言葉は生き物――モモカンが選ぶ「詩集」

言葉は生き物――モモカンが選ぶ「詩集」

更新:2021.12.13

みなさんの好きな本のジャンルはなんですか? 私は「詩集」です。音楽にのせて歌詞をじっくり聞くのも好きですが、音のない言葉と向き合うのも好きです。詩の中にでてくる言葉は、読む人によってきっと捉え方もそれぞれ、自分でも気分次第で違う読み方もできるから面白いです。そして何より詩の中の言葉は、言葉が言葉として一番生き生きしてるように思うんです。

2015年3月、BiSHのメンバーとして活動を開始。2016年5月のシングル「DEADMAN」で早くもメジャーデビュー。2017年7月に幕張メッセイベントホールで行われたワンマンライブ「BiSH NEVERMiND TOUR RELOADED THE FiNAL “REVOLUTiONS“」をSOLD OUT。12月には、結成からわずか3年で『ミュージックステーション』に出演し、“楽器を持たないパンクバンド”として強烈な個性を見せつける。その間、『KiLLER BiSH』『THE GUERRiLLA BiSH』の2枚のフルアルバムを発表。現在のメンバーはモモコグミカンパニーの他、アイナ・ジ・エンド、セントチヒロ・チッチ、ハシヤスメ・アツコ、リンリン、アユニ・Dの6人。2018年3月、初の著作『目を合わせるということ』を上梓。 http://www.bish.tokyo/
泡の子

ともだちは実はひとりだけなんです

「身体に伝わるあのころの感じ」

少女のかわいい本音がつまった一冊です。いま14歳の子と話してと言われても、正直、なにを話していいかわからない。あの頃はどんなことを考えていたんだろう。どうして分からなくなったのだろう。昔は自分も14歳だったのに、ちょっとずつ変わっていって別の人間になったのかもしれない。きっとまた歳を重ねたら今の自分のことも分からなくなるかもしれない。

でも、この本を読んだら、あの頃のあの感じ、鮮明に思い出せたんです。そうそう、冬は制服が寒くてタイツを履いたなあ、お母さんがとにかくうるさかった、とか、文字にするとこのくらいのこと思うけど、身体に伝わってくるあの頃感じ。あのころも私だけど、きっと今とは違う人間だった自分に会える本です。

青い炎―山田かまち作品集

「思春期の心の叫び」

17歳という若さで亡くなった山田かまちさんの詩が集められた作品集です。本の中身は山田かまちさんが当時ノートに書きためていた詩や絵がそのまま印刷されていて、思わず本を閉じてしまいたくなるくらい感情がひしひしと伝わってきます。思春期のころの不安な感情、心の叫び、欲求、誰もがもっているはずなのに、ひた隠しにしてして1人で抱え込んでいたあのころの闇が再び蘇ってくるような感覚です。

山田かまちさんの詩は若者の青臭いような闇がつまっていて、その闇の中からなにか光も見えてくるような気がします。きっと何もかも嫌になってしまったときにこの本を開けば、自分の汚い部分も認めたくない部分も許せて安心できるのではないでしょうか。

二十億光年の孤独

「言葉は生き物」

谷川俊太郎さんは私の大好きな詩人です。谷川さんの詩は特に難しい言葉を使ってるわけではないのに、理解するのが難しいものが多いように思います。例えばこの詩集のタイトルになっている「二十億光年の孤独」という言葉だけでも、よくわかる人とわからない人がいると思います。ページをめくって行くとすっと自分の中に入ってくる詩もあるんです。

詩を読んでいて、自分でもそのときどきで、よくわかる時とわからない時があります。詩の受け取り方には正解がなくて、その人が受けとったものがすべてなんだと私は思います。きっと言葉は生き物なんです。谷川さんの書いた詩でも、私がその詩を理解できたら、その時にその詩は自分のものになるんです。詩は不思議ですね。

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