うた、ことば、本

ヒップホップドリーム

著者
漢 a.k.a. GAMI
出版日
2015-06-24
このところ人気のTV番組『フリースタイルダンジョン』のモンスターでもおなじみのMC漢の自伝。MC漢さんのラップと、テレビから溢れてくる人となりが魅力的なのと、友達のミュージシャンが面白かったと言っていたのがきっかけで読みました。

読んでて心配になるほどイリーガルな話が出てきますが、リアルさにこだわっていた時にMCバトルで「刺す」という言葉を使った仲間がいて、その言葉を現実にするために刺したという部分はカルチャーショックでした。やめてほしいです。

言葉の説得力についてこだわりがあるのはよくわかりました。さらっと読めてとても面白い本です。

ヒップホップの詩人たち

著者
都築 響一
出版日
たくさんのラッパーの生い立ちや歴史、インタビューとリリックが収められています。TwiGy、田我流、小林勝行、the BOSS(BOSS the MC/ILL-BOSSTINO)など、個人的にも好きな人たちのことが本人の言葉で語られていてとても良い本です。

ここに収められているほとんどのラッパーが東京以外の地方をホームにしていて、それですごくカッコよくて、もちろんバンド・シーンにも各都市に地元の良いバンドがいるけれど、バンド・シーンより地方分権が進んでいる印象を受けました。なぜだろう。

読んでいるとやはり少なからず人間の厚みが言葉のクオリティを生むのか、と思わせられます。

作詞入門ー阿久式ヒットソングの技法

著者
阿久 悠
出版日
2009-09-16
子供の頃歌謡曲が好きでした。意味もわからずによく口ずさんでいました。阿久悠さんの凄さに気づいたのは大人になってからでした。

基本的に1972年に書かれた本なので、時代の違いは感じるけれど(書かれた当時はABCの構成もまだ新しかった時のようだ)。企画の必要性など僕にとっては新鮮なものがあります。

その歌手を役者として歌わせる感じや、恥ずかしいほど入り込んでいる世界観とか憧れます。作詞に興味ある人は一度読んでみると役立つかもしれません。今日的な歌詞じゃないかもだけど。

今の時代がいちばんいいよ

著者
前野 健太
出版日
2015-12-07
CDブックという形態のものを初めて買いました。彼はもちろん全体性が一番の魅力なんですが、彼の歌詞は同世代のアーティストの中でも群を抜いていると個人的には思います。

表題曲の「今の時代が一番いいよ」をYouTubeで検索してもらうと、新宿の紀伊国屋の前で歌っている動画があります。パフォーマンスも素晴らしいんですがその終わりで一人の仕事帰りのサラリーマン風の人が「高田渡が自衛隊に入ろうって歌ったことと同じように解釈してる」と、前野くんに言うくだりがあります。

でも僕にはそう聴こえなかった。本当に「今の時代が一番いい」って思いながら歌ってるように僕には聴こえます。そして僕にとってはそのことのほうが胸を打ちます。個人的には1曲目の「だれかの」の歌詞が好きです。誰でも一度は思いつくアイデアではあるけど、こんな風に形にできる人はなかなかいないと思う。

というわけで、今回は作詞について。

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  • 本と音楽

    バンドマンやソロ・アーティスト、民族楽器奏者や音楽雑誌編集者など音楽に関連するひとびとが、本好きのコンシェルジュとして、おすすめの本を紹介します。小説に漫画、写真集にビジネス書、自然科学書やスピリチュアル本も。幅広い本と出会えます。インタビューも。

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