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雪舟にまつわる逸話7つ!日本絵画の歴史を紐解く本も

更新:2017.8.23 作成:2017.8.23

雪舟といえば、教科書にも出てくることで、水墨画と結びつく人も多いでしょう。しかし、彼の魅力は作品だけではなく、人物そのものにあるのです。それを体験できる本を紹介していきます。

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平均寿命33歳の時代、87歳まで生きた雪舟とは

雪舟は1420年に備中国(現在の岡山県)で生まれ、10歳の頃、京都の相国寺に移り、36世に昇っていた五山僧として最高峰の春林に師事し禅の修行に学び、足利将軍家の御用も務めていた周文に絵を学びました。これらの師に学んでいたことが彼の基盤となっていったのです。

1454年ごろ周防国(現在の山口県)に移り、それまで拙宋等楊と名乗っていましたが、大切に持っていた名僧の楚石梵琦の墨蹟(禅僧の筆跡のこと)である「雪舟」を得て、竜崗真圭に字説を書いてもらい、この頃から雪舟と名乗ったと考えられています。

1467年に遣明船で明へ渡り、本格的な水墨画を学び、皇帝の命により礼部院(中国の宮廷。現代の日本でいうと文部科学省)の壁面に描いたものが広く称賛を得たのち、2年後の1469年に帰国しています。 それからの居住地は不明とされていて1486年に山口県に帰ってから私たちが知る多くの作品を残すこととなりました。

1506年、87歳で亡くなりますが(1502年の83歳という説も)、平均寿命33歳の時代に87歳まで生きたということで、影武者がいたのではと噂されるほどです。

すぐにでも話したくなる、雪舟の7つの逸話

1:涙で鼠(ねずみ)を書いた

禅の僧でもありましたのでお経も覚えないといけません。 なかなかお経を覚えない雪舟を縄で縛り付けていたところ、地面に落ちた自分の涙を足でなぞり、鼠を描いていました。様子を見にきた住職が床に鼠が動き回っていて追い払おうとしたぐらいに本物そっくりだったようです。それ以降、絵を描くことを認められました。

2:外国の切手に描かれた最初の日本人

1956年、世界平和会議において世界十大文化人に選ばれ、それを記念しロシアとルーマニアで発行されました。71歳の時の自画像を写したものです。 ちなみに同時期の世界十大文化人にはモーツァルトなどが入っています。雪舟は水墨画家のイメージが強いですが、建庭家としても非常に有名で国際的な評価は日本にいる私たちの認識よりもはるかに越えています。

3:実はスパイ?

あまりの描写レベルの高さに、大内氏の命で各国の情報を収集するスパイだと思われている説があります。

かの有名な応仁の乱の中、雪舟が身をおいていた大内氏が東軍の細川氏に対抗していた頃、彼は山口には戻らず、博多を経由し大分まで行っています。それが九州を巡るライバルの大友氏の視察という考えができるのです。

カメラがない時代に唯一カメラを持ち歩いているような能力の持ち主。可能性としては十分考えられるのではないでしょうか。

4:国宝指定最多記録

国宝になった数は6点、重要文化財は19点にもなります。 国宝には、「秋冬山水図」「慧可断臂図」「天橋立図」などがあります。 しかし、雪舟が有名になったのは亡くなった後のことで、江戸時代に偽物がかなり多く出回ったそうです。

5:墨絵なのに赤色?

雪舟の有名な作品に天橋立図というものがあります。その中で3つの古社(成相寺、智恩寺、籠神社)だけが朱色で塗られているのです。また、このアングルで描写するには900メートル上空からでないと不可能とされており、謎が多く残る作品です。

6:石組みの亀が動いた?

ある時、一条兼良は雪舟の鼠の話を思い出し、亀の絵を描くようにいいました。 しかし、彼は石を動かし、石組みで亀を作ります。 夜に庭から変な音がするため部屋から覗いたら、石組みの亀が動いていてびっくり。雪舟にどうにかするように頼むと亀の甲に大きな石を突き立て、亀の動きはとまったということです。

7:初めて明に渡った画家

これほどに評価を得られることができたのは、もちろん作品や生き様もありますが、初めて明で学んだ画家として、最先端の技術を持っているという評判もありました。これが数多くいる画家の中でも頭1つ飛びぬけている要因の1つでしょう。

人気のある、もっと知りたいシリーズで雪舟を学ぶ

6つの国宝作品が解説とともに掲載されていますので、非常にわかりやすい構成です。年齢とともに章が進み、読み終わりたくないと感じるくらい、充実した内容となっています。

作品の多くは60代から80代にかけて作成したものだという事実に驚く人も多いのではないでしょうか。高齢にしてもなお、あの力強い画筆を展開できるのは誰にも真似できないことなのです。

著者
島尾 新
出版日
2012-04-05

特集では天橋立図自体の地理的な仕上がりの評価や、逸話の中で紹介した朱色で塗られた三社の意味合いなど天橋立図の面白さを存分に伝えており、読み終わった後は誰かに伝えたくなるでしょう。

雪舟が中国になぜ行ったのか、中国で何をやったのかを詳しく紹介

新潮日本美術文庫の一巻目となります。45巻まで長きに渡り続いた新潮日本美術文庫において、雪舟が最初に紹介されました。彼の人物像に関する解説は簡潔にされており、中国に渡った2年間が深く記載されています。

表紙の作品は国宝の1つである秋冬山水図。墨のみで雪の断崖を表現する技は圧巻ですね。

著者
出版日
1996-12-01

最前線の研究が生かされ、32個の作品で雪舟の魅力を教えてくれます。中国に一緒に旅をしているような気持ちになりながら、作品を鑑賞してみてください。

作品解説が素晴らしい。雪舟の世界に引き込まれます。

作家、美術史学者である中島純司による著書。彼は雪舟を専門とした佛教大学の名誉教授です。

観賞のための絵画なのか、仏教的な観点で見た方がいいのかなど、著者自身も雪舟との向き合い方を模索している部分が多くあります。ただ事実を語っているだけではなく、見方を育てるという問題提起の観点からも見ることができます。

著者
中島 純司
出版日

雪舟の全作品を世界一の知識で解説している本書。それに加えて、当時の雪舟の気持ちや考えなども多く記載されております。

独特な表紙とは想像できないほどの良作。2人の会話式構成がわかりやすい。

芥川賞作家である赤瀬川原平と美術史家、美術評論家、大学教授として活躍する山下裕二で結成された日本美術応援団による共書です。 表紙は雪舟筆である慧可断臂図に描かれている2人の僧に自分たちの顔を当てはめており、難解な日本美術に対して少しでもハードルを下げようという姿勢が感じられます。

著者
["赤瀬川 原平", "山下 裕二"]
出版日

2人の対談形式がとられている本書。彼の良さについて、他の画家の作品と並べて解説している箇所もあり、わかりやすい構成です。 また、現代日本画の批判を語っている箇所があり、高級絵の具をただ塗り重ねているだけで、雪舟の描くようなライブ感、線が泳いでいる様を描けているような作品は1つもない、とまで言っています。

どうでしょうか。雪舟にはまだまだ解明されていない魅力があなたの頭の中でいくつも形成されるでしょう。ぜひ一度読んで見て下さい。