告白
湊かなえさんの代表作と言っても過言ではないこの小説、これほどまでに衝撃作という言葉が似合う小説にはなかなか出会えないんじゃないかと思います。教師が生徒を追い詰めていく、という点では『悪の教典』などと同じような系統かと思いきや、まったく別の視点から責めていくところが湊かなえワールドだなと感じます。
そして、自分まで胸が苦しくなる、惹き込まれる、そんな湊かなえさんの小説の醍醐味となる部分が楽しめる小説となっているのではないかと思います。なにより発想が斜め上すぎて、そうきたか……と何度も「騙され」ます。次はどんなトラップを掛けてくれるんだろう、と慣れてくるとどんどんワクワクしてしまうのが、狡いなと感じます。この、狡さにとことん浸ってしまうのも一つの手かも知れません。
夜行観覧車
家族を題材にした作品。真逆とも言える2組の家族を中心に回るこの物語。ミステリー小説って、裏をかけば良いのかと考えてる方にぜひ読んでいただきたいです。自分の中で選択肢にも入っていなかったような考えが浮かんできたり、頭を殴られたような衝撃が走ったりと、まさにミステリー!といった印象です。
何よりこの物語を読んで感じるのは、家族って普通が一番だなということです(笑)。風紀が乱れても、理想を追い求めすぎてもダメなんだと、自然体でいられる家族に囲まれていることが幸せなんだと思います。……と、感想文のような文面になってしまいましたが、身近な誰にでもありえる設定になっているからこそ、リアリティが溢れていて余計に怖い、と感じることができるのではないかと感じます。
贖罪
私がこの世の中の小説で一番好きな作品と言ってもおかしくないほど、何度も何度も読んでいる本です。とにかく面白い、の一言に尽きます。少女時代の出来事を大人になってからの事件や問題にリンクさせ、それぞれが「罪を償う」。
小学生の頃、ある一つの事件に巻き込まれた少女達はそれぞれ違った心の傷を負って、それでも生きていく……誰がこんな酷いことをしたのか、そして彼女たちはどのような方法で罪を償うと決断し、どんな行動に出るのか、女性の愚かな部分も、強い部分も、儚い部分、美しい部分も、魅力が詰まった物語になっているのではないかなと思いました。
ページをめくれば湊かなえさんならではの作風や表現方法を味わうことができ、物語に惹き込まれるのも時間の問題です。