夏の終わりに ―― 心を豊かにする絵本

夏の終わりに ―― 心を豊かにする絵本

更新:2021.12.13

どうも! WEAVERの河邉です。7月末にツアーを一つ終え、今はフェスへの出演や、レコーディングをしているところです。気がつけば8月も終わりに近づき、今年の夏もあと少しですね。夏の終わりはいつも切ない気持ちになります。

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さて、今月は小説よりも気軽に読める絵本を5冊紹介したいと思います。絵本は短いストーリーの中にある確かな感動や教訓、そして想像力を膨らませてくれるイラストと、子供が読むのにぴったりです。しかし中には、大人になってから読んでさらに理解が深まる絵本もあります。

あたたかいメッセージを持っている絵本は、歌詞へのインスピレーションをくれることもあります。一時期自分のアイデアの助けにと、近くの図書館に行ってたくさんの絵本を読んでいた時もありました。

子供から大人まで楽しめる、心を豊かにする絵本。大人の皆さんは子供の頃に読んだものもあると思いますので、懐かしいと思いながら読めるものもあるかもしれません。是非お楽しみください。

おおきな木

著者
["シェル・シルヴァスタイン", "Shel Silverstein"]
出版日
2010-09-02
アメリカ人の作家によって書かれた、緑の表紙が印象的な日本でも有名な絵本。2010年には村上春樹氏が翻訳したことでも話題にもなった。りんごの木と少年は友達になり、心を通わせ同じ時間を過ごしていた。しかし時が経つにつれ、少年にとって必要なものは変わっていく。大人になっていく少年だが、木だけは変わらず、ただ少年の欲しがるものを与え続ける。たとえ自分の身を犠牲にしてでも少年の必要なものを与えようとする。

何の見返りも求めない、まさに無償の愛を感じることができる絵本だ。初めて読んだ時はこの物語の愛の深さに自然と涙が出てきたことを覚えている。英語版では「The Giving Tree」というタイトルになっている。そちらも読みやすい英語なので、興味がある人にはオススメ。

ちいさいおうち

著者
バージニア・リー・バートン
出版日
1954-04-15
田舎の丘の上にある“ちいさいおうち”の物語。おうちは季節とともに変化する周りの景色を楽しんでいた。どんなに時が過ぎ、子供が大きくなっても、ちいさいおうちだけは変わらずそこに存在する。そんななか、丘の上からずっと遠くに見えていた街は少しずつ大きくなり、気が付けばちいさいおうちの周りも街の開発が始まる。道路が通り、ビルが建ち、地下鉄ができ、自然豊かだった場所から、都会の喧騒と汚れた空気の中でぽつんと佇むことになるちいさなおうち。さて、この先どうなってしまうのか。

絵の中でも、小さな家があるということだけは変わらず、周りがどんどん変わっていく経過を目で見て感じることができる。最終的には素敵な出会いもあったり、忙しい生活のなかで心がほっこりする絵本だ。比較的文字数も多いので、大人も楽しめる絵本である。

わすれられない おくりもの

著者
スーザン・バーレイ
出版日
命というものについて改めて考えさせられる絵本だ。みんなに愛されたお年寄りのあなぐまが、ある日静かに息を引きとる。そのあとに残された、もぐらやうさぎ、みんなそれぞれにあなぐまとの思い出があり、涙を流し悲しんだ。しかしたとえいなくなっても、あなぐまが教えてくれた知恵や思い出は確かにあり、それとともに暮らしていることに気づく。命そのものは遠くへ行ってしまっても、いつまでも誰かの心や生活のなかで亡くなった人が生きていることを優しい絵とともに感じることができる絵本だ。

今そばにいる大切な人のことを思い、今はもういなくなってしまった人のことを思う機会になる、大事なことに気づかせてくれる一冊だ。

さんまいのおふだ

著者
水沢 謙一
出版日
1985-02-15
個人的に思い出深い本なので紹介しようと思う。幼い頃、家に何冊も絵本があり、そのなかでも自分にとってこの本は衝撃的であった。時々読み聞かせをしてもらったり、自分で絵本を読んでいた河邉少年であったが、この絵本は、そう、ちょっとしたホラーなのである。もしかしたら同じく幼い頃に読んだ方もいるかもしれない。

ある村で和尚と小僧が住んでいた。小僧は山へ栗を拾いに行くのだが、山には人を食う山姥がいるらしく、和尚が小僧に身を守る為に3枚のお札を渡す。案の定小僧は山姥と遭遇してしまい、3枚のお札を使いながら走って逃げることになる。後ろから山姥に追いかけられる絵は、小さな子供のトラウマになること請け合いだ。

日本の昔話の一つであるそうだが、昔話の類にはこわい話もたくさんある。子供「悪いことをすると山姥に追いかけられるよ」というずるい教育ができるようになる絵本であるかもしれない。

りんごかもしれない

著者
ヨシタケシンスケ
出版日
2013-04-17
表紙にかわいいりんごが描かれており、さらにタイトルも『りんごかもしれない』という何やらわくわくする哲学的な要素を持った絵本である。テーブルに置いてある一見ただのりんごに対して、様々な角度からその可能性を探るのだ。

例えば、後ろから見ればみかんかもしれない、中身はメカが詰まっているのかもしれない、育てると大きな家になるかもしれないなど、かわいい絵とともに想像力が膨らみ、次のページをめくるのが楽しくなるのだ。大人が読んでも面白く、子供と一緒に絵を見ながら読むのも楽しめそうである。

作者のヨシタケシンスケさんの絵本は個人的に大好きで、ほかにも楽しいものがたくさんある。大人にもおすすめの絵本だ。

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