最近までモノブライトはレコーディングをしておりました。現場と言われるところにはクレイジーな方がたくさんいらっしゃいます。例えば、実際に録音するレコーディング・エンジニアという職種の方。僕にすればこの作業をカイジ的に言えば圧倒的狂気!です。一般人はともかく僕らにも聴こえない音を聴き分けて世界に一個しかないイカした立体パズルを完成させるみたいに、サクサク音を配置していくわけです。また、そこからさらに聴き分けてツヤ出し作業をするマスタリングエンジニアという方までいたりする。彼らにとってはスピーカーの前が日常生活なわけで当たり前に常人の耳ではない。何年もやって気づくことがあるって言うのだからこれはもうやっぱり狂気の沙汰。作業じゃなくてあくまで「好き」を突き詰めてるというこれはもう変態です(憧れるという意味ですよ)。
今回紹介させて頂く本に登場する方々はもっともっと特異な生活を送ってます。あえて非日常に身を置いて何かを探す人、逆に望んでいないのに迷い込んでしまった人、非日常にいることにまったく気付いていない人、命を削るような生き方しかできない不器用な人、他人にはわからなくても幸せになった人。そんな非現実が心を打つ5冊です。
酔いがさめたら、うちに帰ろう。
アルコール依存症だった著者の自伝的私小説。個性豊かな患者の集まる病棟でのおもしろ入院生活がどこかのんびり書かれています。きっと大爆笑します。ようやくその「酔い」が覚めて再出発するラストで、僕は大号泣してしまった思い出があります。僕も普段からお酒を飲むのでアルコール依存症についての知識は豊富です。好きだからこそ調べます。余談ですが著者を調べたら僕と同じ高校でした。先輩だった!という嘘みたいなホントの話。
今夜すべてのバーで
こちらもまたアルコール依存症が題材の著者の実体験を元にした小説です。他患者の奇行などポップに描かれていますが、ある種一番人間らしくひん曲がっているのが実は主人公を担当するお医者さんだったりする。幻覚の世界と日常を覚めた目で見る世界の対比がリアルです。