井上夢人のおすすめ文庫小説5選!「岡嶋二人」解消後も傑作を生み出す作家

更新:2021.11.7

井上夢人は、推理小説をはじめとして、ホラーやSFなどのジャンルで活躍しています。コンビ作家としてデビューし、その解散後も、精力的に作品を送り出し続けている、実力派の小説家です。

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SFとミステリーを織り交ぜた独自の世界観をもつ作家、井上夢人

井上夢人は、デビュー当時は岡嶋二人というペンネームでした。彼ひとりではなく、徳山諄一とコンビを組んでおり、『あした天気にしておくれ』で、第27回江戸川乱歩賞の候補となり、『焦茶色のパステル』で第28回の江戸川乱歩賞を受賞しています。

その後も、『チョコレートゲーム』で第39階日本推理作家協会賞長編賞を受賞したり、ゲームブック『ツァラトゥストラの翼』を発表したりしましたが、1989年に『クラインの壺』を刊行したのち、コンビを解消しました。

1992年には『ダレカガナカニイル…』で、ソロ作家として再デビューを果たした井上夢人は、主にミステリー小説作家として活躍していきます。SFを取り入れた推理ジャンルを開拓しており、コンビ時代よりも更に幅広い世界観を表現するようになりました。

コンピューター文化にも初期から強い関心を持っており、自らのサイトで自作を積極的に紹介していたのも特徴です。作中にコンピューター要素を取り入れるさきがけの作家のひとりでもあり、現在はエッセイを自身で電子書籍化するなどの取り組みも行っています。

そんな井上夢人の作品の中から、特にチェックしておきたい代表作を5つ、ピックアップして紹介していきましょう。

ビートルズの名盤をモチーフにした推理サスペンス

主人公の鈴木誠は、醜い容姿のせいで、学校に行くこともなく引きこもり続けています。洋楽の専門誌で、ビートルズの評論を書くことだけが、鈴木と社会との繋がりでした。そんな彼があるきっかけから、麗しいモデル・絵里に心を奪われてしまいます。

初めは気づかれないように絵里を観察していた誠ですが、行為は徐々にエスカレートし、ついに彼女の男友達を殺害してしまうに至りました。

トリックを駆使したミステリー作品であると同時に、恋愛要素を織り交ぜたサスペンス作品でもあります。ハラハラの展開に、最後まで目が離せないでしょう。

著者
井上 夢人
出版日
2014-06-13

タイトルは、主人公がビートルズを愛好していることからも分かるように、ビートルズのアルバム名から取られています。章立てもアルバムの曲名の順番になっており、章ごとの内容もまた、歌詞とリンクするものを感じさせる構成です。

当時リリースされたボーナストラックのタイトルも組み込まれているため、ビートルズファンの方は、本作を2倍楽しむことが出来るかもしれません。

実は井上夢人は、自身のペンネームも、ビートルズの「夢の人-I’ve Just Seen A Face」から取っています。しかし、ただファンとしてタイトルを借りたのではなく、ラストシーンのどんでん返しまで読み込めば、本作がどうして『ラバー・ソウル』なのかがよく分かるはずです。

初期のコンピューターを使った驚きの展開

ストーリーは、向井洵子という主婦がワープロで作成した日記から始まります。彼女の身の回りで起きた不思議な出来事を綴った日記は、徐々に事件性を帯びていくのです。54個のファイルが収められたフロッピーディスクが、この物語のキーとなります。

作中に仕掛けられた、驚くべきギミックも本作の醍醐味です。コンピューターに託された日記というスタイルだからこそ実現する仕組みと言えるでしょう。謎が謎を呼ぶ展開は、一度読み始めたら目が離せないはずです。

著者
井上 夢人
出版日
2004-09-14

作者の井上夢人は、マイコンと呼ばれていた時代から、コンピューターの愛好家としても知られていました。本作は、彼が当時夢中になっていたコンピューター知識をふんだんに取り入れ、推理小説として組み上げた作品となっています。

本作は、伏線を張り巡らせたミステリー作品ではありますが、一人称で進む読みやすい物語となっています。複雑なトリックにも、分かりやすい表現が用いられているため、気軽に手に取りやすく、夢中になれること間違いなしでしょう。

「このフロッピィディスクは、あなたに読んでもらうために作られた。」という一文が、物語の枠を飛び越え、読者であるあなたに語りかけてくるはずです。

ドラマ化も果たされた、井上夢人の傑作長編作

主人公の片桐稔は、ある日姉の家で何者かに頭部を殴られ、一ヶ月の間、意識不明の重体に陥ってしまいます。目覚めた稔が聞かされたのは、彼が殴られた日に、姉が何者かに殺害されていたという事実。そして彼は、頭部を殴られた後遺症により、驚くべき嗅覚を手に入れていました。

稔は、警察犬以上の嗅覚を使い、警察には出来ない方法で、姉を手にかけた殺人物を追いつめていきます。女性ばかりをターゲットにした猟奇殺人事件の結末は、再び衝撃の展開を迎えるのです。

著者
井上 夢人
出版日
2005-02-15

2001年度のこのミス4位にランクインした大ヒット作で、本作もまた、ミステリーとサスペンス、そしてSF要素が満載となっています。

井上夢人の作品の中でも、トップクラスの長さが特徴ですが、サクサクと読み進められる文体のおかげで、読みふけってしまう人も多いでしょう。

匂いが視覚化出来るという、独自の嗅覚を持った稔。彼の能力だけではなく、匂いそのものが重要なモチーフとして取りあげられており、丹念に研究された独自のリアリティが魅力となっています。

コンビ解消からの再デビュー作!盛りだくさんの大長編

主人公は、警備員として働く西岡という男性です。とある新興宗教団体を、過激な反対運動から護衛するのが西岡の任務でした。しかし西岡が着任した当日の夜、団体の監視カメラに映し出されていたのは、道場が出火し、謎の死を遂げてしまう教祖の姿だったのです。

この事件のあと、西岡の頭の中では、奇妙な声が聞こえるようになります。西岡に訴えかける謎の声の正体とはいったい何なのか?彼を取り巻く奇妙な出来事は、どこに向かっていくのか?先の読めない展開が魅力の大長編作品です。

著者
井上 夢人
出版日

コンビ作家として活動していた井上夢人が、ソロ作家として再デビューをした記念すべき一作となっています。コンビ時代の軽妙な文体をそのままに、更にパワーアップしたトリックとミステリーが堪能できる作品です。初めて読む人はもちろん、兼ねてからのファンにもおすすめの一冊だと言えるでしょう。

本格的なミステリー要素を贅沢なほど取り入れながらも、井上夢人ならではのSFテイストがしっかり含まれており、更にラブロマンスも描かれている盛りだくさんの仕上がりとなっています。読み応えのある長編が欲しいときに、ぴったりの作品です。

井上夢人による、8編の痛快エンターテイメント!

8つの短編作品をあつめた連作集。霊能師の能城あや子は、今をときめく人気者です。テレビ番組では自分のコーナーを持ち、個別相談はびっくりするような高額に設定され、しかも予約は5か月待ちという大盛況。相手の悩みをピタリと当ててしまい、奥に隠された事実を掘り起こしていくのです。

しかし、この霊能力は、実はニセモノでした。彼女の能力を実現させていたのは、実力派の調査チームによるものだったのです。悪を討つやり手の彼らが、チームとして一致団結し、困っている人々を救っていきます。

著者
井上 夢人
出版日
2009-01-20

長編作品が目立つ井上夢人の作品の中で、短編の連作スタイルをとった、少し変わったタイプの一冊となっています。

ミステリーとSFを併せ持つ、サスペンス調のシリアスな展開が特徴の書き手にとって、コメディ色が強い本作は異色の作品とも言えますね。井上夢人の新境地と言って良いでしょう。

たくさんの登場人物たちによって織りなされる、チームプレイは読んでいてとても気持ち良いものです。まさにタイトルにぴったりの展開となっています。もちろん、ただコメディを展開しているのではなく、謎多き事件やハラハラするシーンもばっちり存在しており、井上夢人ファンも、十二分に楽しめるストーリーとなっているでしょう。

いかがでしたか?井上夢人の作品は、どれもが魅力的なものばかりです。気になるタイトルが見つかったあなたは、是非本屋さんにいってみてください。

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