秋の夜長にオススメなミステリー
初めまして。今月からリレー連載をさせて頂きます、バクステ外神田一丁目の志賀優里香です。物心ついた時から本が大好きで、休み時間や移動中など、時間があれば読書をしてきました。本って、現実世界では出来ないような事を、想像で疑似体験することが出来るので魅力的です。

ところで皆さんは、秋と言えば何を思い浮かべますか? 秋と言えば、スポーツの秋、芸術の秋、食欲の秋、そして読書の秋。私は、少し涼しくなって過ごしやすくなるとなぜか、夜中に本を読みたくなります。しかも、ミステリーを。本のジャンルではミステリーが一番好きなのですが、中でも、イヤミスという読んだ後いや~な気持ちになるミステリーが大好きです。読み始めると面白くなって止められなくて、夜更かししてしまうことも何度か……。犯人や推理が分からないまま、終わりたくないんですよね。夜更かしに気をつけつつ、秋の夜長の本選びの参考にして頂きたい、ミステリー小説をご紹介します。

綾辻幸人が描く、ホラーミステリーの先駆け

著者
綾辻 行人
出版日
2009-10-30
今まで読んだ全ての本の中でも、一番と言っていいほど好きなお話です。私の好きな要素である、殺人・血・推理・謎の少女・少しグロテスクというのが全て詰まっています。ある中学校にまつわるお話で、謎の〈現象〉によって次々と死が訪れてしまう。そんな、有り得ないような怖い設定でも、登場人物達の心理が細かく描かれていて、〈現象〉以外の部分は普通の世界なので、違和感なく入り込んで、一気に読んでしまいました。

〈現象〉のせいで死んでしまう、という要素はホラー作品のようですが、犯人を探すというミステリーな部分もあるので、ホラーでありミステリーでもあるという、新しいジャンルの作品です。ホラーでミステリーでサスペンスで、さらには学園もの。ジャンルが一気に集まっているので、どんな方にも楽しんでいただけると思います。

大人になるって、こういうこと?

著者
桜庭 一樹
出版日
2009-02-25
桜庭さんの作品で、初めて読んだお話です。タイトルから、甘い感じでフワフワしたお話かなと思っていたら、全然違いました。 やけに大人びている中学生と、嘘つきで子供っぽい中学生が、いい意味でも悪い意味でも、社会を知って成長していくお話です。

家族とはなにか、家族のあり方を教えてくれます。また、子供という立場の不自由さや理不尽さ、他人と生きるために折り合いをつけていくという、大人になっていくうえで大事な成長過程を感じ、懐かしさと共に、もう子供には戻れないんだという淋しい思いをしました。失踪した藻屑を探したり、心理クイズなどもあって、ミステリーな要素も入っているので、そこも楽しめると思います。

「殺人鬼」という存在から考える、人間の本質

著者
真梨 幸子
出版日
正直、好き嫌いが分かれるお話だと思います。でも、好きな人はハマってしまう物語です。これは、子供の頃から殺人を犯してきた主人公・フジコの人生を追った物語です。フジコも含め登場した全員が、ハッピーには終わりません。読んでいて嫌な気持ちになったりもします。

でも、殺人鬼となっていくフジコの狂気に魅了され、読む手を止められない、中毒性のあるお話です。親から育児放棄されていたり、育ての親に殺人をするよう仕組まれていたり、残忍な殺人鬼の話ではあるけれど、殺人をしなくてはどうしようもなくなってしまうフジコの気持ちや苦しみが分かるようになり、フジコが特別に異常なのではなくて、私たち人間の心にも少しはある感情なのではないかと、共感や同意出来る部分が沢山あります。ミステリーとしても、どんでん返しがとても面白いです。「あとがき」までが物語なので、最後まで気を抜かずに読んで下さい。
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