とある下宿のほのぼのとした日常を描いた『僕らはみんな河合荘』。下ネタ多めのギャグもさることながら、淡い恋愛模様も楽しい本作の魅力を、最終回まで紹介します。個性豊かなキャラが多いなか、特にヒロイン・律の可愛さは必見ですよ。
「僕らはみんな河合荘」は、日常系ギャグ漫画です。主人公・宇佐が、奇妙な「河合荘」の人々と過ごす、ゆるい日々が綴られています。
いつも賑やかで楽しそうな河合荘。ちょっぴり騒がしすぎる気もしますが、こんなところに住んでみたいと思う人も多いのではないでしょうか。
ゆるい日常だけでなく、宇佐とヒロインの律の不器用同士の恋愛模様も必見です。どこまでも賑やかで楽しそうな生活のなかで、ひっそりと恋が育まれていきます。
その行方を見守ることができるのも、この作品の魅力なのです。
おすすめの恋愛漫画を紹介した<恋愛漫画10選!男女どちらにもおすすめの笑える【日常系ギャグ漫画】>もぜひご覧ください。
河合荘に住むことになった高校生・宇佐は、引っ越し当日、河合荘の大家の孫であり同じ高校の先輩・律(りつ)に一目ぼれします。
しかし、律は道を歩きながらも、人と話しながらも本を読むほどの本の虫。しかも、孤独を愛する性質のため、宇佐の気持ちになかなか気づきません。
たくさんの壁にぶつかりながらも、宇佐は河合荘での日々の生活のなかで、少しずつ律との距離を詰めていきます。
周囲の変人たちに見守られる(?)なか、宇佐と律の恋模様はどう育まれるのでしょうか。
本作の作者・宮原るりの作品を紹介した<宮原るりおすすめ漫画ランキングベスト5!岐阜県を代表する漫画家!>もおすすめです。ぜひご覧ください。
両親の転勤を機に一人暮らしをすることになった高校生・宇佐。 自由な新生活を夢見て意気揚々と下宿先に訪れましたが、住むことになった河合荘の住民は、個性的を通り越して変人ばかりでした。
ドMで変態のシロ、下ネタ大好きの独身OL麻弓、毒舌女子大生の彩花、そして「ぼっちのプロ」と呼ばれる本の虫の律……。
変人ばかりの河合荘のメンバーに囲まれながら、宇佐の新生活は始まります。
第1巻の見どころは、初登場する河合荘の住人たちのエピソード。それぞれの個性を印象付けるものばかりです。
麻弓の元彼との再会や、シロの連行。そして「一人になっている」のではなく、自ら「一人でいることを選んでいる」律。たくさんの住人がいる河合荘ですが、それぞれのキャラクターの個性が立っているため雑多な印象を受けません。
- 著者
- 宮原 るり
- 出版日
- 2011-05-30
なかでも一番の見どころは、通称・河合荘ルネサンスでしょう。
久々の晴天で溜まっていた洗濯物を干す河合荘のメンバーたち。そんなとき突然の突風が、衣服代わりにタオルを羽織っていたシロに襲いかかります。
風になびくシロの長髪とタオル。その様子は、絵画「ヴィーナスの誕生」さながらです。
「……今、一瞬ヴィーナスが誕生しませんでした?」(『僕らはみんな河合荘』1巻から引用)
この宇佐の的確なツッコミが、律の爆笑を初めて引き出すのでした。
無表情でいることの多い律ですが、時折見せる年頃の少女らしい表情が非常に魅力的です。この回では、そんな律の珍しい爆笑シーンが見られます。
夏が近づく季節。宇佐は少しずつ河合荘に慣れていきます。律との距離も詰め、変人ばかりの生活も順調になってきました。
そんななか管理人の住子からの紹介で、和カフェでバイトをすることになった宇佐。仕事ぶりも順調かと思われたなか、宇佐の中学時代の友人が合コンのため店を訪れてしまいます。
中学時代は、変人ばかり彼の周りに集まることから「変ショリ」(変人処理班の略)というあだ名で呼ばれていたことを思いだし、宇佐は居づらさを感じます。
そこに現れた律に救われ、宇佐はますます律への思いを深めていくのでした。
- 著者
- 宮原 るり
- 出版日
- 2012-01-30
2巻の見どころは、律の本を宇佐が読むシーンでしょう。宇佐は律に思いを寄せながらも、うまく距離を掴めずにいました。
そんなとき、宇佐がたまたま律の読みかけの本を読んでしまいます。 慌てて弁明する宇佐ですが、律はむしろ、本を読めといわんばかりに押し付けてくるのです。それから宇佐と律は、本の内容について少しずつ語り合うようになりました。
「好きなものならなおさら。語り合えるのは楽しいわよねぇ」(『僕らはみんな河合荘』2巻から引用)
そう住子が語るように、今まで頑なだった律も徐々に宇佐に対して心を開いていきます。お互いの感想がズレているあたり、より親しくなるにはまだまだ時間がかかりそうですが……。
さらに、宇佐の中学時代のあだ名「変ショリ君」も発覚。河合荘でのやり取りを見るに、非常に納得するあだ名といえます。
河合荘でますます、変人処理係としての技量を高めていく宇佐でした。
毎日賑やかな夏の河合荘。ある日、律に初めて読書好きの友人・前村が出来ました。
珍しく友達付き合いをする律の姿に驚く河合荘のメンバー。宇佐もまた、楽しそうな表情をする律に密やかな幸せを感じます。
ある日、前村に誘われるまま遊びに出かける律でしたが、行き先のカラオケボックスには多数の男子の姿が。律は知らぬ間に、合コンに参加することになってしまったのです……。
- 著者
- 宮原 るり
- 出版日
- 2012-08-30
3巻の見どころは、やはりこの合コンです。 読書で語れる友人は欲しいけれど、世間一般でいう「友達」の距離感が分からずに悩む律。そんな彼女に、河合荘のメンバーは真剣にアドバイスをしてあげます。
律のために一緒に考え、悩む姿に、この下宿に住む人たちの根の優しさを感じられるでしょう。
「何もかもピッタリ合う奴なんていねーよ。『合わない』のが問題じゃなくてその『合わない』が許容できるか近づきたいと思うかどうかだよ」(『僕らはみんな河合荘』3巻から引用)
この麻弓のアドバイスは、人付き合いで悩んでいる読者の心にも染みる一言なのではないでしょうか。
また今回は、ムカデを怖がる律の姿も必見です。いつの間にか律の本に潜んでいたムカデを河合荘の住民総出で片づける話ですが、虫が苦手な読者にとっては恐怖の残る話です。
この話は、作者の実話だそう。毎日賑やかで羨ましくも思える河合荘での生活ですが、こればかりは実際に体験したくはないですね……。
秋が深まり、宇佐と律の高校では文化祭が開催。
本の貸し借りを機に距離が縮まってきた2人でしたが、宇佐が文化祭で忙しくなり、少しすれ違いが起こってしまいます。気にしていない宇佐とは対照的に、律はほんの少し寂しさを覚えるのでした。
4巻では「僕らはみんな河合荘」初となる、宇佐と律の恋のライバルが登場します。2巻から姿を見せていた宇佐の中学時代の同級生、霊感少女・林が、律の恋敵として急浮上するのです。
ライバルの登場をキッカケに、自覚なくちょっと嫉妬心を抱く律。その感情を律本人も持て余している様子が可愛いのです。
- 著者
- 宮原 るり
- 出版日
- 2013-05-30
そしてもう一つの4巻の見どころとして、河合荘の元住人・馬淵が現れる話があります。
再就職を機に河合荘を出た馬淵ですが、望んでいたはずの新生活に少し疲れを見せていました。河合荘に戻ろうかな、と遠まわしに再入居をほのめかす馬淵に、管理人の住子はきっぱり言い放ちます。
「ダメよ。もうここへ戻ってきてはダメ。一度出た仮宿に帰ってきてはいけないわ」(『僕らはみんな河合荘』4巻から引用)
そう言って、厳しく背中を押すのでした。
「昔に戻りたい」と思うことは誰にでもあると思います。しかしそんな後ろ向きな気持ちに、住子の言葉は喝を入れてくれるのではないでしょうか。
冬の河合荘。住人たちは帰省することなく、クリスマス、そして大晦日にお正月と一緒に過ごします。
みんなで初詣に出かけた日、宇佐と律、それぞれの母親が同時に河合荘を訪ねてきました。母親たちに忘れたい黒歴史を暴露されながらも、離れて住む母との再会で、家族というものへの認識を改めます。
冬がメインとなる5巻の見どころは、バレンタイン。律からのチョコがどうしても欲しい宇佐は「義理でもいい」と手を出し、なんとか貰える約束を取り付けます。義理とはいえ、律からチョコが貰えるバレンタインを、宇佐は楽しみに待っていました。
- 著者
- 宮原 るり
- 出版日
- 2014-03-26
一方の律は、ライバルの林にあてつけられた結果、義理チョコを「仕方ないからあげる」のは無理だと結論づけました。それを聞いていた宇佐は、律に「チョコをあげるのは無理」と言われてしまったと思いこみ、強いショックを受けます。
そして、バレンタイン当日。宇佐の予想に反して、律はチョコを持って宇佐の前に現れました。そしてこう言います。
「……私が宇佐くんが喜ぶもの、あげたいからあげる」(『僕らはみんな河合荘』5巻から引用)
そして、律は宇佐に小さなアメリカ(USA)の国旗が立った義理チョコを渡すのでした。
つまり、「仕方がないからあげる」というのは、律自身の真意ではなかったためにできず、改めて「喜んでほしい」という気持ちを込めて、宇佐にチョコを渡したのです。
とても言葉足らずでなんとも面倒くさい律ですが、大喜びする宇佐から見れば、そんな律も愛しいことでしょう。
宇佐が河合荘で暮らし始めてから早一年。再び春が訪れて宇佐は2年生に、そして律は3年生に(ついでに麻弓は三十路に)なりました。
かつて河合荘の壁に落書きをした中学生・佐久間が晴れて宇佐たちの高校の後輩になり、河合荘だけでなく周囲も賑やかになっていきます。
そんななかシロが、宇佐と律の関係に「意識改革は、律だけでなく宇佐にも必要だ」と鋭い指摘をします。
その言葉が暗示したかのように、宇佐と律の恋模様に、また新たなライバルが出現するのです……。
- 著者
- 宮原 るり
- 出版日
- 2014-11-29
春めく6巻の見どころは、そんなライバルたちの出現によって揺れ動く宇佐と律の関係性でしょう。
宇佐には佐久間のクラスメイトで後輩の椎名が、律には前村の知り合いである同級生の高橋が、それぞれ接近してきます。宇佐も律も、変わりつつある日常に気づかず、ただ平和に過ごしていました。
しかしそんな日々は、読書好きの高橋と楽しそうに過ごしている律の姿を宇佐が目にした途端、崩れ去ります。
「恋愛劇場には俺と先輩しかいないと思ってたんだ」(『僕らはみんな河合荘』6巻から引用)
不穏な宇佐の独白で、6巻は終わってしまいます。
登場人物は自分と律だけだと思っていた恋物語にライバルが現れ、ついに危機感を覚える宇佐。これから2人の恋はどうなってしまうのか、ますます目が離せなくなります。
6巻から引き続き、7巻は波乱から始まります。
友人や佐久間からのアドバイスにより、宇佐はもっと積極的に律にアタックしていくことに決めます。一方、遅まきながら宇佐と親しい椎名の存在に気づいた律は、椎名のコミュニケーション能力の高さに引け目を感じていました。
些細な連絡のすれ違いから、またも距離を置くようになった宇佐と律。 河合荘で悶々としている宇佐は、自分は高橋に対して分が悪いと落ち込みます。
- 著者
- 宮原るり
- 出版日
- 2015-09-30
7巻の見どころは、そんな恋に悩みまくる宇佐が吹っ切れるシーンにあります。
律に「もっと余裕をもってカッコ良いところを見せたい」と嘆く宇佐。ところが相談を受けていた麻弓は宇佐の胸倉を掴んでこう言います。
「お前がかっこ悪くねぇ時なんてあったかよ?」(『僕らはみんな河合荘』7巻から引用)
彼女は宇佐に「落ち込んでいる暇があったら、みっともなく喚け」とアドバイスするのでした。
その後、すれ違いっぱなしだった律に、「高橋と親しくなったのはそもそも宇佐と親しくなるためだった」と聞き、ようやく一安心した宇佐。そんな律の不器用な想いをくみ取った彼は、自分ももっと律と話したいという素直な思いを打ち明けるのでした。
ライバルの出現により、甘さが増してきた二人の恋模様。時折こじれてしまいそうになる関係を、他の河合荘のメンバーが的確なアドバイスで助けるという構図がこの作品の魅力ですね。
夏真っ盛りの8巻は、宇佐と律の話よりも他の河合荘の住人、特に麻弓と彩花にスポットが当たっています。
お盆休みに実家に帰ることになった彩花。その直前に、自称彩花の親友・ツネコが河合荘を訪れ、地元で開催することになった森コンに彩花を誘います。
それとほぼ同時に、婚約中の友人に会うことになった麻弓。酒に酔った流れで、友人でバリキャリの愛美とくだんの森コンに参加することになりました。
ついに彩花と、その喧嘩友達である麻弓が、共通の合コンで男漁りの直接対決をすることになるのです。果たして、軍配はどちらに挙がるのでしょうか。
- 著者
- 宮原 るり
- 出版日
- 2016-05-30
8巻はやはり、天敵同士である麻弓と彩花が対決する森コンが見どころです。 タイプは違えど美人の二人には、これという恋人がいません。特に麻弓は多くの恋を経験しながら、いつも結婚までこぎつけない女性です。
森コンの主催者であるツネコの先輩(バツイチ子持ち)が、そんな麻弓にこうアドバイスをします。
「大人になるのと枯れるのとは違うんやで。大事なんは使いどころや」(『僕らはみんな河合荘』8巻から引用)
一方彩花は彩花で、父親やツネコに「媚びを売るよりも素でいるほうが良い」と説かれます。美しく飾ることも大切ですが、自分らしく生きることも、結婚には必要なのでしょう。
結婚を希望する独身女性にとって、ありがたいアドバイスを頂ける8巻。高校生の甘酸っぱい恋愛を取り上げるだけではないこの作品の、もう一つの見どころだと言えます。
夏が過ぎゆく9巻。河合荘の住人たちは一緒に花火大会に出かけ、またまた宇佐と律は距離を縮めていきます。
しかし、周囲の後押しがあるにも関わらず宇佐は告白へと踏み切れませんでした。ようやく二人きりになるチャンスが巡ってきたかと思えば、住子にゴミ捨てを頼まれてしまいます。
手には3匹のゴキブリの死体(たぶん)の入ったゴミ袋を持ち、場所はゴミ捨て場という情緒も何もないシチュエーション。
しかしそこで、ついに宇佐は律に告白をするのでした……。
- 著者
- 宮原 るり
- 出版日
- 2017-04-28
9巻の見どころは、告白への足掛かりとなった花火大会です。宇佐と律は、二人で出店へ買い物にいくことになりました。人混みのなかで迷わないようにと、宇佐に手を差し出され、律は反射的に手を握ってしまいます。
しかし二人の距離感的に、まさか本当に手を握られると思っていなかった宇佐は「えっ」と驚いてしまいました。
そんな宇佐の様子から自分の勘違いに気づき、恥ずかしそうにする律。そこでやっと宇佐は、お互いの勘違いに気づきます。二人の間に気まずさが漂った時でした。
「恥をかくのは俺だけでいーんだよ!」(『僕らはみんな河合荘』9巻から引用)
そう、心のなかで奮起した宇佐は、「手を繋いでいいならぜひお願いします」と律に言い、無事に手を繋ぐのでした。
もどかしい関係を続けてきた二人ですが、ついにゴールの予感がし始めます。
しかし、そこは「ぼっちのプロ」の律。二人の恋愛は普通のものになるのか、それとも変人の恋はやはり変なのか……。
これからもハラハラドキドキが続く「僕らはみんな河合荘」。今後の行方も、ぜひチェックしてみてください。
さまざまな苦難(主に麻弓によるもの)を乗り越え、ついに付き合うことになった律と宇佐。宇佐は目に見えるもの全てが輝いて見え、麻弓は美の女神に、シロは「しつけが行き届いた血統書付きの」犬に見えるほど。シロ、人外から変わることはないんですね。
さらに進路選択が迫ってきて現実に戻されるものの、そわそわしながら校門の前で待っている律を見るだけで、ウキウキしてしまいます。甘酢っぺぇ……。
- 著者
- 宮原るり
- 出版日
- 2018-06-30
ちょっとした口喧嘩も茶番になるほどにラブラブな2人もまぁ、いいですが、10巻の見所はやはりシロの正体が明らかになることでしょう。
きっかけは、飯田という人物が河合荘にくることから。シロがかつて語った恐ろしいほどにエロい飯田は、意外にも真面目そうなメガネリーマン。麻弓は宇佐と物陰に隠れながら驚きを隠せません。
「あんな真面目そうな顔して
試験管(オス)と人体模型(メス)のエロ小説を
『安易』って理由で却下できるエロート(エロのエリート)とはな…
そして人体模型(メス)と自分のエロ小説を同級生に書かせて
文集に載せちゃうハードエロックな人格の持ち主…」
(『僕らはみんな河合荘』10巻より引用)
どんな人物なんだ、飯田よ……。
しかし、河合荘にやって来た彼は天下の有名出版社K社の勤め人。そしてそこからシロの秘密が明かされて……。勘の良い読者の方は予想ができていたかもしれませんが、それを知った時の律の驚愕の表情にもご注目ください。
さらに最後には、そんな律のまさかの爆弾発言も。11巻で最終回を迎えるようですが、ここからどう物語が動くのでしょうか?
10巻でいきなり爆弾発言をかましたシロ。それは、この河合荘を最も早く出ていくのは自分だろうというものでした。
実は律が崇拝する小説家の正体だったことが明らかになったシロですが、ここ河合荘にいると、居心地が良すぎて執筆ができないと言うのです。もともとはPCに向かうことすらできなかった彼を見ていた住子からすると自然な、むしろ嬉しい流れですが、もちろんさみしいことでもあります。
なかでも彼の発言に狂ったのは、まさかの真弓。彼をとことんバカにしながらも、依存して頼ってもいたんですね。
また、律も出ていくことが決まっており、ますます寂しい雰囲気が流れてしまいます。
- 著者
- 宮原るり
- 出版日
- 2018-07-30
考えすぎるあまり、不憫なゆるキャラのようになってしまった真弓、ウサとの気まずい雰囲気に耐えられず、不自然に彼を避ける律……。しかし、その流れをシロがあるイベントで変えます。
それをきっかけに寂しさを乗り越え、また一歩前に進んで行く住人たち。真弓とシロの関係の変化、律とウサの青春街道まっしぐらな様子はぜひ作品で。
そして最終回、最後のシーンは、いつもどおりに見えるものの、ちょっと違う河合荘の朝の様子。そこには新たな住人も来るようで、まだまだ物語が続いてくことが感じられます。寂しいけれど、どこかほっこりする結末でした。
また、最終11巻はほぼ半分がその後のストーリーということで、そちらもお見逃しなく。それぞれの人物のアフターストーリーに今まで追いかけてきた読者ならジーンとしてしまうはず。
それにしても、読者の皆様は「勇者ウサの冒険」を覚えておいででしょうか?真弓が彼の青臭さを最大限に下ネタに寄せてつくったストーリーなのですが、それがまさかの伏線になっていたことも明かされます。どういう展開で出てくるのかは、ぜひご自身でご覧ください。
いかがでしたでしょうか。こうしてみると、穏やかな日常を送っているだけのように見える『僕らはみんな河合荘』ですが、一巻一巻でちゃんと進展しているのがよくわかりますね。9巻では、いよいよ宇佐と律の二人の関係に決着がつきましたが、まだまだどうなるかが予測できません。河合荘の住人たちに、これからどんな変化が起こるのか。続きを楽しみに待ちたいと思います。