こんにちは、松原汐織です。 大人になると仕事の為の本か、自分の好きなジャンルの本しか読まなくなる方も多いのではないでしょうか。興味が湧くジャンルで無くても、何か新しい発見や知識を身につけることが出来ること間違いなし!の三冊を紹介します。
- 著者
- ユヴァル・ノア・ハラリ
- 出版日
- 2016-09-08
サピエンスと聞いて、自分は理解していると思った方はスルーしてください!(笑)
少しでも「知らないかも?」と心の中で思った方は、135億年前のビッグバンからホモ・サピエンスの誕生、農業革命、産業革命、そして近い未来に可能となるかもしれない不死まで記してあるので勉強になる事が盛り沢山。時系列順に学生時代に習ったことがある史実も多々登場するので、この手の本にありがちな難し過ぎて理解できないなんて事は無いはず。
<私たちが直面している真の疑問は「私たちは何になりたいのか?」ではなく、「私たちは何を望みたいのか?」かもしれない。>
想像力によって私達ホモ・サピエンスは繋がり世界を作っていったのだとしたら、私達は自らの想像力を良き方向へと使わねばならない。それならば、どのように想像力を使って行こうかと考えてしまう。
夏休みの宿題と遠くなった今、上下巻と分厚い今作を一念発起して読んでいただきたい。
- 著者
- おかざき 真里
- 出版日
- 2014-10-10
<生れ生れ生れ生れて生の始めに暗く、死に死に死に死んで死の終わりに冥し。−−−弘法大師 空海>
「どういうこと?」と思わず、検索。「なるほど〜」と頷きつつ捲ったページでは比叡山延暦寺の焼き討ちシーン。鮮やかな色遣いと細やかな描写に冒頭から心奪われる。
今作は、最澄と空海の生涯を描いている。日本の歴史上、最も有名な僧侶2人と仏教のお話。仏教を信じるか信じないかは一先ず置いておいて欲しい。
最澄と空海、2人の天才の生い立ちはかなりドラマチック。そして、登場人物達の台詞も又良い。例えば「犀の角のごとく ただひとりゆけ」や「依義不依語」等の深イイ名言の数々。検索しては頷き、学んでいく様は漫画を読んでいるという感覚を忘れてしまうほど。緻密な迄の徹底した取材が感じられ、山崎豊子氏の小説を思い出した。
大人になり、旅先で寺社巡りをする方も多いのでは? 夏休み、訪れる前に今作で予習してから足を運ぶのはどうだろう。知らないのと知っているのとでは、きっと楽しめる度合いが違うはず。
- 著者
- スコット フィッツジェラルド
- 出版日
名作×村上春樹氏の翻訳というスペシャルコラボは読まずにはいられない! そして、それが村上氏の人生で巡り合った最も重要な本と言うのなら尚更。
誰もが知っている巨匠が一番というほど愛した理由は何なのか。訳者あとがきで触れてはいるが、真意を私たちは憶測することしか出来ない。
名作が持つパワーなのか、何度読んでも初めてかの様に世界観に引きずり込まれてページを捲ってしまう。そして、毎回心に残る儚さ。そして、ほんの少しの後ろめたさ。
きっとその後ろめたさは、自らを破滅させる程に人を愛するギャツビーを羨ましくもあり愚かだと思う気持ちからだろう。そして、自分を肯定し立場を守る登場人物達の小賢しさにより共感してしまうからだろうか。
本作はひと夏の物語。“ひと夏”だなんて、区切るようなことは普段の生活で起こりっこない。起こらないからこそ、本の世界で疑似体験する夏を提案したい。華麗なる世界へと。
今回紹介した3冊は正にオトナの為の本。学生時代に読んでも、きっと心が動かなかったはず。今、出会えて良かった3冊なので、是非夏のお供に!
Photographer : Fumitaka Ohnuki
Hair&Make-up artist : Kenya Tadatomo (p-cott)
Stylist : Miho Sugimoto