集英社の刊行している少女漫画雑誌『マーガレット』系列で活躍。作品が映画化されるなど、人気の高い漫画家です。そんな彼女のおすすめ作品を、今回はランキング形式で紹介したいと思います。
2002年、『たまごやき』という作品でデビュー。なんとこの時、まだ高校3年生でした。高校生と漫画家、二足の草鞋を履いていましたが、大学生になると両立が難しくなっていきます。そして母からの助言もあって大学を中退し、漫画家活動に専念することになりました。
幸田もも子は、「25歳までに大成しなかったら漫画家を辞める覚悟をしていた」と言っています。そんななか22歳の時に『そんでむらさきどーなった?』で無事に単行本デビューを果たしたのです。
その後も読み切り作品を中心とした短編集を何作か出版し、2010年にはついに『ヒロイン失格』を発表します。全10巻にわたる初の長編作でしたが、これが映画化まで果たす大ヒット。『ヒロイン失格』連載終了の直後からは『センセイ君主』を連載し、『別冊マーガレット』の看板漫画として人気を博しました。
そんな幸田もも子の作品の魅力は、主人公の女の子のパワフルさです。ほとんどの作品の主人公が、考えなしの部分を見せながらも非常に前向きでエネルギッシュ。見ていて元気が出るような人物ばかりです。またテンポよく放たれる変顔のようなギャグ要素も、作品の読みやすさに一役買っています。
それでは、そんな彼女のおすすめ作品を紹介していきたいと思います。
主人公・松崎はとりは、同級生で幼馴染の利太のことが好きな高校生。利太はイケメンで女子からの人気が高く、さまざまな女の子と付き合っていましたが、どの子とも長続きはしていません。そんななか、はとりは自分以外の女の子たちを脇役と考え、最終的に利太の彼女になる物語のヒロインは私だと思っていました。
しかし利太は、ある日不良グループに絡まれていた未帆を助けます。この出来事をきっかけに、なんと2人は付き合い始めてしまいまいした。
地味で控えめな、言ってしまえば目立たないタイプの未帆に対し、初めはたかをくくっていたはとり。しかし未帆が「最後に私のことを選んでくれるのならそれでいい」という、自分と同じような考え方でいるということを知り、徐々に焦りはじめます。
はとりは、利太にさまざまなアプロ―チをかけるも失敗続き。さらに、女遊びの激しい弘光(ひろみつ)からのアプローチを受けて心が揺れ始めます。無事未帆から、利太のヒロインの座を奪うことができるのでしょうか。
- 著者
- 幸田 もも子
- 出版日
- 2010-08-25
記念すべき、幸田もも子の長期連載1作目にして大ヒット作品。桐谷美玲がはとり役、山崎賢人が利太役という豪華なキャストで映画化も果たしました。
はとりと利太、利太の彼女である未帆、はとりを狙うチャラ男の弘光など、数多くのキャラクターが登場し、その恋模様が複雑に入り乱れるさまは、明るいイメージの強い『別冊マーガレット』に掲載されていた漫画とは思えないほどに、ドロドロとした相関図となっています。
しかし登場人物全員が優しさに満ち溢れ、そのうえ嫌みなキャラがいないので、とても明るい物語となっています。素直になれない長年の片思いと、高校生らしい甘酸っぱい展開に心をときめかせることができる素敵な作品です。
頭が悪くて単純ではあるけれど、とても素直で真面目な高校1年生・佐丸あゆは。彼氏欲しさに告白をくり返すも、絶賛7連敗中です。その日も男子に振られた腹いせに、牛丼屋でやけ食いをしていました。
食べ終えたところで財布を持っていないことに気付き困っていたあゆはでしたが、見ず知らずのイケメンがお金を立て替えてくれ事なきを得ます。翌日あゆはが学校へ行くと、そこには昨夜牛丼屋で助けてくれたイケメンが立っていました。昨夜のイケメン・弘光由貴(ひろみつよしたか)は、あゆはのクラスに赴任した教師だったのです。
これを運命だと喜ぶあゆはは、以降さまざまなアプローチを弘光先生に仕掛けていくも、先生はひたすらにつれない態度を取り続けるばかり。
果たしてあゆはは、冷静沈着な弘光先生と恋人になることができるのでしょうか。
- 著者
- 幸田 もも子
- 出版日
- 2013-11-25
冷静で理論派な弘光先生と、おバカで真面目な感情派のあゆはの関係を描いた作品です。全13巻の漫画で、幸田もも子最長の作品となっています。『ヒロイン失格』に続く映画化作品です(公開は2018年8月)。
高校生と担任の恋愛劇という非常に微妙な関係性を題材にしていながら、あゆはの性格のおかげで話自体は非常にコミカルに進んでいきます。顔芸などのギャグパートが多いのも特徴の1つでしょう。
また「それに動かなかったら、後で絶対後悔するもん」「あたしがあたしを信じなきゃダメだったんだ」といった、あゆはの性格を表す、非常にポジティブな名言が多いのも魅力です。
感情派のあゆはが弘光先生を落とすのか、それとも理論派の弘光先生が冷静にあゆはをかわし切ってしまうのか、そんな恋模様を描いたこの作品は、ページをめくる手が止まらなくなること間違いなしです。
ちなみにカンのよい方ならお気づきかもしれませんが、『センセイ君主』に登場する弘光先生は『ヒロイン失格』の弘光のお兄さんにあたります。
『センセイ君主』については<漫画『センセイ君主』の名言を13巻まで全巻ネタバレ紹介!【映画化】>で紹介しています。
主人公である胡桃(くるみ)は、佐介くんと小学5年生の時から付き合っている中学3年生。もう付き合って4年にもなりますが、胡桃の想像していたお付き合いのあり方と現実はかけ離れていて、キスはおろか手をつなぐことすらできない日々が続いていました。
佐介くんは剣道に生きる超ストイックな男の子です。その欲求不満から、日に日に身に着けているものが紫色になっていく胡桃。しかし、佐介くんが剣道に打ち込みストイックなのにはある理由がありました。
胡桃と佐介くんを描いた「そんでむらさきどーなった?」「純潔ヴァイオレット」などを収録した短編集です。
- 著者
- 幸田 もも子
- 出版日
- 2006-12-25
幸田もも子の最初期の作品ということもあって非常に絵が荒く、『センセイ君主』などを知っていると、その絵の違いにまずは驚くことでしょう。
ですが、クールな男の子が実は主人公のことをよく考えてくれているといったところや、各所に挟まれるギャグのテンポのよさは今と変わっておらず、読みごたえのある作品群となっています。
特に表題作である「そんでむらさきどーなった?」は胡桃の彼氏である佐介くんが剣道を続けている理由など、随所に胸キュンできる要素がちりばめられていておすすめです。
二卵性双生児である瑠宇(るう)と桃太。弟の桃太は整った顔をしたイケメンなのですが、瑠宇は地味でさえない顔をしていました。昔からそれが原因でからかわれていた瑠宇は、そのことがコンプレックスになってしまいます。
そんななか瑠宇たちは、父親の仕事の都合で転校することに。転校先の高校ならば、昔の私の顔を知っている人はいない、と瑠宇は高校デビューを試みます。元々薄い顔だった瑠宇は化粧をすることで大化けし、クラスの人気者となるのでした。
しかしそんな時に現れたのが、いとこのお兄さん。彼は瑠宇たちの転校した高校で教師をやっていたのです。彼は瑠宇のすっぴんを知っていて、しかも彼女が自分の顔を嫌いになる一因を作った人物。そんな彼の登場に、「すっぴんを知られて、またつまらない学生生活に逆戻りするのはこりごり」と、瑠宇と桃太は恐怖します。
瑠宇は無事に友達と楽しくワイワイできる高校生活を、すっぴんを隠しとおして送ることができるのでしょうか。
- 著者
- 幸田 もも子
- 出版日
- 2007-07-25
上記の表題作「誰がスッピン見せるかよ」の他にも、幸田もも子の短編集である『幸田もも子 恋愛女子短編集』にも収録されている「スーパープリンスメン」などを収録した作品です。
「誰がスッピン見せるかよ」の主人公である瑠宇は、化粧で顔を隠していないと不安で仕方がない女の子。コンプレックスを隠すためにも、化粧をしないと人前には行けないという、女性は非常に共感できる内容です。
コンプレックスというやや重めの内容を取り扱っていながら、登場人物たちの優しさや適度に挟まれるギャグでサクサクと読める作風はこの時すでに確立されており、爽快感と優しさに溢れる短編集となっています。
いかがだったでしょうか。幸田もも子の作品に登場するヒロインたちはとても行動的でパワフルで、読んでいるこちらが元気をもらえそうなキャラが多いです。やる気が出ない時、なんだか気分が暗い時、彼女の作品を読んで元気をもらってみてはいかがでしょうか。