QOOLANDの平井拓郎さんによる連載書評コラム。今回は『「わかりやすい」文章を書く全技術100』、『ザ・コーチ』、『「やっぱり怖くて動けない」がなくなる本』を取り上げます。
Amazonがやっている「月額980円で電子書籍読み放題」というサービス、その名もkindleunlimited。去年の夏に日本でもスタートしたので、まだ始まって1年程度のサービスです。
僕は電子書籍大好き人間なのですが、まだまだ「やはり紙じゃないと!」という方もいらっしゃるでしょう。それも分かりますが、慣れてしまうかなり便利です。iPhoneはいつでも持っているのでスキマ時間がすべて読書になりました。
それに電子はなんといっても安いです。紙、インク、配送費、人件費がかからないので大幅なコストカットに繋げられるのでしょう(雇用が消失しているとも言えますが……)。
話逸れましたね。
さて、このkindleunlimitedですが、読みたい本が全部読めるわけではありません。どうにもそこが賛否を生んでいるようです。しかし、これを機に普段読まないジャンルや作家の本を読みまくるという点においては無双レベルに読めます。今年の夏はこれまで触れてこなかった思想に多く触れたように思います。本好きならば入会一択ではないでしょうか(まわし者とかではないです)。
「わかりやすい」文章を書く全技術100 Kindle版
2016年04月06日
kindleunlimitedのランキング1位だったので読んでみました。「書き手の基準ではなくて、読み手の基準で書くこと」という哲学のもとに組み込まれている文章作法は、読んでいて気持ちいいものでした。この感覚は音楽を書くときでも同じです。忘れるといけません。改めて「どうしたら伝わるか」というのを考えさせられる一冊でした。メールでもLINEでもツイッターでもインスタでも「書く」は付き物です。読みやすい文章というのは思いやりのある文章とも言えるかなぁと感じます。
- 著者
- 谷口 貴彦
- 出版日
- 2016-11-08
昔読んだのですが、もう一度読み返してみました。目標、目的、夢、ゴール、ビジョンの違いを精査するためのベストセラーです。良書は時間が経って読み返すと、また違った魅力がありますね。論理的かつストーリーも愛に満ちていて大好きな啓発本です。何か達成したいことがある人はこの機会に読んでみると、いい視点が手に入ると思います。「コーチングの効果を疑似体験できる本」というのは多々ありますが、その中でも最高の一冊です。「夢ゾウ」より少し大人向けって感じです。
- 著者
- 石原加受子
- 出版日
- 2012-04-20
テーマとして「他者中心は『思考』に囚われて行動しがちです。自分中心は『自分の気持ち、感情、意志』を大事にした行動をとる」ということが書かれています。そして、その「◯◯しなければいけない」からどうやったら自分を開放できるかを丁寧に説明してくれている一冊です。
相手が言っていることは、“意見”や“感想”に過ぎない。相手が高圧的な言い方や怒った言い方で私を動かそうとしても、私は、相手の言うことに従うことはない。私がそれを選択するかどうかは、心から私の自由だ。相手よりも、私は自分の気持ちや感情や意志を、もっと大事にしていいんだ。
という言葉が胸に刺さって抜けませんでした。
「自動思考に気付いて、やめる」という点は認知行動療法に似ていると感じましたし、「自分や人の感情に振り回されないようにする」という点はNLP(神経言語プログラミング)に似ていると感じました。
僕自身、心療内科通いが長かったのでスッと入ってきました。「空気読め」と言われる社会ですが、他人のことを考えるのは自分のことがちゃんとできるようになってからでいいですね。
でも、この一冊が書店に置かれていても、まず手に取らないだろうなぁと思います。表紙がかわいすぎてレジに持って行けない気がします。でも「読み放題」でオススメで飛んでくると「読んでみるか」という気になりますね。おかげで嬉しい価値観に触れることができました。石原先生の別の本も読んでみたいです。
本と音楽
バンドマンやソロ・アーティスト、民族楽器奏者や音楽雑誌編集者など音楽に関連するひとびとが、本好きのコンシェルジュとして、おすすめの本を紹介します。小説に漫画、写真集にビジネス書、自然科学書やスピリチュアル本も。幅広い本と出会えます。インタビューも。