Web漫画で人気絶頂!女子が大好きな妖怪をテーマにした、優しさとコメディ満載の『不機嫌なモノノケ庵』。無料でしかも面白いときたら、絶対読まなきゃソン!でもその前に、どんな内容か知りたいという方のために、12巻までをネタバレありで紹介します。
『不機嫌なモノノケ庵』は、2013年からWeb漫画配信サイト「ガンガンONLINE」で連載している、ワザワキリ原作の妖怪コメディです。2017年9月現在、単行本は9巻まで刊行されています。
妖怪がテーマになっていることもあり、2016年のアニメ放送後は特に女性から支持を集めました。実はこの作品、漫画アプリ「マンガUP!」で無料で読めちゃうというスグレもの!絶好のチャンスなので、ぜひサイトにアクセスしてみてください。
ではまず『不機嫌なモノノケ庵』がどのくらい面白い作品なのか、チェックしてみましょう。
- 著者
- ワザワ キリ
- 出版日
- 2014-06-21
『不機嫌なモノノケ庵』は、主人公の芦屋花繪(あしやはなえ)と、物怪庵の2代目祓い屋の安倍晴齋(あべのはるいつき)が、現世にいるモノノケたちの悩みを解決したり、隠世に祓ったりする物語です。
素直で真っ直ぐな芦屋と、一見クールですが妖怪思いの安倍のふたりを主人公に、ドタバタしながらも優しさ溢れる「祓い屋家業」をまっとうしていきます。
悩みを抱えて「物怪庵」に足を運んできた妖怪に、彼らが向ける目はとても温かく、妖怪たちへの優しさが伝わってきます。妖怪であっても人間と同じように優しさや悲しみといった心があり、妖怪を通じて人間も成長していくホットなストーリーです。
祓う側と祓われる側、人間と妖怪という違いはあっても、頼り頼られといった繋がりがいつしか絆となっていく様子が、本作の魅力だといえるでしょう。
ストーリーのご紹介の前に、まずはふたりの主人公および、登場人物と用語をさらっと紹介していきます。
【芦屋花繪】
生花店を営む母と2人暮らしの高校生。モジャモジャに憑かれたことがきっかけで、祓い屋の奉公人をすることになり、日々安倍にコキ使われています。
【安倍晴齋】
祓い屋「物怪庵」の2代目主で、芦屋のクラスメイト。一見クールですが、妖怪思いの根は優しい人物です。
【モジャモジャ】
ぬいぐるみと間違われて、芦屋に救われた妖怪。元は人間に飼われていた犬でしたが、死してなお人間の温かさを求め、妖怪になっていました。
【隠世】(かくりよ)
死後の世界。神域。
【現世】(うつしよ)
この世の世界。現在の世。
【行政】【司法】【立法】
隠世の規律や法律などを扱う、政府のような3人の権力者。
この他にも魅力的なキャラが数多く登場します。可愛かったり怖かったりと個性的で惹き込まれる彼らの様子はぜひ作品でご確認ください。
高校生活をエンジョイしようと、ワクワクしていた新1年生の芦屋花繪。しかし毎日毎日、頭痛や吐き気、倦怠感に悩まされ、入学式以来7日間連続で保健室登校になっていたのです。
ある日、買い物帰りの芦屋が歩いていると、ふわふわモジャモジャしたものを踏んでしまいました。子供の落し物かと思った芦屋は、また誰かに踏まれないようにと買い物袋にいれて、歩道の端に寄せてあげたのです。
するとモジャモジャは、瞬時に芦屋の肩に貼り付いて、何をしても決して離れようとはしませんでした。それから芦屋は日に日に具合が悪くなり、逆にモジャモジャは肥大していったのです。
いつものように保健室登校となったある日。芦屋は、壁に張られたポスターの裏側に「妖怪祓いSTAFF募集」と書かれたチラシを見つけます。モジャモジャから解放される可能性が0.1%でもあるならと、全力で頼ってみたのですが……。
読むほどに深くのめり込んでいく『不機嫌なモノノケ庵』はいったいどんな作品なのか、ここからは巻ごとに紹介していきます。
【モジャと安倍との出会い】
楽しみにしていた高校生活が、7日間保健室登校となっていた芦屋花繪(あしやはなえ)15歳。モジャモジャと出会ったことが原因で、彼は具合が悪くなり、モジャモジャは大きく成長していきました。そんなときに芦屋が知り合ったのが、「物怪庵」の2代目主、安倍晴齋(あべのはるいつき)です。
安倍は、モジャモジャは元々人間に飼われていた動物が妖怪になったものだと言い、孤独のあまり自分を無視しなかった芦屋に憑いてしまったと伝えます。
【モジャとの別れが借金に】
モジャモジャが自分に憑いていた本当の理由を知った芦屋は、自分の都合だけ考えて、モジャモジャを見ようとしなかったことを反省しました。
その後モジャモジャは安倍が隠世に送り届けましたが、依頼を受けた以上タダというわけにはいきません。結果、芦屋は安倍に「隠世の通貨で100万怨(えん)」という借金を負うことになり、その返済のため物怪庵の奉公人になったのです。
- 著者
- ワザワ キリ
- 出版日
- 2014-06-21
【1巻のまとめ】
1巻での見所は、まず芦屋と安倍との出会い、そしてモジャモジャを通して、妖怪にも人間と同じように心があることがわかったことでしょう。これが、今後の芦屋の行動を左右するものとなっていきます。
また安倍は、芦屋からの依頼を受ける際、「芦屋」という苗字を聞いて、妙な反応をしているシーンがあります。なぜそこに反応したのかは不明ですが、芦屋はモノノケが見えるので、もしかしたら「芦屋一族」というのは、モノノケもしくは祓い屋と何か関係があるのかもしれませんね。安倍はこの苗字を聞いたから、彼のことを奉公人に引っ張った可能性もあります。
安倍が平安時代の陰陽師、安倍晴明の末裔という設定であれば、芦屋は非官人の陰陽師、芦屋道満の末裔ということでしょうか。(芦屋道満については、3巻の伏線考察をご覧ください)
【笑い面を取り戻す】
物怪庵には、「笑い面」を取り戻して欲しいという、ミツチグラ妖怪からの依頼が入っていました。ミツチグラは「怒り面」「泣き面」「笑い面」という3つの面で感情を表していましたが、そのひとつの「笑い面」を失ってしまったとのことです。
この依頼には、芦屋がひとりで解決に向かいました。物怪庵の扉を抜けて着いた清流寺で、禅子と出会った芦屋は、彼女の父親に笑い面が憑いていると知ります。笑い面を外すには、面の前で泣きっ面を見せる必要があるとのことですが、芦屋はどうしても泣けずに慌ててしまいます。一体どうやって外すのでしょうか。
【隠世で芦屋が泥棒に間違われる】
芦屋は安倍に、薬の買い付けとして隠世にある「鬼薬堂(きやくどう)」に連れてこられました。注文した薬ができるのを待っていた時、2人はモジャそっくりの妖怪を見かけます。芦屋は店を出て、追いかけてしまいました。
しかし、実はその妖怪はモジャではなく、泥棒野良妖怪だったのです。野良と一緒にいたことで仲間と勘違いされ、トラブルに巻き込まれそうになった芦屋の元に、本物のモジャが現れます……。
- 著者
- ワザワ キリ
- 出版日
- 2014-09-22
【2巻のまとめ】
2巻の舞台は隠世です。扉をくぐって真っ暗なトンネルを抜けた先に、隠世の街並みが広がっていました。現世とそっくりな街並みですが、ただひとつ違うのは、そこに妖怪が住んでいるということ。
安倍が芦屋を隠世に連れて行ったのには、何か理由があるのでしょう。奉公人とはいえ、「芦屋」という苗字に反応したというのも気になるところですが、もしかしたら3代目の祓い屋として育てようと考えているのでしょうか……。
「笑い面」では、父が子を、子が父を思う深い愛情が描かれています。それを気づかせる手伝いとなったのは、芦屋のふとした言葉でした。彼の感じたものがそのまま優しさとなって表れていくので、読み手にもジーンと伝わってくる物語です。
【安倍が芦屋の苗字に反応した伏線!?】
野良と一緒にいたことで、泥棒と勘違いされてしまった芦屋。そこに現れたモジャが芦屋を必死で助けようとしましたが、泥棒扱いした妖怪に投げ飛ばされ、大怪我を負ってしまいます。それを見た芦屋は、急に大人しくなると、異様な光を発しました。
それまで大口を叩いていた妖怪は、その光の強さに圧倒されます。
「その辺にいる妖怪等(やつら)とは格が違う まさか本当にこいつ物怪庵のーーー」(『不機嫌なモノノケ庵』3巻から引用)
妙な光を出し、いつもの雰囲気とは全く違う芦屋。しかしそこに安倍が登場すると、彼はいつものおっちょこちょいに戻っていました。
また、安倍が物怪庵の主だということが広まると、周りにいた妖怪たちが一斉に怯えた様子をみせます。どうやら隠世では、物怪庵の存在は恐れられているようです。
【おばあさんの指輪】
隠世から無事に戻ってきた芦屋と安倍への次の依頼は、亡くなった妻の指輪を捜して欲しいという、マンジロウという妖怪からのものでした。安倍とマンジロウで指輪を探しても見つかりませんでしたが、「金属系のものを探すのが得意」だという芦屋が探したとたんに見つかり、一件落着です。
- 著者
- ワザワキリ
- 出版日
- 2015-02-21
【3巻のまとめ】
芦屋から発された光は、妖怪を威嚇したかのような雰囲気がありました。また芦屋という苗字から、平安時代の呪術師で陰陽師の、芦屋道満の末裔の可能性が示唆されます。
芦屋道満は、非官人の陰陽師で安倍晴明(あべのせいめい)のライバルと言われた人物です。安倍晴明が「正義の晴明」とすると、彼は「悪の道満」と呼ばれています。晴明との術比べで敗れると彼の弟子になり、その後背いたと言われています。
このことから考えると、安倍が芦屋に興味をもって物怪庵の奉公人にした理由は、芦屋の様子を見るためなのか、持つべき力を抑えるためなのか……。2巻で芦屋を隠世に連れて行った理由とも繋がっているのでしょうか。
また芦屋は、マンジロウから依頼されたおばあさんの指輪を探す際、「金属系のものを探すのが得意」だと自分から話していました。同様に6巻でも「金属」に反応するシーンがあります。彼と金属の繋がりは不明ですが、この先その謎もわかってくるかもしれませんね。
【禅子の痣と妖狐の興味】
1巻の「笑い面」で知り合った禅子の手首に、最近になってアザのようなものが浮き出てきました。安倍によるとその痣は、妖狐に噛まれたのが原因とのこと。
妖狐は、安倍、芦屋、禅子と自分の4人でかくれんぼをして、安倍たち3人が勝てば痣を消すと言ってきます。
4人が墓地でかくれんぼしている際、安倍はその妖怪が、かつて自分が物怪庵の奉公人だった時に知り合ったヤヒコだということを思い出します。気づかれたヤヒコは安倍に、「例の噂」のことを尋ねるのです。
隠世で噂になっているもの……それは「安倍が物怪庵の主の座欲しさに、前の主を殺したのではないか」というものでした。安倍の答えは……?
【羽の生えた妖怪ジョウマツとアンモ姫の恋】
ある日芦屋のもとに、物怪庵を探しているという羽の生えた小型の妖怪、ジョウマツが現れました。ジョウマツは、鳥の姿をしたアンモ姫という妖怪に仕えています。恋が成就しない彼女のことを思い、自分とともに隠世に行けるように依頼してきました。
アンモ姫の恋の相手は、アンモ姫の姿を見ることができない現世の人たちだったので、彼女の恋が実ることはありません。何度も失恋をしているアンモ姫は、自分の殻に閉じこもってしまったそうでう。
実はジョウマツもアンモ姫のことが好きなので、彼女のそんな姿をみるのは辛かったのでしょう。しかし安倍の登場で、事態は意外な展開を迎えるのです。
- 著者
- ワザワキリ
- 出版日
- 2015-05-22
【4巻のまとめ】
ヤヒコが安倍に問いかけた「前の主を亡き者にしたか」という問いについて、安倍は否定をしていますが、本当のことろはどうなのでしょうか。
彼が首からさげて大切にしている薬入れにも、何か関があるかもしれません。
さらに、主の座を狙ったというより、主の名誉に関わることで誰にも話すことができない理由があるとか……。
【人間からの依頼】
ある日、物怪庵に人間から依頼が入ります。芦屋が向かった家には、厳しそうな母親と少女がいました。少女はオカルト系に興味があるようでしたが、芦屋は母親から「妖怪祓い」に関して厳しい言葉を言われてしまい、少々へこんで物怪庵に戻りました。
物怪庵には、かつて「おばあさんの指輪」で祓ったマンジロウが訪れていました。
【妖狐の巨大化と畑のノボウ】
禅子につけた痣のお詫びにと、ヤヒコは禅子の家である清流寺の手伝いをしています。しかし、ヤヒコに異変が起きたという連絡が入り、安倍と芦屋は清流寺に急いで向かいました。
そこにいたのは巨大化したヤヒコで、その原因がジャガイモにあるとした安倍は、芦屋と一緒に畑に向かいます。
2人は畑でノボウという妖怪を見つけましたが、ノボウは自分自身の呪縛により、畑から出ることができなくなっていました。その呪縛は、かつて親友だったカカシを救えなかったことによるもので、隠世に祓うためにはノボウ自身で呪縛を解かなくてはなりません。
【芦屋の視力を妖怪に】
ある日、翁(おぎな)と呼ばれる年老いた神の妖怪が物怪庵を訪れ、オットセイの姿をした妖怪トモリを隠世に祓ってほしいと言います。トモリは目が見えない妖怪で、芦屋のように妖怪の姿が見える人間から視力を借りると、見えるようになるとのことでした。
隠世に祓われる前にもう1度現世を見たいというトモリのため、芦屋は自らの視力を貸し出します。その間、芦屋は妖怪の姿が見えなくなりました。
本来であれば2~3日程度で元に戻るはずですが、彼は5日たっても妖怪の姿を見ることができません。見えなくなった芦屋に対し安倍は……。
- 著者
- ワザワキリ
- 出版日
- 2015-11-21
【5巻のまとめ】
盲目の妖怪に貸した人間の視力は2~3日で戻るとのことでしたが、5日たっても戻らない芦屋は、人間ではないということなのでしょうか。
それとも、芦屋の血筋からくる「何」かが作用して、視力が戻るのを遅らせているのかもしれません。
芦屋の存在自体をめぐって色々なことが起こり、複雑化してきました。これも安倍の予想していたことなのでしょうか。
【視力が回復しない理由】
5巻でトモリに視力を貸し、いまだ妖怪の姿が見えない芦屋は、安倍から物怪庵の奉公人を辞めるよう言われてしまいました。
実は安倍、隠世に出向いて芦屋の状況を翁に話したところ、「焦りが無いから戻りがゆっくりだ」と言われたので、奉公人を辞めさせるという体で芦屋のことを煽っていたのです。
その翌日、芦屋はヤヒコのもとを訪ねて何とかその姿を見ようと奮闘していましたが、現れた影に驚いて失神……しかしその影の正体はヤヒコで、それと同時に芦屋の視力も元に戻っていました。
- 著者
- ワザワキリ
- 出版日
- 2016-06-22
【6巻のまとめ】
安倍が芦屋の視力を戻そうとしていたのは、彼が奉公人だからということだけではなく、やはり彼の一族または祖先と関係があるからなのでしょう。
ただ、3巻の隠世での妖怪の発言や光の件から考えても、芦屋が重要な存在であることに変わりありませんね。
【隠世に学校!?】
隠世に学校を作るのが夢だという妖怪エゲンが、芦屋の学校を視察しに来ました。隠世にいる妖怪が現世に来るためには、手順を踏んで許可を貰わないといけませんが、本来であればそう簡単には許可はおりないとのことです。
安倍は、エゲンが行政と何かしらの取り引きをしたのではないかと疑います。
それは、物怪庵を査察し、芦屋を見てこいという内容だった様子。隠世の行政は一体なにを……?
【妖狐ヤヒコとキナコの別れ】
妖狐ヤヒコと翁は、森で葉っぱを食べるキナコという小さくて弱い妖怪を見つけました。ヤヒコはキナコを翁の杜に連れていき、毎日楽しく遊ばせます。
キナコはとても弱い妖怪なため、現世で生きているといつかは消えてなくなってしまうとのことで、ヤヒコと翁はキナコが元気になったら、隠世に祓ってもらうつもりでいました。
しかし、いざその時になると、キナコはヤヒコも一緒に行こうと言って聞きません。しかしヤヒコには、隠世に行きたくても行けない理由があったのです……。
- 著者
- ワザワ キリ
- 出版日
- 2016-09-21
【7巻のまとめ】
エゲンが現世に行く条件は、物怪庵の査察と芦屋を見てくることでした。前の主と安倍の間にも同じようなことがあったかは不明ですが、明らかに芦屋をターゲットとして捉えている感じですね。
安倍が芦屋を奉公人として雇ったのは、興味本位なのか見張るためなのかと考えていましたが、もしかしたらまったく違う目的なのかもしれません。
確かに芦屋はドジでおっちょこちょいなところがありますが、安部とは違う着目点を持っていることもあり、妖怪に対する接し方などはもしかしたら安倍よりも力のある存在だとも考えられます。
行政までもが彼に強く反応しているのは、芦屋が妖怪や隠世にとって危険な存在だから、ということもありうるのでしょうか。
【隠世で危険視される芦屋】
8巻では、隠世を治める司法、行政、立法が、物怪庵をつうじて芦屋に絡んできたり、芦屋が隠世に出入禁止になったりと、速いテンポで展開されていきます。
「隠世で盗人をした」という容疑をかけられてしまった芦屋は、とりあえず安倍と司法の元へ向かいました。しかしどうやら芦屋は窃盗の罪を被されただけで、実際は隠世に人間が出入りしては困るというものだったのです。
隠世に人間が入り込むと妖怪たちが不安になるという理由から、芦屋は今後隠世には入らないと約束させられてしまいます。しかし、行政の考えはまた違っていたようで、本当は彼が危険な人物だから放って置けない、というものでした。
【芦屋の特訓!?】
芦屋には光が出せることが分かっていますが、最近では息を止めている間だけ、妖怪の気配も察知できるようになったといいます。ただその場合は眩暈に悩ませられることになるので、ヤヒコに手伝ってもらい、特訓をすることにしました。
ヤヒコは気配を消すのが上手なので、芦屋はその状態で察知していきます。上達すれば眩暈もおさまるようですが、特訓の最中、ヤヒコを恐怖へ突き落とす意外な出来事が起きてしまうのです……。
- 著者
- ワザワキリ
- 出版日
- 2017-03-22
【8巻のまとめ】
芦屋という人物は、安倍と同じくらい、もしくはそれ以上の力があるのでしょうか。光は隠世の盗人の件で1度発していましたが、この巻ではヤヒコに対して放っています。
その記憶について芦屋は、かすかに残ってはいるものの、自分が何をしたのかは覚えていない様子です。
彼が光を発する時はまるっきり人格が変わっているので、本来あるべき正体をあらわした時は、安倍の脅威になるかもしれません。それがいい方向へと進むなら別ですが、芦屋道満の末裔であるとすれば、一概にうまくいくとは思えません。やはり行政が言うように、芦屋の存在自体が危険なのでしょうか。
【立法と司法との諍い】
行政と司法から隠世を出禁にされていた芦屋でしたが、それが物怪庵を管理下におく立法の逆鱗にふれ、彼はある条件のもとで出禁解除されることになりました。
しかし芦屋はあまり乗り気な様子ではなく、安倍もまた芦屋を隠世に行かせるつもりはなかったのです。
【ケシと盆踊り】
夏祭りを目前にしたある日、芦屋は禅子からケシという妖怪の話を聞き、その元に行きました。ケシの要望は、人間にして欲しいとのことでしたが、妖怪は人間になることはできないため、1日だけ人間の姿にすることに。
人間の姿になったケシの願いは、「1度でいいから人間に混ざって、盆踊りをしたい」というものでした。その願いを叶えるため、芦屋と禅子、そして安倍は、最善を尽くすのです。
- 著者
- ワザワキリ
- 出版日
- 2017-08-22
【9巻のまとめ】
立法が物怪庵を訪れ、芦屋の出入り禁止を解いたといいますが、芦屋からすると行政のことが引っかかり、隠世に足を踏み入れるのを躊躇している様子です。
また立法は一見物腰が良さそうに見えますが、実はかなりのクセ者かもしれませんね。
芦屋は何者なのか、その正体は本人すらわかっていません。ただ光を発した時に、普段の芦屋とは違った人格になることがヒントになっていると思われます。
安倍や隠世、そして妖怪たちにとって、プラスになるのかマイナスになるのか気になるところです。
【お酒の飛脚】
10巻ではかつて生き別れになって現世と隠世の生きることとなった父子の物語が1話目に収録されています。芦屋の活躍に、ふたりの離れていても心が通じ合った様子に心がじんわりと温まります。
【芦屋の父・榮と安倍繋がり?】
10巻最大の見所は芦屋の父親が安倍に関係しているのかもしれないと判明したことではないでしょうか。
ある日、芦屋は文化祭の計画を友達と話している間に知らない番号からの電話に出ます。不審に思いながら出てみると、それは母親が店で倒れて搬送されたという病院からの連絡でした。
血相を変えて安倍に物怪庵で送ってくれと頼む芦屋。いつもなら絶対に断るところですが、安倍は彼を病院まで送り届けます。
病院につくと、どうやら貧血で倒れてしまった様子の母親は、思っていたよりも元気。しかし彼女のベッドに物怪庵からそのままついて来てしまった様子のモジャが飛び乗りるのです!そして何やら熱心に彼女にスリスリしています。
何だかさらに体調が悪くなってきたという母親に、モジャが憑いているせいだと気づく芦屋。しかしモジャが必死にスリスリする様子を見て、何かに気づいて彼女に起き上がってもらいます。
するとそこにはコアラのような見た目で尻尾の長い物の怪がついていました。それをとるとすぐに母の体調は良くなります。
そのことを不思議に思いながら、芦屋の母はこう言うのです。
「さっき…『昔はよく貧血で倒れてた』って話したでしょ?
薬を飲んでも病院で診てもらってもよくならなくて…
…でもね
どんなに具合が悪くても”榮くん”が来るとあっという間に治っちゃったの
今の花繪と同じように 何かコソコソした後にね…
変なところ”お父さん”に似ちゃったわね」
初めて明かされる花繪の父のエピソード。彼自身も初めて聞くことにあっけにとられます。
そこに看護婦がやって来て、病室の外にいた金髪の子はお友達?と花繪に聞きました。
慌てて病室の外にでる花繪。安倍は脱走した毛玉を回収しにきたらしく、やりとりが終わるのを待っていた様子です。
そこにたまたま出て来た母親。彼女は少し安倍と話した後にふたりを見送ります。そして安倍「金色の髪と瞳」が「榮くんと同じ日向葵(ひまわり)みたいな子」だと思うのです。
- 著者
- ワザワキリ
- 出版日
- 2018-01-22
【10巻のまとめ】
芦屋の父編という新たな展開が始まった10巻。このあとも安倍が先代の物怪庵投手から聞いた「アシヤサカエ」の話が明かされたり、芦屋の記憶の中の父が安倍にかぶったり、ヤヒコが何やら知っていそうなそぶりを見せたりと何かいわくありげな展開になっていきます。
芦屋は安倍に頼んで彼の調査をお願いするのですが……。
詳しい展開は作品でご覧ください。
母と姉と3人きりの家族で、かつて急に出て行って行方不明の父親は不在。偶然安倍と出会ったようだった芦屋ですが、もともとの繋がりがあったのでしょうか?
【コモンの親離れ、子離れ】
今回、安倍たちが依頼を受けたのは崖の上に住んでいるコモンという妖と、彼に拾われた小鳥の妖・5兄弟。今回はこの兄弟を隠世に祓います。
見つけた当時は豆粒ほどの大きさだった彼らも、今では多少なりとも立派な体格になり、空も飛べるようになっていました。
安倍もそれを見てこの状態なら隠世に祓っても問題なさそうだ、と判断するのでした。ただし、1匹を除いて……。
【芦屋の父・榮の存在】
さてコモンたちの話も胸が熱くなるものですが、11巻最大の見所はやはり芦屋の父に関する情報でしょう。榮と面識のあるヤヒコが彼に化けてみせる展開から始まります。読者からは顔は見えませんが、安倍はその顔を確認します。そしてその姿から榮は高校生くらいの年頃にヤヒコに出くわしていたことが分かります。
それとともに、安倍は物怪庵で過去の業務報告書のところどころに猫が描かれていることを伝えます。実はそれこそ、榮が物怪庵に関わっていた証拠。
さらに安倍は、榮が死んでいるであろうことを芦屋に伝えますが、そこにはさらに謎が残っていました……。
- 著者
- ワザワキリ
- 出版日
- 2018-06-22
【11巻のまとめ】
榮が死んでいるであろうことは明かされましたが、11巻ではさらに衝撃の事実が明かされます。実は、ただ死んでいるのではなく、ある秘密を持って存在していたのです……。
それが明かされるのは、コモンたちの次に祓う予定のボンタというイノシシの妖のエピソードにて。ボンタがとある妖に取り憑かれたことから、事件は一気に動いていきます。
11巻では榮についての具体的な秘密が次々と明かされますが、問題はなぜ彼がその状態になっているのか、何を目的としているのか。
そして榮に出会うこととなった安倍は、今までの自分のポリシーに反することを芦屋にやらせてしまったことを大いに後悔することとなるのです。
物語の秘密にどんどん迫っている展開。ますます目が離せません!
【芦屋のなかにいる榮の存在】
死んだのではなく、芦屋のなかに意識として存在している様子の榮。威光を難なく使いこなし、安倍が手こずっていた妖も躊躇なく消滅させてしまいました。
そして目を覚ました芦屋はそのことを覚えていないよう。安倍は彼に何と言っていいか迷うのですが……。
【隠世の危機】
安倍が芦屋に真実を話そうか、そして芦屋の能力のことを三権に話そうかを思い悩んでいた頃、隠世にも異変が起こります。
ある日、野で薬草を摘んでいた妖の少女が、蝶を発見するのです。それはこちらの世界にはいてはならないはずの存在。実はそれが示すのは、隠世のある危機で……。
- 著者
- ワザワキリ
- 出版日
- 2018-12-21
芦屋と榮に関する事実と隠世の危機が同時に進展する12巻。11巻で芦屋のなかに榮が存在することが明かされましたが、彼が出現するタイミングや、芦屋が威光をどうやって使えるようになるのか、そして12巻で明かされた、芦屋が寝ている時に威光を発した時の状態についても気になるところです。
さらに12巻では隠世の危機に瀕して、この世界の成り立ちが説明されます。実はこの世界には三権よりも力を持つポジションの人物がいたのです。
そしてその人物の危機が、安倍、芦屋たちを新たな物語へと進めさせていきます……。
『不機嫌なモノノケ庵』は、常に惹きこまれる内容で、もののけ好きな方には特におすすめしたい作品です。アプリで無料で読めるので、1度試してみてはいかがでしょうか?