読者も、作者と同じ場所に立って自分を癒していくことができます。一気読みなんてもったいないことをせず、つらいときに1人分の対談を読んでみるのがオススメの読み方です。

その1話が読者にとってかけがえのない話となったならば、それはその人にとっての「治療薬」だったと言えます。是非、自分の絶望に効く1話を探し求めてください。

極限の心理状況で、絶望の中から立ち上がれ!

『賭博黙示録カイジ』は福本信行による、1996年から1999年にかけて「週刊ヤングマガジン」で連載されていた、全13巻の作品です。

本作に続き『賭博堕天録カイジ』、『賭博堕天録カイジ 和也編』、『賭博堕天録カイジ ワン・ポーカー編』などの続編を次々と発表。テレビアニメ化や実写映画化なども果たした、長期に渡って愛され続けている漫画でもあります。

自堕落な生活を送っていたフリーターのカイジは、友人の保証人になっていたせいで多額の借金を背負うはめになります。取り立てに来た金融業者の遠藤が、一攫千金のチャンスがあるといい、「負け組」が集められてギャンブルが行われるエスポワールという船に乗り込むことになりました。

そこに集められた人々が行うのは、ジャンケンを模したカードゲームでした。勝てば借金がチャラになりますが、そんなおいしいだけの話なわけがありません。負ければ命の保証がないという、命がけのギャンブルだったのです。

著者
福本 伸行
出版日
1996-09-03

本作の見どころは、カイジが考えつく予想もつかないギャンブルの必勝法や心理戦にあります。ですが彼は、元々はただのフリーター。負けそうになると冷や汗を大量に流して、表情はどんどん絶望に染まっていきます。

そんな時に自分や仲間たちを激昂するシーンは、スポ根漫画を連想させるほどアツいんです。

例えば、大きな困難が待ち受けているけど乗り越えれば大勝を得られるAと、Aほどリスクを冒さずにそれなりの成績を得る可能性が高いBがあったとしましょう。ここでBを選択する輩を、カイジは叱咤します。

どん底にいるにも関わらず未だに保身に走るのか、だからいつまでたっても負け組なんだ、身を切る覚悟で挑まなければこの絶望から抜け出すことはできないと、カイジは乾坤一擲の勝負を訴えるのです。

本作のように、ギャンブルで同じ立場になる人はほとんどいないでしょう。しかし、人生において、腹をくくって這い上がるパワーが必要なことは間違いありません。本作を読んでそのパワーを充電できれば幸いです。

いじめと暴力のどん底から這い上がる漫画

『ライフ』はすえのぶけいこによる、2002年から2009年にかけて「別冊フレンド」で連載されていた、全20巻の作品です。

中学時代の親友との絶交がきっかけでリストカットをし、内向的な性格になってしまった女子高生・歩は、明るくて可愛い愛海と仲良くなったことで少しずつ以前の自分に戻りつつありました。

ある日、彼氏から別れ話を切り出されたことを理由に、愛海が自殺未遂をします。愛海の彼氏、佐古の家に向かった歩でしたが、そこで佐古の異常性癖を知ってしまうのです。

佐古に監禁と脅迫を受けた歩ですが、友人の愛海からは佐古を略奪しようとしたと勘違いされ、いじめを受けるようになります。

著者
すえのぶ けいこ
出版日
2002-08-07

2007年には実写ドラマ化され、その衝撃的な内容と描写で一時話題作となりました。原作である漫画も、ドラマに勝るとも劣らない迫力で描かれています。

クラスメイト全員を敵にまわした歩の状況はまさに絶望そのもの。作中でも自殺を考えているシーンがあります。

そんな歩が希望を見出すきっかけとなったのは、唯一味方になってくれたクラスメイトの未来でした。その後さまざまな暴力が歩を襲いますが、未来とともに乗り越えていくことで真の友情を築き始めるのです。

また歩は、友達に依存しすぎてしまう性質を持っていましたが、いじめを通してこの依存癖も少しずつ消えていきます。誰かに頼ってばかりでなく、ここぞというときは自分の足で立ち上がることを覚えたのです。

たった1人でもいい、誰かしら味方を作り、そして自分自身も戦う力を身に着けていくことが重要なのでしょう。もしいじめから抜け出したい、這い上がりたいと考えている方がいましたら、本作を参考にしてみると良いかもしれません。

どん底から這い上がるために読んでいただきたい漫画を5作品紹介いたしました。フィクションもノンフィクションもございますので、自分が読みたいと思ったものを1作品でも読んでいただきたいです。明日を生き抜くパワーを手に入れられるかもしれません。

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