際立ったキャラクターが織り成す甘酸っぱい青春を描く学園漫画『ホリミヤ』。2021年にはテレビアニメ化や実写ドラマ化することが決まり、話題を呼んでいる本作。 その魅力を個性豊か過ぎる登場人物に焦点を当てながら、最新12巻のエピソードも交えつつご紹介致します。
派手な外見で成績優秀の人気者、だけど家では家事や弟の世話に追われる女子高生の堀京子(ほりきょうこ)と、学校では根暗で目立たないけど耳にはピアス穴がたくさん開いているうえ、全身にタトゥーを入れている宮村伊澄(みやむらいずみ)。『ホリミヤ』はそんな2人を中心に描かれる、甘酸っぱくてちょっと切ない青春漫画です。
2021年1月からはテレビアニメが放送開始。詳しくはTVアニメ「ホリミヤ」公式サイトをチェックして見てください。
本作最大の魅力となるのは、ギャップや癖を持つキャラクターたち。堀と宮村による学校と私生活のギャップももちろん見どころですが、それは本作のつかみにすぎません。それぞれのキャラクターが持つ、言葉では表現しきれない思春期特有の心を、表情や間を使って巧みに表現しきっているところに注目してください。
ちなみに元々は「読解アヘン」というWEBページで連載されていた漫画『堀さんと宮村くん』を、新たな構成で描いた作品です。無料で読めるWEB漫画もオススメですが、そちらを読めば絶対に『ホリミヤ』も読みたくなるでしょう。
今回はキャラクターひとりひとりの魅力を、エピソードと合わせて紹介いたします。
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- 著者
- ["HERO", "萩原 ダイスケ"]
- 出版日
出典:『ホリミヤ』1巻
主人公の堀京子は、優秀成績なうえに明るい人柄でクラスの人気者。しかし家では家事や弟の世話に追われる忙しい女子高生です。ある日ケガをした弟の創太(そうた)を家まで連れてきてもらったことをきっかけに、目立たないクラスメイトの宮村伊澄と仲良くなります。
学校では暗い様子の彼が私生活ではピアスだらけ、という別人ぶりに驚き、そして普段学校では見せないすっぴん姿で家事をする姿を見られて動揺するも、創太が彼に懐いたことをきっかけに、宮村は頻繁に堀家を訪ねるようになりました。
そんな関係から、学校でも家でも顔をあわせるようになった2人は、お互いしか知らない事柄を増やしながら徐々に距離を縮めていきます。
出典:『ホリミヤ』1巻
堀京子はクラスの人気者な反面、両親が共働きのため、家事と、幼稚園に通う弟の世話に追われる苦労人。「自分がしっかりしなくては」という責任感からか、人に頼ることが苦手な甘え下手です。
しかし、そんな自分の気持ちを自然体で聞いてくれる宮村に対して、少しずつ頼ったり甘えたりできるようになります。
風邪をひいた堀の元に宮村がお見舞いに来た際、彼は看病のために1度部屋を出ようとしましたが、堀は宮村を引き止めて部屋の外に行かせません。彼が引き止める理由を聞いても、朦朧な状態で「どこに行くの」「なんでいないの」と何度も問うばかりです。
その時、彼女の真意に気づいた宮村が「どこにも行かない」「ここにいるよ」と優しく伝えたことで、彼女は自分が「行かないで」と伝えたかったのだと気づくのでした。その時の堀の姿は、読者の印象に残るでしょう。今まで甘えたい時に甘えることができなかった彼女の、本当の気持ちが溢れたシーンです。
普段の強い口調に隠された弱い一面も持ちながら、責任感が強く、家事や弟の世話をこなす家庭的な面も持つ、魅力的な女の子です。
出典:『ホリミヤ』1巻
宮村伊澄は、クラスでは目立ちたくないという理由から髪を伸ばし、伊達眼鏡をかけ、地味で根暗なイメージを作っている少年です。
しかしプライベートでは、耳や口にたくさんのピアスをつけ、体には大きなタトゥーを入れています。学校ではそれを隠すため、夏でも常に長袖・長ズボンを着用していなければなりません。ちなみに、タトゥーは衝動で彫ってしまうことがあるのだそうです。
ケガをした堀の弟を送り届けた日から彼女の家をよく訪ねるようになり、堀と仲良くなりはじめてからは、他のクラスメイトとも打ち解けていきました。
自分へのコンプレックスから、堀と付き合うことなどないと考えていた宮村でしたが、夏風邪を引いた堀を看病した際、弱々しく自分を頼る彼女をなだめ唐突に告白したことをきっかけに、2人は付き合うことになります。
温厚な性格でド天然ですが、時には毒舌を炸裂させるなどの黒い一面も持っています。「堀とつりあわない」と揶揄する周囲の声に気づき、目元が隠れるほど長かった髪を突然バッサリ切って登場し、その代わり映えに周囲を驚かせるような大胆なところもあります。
堀のわがままも温和な態度で包み込む宮村の姿からは、彼女への愛と器の大きさが感じられるでしょう。
- 著者
- HERO
- 出版日
- 2012-11-27
石川透(いしかわとおる)は堀と宮村のクラスメイト。宮村にとってはクラスで初めてできた男友達で、彼のタトゥーのことを知っている数少ない人物のひとりです。堀の明るい性格に惹かれて好意を寄せて告白しましたが、振られてしまっています。
基本的に協調性と融和性が高くて面倒見も良く、男女関係なく人の懐に入り込むのが上手です。
窓から落ちてきたプリントを拾ったことをきっかけに、生徒会役員の女の子・河野とも仲良くなったり、突然男子に告白されたことで困っていたクラスメートの吉川に頼まれ、彼氏の振りをしたりと、女性関連の話題も豊富です。
石川の包容力はさながら保父さんのようで、多くの場面でみんなのフォロー役を担っています。
吉川由紀(よしかわゆき)もまた、堀と宮村と同じクラスの女の子で、明るい性格とぶかぶかのセーター姿が特徴です。堀や石川とは元々仲が良く、2人が関わることをきっかけに宮村とも仲良くなります。
ある日、堀の元を訪れていた普段の姿の宮村とばったり会いますが、まさかあの暗くて目立たないクラスメイトだとは気づかず、彼を「堀のいとこ」だと勘違いし、一方的な憧れをもっていたことがありました。
彼女は同じクラスの石川に淡い恋心を抱いており、同学年のイケメン男子・柳から告白をされた際には、石川に恋人の振りをしてもらって断ります。ただ、自分が求めているものを無意識に遠ざけてしまう一面があり、なんとなく石川に思いを寄せながらも、気持ちに素直になることができません。
普段の明るい様子とは裏腹に、思春期らしい複雑な心を持つ女の子です。
- 著者
- ["HERO", "萩原 ダイスケ"]
- 出版日
- 2016-11-26
堀たちと同学年で、生徒会長の仙石翔(せんごくかける)。登場時は会長らしく強気な態度を見せていましたが、根は小心者で、宮村や石川たちと仲良くなるにつれ、徐々に飾らない姿を出すようになります。
登場時は、堀に生徒会の仕事をさせ、彼女の責任ではない失敗を咎めようとするなど性格が悪いように描かれていましたが、実は堀とは幼馴染で、昔からよくいじめられていました。高校入学前に雪で滑って転んだ際は、面白がった堀に何度も地面に尻をつかされたこともあります。
生徒会役員の美少女・綾崎とは恋人関係で、同じく生徒会役員である河野とも仲が良く、息の合う生徒会トリオとして周知されています。
小心者ではありますが、それでも勇気を出して苦手なことにチャレンジできる内面の強さも持っている愛らしいキャラクターで、綾崎は彼を「誰にも負けない頑張り屋さん」と評していました。
生徒会役員で仙石の彼女、綾崎レミ(あやさきれみ)は、堀たちの学年ではトップクラスの美少女です。同じ生徒会の河野とは中学からの付き合いで親友なのですが、河野は綾崎の面倒見役のような立ち位置でもあり、要領の悪い彼女は仙石や河野に何かと助けられていました。
しかし、そんな風に少し抜けている様子を見せる反面、堀に対して「宮村をちょうだい」と言ったり、目的の読めない言動や行動で人を動揺させることもあります。
仙石いわく「守りたいと思わせてくれる存在」で、彼女の行動や言葉は直接的な意見とはまた別に、人の行動を後押しするようなことがあると言います。「綾崎を守っているようで、自分や河野も彼女に守られている」という仙石の言葉は、彼女のことをよく表しているセリフでしょう。
可憐な容姿の裏に、見えない強さを持ってる女の子です。
- 著者
- HERO
- 出版日
- 2015-05-27
堀たちと同級生で、石川とは幼馴染の井浦秀(いうらしゅう)。学校では天真爛漫な、やや騒がしいキャラクターで、宮村が髪を切った時には1番大きなリアクションをとりました。しかし、彼が騒がしくなるのは周りに人がたくさんいる時だけで、家ではもの静かに過ごしています。
妹の基子のことを大切にしており、彼女が異性の同級生を家に連れてきたときに、模造刀を構えて出迎えたこともありました。
ムードメーカーで、時々うるさすぎて無視もされますが、彼らの輪にいなくてはならない愛されキャラクターです。
- 著者
- HERO
- 出版日
- 2013-04-27
千石や綾崎と同じ生徒会役員の河野桜(こうのさくら)は、他人思いでもの静かなメガネ女子です。何かと人の機微に気づくことが多く、3人の中では1番のしっかりものと言えます。それほど露出した格好をしないので目立たないですが、かなりの巨乳の持ち主です。
落としたプリントを拾ってもらったことをきっかけに、石川に好意を抱きます。服が汚れてしまった際に彼にジャージを借りてそのお礼にクッキーを渡したり、彼とのやりとりに顔を赤らめたりと、乙女な一面も見せますが、最終的には石川と吉川の関係を気にして身を引きます。
個性も癖も強い登場人物のなかで、数少ない常識人です。
石川に告白して身を引いた後は、自分の心にけじめをつけたことで、今までよりも明るくなり魅力を増していくのでした。
11巻は仙石の家でのお泊り会からスタートします。はじめは良好な仲とはいえなかった仙石と宮村、石川、井浦が仲良くしている様子はとても和やかです。互いへの遠慮もほとんどなくなっていて、何より友達の少なかった宮村の楽しそうな様子は、読者を嬉しい気持ちにさせるでしょう。
石川と吉川の関係にも少しずつ変化が生じてきます。柳からの告白を断った吉川と、河野からの告白を結果として断った形になってしまった石川は、周りからはすでに付き合っているものだと思われていました。
しかし、石川は吉川のことを「友達以上恋人未満な関係」だと言います。そのうえ堀への未練を感じさせるなど、彼の態度は煮えきりません。
そんな2人ですが、吉川が彼の家に来たシーンでは、あらためてお互いを意識していることがわかる描写があります。その場で関係が発展することや、どちらかが猛アタックをかけることはありませんでしたが、今後の2人の関係を示唆するようなエピソードとなっています。
- 著者
- HERO
- 出版日
- 2017-08-26
宮村マニアの変人・渡部一郎(わたべいちろう)の行動も必見です。なぜか宮村のことが好きで、彼の写真を撮り、携帯には「宮村専用フォルダ」を作り、宮村に話しかけられるたびにハートを飛ばす新キャラクター。この漫画のなかでも相当変わり者だといえるでしょう。
また、宮村が堀の髪型をいじるエピソードでは、恋人同士の2人の可愛いやりとりが見えます。朝、堀が寝ぼけている間に、彼女の頭をおだんごにしてひとしきり「可愛い」と褒める宮村。学校では堀以外の人の髪を観察するも、最終的には堀を見て「彼女が1番可愛い」とのろける姿から、2人の仲がより一層深まっていることが伝わります。
11巻の最終エピソードは、堀と宮村それぞれの視点からお互いをどのように見ているのか描かれており、さらに仲良くなった2人の様子が分かる素敵なお話です。
12巻は、桜と柳の話がメイン。かつては宮村も同じように陰キャだったものの、もともと私生活ではそこまで地味ではなかったということと、掘含む周囲の影響で変化し、今では大人しく見えるのはグループ内で桜だけになってしまいました。(時々やらかすこともある子ですが)
そして、そのキャラクターゆえに、人気者の柳と共通の趣味である「週刊シノビ」について談笑しているところを周囲から妬まれてしまい……。
- 著者
- ["HERO", "萩原ダイスケ"]
- 出版日
- 2018-05-26
「つりあってない」とあからさまに陰口を言われ、落ち込む桜でしたが、柳との会話に癒されます。というか、それは読者も同じ。何なんでしょう、この2人、かみあってないのに超可愛いのです。
しかも天然人たらしの柳の最後の一言の破壊力よ……。どうやらこの2人はくっつきそうですが、何かと苦労することになるのは、やはり桜になりそうです。グループ内での立ち位置といい、母性が溢れているがゆえにこうなってしまうのでしょうか。
そして、そんな初々しいカップルを横目に、何と宮村は掘の父・京介に「娘さんをください」宣言!? その場に立ち会わせてしまった掘の様子、アワアワする宮村の表情に注目です。
魅力的なキャラクターで描かれる青春漫画『ホリミヤ』。物語が進むほど輝きを増していく彼らが織り成すエピソードのひとつひとつがオススメで、1度読めばくり返し読みたくなるような作品です。
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