ヴィクトリア女王の意外な逸話7つ!大英帝国の象徴である彼女の生涯とは

更新:2021.11.9

ヴィクトリア女王は、大英帝国が繁栄を極めた時代の代表的な女王です。英国の憲法は不文憲法のため、国王の政治的権力の規定が曖昧で、現代とは違い、政治や外交にかかわりながら繁栄の時代を生きました。その生涯や歴史的背景を収めた本を紹介します。

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ヴィクトリア女王とは

ヴィクトリア女王は1819年生まれ、大英帝国のハノーヴァー朝第6代女王です。父親は、ハノーヴァー朝第3代国王であるジョージ3世の4番目の王子、ケント公エドワード。そして母親は、ドイツの血をひくケント公妃ヴィクトリアで、彼女はひとり娘でした。

生まれた時点では、叔父3人と自身の父親の次の王位継承者で、5番目にあたり、叔父に子供ができれば王位の座はなくなるという王位には遠い存在でした。しかし叔父と父親が死亡して国王が亡くなると、18歳で大英帝国の女王となります。

その後は大英帝国の繁栄期の女王として、波乱の人生を送ったのです。
 

ヴィクトリア女王の生きた時代

ヴィクトリア女王の在位した1837年から1901年は、日本でいえば江戸時代末期から明治34年の期間。在位の長さではエリザベス2世に次いで2番目ですが、その間に大英帝国は、陸地面積および人口も世界の4分の1にまでおよぶ巨大国家に成長しました。

そのため彼女が在位していた約64年のあいだで、ヨーロッパ大陸をはじめ世界各地の植民地で、イギリス軍の戦争しない期間はたった2年間しかありませんでした。

イギリスの首相は何代も交代しましたが、彼女は強い意志でその生涯をまっとうしました。

ヴィクトリア女王について意外と知らない7つの逸話

1: 絵がとても得意だった

絵がうまく、特にスケッチ画が得意でした。彼女の自画像、歴代の英国首相やフランス皇帝ナポレオン3世の絵は、ロイヤル・コレクションに残されています。
 

2:背が低くて、おデブちゃんだった

彼女の身長は145cmにも満たないくらいでしたが、体重は結婚前で56kg、1880年には76kgになっていたのです。そのせいもあってか非常に暑がりで、宮殿内で女王が臨御される前には、待従たちが窓を開けておきました。

3:結婚は、ヴィクトリア女王からイケメンのアルバートにプロポーズ

アルバートは母方の兄の子供であり、周りからの勧めで結婚相手とされていましたが、当初彼女は結婚に乗り気ではありませんでした。

しかし久しぶりに引見したところそのイケメンぶりに惹かれ、ヴィクトリア女王の方からプロポーズをしました。

4:性格は直情怪行で、わがままで短気だった

彼女はイギリスの歴代の首相とよく揉めていて、夫のアルバートがその調整役として存在していなければ、イギリスの歴史は変わっていたかもしれません。

歴代の首相のなかで最も寵愛を受けたディズレーリは、女王陛下と付き合うコツは、決して拒まず、決して反対せず、受け入れがたい要求には物忘れした振りをすることだと後に語っています。

5:アルバートの死後、約10年間喪に服した

彼女は、心から愛していたアルバートが亡くなってから10年以上隠遁生活をしていました。政治家たちは、女王が政治に口出ししないのを歓迎する者もいましたが、その長すぎる隠遁期間は、やがて民衆から公務の復帰を求める声に繋がりました。

6:夫の死亡のあと、秘密結婚をした?

最愛の夫アルバートが死去して、隠居生活で引きこもっていた女王に、体に悪いと待医は乗馬や馬車で出かけることを勧めました。その関係で親しくなったのが、夫の馬係であったスコットランド人のジョン・ブラウンです。当時は王族や首相も、ヴィクトリア女王に会うためにはブラウンを通さなくては会えませんでした。

2人の親密な関係はマスコミにも取りあげられ、不釣り合いな関係は世間でも噂になりましたが、実際に夫婦関係があったかについては今でも不明です。

7:カナダの首都オタワに決め方は?

カナダの首都をオタワに定めたのはヴィクトリア女王ですが、その決め方は目をつぶってピンをカナダの地図の上に刺すというものでした。

ヴィクトリア女王はまさに戦う女王だった

彼女は大英帝国の大繁栄期にたまたま女王になった幸運な女王、と思われる方もいるかもしれませんが、彼女自身の育った境遇は、女王になるとは想像できないものでした。

即位したこと自体もひとつのドラマですが、女王になった後も、現代と違い政治に関わることが非常に多く、その独特の個性から戦いの連続でした。波乱万丈の彼女の生涯を知ることができる一冊です。

著者
君塚 直隆
出版日
2007-10-01

植民地を世界各地に築いて、世界最強の帝国に君臨したヴィクトリア女王。4人の息子と5人の娘でヨーロッパの各王室と血縁を深め、独自外交を展開して、時の首相たちともしばしば対立しました。

多くの政権交代や首相の交代があり、さまざまな陰謀にも遭遇しましたが、その都度打ち勝っていく女王の実像が描かれています。

写真や絵画で解説したヴィクトリア女王の生涯

歴史書として、分かりやすい写真や絵画などを中心に語っている一冊です。

ヴィクトリア女王の生涯のみならず、19世紀のイギリスの生活や文化を知るにはおすすめです。

著者
デボラ ジャッフェ
出版日
2017-08-22

彼女の在位期は大英帝国の最盛期で、約64年にわたって続きました。女王の波乱万丈の生涯とそれを取りまくイギリスの社会、政治、庶民の生活、文化や世相を、約200枚の写真や絵画などを中心に解説した、目で見る歴史書です。

19世紀の世界は、日本を含めまさに激動の時代で、なかでもイギリスは多くの植民地問題を抱えており、当時の世界史が分かる貴重な資料となっています。

大英帝国の最盛期を作り上げた女王の素顔

実際に女王のそばに使えた人たちが、日常の彼女の姿や、女王を取り巻く人たちの関わりあいなどを書き綴った書簡などをもとにして、隠れたエピソードや王室の様子をリアルに描いた作品です。

そばで接していた人しか知り得ない情報がいっぱいで、まさに彼女の素顔が垣間見える資料といえます。

著者
ケイト ハバード
出版日
2014-11-17

女王の女官、秘書官、主治医、首席司教、インド人使用人が遺した日記や書簡から彼女の素顔に迫り、あまり公表されていない真実に驚かされます。

イギリス王室の生活や内部はなかなか情報として知り得ませんが、当時の変動する歴史と合わせて読んでみると、ひとつのドラマのように見ることができるでしょう。

ヴィクトリア女王になる前のお話

19世紀に世界ナンバーワンの帝国、大英帝国の女王であったヴィクトリアでしたが、即位する前は女王になるなどとは想像もできない境遇でした。王位継承権は5番目で、父親は貧乏、さらにもっと不幸な状況にも追い込まれていました。

本書は、ヴィクトリア女王の生涯というよりも、ヴィクトリアが女王になる前の幼少期と、女王になってからの初期の治世時代に焦点を当てた作品になっています。

著者
S. ワイントラウブ
出版日

19世紀に大繁栄した大英帝国の女王であったヴィクトリアでしたが、生後8ヶ月で父親が死亡し、幼少期は彼の借金と、英語をほとんど話せないドイツ人の母親との暮らしに苦労しました。

また、跡継ぎのいない叔父たちの跡目をめぐるさまざまな陰謀があり、苦しい境遇が続きます。

まさか自分が女王になるとは思ってもいなかった彼女でしたが、国王の死去により事態は一転、18歳で大英帝国の女王となってしまったのです。波乱万丈の人生が綴られています。

ヴィクトリア女王の人生はいかがでしたか。正に英国の繁栄した歴史を目の当たりにし、当時その軸となった女王の生き方を知ることは壮絶なドラマを見ている感じがします。ここに紹介した本でさらに感動を味わってください。

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