マンガ

松本洋子のおすすめ少女漫画5選!ぞくぞくするミステリー・ホラーが魅力

更新:2020.12.2 作成:2017.7.16

繊細なタッチの絵と、血みどろのグロテスクさが醸し出すコントラストが絶妙にマッチした松本洋子の漫画には、どこか美しさを感じるでしょう。オカルトやホラー、サスペンスなど多くの物語を生み出した松本作品のうち、おすすめの5作をご紹介します。

  • twitter
  • facebook
  • line
  • hatena

稀代のホラー漫画家、松本洋子

長崎県出身の松本洋子は、1975年に「キスはおあずけ」で漫画家デビューしました。

その後は、ミステリやホラー作品を中心に活動し、「なかよし」の掲載漫画家の中でも異色の存在でした。特に「なかよし」で掲載していた「闇は集う」シリーズは1994年~1999年まで5年に渡り連載された松本洋子の代表作です。

その他、『すくらんぶる同盟』や『魔物語』など数々の作品があり、ホラー漫画家のパイオニア的存在として活躍しています。

松本洋子の代表作『闇は集う』

生と死のはざまにある部屋に集う、様々なさまよえる魂に対して「生の道へ戻るか」「死の道へ進むか」を判断する「番人」をメインキャラクターに繰り広げられる、1話完結のオムニバス形式で進む物語が『闇は集う』です。

「番人」はほぼ全話に登場し、1冊をまとめ上げるストーリーテラーとして活躍します。尖った耳と赤い目で、人間とは違うものであることが如実に表現された「番人」が、魂たちをどう導いていくのかを描いています。
著者
松本 洋子
出版日
怪奇的な出来事が起こるホラーファンタジーなので、少女漫画ですが動物が殺されたり、自殺を扱ったり、殺人を犯そうとしたりとダークな面が多く描かれているのが特徴です。

魂がなぜさまよっているのか、「番人」はその悩みを聞きだし導いていくのですが、大切なことに気づいて成仏したり生へと戻っていったりすることもあれば、悪人には破滅が待っているなどと行く末は様々です。人の世も魂も無常であり、無情なものである、というリアリティがあります。

死出のはざまで、生死へと導く番人の姿を見ながら、「自分が番人の立場なら」などと人の行く末まで考えさせられる本作。オムニバスなので気軽に読み進められるおすすめの1冊です。

人の心にも常にある「魔」を描いた、松本洋子の短編集『魔物語』

『魔物語』は、もともと「なかよし」の別冊付録として刊行された「にんじん大好き!」、「最終バス」、「ファミリー」、「乗り合わせた死神」に加え、「そして闇はよみがえる」の5作品から構成された短編集です。

少女漫画にしては、凄惨なシーンやグロテスクな場面が多く登場することでも話題を集めました。
著者
松本 洋子
出版日
目玉がドロリと出ていたり、生首が描かれたりと過激でスプラッタでホラーな描写が満載となっています。

特に、収録作の「にんじん大好き!」は、わずか13ページという短編ですが、可愛らしい登場人物とは裏腹に、グロテスクで強烈な印象を残す漫画として名高い傑作です。

にんじんが嫌いな主人公・たかしちゃんが、神様に「にんじんが好きになるようにして」とお願いすると、目に見えるものすべてが「にんじん」に見えてしまうという不可思議な現象が起きるのですが、それが衝撃のラストシーンを引き起こすことになるのです。

ほかの4編も思わずゾクっとするストーリーばかりなので、夏の暑い日に読んで、涼んでみるのも一興かもしれませんよ。

本当に怖いのは人間なのかもしれません『黒の輪舞』

全寮制の名門校を舞台に、不思議な力を持った少女・エリーを主人公に繰り広げられる、黒魔術系ブラックミステリが『黒の輪舞』です。

寮は身分によってランク付けされており、問題児の入る「六号館」に入ることになったエリーの身の回りで起きる様々な出来事を軸に物語は展開していきます。

松本洋子の「黒」シリーズの1つとしても有名です。
著者
松本 洋子
出版日
エリーの首には黒い星形の痣があり、幼い頃から不思議な力を持っていることから、「ブラッククイーン」と呼ばれ、魔女信仰を持つ一部の邪教徒たちから学園支配のために利用されることになります。

クラスメイトや幼馴染との人間関係がうまく回らず、エリーが徐々に暗い心を持ち、邪教徒たちのもとへと流れて行ってしまうという展開も責められたことではなく、人として自然な流れと言えるではないでしょうか。

一見すると、黒魔術や魔女信仰、悪魔崇拝などオカルトな要素が満載で、そちらに恐怖を覚えてしまいますが、実はその内面にある人間の欲や意思などといった暗黒面がエリーを「ブラッククイーン」にしてしまっている、という人の業の深さを感じることができます。

計らずも、学園支配のために利用されることとなったエリーの行く末から目が離せません。

松本洋子が描く、見えないからこその恐怖『見えない顔』

主人公の未来(みき)が、ある日、別居していた姉の翠から電話を受けるところからスト―リーが展開する『見えない顔』は、本格学園サスペンスとして人気を博しています。

死んでしまった姉の死の真相を調べるために、姉の学園に潜入するところから物語が進んでいきます。
著者
松本 洋子
出版日
未来の周りで起こる連続殺人事件をめぐって、犯人はだれか?を探る本格ミステリです。

学園内での連続殺人という手に汗握る展開と、犯人の顔が「見えない」ことに対する、ゾクゾクする恐怖感がたまりません。未来の行く末や事件の犯人が気になって、ページを捲る手が止まらなくなりますよ。最後に待ち受けるどんでん返しは、圧巻のひと言です。

果たして「見えない顔」の犯人は何のために殺人を犯すのか? いったい誰なのか? 驚愕のラストをぜひ読んで確かめてみてください。

ミステリー同好会が事件を解決!『すくらんぶる同盟』

『すくらんぶる同盟』は、ミステリやホラーの要素ももちろんありますが、コメディ要素も多く盛り込まれているため、読み進めやすい作品です。

私立探偵を父にもつ折原瀬名を主人公に、動物好きで学校イチのモテ男・正孝、清楚な外見ながら毒舌家の芽衣、怪しげな実験を繰り返す拓郎、吠えない犬・川上くん、唯一のまともな人・会長の戸倉さんというメンバーで構成された中学校のミステリー同好会の面々が巻き込まれる数々の事件を解決していくという流れで物語は進行してゆきます。

のちに、瀬名の弟・静を加えたメンバーが事件を解決していく様子は痛快です。
著者
松本 洋子
出版日
事件解決とともに、個性あふれる登場人物たちが織りなす人間模様も見どころの1つです。

ある日転校してきた正孝の初恋の人「苑子ちゃん」は、戸倉さんの妹だったのですが、そんな「苑子ちゃん」をめぐって衝撃の事件が起こる……という1話からスタートする物語は、全編を通じてヘビーな事件が起こる、シリアスな展開と驚嘆する結末に驚かされます。

ミステリにオカルト、ファンタジーにアクション、果てはラブまで盛りだくさんの学園ミステリーは、肩肘張らずに読み進められるおすすめの1冊です。

登場人物たちの愛すべきキャラクターに、いつまでも彼らの活躍を見ていたくなりますよ。

いかがでしたか?ホラー作家として名高い松本洋子のおすすめ5作品。ゾクっとする作品ばかりなので、夏の暑い日に、怪談の代わりに読んでみるのもおすすめです。描写がグロテスクでトラウマになってしまわないようにお気をつけて読んでくださいね。