こんにちは。みなさんは、日々生きてきて、自分に「権力」があると実感することってあるでしょうか?私は社会的立場も高くなく、それほど年長でもないので、あまり感じたこともないのですが、それでも学生さんからすると怖かったり、言うことを聞かなければという気にさせてしまっていることでしょう。「権力」は影響を及ぼそうとする主体、影響を受ける主体があって、はじめて行使されたり、自覚されたりするものです。それを読み解くために、今回も5つの漫画を用意しました。
「権力」というと、何となく大きい組織とか、偉い人をイメージする人は少なくないでしょう。例えば、「権力者」と聞いて近所のおばさんをイメージしたり、「権力同士のぶつかり合い」と聞いて猫の小競り合いをイメージする人はあまり多くないでしょう。ただ、社会学においては、このようなミクロな関係、あるいは関係性の上にある立場も「権力」で説明することができます。
- 著者
- 稲垣 理一郎 (原作), 村田 雄介 (漫画)
- 出版日
- 2002-12-01
権力には、強制的に、または自発的に他者を従わせるものがあります。後者のほうが安定的に他者を支配することができますが、そのためには「権威」という概念が用いられると言われています。では、自発的な服従をもたらす「権威」とは、どのようなものがあるのでしょうか。1990年代前半に人気を博したホームコメディ漫画、村松潔『ツヨシしっかりしなさい』から権威と自発的服従を考えてみましょう。
- 著者
- 永松 潔
- 出版日
- 1986-09-01
『アイシールド21』の主人公・セナや『ツヨシしっかりしなさい』の主人公・ツヨシに続き、つぎは『めぞん一刻』の五代くんを周辺の人々に翻弄される、つまり「権力」を行使されるキャラクターとして紹介しましょう。一刻館という下宿を舞台に、ユニークな住人に囲まれながら管理人さん(響子さん)と浪人生(連載開始当時)の五代くんが徐々に愛を育む、今も色あせない名作恋愛漫画です。
- 著者
- 高橋 留美子
- 出版日
- 2007-04-27
これまでは、おそらくみなさんのイメージとは少し異なる「権力」の説明をしてきましたが、いわゆる「お金を持っている人」や「社会的地位のある人」を「権力がある」と考える人も多いのではないでしょうか。もちろん、こうした定義をした学者もいます。わざわざ説明する必要もないほど有名な研究者ですが、カール・マルクスがその一人です。資源を所有する人々は、資源を所有しない人々よりも権力があるということになります。またマルクスは、主として資本という資源の有無によって、社会における階級を資本家階級である「ブルジョワジー」と賃金労働者階級である「プロレタリアート」に分類しました。
- 著者
- 神尾 葉子
- 出版日
- 2005-05-25
いままでは個人間の権力ばかりを取り扱ってきましたが、権力はミクロなレベルだけでなく、例えば組織間や国家間においても適用されるものです。せっかくなので、最も規模が大きい国家間の「権力」について考えていきましょう。こうした「権力」と比較的関連が大きい概念に、政治学の「パワー」概念があります。
- 著者
- 山田 芳裕
- 出版日
- 2005-12-22
今回は「権力」というテーマで5つの漫画を紹介させていただきました。普遍性のあるテーマなので、SNSやメディアなど、現代のテクノロジーに照らすと「権力」はどう考えられるか、といった目でほかの漫画を読むのもおすすめです。意外にも、私たちの身の周りのコミュニケーションに「権力」的なものが溢れていることにも気づくかもしれません。
マンガ社会学
立命館大学産業社会学部准教授富永京子先生による連載。社会学のさまざまなテーマからマンガを見てみると、どのような読み方ができるのか。知っているマンガも、新しいもののように見えてきます。インタビューも。