先行きが不透明な世の中のせいか、平成のこの時代を、明治維新を目の前にした幕末と重ねる人もいます。その時代をばっさり斬った維新の志士たち。その行動力にこそ魅力があります。 例えば、「脱藩」とは現代で例えると、大手企業を中途退職すること。さらに、その罪で死罪を言い渡される可能性もあるということ。脱藩をしてまで、長く続いた徳川幕府を敵に回した男達。また、それらの志士をドブネズミのように追い回し、命を狙った男達。そんな男たちの熱い思いと行動を疑似体験してみませんか?
「動けば雷電のごとく 発すれば風雨のごとし」
これは伊藤博文による高杉晋作を称した碑文です。
長州藩でも、身分の高い家の長男に生まれた高杉晋作。彼は、吉田松陰の門下として学んだものの、祖父や父の愛という名の圧力を受け、その青年期を悩みに悩んで過ごします。長州藩の大事な時期にも、何もせず過ごしました。
しかし、藩がつぶれるかもしれない…という本当の危機に立ち上がります。奇兵隊を創設し、長州藩を討幕に反転させ、維新革命の起爆剤になりました。そして志半ばで結核に倒れてしまう。
- 著者
- 冨成 博
- 出版日
女を愛し、三味線をつまびく晋作。剣の達人であり、詩を賦す晋作。とにかくかっこいい男です。
冨成博の描くこの本は、小説ではありません。史実を忠実に、わかりやすく書いた伝記です。晋作の魅力をあますところなく見せてくれるこの上ない本でしょう。
お色気あり、殺陣ありで、文を読んでいるのに、まるで時代劇を見ているような気持ちになります。坂本竜馬が、生き生きとその数奇な人生を見せてくれます。彼のその、身なりに気を配らない少年のような人柄を愛おしく思え、船中八策、そして大政奉還につながるアイディアに感動し、日本中を動き回った行動力にねぎらいの気持ちを抱き、その最期を残念に思えます。
- 著者
- 司馬 遼太郎
- 出版日
- 1998-09-10
司馬遼太郎が坂本竜馬を書いたこの『竜馬がゆく』は、現代の坂本竜馬像、そして竜馬人気を生み出した元だと言えます。坂本竜馬は多くの本でとり上げられていますが、『竜馬がゆく』に描かれる竜馬は、とにかく自由奔放で人々に愛されます。そして、時代を先取りした思想で日本を変えていきます。、器に収まることのないスケールの大きな人物像。魅力的です。
読後、しばらくは竜馬ワールドに包まれて、ぼーっとしてしまうことでしょう。
テレビを観ているとき、または本を読んでいるとき、その中に幕末の人物が出てきたら、その人物がどのような人なのかもっと知りたくなったことはありませんか?
ネットで検索するのもよいのですが、誰を検索したか忘れてしまうこともありますし、詳細について知ることができるページを探すのに時間がかかったりします。
この本はそのようなとき、幕末の人物詳細を確認するのにぴったりの本です。この本に付箋をつけたり、マーカーで印をつけたりして、繰り返し読むのもいいかもしれません。
- 著者
- 出版日
- 2009-12-12
幕末史は面白いのですが、登場人物がとても多い。それに、よく似た名前の別人もたくさんいます。この本には、写真やイラストがあり、系譜があり、出身地・肩書き・死因までくわしいデータ満載。あなたにとって、幕末のデータベースとなることでしょう。
これは英国外交官アーネスト・サトウの日記抄です。幕府側の史料・討幕側の史料・そして英国外交官の史料が、同じ史実について繰り返し示されており、歴史を俯瞰することができます。
薩英戦争や4カ国連合艦隊による下関遠征など、サトウによる従軍記録から、英国側からみた日本の幕末史はこんな姿だったのかと驚かされます。英国側からみると、全てのやりとりは貿易の振興のためであったり、外務省の思惑が絡んでいたりします。また、本国の議会への気づかいもあり、外交が組織の中での仕事であるとよくわかります。
一方、当時の幕府は外国からの質問をのらりくらりとかわしています。また倒幕派は、激しい感情を持ってクーデターを計画するなど、組織を支える価値観が崩壊しています。
サトウはそのような日本が好きだったようです。宗教的に自由になり、本国の父には説明できない不道徳な生活を送っていると日記に記しています。日本が好きで、日本語を学び、日本文化にもどっぷりとつかったサトウ。彼の存在なしでは明治維新を語ることはできません。
- 著者
- 萩原 延壽
- 出版日
歴史的な大舞台で活躍した彼らも、国に帰れば極東で仕事してきたただの公務員なのです。サムライ相手にイギリス流の外交を進める姿はやっぱりかっこいい!
高杉晋作を支えた女性が何人いたと思いますか?
先に紹介した冨成先生の「高杉晋作」では、妻のマサ、歌人の望東(もと)、そして愛妾のおうのの3人が書かれています。しかし、『幕末を生きた女101人』では、萩博物館の学芸員である一坂太郎氏により「小三(こさん)」という芸妓の存在が明らかにされています。
同様に、坂本龍馬を支えた女性は?
有名なのは千葉佐那、お龍、姉の乙女ですが、実際には?
やはり幕末の志士ともなると女性にモテたようですね。この本には幕末のあらゆる立場の男たちを支えた女性たちが数々紹介されています。あなたの知る幕末の志士が、何人の、そしてどのような女性たちに支えられていたのか。 著者も有名な研究者や作家が多く、読みごたえのある一冊です。
- 著者
- 出版日
- 2010-04-07
しかし、彼女たちが幸せだったのかどうか。志士が亡くなった後、思い出を胸に、長く菩提を弔う生活をなさった方もいたようです。
新撰組をこのような角度から見たのか…!と感心する小説です。
吉村貫一郎は南部藩を脱藩し、新撰組に入ります。新撰組といえば、ご存知のように近藤勇や土方歳三、沖田総司が剣をふるうかっこいい姿を想像しますが、吉村はお金を妻子に送金するために嫌な仕事を引き受けるサラリーマンのような剣士なのです。
斉藤一だった老人の昔語りに哀愁があり、理不尽な切腹シーンに涙する。一味違った新撰組の物語です。
- 著者
- 浅田 次郎
- 出版日
いかがでしたか? 「漢を感じる。たまんない。」と頬を紅潮させる歴女もいるでしょう。彼女たちはジャニーズファンが自分の「担当」を決めて語るように、自分の好きな幕末志士を恋人のように語ります。死んでもなお女性を魅了してやまない幕末の志士たちは罪深い。
幕末の志士は魅力的ですね。