漫画『食戟のソーマ』の魅力を全巻ネタバレ紹介!!【~最新26巻】

更新:2021.11.10

少年ジャンプで連載中の『食戟のソーマ』は、バトル系の料理漫画です。定食屋の息子である主人公・幸平創真が、一流料理学校・遠月学園で料理の凄腕達と戦います。 アニメも大変好評で2020年4月から第5期が放送開始します。そんな『食戟のソーマ』の魅力について、全巻まとめて紹介しちゃいましょう。

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定食屋の息子がエリート料理学校へ入学【1巻】

主人公の幸平創真は、実家の定食屋ゆきひらを手伝いながら父親・幸平城一郎と料理対決をしたり、新作料理を考えたりと、料理に燃える15歳です。中学卒業後は店で修行をしようと思っていた矢先、父親からの突然の閉店宣言を聞かされます。その代わり、日本屈指の料理学校「遠月学園」への入学を勧められました。

遠月学園は、全国から名店の子息が集まり料理の英才教育をおこなう学校です。厳しい試験の連続で、クリアできなかった生徒は退学。卒業到達率は10%以下というエリート校です。

入学試験に挑む彼の前に試験監督として現れたのは、天才料理人・薙切えりな。彼女は遠月学園理事長の孫娘で、「神の舌」と呼ばれるほどの優れた味覚の持ち主です。

彼女が認めた品を作れば合格となるのですが、創真は無事にこの試験を乗り越えることができるのでしょうか?

著者
附田 祐斗
出版日
2013-04-04

1巻の見どころは、創真とえりなの対峙です。

定食屋の息子・創真と、理事長の孫娘で神の舌を持つお嬢様・えりなは、同じ料理人と言ってもまったくタイプが違います。特にえりなは、幼少期より日本中の名店から味見役を依頼され、高級食材を使ったプロの料理ばかり口にしてきました。そんなえりなの基本的な考えは、「高い食材で作ったものは美味しい」、「安い食材で作ったものは不味い」というものなのです。

しかし、彼の作った庶民的な料理のあまりの美味しさに、彼女は動揺します。もし、定食屋の息子が作った安っぽい料理を褒めてしまえば、それは自身の持つ美学を覆すということになってしまうからです。そんなえりなに言った彼のセリフがこちら。

「確かにウチはちっこい定食屋だし アンタらが食の上流階級なのも本当なんだろーね けどさー 上座にふんぞり返ってるだけじゃあ 作れねー物もあるぜ きっと……!」(『食戟のソーマ』1巻より引用)

えりなが創真の料理の美味しいさを認めない限り、彼は入学すらできません。果たして、試験の結果は……?

初めての食戟、開戦!【2巻】

無事に入学の権利を得た創真は、遠月学園の「極星寮」で生活するため、今度は「入寮腕試し」にチャレンジします。

持ち込んだ食材で作った一品を寮母が試食し、その腕を認められた者のみが入寮できるという仕組みです。決して容易ではないこの課題を創真は、食堂の余りものだけで作った料理で一発合格してみせました。

この極星寮には、すでにたくさんの個性的なメンバーが住んでいます。そしてそのなかには、遠月学園上位10名の生徒で構成される委員会「十傑」の1人である一色慧も含まれていました。

凄腕の料理人と対決したい創真は、さっそく一色に料理対決を申し込みます。しかし、遠月学園での料理対決は「食戟」という名の下に開催されるということを聞かされます。

食戟には、「奇数の審査員による公平な判定によって勝敗が決まる」や、「お互いの対価に見合ったものを差し出す」など、複数のルールがありました。今回はそれらの条件を満たしていないということで、一色との料理対決はあっさりと立ち消えになってしまいました。

そんな創真は、一般的な学校の部活動にあたる「研究会」を探すことに。そこで出会った「丼研究会(丼研)」が、なんと薙切えりなとの食戟を目前に控えているというのでした。えりなは「B級グルメの研究会は必要ない」という理由で丼研を潰そうとしていたのです。

それを知った彼は、丼研に代わって食戟に勝とうと闘志を燃やすのでした。

著者
出版日
2013-06-04

第2巻の見どころは、創真にとってはじめての食戟参戦です。テーマは「丼」。

丼研に食戟を申し込んだのはえりなは、部下である水戸郁魅をこの食戟にくり出します。「ミートマスター」という異名を持つ郁魅は、文字通り肉料理を得意としており、実家が肉の卸売りをしているため、高級肉を仕入れることなど朝飯前という強敵です。

それに引き換え創真達の仕入先はスーパーで、予算もそれほどありません。始める前から勝負が見えていそうな対決でしたが、彼には勝算がありました。

「丼はあくまで「一椀で」完結するんだぜ」(『食戟のソーマ』2巻より引用)

ご飯と具のバランスがマッチしてこそ美味しい丼になる。彼はこの最重要ポイントを見逃さず、「ご飯」も含めて全体が整った味になるように調理したのです。対する郁魅は肉ばかりに注目し、ご飯とのバランスを考えていなかったのでした。

この本のタイトルにもなっている「食戟」がどういうものなのか、初めて明かされる巻になっています!

地獄の宿泊研修スタート【3巻】

1年生の登竜門となる地獄の「宿泊研修」がスタートします。遠月学園の所有するホテルで行われるこの研修では、「不合格者は即退学」という厳しいルールのもとさまざまな課題が出されます。そのため、生徒達の気合も十分。

1日目、「日本料理」の課題に挑戦する創真の前に現れたのは、イタリアから来たタクミ・アルディーニと、イサミ・アルディーニという兄弟でした。

2人はフィレンツェの大衆食堂の跡取り息子で、日本に勉強をしに来た留学生です。タクミは入学式で創真が取ったある行動のおかげで敵意むき出し。一方の創真も、実家の店舗で「実際の料理人」として働いてきた兄弟の技術に興味を持つのでした。

2日目の課題は「フランス料理」です。創真は余裕でクリアしますが、同級生で寮の仲間・田所恵が不合格になってしまいました!彼女は劣等生でいつも低い評価しかもらっていませんでしたが、創真とペアを組むことでこれまでどうにか課題をクリアしてきた仲間です。

そんな恵の不合格の理由に納得できない創真は、試験監督であり遠月学園OB・四宮小次郎に対し、「自分が勝ったら、恵の不合格を取り消せ」と食戟を申し込むのでした。

著者
出版日
2013-08-02

第3巻では、創真のライバルがまた増えます。新キャラクターのアルディーニ兄弟です。イケメンの兄タクミと、ぽっちゃり系の弟イサミ。見た目はまったく違う兄弟ですが、調理となるとぴったりと息の合ったパフォーマンスを見せます。手際の良さといったら、創真より早く課題をクリアする程です。これからどんな形で彼らが創真に関わってくるか目が離せません。

一方、OBに食戟を申し込んだ創真。

「食戟であんたを負かしたら 田所の退学 取り消してくんないすか?」(『食戟のソーマ』3巻より引用)

かろうじて穏やかな口調なものの、このセリフから彼がどほど怒っているかが見て取れます。友人のために戦いを挑む姿、おかしいことをおかしいとハッキリ言える姿は、無鉄砲だけど格好いいと思える読者も多いのではないでしょうか。

退学を賭けた食戟の結果は?【4巻】

異例の開催となった、在校生対OBの食戟。単純な料理の味は四宮の圧勝でしたが、恵の将来性を考えた審査員の後押しもあり、結果は引き分けになりました。よって、恵の退学は回避されます。

しかし創真は、ひとり「勝てなかった」という事実と悔しさをかみしめるのでした。

まだまだ続く合宿4日目!課題は、「卵を使ったホテルビュッフェの朝食を、200人のお客様に食べてもらう」というものです。皆がそれぞれの持ち味を生かしたメニューで課題をクリアしていく中、創真だけがその波に取り残されているのでした。

著者
出版日
2013-09-04

第4巻で注目したいのは、成長著しい恵の姿です。

「今までの私は 退学を怖がってただ逃げ回っていただけだ…… でも今やっと この学園に残りたいって初めて本気で思えた 自分の料理に初めて本気で向かい合えた気がする」(『食戟のソーマ』4巻より引用)

初登場の時から遠月では劣等生扱い、困った時は創真に助けを求める頼りない子という印象が強かった恵。しかし、四宮との食戟を通じて、彼女が実はやればできる子だったということが読者にも示されました。また、ただ美味しい料理を作るだけではなく、食べる人のことを考え体によい食材を使うなど、優しい気遣いもできる料理人だったのです。

ついにベールを脱いだ恵の才能、それが開花する瞬間をお楽しみ下さい!

地元商店街を復興させるからあげ【5巻】

ホテルビュッフェの試験で出遅れた創真は、ライブキッチン(調理する姿を客に見せる方法)でえりなの客を奪い、どうにか課題をクリアします。彼は失敗を前向きにとらえますが、えりなからは「料理人は完璧であるべきだ」と、行き当たりばったりの姿勢を否定されるのでした。

ここで、新たなライバルの登場です!

時を同じくして創真の前に現れたのは、薙切アリス。えりなの従姉妹で、同じく天才と呼ばれる料理人です。自分を「頂点に立つ人間」と言い放つ彼女は、圧倒的な実力を見せつけ課題をクリアしました。

無事に合宿を終えて実家に戻った創真でしたが、帰った先では地元の商店街の問題に直面します。人気のからあげ店に客を奪われ、商店街の活気がなくなってしまっていたのです。これを打破すべく、創真は同じからあげで勝負を挑みます。

彼が考案したからあげは好評で、商店街の客足も取り戻すことができましたが、これが新たなトラブルの火種になってしまうなんて、この時の彼は知る由もありませんでした……。

著者
出版日
2013-12-04

またまた強そうなライバルが出てくる第5巻です。一人目は、えりなの従姉妹で料理人としての評価も高いアリス。自信たっぷりな様子と、創真をライバル視している点は、えりなと似ています。

もう1人の注目人物は、十傑の第九席・叡山枝津也です。料理で直接勝負をするのではなく、料理のプロデュースで成果を成し遂げるという新手の料理人。見た目は強面でとても料理人には見えませんが、第九席にいる以上凄腕の料理人であることは間違いありません。

叡山はあるからあげ店をプロデュースして人気店に成長させていたのですが、創真が商店街の活性化のために作ったからあげの方が人気が出てしまい、売り上げが落ちてしまいました。それがきっかけとなり創真を敵視しはじめ、いつかリベンジを果たしにくることを予感させます。

またこの5巻では、創真の父親・城一郎が、実は遠月学園と関係があった!?という可能性をにおわせる重要なシーンがあります。今後の物語に大きく関わってくる部分ですので、ぜひ見逃さずにご覧ください!

エリート料理達の戦い、秋の選抜開戦!【6巻】

遠月学園の恒例行事「秋の選抜」は、一部の優秀な生徒のみが参加できる料理の祭典です。それに参加が決まった創真をはじめとする寮メンバーたち。

寮母・大御堂ふみ緒が前祝いを開こうとする中、突然寮を訪問したのは、なんと創真の父・城一郎でした!彼はかつて極星寮に住んでいた生徒であり、十傑の第二席としてその腕を奮っていた人物だったのです。

思いがけず父親の過去を知った創真。そんな彼に、城一郎は秋の選抜への激励の意味をこめて料理対決を申し込むのでした。怒涛の「秋の選抜編」スタートです!

著者
佐伯 俊
出版日
2014-02-04

第5巻では、城一郎とえりなが一緒に写っている写真が出ていたり、過去の資料に「第二席・才波城一郎」という名前が出ていたりと、彼が遠月学園と関係があることを漂わせるシーンがありました。その真実が、第6巻で明かされることとなりました。

城一郎の学生時代の姓が「才波」ということは、現在の「幸平」姓は創真の母親の姓なのかもしれません。

この6巻では、1巻以来の創真VS城一郎の親子対決が見られます。遠月学園で経験を積んだ創真が、どこまで城一郎に太刀打ちすることができるのか、見ものです。

また、1年生の腕自慢たちが集う料理の祭典「秋の選抜」がスタートしました。この選抜は、宿泊研修までの成績と将来性から選ばれた60名で競う、遠月学園の伝統的な料理の祭典です。予選はAB2つのブロックに分けられ、各ブロックの上位4名が本戦出場となります。本戦からは1対1のガチンコ対決です。

秋の選抜という舞台では、出場する料理人の腕のすべてが明かされます。これまで少ししか紹介されていなかった寮生がどんな料理を得意とし、どんな皿を披露するのか、7巻以降がとても楽しみになってくるでしょう。

スパイスが決め手のカレー料理対決【7巻】

「カレー」をお題とした料理対決の会場で、創真はなぜか鍋の横で眠っていました。

同じ会場では、葉山アキラが同じくカレー料理を作っています。優れた嗅覚を持つ葉山は、スパイスについて研究してきたスパイスの名人です。創真が眠っているのは、余裕の表れでしょうか、それとも戦略なのでしょうか……?

Aブロック会場では、創真、葉山、そしてアリスの側近・黒木場リョウが三つ巴の戦いを繰り広げます。黒木場リョウは普段はボーっとしていますが、調理になると人が変わったように鋭い目つきになるのです。幼少の頃から港町のレストランで働いてきたという経験を生かして料理をします。

Bブロック会場では、機械を使って料理をするアリス、薬膳料理のエキスパートであるえりなの秘書・新戸緋沙子、愛用の包丁を華麗に使いこなすタクミたちによる、派手な調理が続きます。

そんな中、地味にコツコツ作業する恵の姿がありました。

著者
["附田 祐斗", "佐伯 俊"]
出版日
2014-04-04

カレー料理をテーマに予選ブロックが始まりました。カレーといえば、スパイス!このお題に挑むのはスパイスの名人・葉山です。些細な匂いを嗅ぎ分ける葉山の「鼻」に、創真はどんな手で対抗するつもりでしょうか?なんいせよ、創真は負ける気ゼロです。

さて、この巻で注目したいのは、大躍進を遂げた恵の姿です。最初の作業は地味なものなので、審査員から見向きもされず、観客からは「なんであいつが出場するんだ」と野次をとばされる始末。それでも一生懸命調理して、地元の声援を一身に受けて、絶品のカレー料理を作り上げます。

「遂に来たね……田所ちゃん 小さな小さな君の庭から羽ばたく日だ」」(『食戟のソーマ』7巻より引用)

どうやら一色だけは、恵の持つ才能に気づいていた様子。結果発表の瞬間にこのセリフを発するのでした。

宿敵・アリスとの弁当対決【8巻】

Aブロック会場で、スパイスの名人・葉山のカレーが最高得点を獲得します。それに1点差で続いたのは、創真と黒木場の2名。しかし、いずれも甲乙つけがたい料理だったことから、今後も厳しい試合が続くことは間違いありません。

予選を通過した創真の次の対戦相手は、なんとアリス!以前から彼を倒すと宣言していた彼女と初戦からの対決することになってしまいました。テーマは「弁当」です。

アリスの得意な最先端技術を使った創作料理に、どう立ち向かうのでしょうか?創真VSアリス、白熱の対決が始まります。

著者
出版日
2014-07-04

第8巻の注目ポイントは、アリスの作った料理の説明です。

「遠心分離機」などの機械器具を使って調理をする彼女は、まるで理科の実験をしているようです。そして、作り出す料理は味だけではなく見た目の美しさも追求した芸術的一品。最先端の機械を複数手にいられれるだけの権力と、それらを申し分なく使いこなす確かな腕を持つ、驚異的な人物ということがわかります。

そんな料理に対し創真は「のり弁」で勝負に挑むことに。寮生の榊涼子には、アリスと対決するのにそんな安いお弁当で大丈夫なのかと心配されてしまいますが、創真はのり弁を「弁当の王道」と考え、無限の可能性を秘めていると信じているのでした。

「今日……アンタに勝って 得るものぜんぶ 俺の血肉にして帰るよ」(『食戟のソーマ』8巻より引用)

相手にとって、不足なし!料理人として、全く真逆のタイプの2人がどんな試合展開を見せるのか。試合結果を速く知りたい!と読む手を止められない一冊です。

対戦相手を見つめる男……?【9巻】

創真とアリス、2人の直接対決は、「弁当」というテーマを理解していた創真の勝利に終わりました。

試合は着々と進み、恵と黒木場のラーメン対決、葉山と緋沙子のハンバーガー対決と、注目の試合が続きます。それぞれが自分の大切な人のために戦う決意を固め、負けるわけにはいかないと技の全てを出し合うのでした。

そんななか、イサミの対戦相手・美作昴が創真に近づきます。この男、一見良い人に見えるのですが、影で不気味な動きを見せており……。

それに創真たちは気づいていないのでした。

著者
佐伯 俊
出版日
2014-09-04

食戟が進んでいく中で、それぞれがどんなポリシーを持って料理をしているのか、なんのために勝とうとしているのか、ひとりひとりの料理に対する姿勢が分かる一冊となっています。 

「料理に必要なのは相手を屈服させる事……それだけだ」
「頂点まで辿り着く 絶対に……!」
「俺たちのイタリアンは決して負けない」
「えりな様に続き十傑入りを果たすのはこの私だ!」(『食戟のソーマ』9巻より引用)

上から黒木場、葉山、タクミ、緋沙子の台詞です。

どのキャラクターたちも、美味しい料理をお客様に提供するだけではなく、料理を通じて自分自身をより高みに持っていこうとしていることがうかがえます。

しかし、どんなに強い意志を持っていても、料理の腕が全ての遠月学園では、容赦なく勝者と敗者が決まっていきます。本戦1回戦の試合内容が2つ楽しめる、スピード感のある一冊です。

料理人生命を賭けて、お前に勝つ【10巻】

葉山と緋沙子のハンバーガー対決は葉山が勝ち、次の美作対タクミの試合が始まりました。

しかし美作は、対戦相手のことを徹底的に調べ上げ、どんな料理を作るか予想し、さらにそれにアレンジを加えることで、より高評価を得られる料理を作るという、異色の料理人だったのです。その名も「周到なる追跡(パーフェクト・トレース)」。

この技でこれまで数々の料理人と食戟で戦い、負かした相手から愛用の包丁を奪う、ということを続けていました。

彼の作戦の前になす術もなく負け、さらには愛用の包丁「メッザルーナ」まで奪われてしまうタクミ。美作は、彼に勝利したその足で創真に宣戦布告をしに来ます。創真は自分の料理人生命をかけ、美作との食戟を受け入れるのでした。

著者
佐伯 俊
出版日
2014-11-04

第10巻で、美作の料理スタイルが明らかになりました。相手のことを調べたり、レシートを手に入れて同じ食材を買い込んだり、家を見張ったりと、その行動は料理人というよりストーカーと言った方が正しいでしょう。その追跡振りには、調理中のタクミも震え上がるほど。

勝敗が決まったとき、「美作の勝ち方はズルイ」「卑怯」と観客たちが騒きました。料理人として、美作の料理スタイルに納得できない者が多いようです。

そんな美作の次の対戦相手は創真となりました。美作はタクミに勝ったことに調子付き、創真も倒そうと、選抜ので対決に重ねて食戟を挑んできます。条件は、美作が勝ったら創真の出刃包丁を差し出すこと、創真が勝ったらタクミから奪った包丁を戻すこと。

嬉々として創真を煽る美作ですが、彼は冷静にこう言ったのでした。

「可哀想だよ お前…… 料理する本物の喜びをお前は知らない」
「出刃一本で足りねーなら 俺の料理人としてのぜんぶを賭けてでもお前を倒すよ」(『食戟のソーマ』10巻より引用)

創真の次の食戟は、彼の料理人生命と、美作がこれまで奪ってきた数々の包丁、もとい「奪われた料理人たちの魂」を賭けた重要な一戦になるのでした

進化し続ける創真の料理【11巻】

創真は食材の選別から味付けまで、寝る間を惜しんで試作を続けます。試合当日、予想通り美作は創真がくり出す食材や技をあわせてきました。

ここで創真の起死回生の策「即興料理」が展開されます。調理中も試行錯誤を続けた彼の料理は、周到なる追跡(パーフェクト・トレース)で完成した美作の料理を上回り、見事に勝利を勝ち取ったのです。

もう1つの準決勝では、黒木場と葉山が競っていました。甲乙つけがたい2人の料理に、審査員であり元第一席の堂島銀は、黒木場・葉山の両名の決勝進出を決定します。

こうして、創真も含めた3人による三つ巴の決勝戦が行われることとなったのです。

著者
["佐伯 俊", "森崎 友紀"]
出版日
2015-03-04

創真は美作に勝利し、無事にタクミのメッザルーナを取り返すことができました。タクミの一件がなくても創真は常に相手に勝利するつもりで料理に取り組んでいますが、今回はさらに気合が入っていたようです。睡眠もろくに取らずに試作を重ね、一心不乱に試合の準備をしていましたから。

そんな創真も魅力的ですが、このシーンでは、前回美作に負けたタクミの魅力が光るシーンでもあります。

「メッザルーナは必ず取り返す 食戟でキミに勝利してだ!それまで……預かっておいてくれ」(『食戟のソーマ』11巻より引用)

創真が勝ったことで、美作が奪った包丁の数々が元の料理人に戻ったわけですが、唯一タクミだけが、その包丁の所有権は創真にあると言って受け取らなかったのです。

タクミが意地をはっているわけではなく、料理人として負けたままでいたくなかったのです。自分をもっと成長させてから取りにくる、という強い意思が表れています。

タクミは初登場時からメッザルーナ(イタリア語で「半月」を意味する)を見事に扱う姿が特徴的に描かれており、メッザルーナは彼の相棒とも言える道具でした。しかし、これからタクミはその愛用の包丁なしでさらに高みに上ろうとしているのです。

創真とタクミの食戟が行われる日はいつ来るのか、そんな期待を起こさせる一冊になっています。

三者三様のサンマ料理【12巻】

秋の選抜決勝戦は、創真、葉山、黒木場の三つ巴戦になりました。お題は「サンマ」です。

しかし目利きが必要なサンマは、その技術を持たない創真にとって圧倒的に不利な食材でした。

葉山と黒木場が新鮮なサンマを選ぶことは疑いようのない事実。これに対抗するには、目利きの腕を磨くしかない気もしますが、そんな時間などありません。では、他にどんな策があるのでしょうか?

いよいよ佳境を迎えた秋の選抜、決勝戦の審査がスタートします!

著者
["佐伯 俊", "森崎 友紀"]
出版日
2015-04-03

これまでの料理勝負において、創真が弱気になる姿は滅多に見られませんでした。しかし、今回ばかりは自分の立場が危ういことを痛感していました。テーマは目利きがモノをいうサンマ。しかも、目利きは経験がすべてのため、付け焼き刃が一切通用しないのです。

そのため創真は、ここでまた発想を転換します。葉山と黒木場が新鮮なサンマで料理を競うのであれば、自分はサンマを「熟成」させてしまおう、と……。

「幸平のやつすごいよな……絶対的に不利な状況でも全く諦めてない…… 俺もあのくらいがむしゃらに料理しなきゃいけないなあ」(『食戟のソーマ』12巻より引用)

このセリフは、寮生の伊武崎峻が思っているであろうセリフを、同じく寮生の涼子が代弁したものです。目利きがダメならば別の方法を、と諦めずに挑戦し続ける創真の姿は、他の寮生を奮起させていました。

創真が熟成サンマで挑む秋の選抜最終決戦、いよいよクライマックスを迎えます。黒木場、葉山はどんなサンマ料理を出してくるのでしょうか?それぞれの個性が光る料理に注目しましょう!

舞台は、戦いの場から洋食屋へ【13巻】

秋の選抜の優勝者が葉山に決まりました。葉山の料理こそ、料理人の顔が見える必殺料理(スペシャリテ)であると認められたからです。

優勝こそ逃した創真でしたが、「遠月に入学したことで広い世界を知れた」という満足もしていました。

選抜が終われば次は「実地研修」のスタートと、休む暇もない生徒たち。実地研修は、学園より指定された店舗で働き、成果を上げてくるという課題付きの研修です。もちろん、実績を上げられない者は退学処分というお決まりのパターン。創真が配属されたのは、どこにでもありそうな町の洋食屋「洋食の三田村」でした。

しかし、この三田村はある問題を抱えていて……。

著者
["佐伯 俊", "森崎 友紀"]
出版日
2015-06-04

秋の選抜、創真は惜しくも準優勝でした。しかし、創真も黒木場も決して葉山に完敗したとは思っておらず、お互いの料理を食べ比べては意見し合い、切磋琢磨していきます。3人は今後もよいライバルでい続けるでしょう。

さて、この巻では新章の実地研修(スタジエール)編が始まります。実地研修は、1年生が学園外の料理の現場(レストランや食品メーカーや料亭等)へ派遣され、目に見える実績を残したらクリアとなる研修です。

1週間で1店舗、それを4回繰り返します。その最初の1週間洋食屋で働くことになったのが創真と、えりなの付き人・緋沙子だったのですが、創真の心の中には研修だけで終わらない、確固たる思いが芽生えていました。

「親父が歩いてきた足跡を追いかけて 料理してきただけだったのかもしんねー たっぷり拝んでやる ”ゆきひら”以外の料理の世界を!! そんで-俺自身の味に 新しい光をあてるんだ!!」(『食戟のソーマ』13巻より引用)

これまで創真の料理どれも高評価されてきましたが、秋の選抜では料理人の顔が見えると言われた葉山の必殺料理に負けました。この負けた経験を生かし、実地研修でさまざまな経験を吸収しようとしています。

2週目の実地研修の場は、以前食戟で戦ったOB・四宮の店です。彼の店ではどんな修行と波乱が待っているのでしょうか。

ついに登場、十傑【14巻】

創真の研修先となった四宮の店はプレオープンを控えていました。遠月学園でフランス料理の調理は勉強してきた創真も、「フランス料理の厨房」という現場は初めてです。最初は慣れない動きとあまりのスピード感に戸惑いますが、持ち前の性格でなんとか戦力に上り詰めます。そして、研修の成果を収めるために四宮にある料理を披露するのでした。

研修を終え学園に戻った創真を待ち受けていたのは、食戟の申し込みの数々。それを創真は自分の料理のジャンルを広げるため、と来るもの拒まずで受け入れていきます。

それともう一つ、秋の選抜の上位勢と現・十傑が集う年に1度のイベント「紅葉狩り」が開催されようとしていました。

著者
["佐伯 俊", "森崎 友紀"]
出版日
2015-08-04

四宮は恵の退学を賭けた食戟でぶつかり合った、創真にとっては敵のような存在です。しかし今回は、創真の師匠として料理を教えてくれました。教えるといっても「俺の技術を見て盗め」という厳しく、職人的な教え方です。

その厳しい指導に、創真も食らいついていきました。四宮も、創真が考案した新作料理をアレンジして自分の店のメニューにするなど、かつて敵として対峙した2人の関係性が大きく変わったエピソードです。

そして、この巻のラストで登場するのが、遠月学園の十傑の面々です。これまで七席の一色、九席の叡山、十席のえりなと、3人しか明らかにされてきませんでしたが、ここへきて現在の十傑達の顔がついに明らかになりました。

幼女のような幼い見た目の子から、いかつい男子まで、多様な面子が揃っています。そして、いずれも一筋縄ではいかなさそうな人物ばかりです。今後、この学園に君臨する料理人たちが、どのようにストーリーに関わってくるのか、ますます目が離せません。

学祭で売り上げ対決!【15巻】

遠月学園の学祭は「月饗祭」と呼ばれ、生徒たちが作る料理を目当てにたくさんのお客様が来店する一大イベントです。第八席・久我照紀が「料理で何か1つ勝てるものがあったら食戟を受けてもいい」と言ったのを真に受けた創真は、学祭の売り上げで久我に勝負を挑みます。

久我が大勢のスタッフを引き連れて絶品の麻婆豆腐を作る準備をしているのに対し、創真の店は屋台とベンチ。それにスタッフは恵だけです。数も場所も圧倒的に久我が上ですが、この圧倒的な差を埋めるために創真が考えた秘策メニューとは、一体何でしょうか?

料理の祭典・月饗祭編の始まりです。

著者
["附田 祐斗", "佐伯 俊"]
出版日
2015-10-03

第15巻で初めて十傑たちのやりとりが見られましたが、とても協力して遠月学園の運営に携わっているとは思えない仲の悪さです。創真や恵たちは互いに切磋琢磨してレベルアップを図っていますが、十傑はお互いの席を狙う者もいれば、戦いに興味なさげな顔をする者もいるなど、まとまっている様子はありません。

そんな十傑を束ねているのが、第一席の気弱な3年生・司瑛士。これまで登場した第一席と言えば、堂島銀や四宮といった堂々としていて自信に満ち溢れた人が多かったのですが、司はおどおどしている、なんとも頼りない人物でした。

さて、本編は月饗祭編に移りました。5日間で約50万人が集まるという大規模フードイベントであるこの学園祭は、学生たちが「目抜き通りエリア」「中央エリア」「山の手エリア」の3つのエリアのうちから、1つ場所を選んで出店することになっています。毎日夕方頃には、当日のエリアごとの売り上げがランキング形式で発表される仕組みです。

そのランキングを利用して、創真が無鉄砲なことを考えました。中華の名人である久我に、同じ中華で挑み売り上げを競おうというのです。久我にはネームバリューもあるため集客力も高く、たくさんのスタッフを抱えているので、大勢の客をさばくことが可能です。当然、売り上げは高くなります。

かたや創真はスタッフは恵だけで、場所も屋台とベンチ。この難局を乗り切るため、彼らはどんな料理と提供するのでしょうか?

いつも料理で戦ってばかりの遠月の生徒たちが、珍しく学生らしいことをしている貴重な一冊です。

帰ってきた父親・薊【16巻】

中華料理対決が決着を迎えます。久我の大規模店に対抗するのは、創真の新作メニュー、恵のおもてなし、周囲の仲間たちの強力なサポートです!彼らの力が合わさり、創真の店は大記録を達成することになります。結果は乞うご期待!

そして、月饗祭が終わりに近づくなか、創真は第一席・司の料理を食べることになります。司の料理を食べた創真は、その奥深さにまた一つ新しい世界を知ることに。

一方えりなの目の前には、学園から追放されたはずの父親・薙切薊が現れ、彼女を激しく動揺させるのでした。

著者
["佐伯 俊", "森崎 友紀"]
出版日
2016-01-04

遠月学園と薙切一族の間で、次々と事件が勃発する16巻です。今回の見所は2つ。まず、ついに明らかになった司の実力です。

「気付いたか? あんな気弱そうな人なのに ”味はどうですか”とはただの1度も訊かなかったぜ」(『食戟のソーマ』16巻より引用)

紅葉狩りでは気弱な姿ばかりが印象に残る司でしたが、作る料理には絶対的な自信を持っているからこそ、客に対してわざわざ味の感想を聞かないのです。そんな彼の通り名は「食卓の白騎士(ターフェル・ヴァイスリッター)」。

この漫画に登場する料理人たちはそれぞれ、自分の作る料理に誇りと自信を持っています。しかし、この司ほど揺るぎない、絶対的な自信を持っている料理人は他にいません。恵を震え上がらせ、創真のやる気をさらに燃えさせた司の料理を食べるシーンはまさに必見です。

そしてもう一つの見所は、えりなの父・薊の登場です。彼は過去に遠月学園を追放されていた人物でした。娘のえりなとの久しぶりの対面を見る限りは、父と子の感動の再会という雰囲気ではないようです。彼女は驚きというより、恐怖に怯える顔をしたのでした。

今後は、この2人の親子関係にも注目です。

変わり行く学園【17巻】

薊があの「十傑」を味方につけ、遠月学園の総帥に就任したことで、学園は改革が進み大きく変わってしまいました。

薊の改革に逆らう者は、容赦なく反逆者として扱われ粛清の対象にされてしまうのです。それは極星寮も例外ではありませんでした。思い出と歴史が詰まった極星寮を守るため、創真はひとり、寮を潰そうとしている首謀者・叡山に立ち向かいます。

「商店街のからあげ」以来、創真と因縁のある叡山は審査員を買収し、食戟のルールを乗っ取っていました。それが気に入らない創真は「叡山より美味い料理を出せば、公平な審査も可能である」と、八百長を知ったうえで食戟の臨みます。

お題は「さつま地鶏」。四面楚歌の食戟に、創真は勝つことができるのでしょうか?

著者
["佐伯 俊", "森崎 友紀", "附田 祐斗"]
出版日

叡山と創真の一騎打ちが始まりました。過去に彼にプロデュースしたからあげ店の売り上げを奪われている叡山にとって、創真は目障りな存在です。とうとうこの巻で彼を倒しにやってきました。

叡山は料理をせず、プロデューサーなどの裏方に回ることの方が多い人物でしたが、今回初めて厨房に立つシーンが出てきます。彼の料理をしている姿には、創真だけではなく読者も驚くことでしょう。

また、17巻では叡山に食戟を申し込むシーンが見所です。
 

「受けろよ 食戟 俺の寮は潰させねー」(『食戟のソーマ』17巻より引用)

寮を守るために創真は料理で、他の寮生たちは防具とヘルメットで戦います!体を張って戦う寮生たちに注目してみてください。

反逆者達に制裁を【18巻】

叡山が買収した審査員に自分の料理を食べさせることで、評価の公正を図ろうとする作戦は見事的中しました。食材選びも、食戟の日時も、創真の方がいささか有利な状況ではありましたが、それでも第九席を倒したことは間違いありません。創真の勝利で、極星寮の取り壊しも中止となりました。

創真が勝利した夜に、極星寮を訪ねて来た薊。かつて自分が暮らした寮を取り壊そうとしている彼の意図が分からない創真は、直接薊にその理由を尋ねます。薊は自分の学生時代を懐かしみながら理想を語っていきますが、創真はその会話の中で父親の名前を耳にするのでした。

また学園内では、学園の改革に反対する団体・研究会と薊が作った「中枢美食機関(セントラル)」の料理人たちが食戟で戦う「残党狩り」が始まろうとしていました。

薊の改革の真の目的はどこにあるのでしょうか?また、城一郎の息子と自分の娘が同級生であることを知った薊は、あることに気づいたようですが、それは一体……?

著者
["佐伯 俊", "森崎 友紀", "附田 祐斗"]
出版日

創真と叡山の闘いに決着つきました。からあげで問題を起こし、さつま地鶏で勝敗を決めるという、鶏肉対決ばかりしている両者です。

食戟を申し込まれることが多かった彼ですが、今回は自ら食戟を申し込みにいきました。負けていたら極星寮の存続はもちろん、自分の退学の危機もあった創真。リスクを恐れることなく立ち向かっていく姿を男らしく思いながら、、読者はハラハラさせられていたのではないでしょうか。

そして、この巻でも薊とえりなが対峙しますが、薊を目の前にすると相変わらずえりなは萎縮してしまいます。いつもの女王様ぶった態度は、薊の前ではすっかり立ち消えてしまう様子。薊は今は自分の言うことを聞かずとも、最終的に彼女は自分のもとに帰ってくると信じきっています。

薊が過去に行った教育という名の「洗脳」が、根深くえりなの心に残っていたのです。

さて、セントラルの料理人が反抗する生徒や団体を倒す残党狩りも始まりました。第四席であり、遠月学園きってのパティシエ・茜ヶ久保ももが、その実力を見せつけます。常にぬいぐるみを抱いている姿と可愛らしい見た目のせいで凄腕の料理人には見えなかった彼女の、圧巻の調理姿は必見です!

第一席と料理対決【19巻】

秋の選抜ファイナリストの黒木場と、セントラルの楠連太郎による残党狩り対決が始まりました。お題は「鮭」です。

楠は「火入れのスペシャリスト」という通り名を持ち、アリスのように最先端技術を取り入れた料理を披露します。しかし、黒木場も秋の選抜で決勝まで残った実力者。両者は拮抗した戦いをくり広げます。
 

一方創真は、授業で講師をした司のアシスタントを務めることに。創真の働きぶりに気をよくした司は、彼をセントラルに誘います。創真は断るのですが、それがきっかけで2人は「鹿肉」をテーマにした料理対決をすることになるのでした。

著者
["佐伯 俊", "森崎 友紀", "附田 祐斗"]
出版日

この19巻の見どころは、アリスが薊に立ち向かう姿にあります。

「私は怒っているのです!私は- 薊叔父様のことキライなのです!これ以上、遠月学園を…えりなを!薊叔父様の好きにはさせません!!」(『食戟のソーマ』19巻より引用)

えりなと顔を合わせれば憎まれ口を叩いたり、時にはからかったりと、あまり仲良く見られなかった2人。しかしこのセリフから、アリスがえりなのことを大切に思っていることが分かりました。そして、彼女がこの遠月学園そのものを大切に思っていることも判明します。

アリスは遠月学園を運営する薙切一族の人間。現在の総帥である薊の意志に従ってしまうのでは、と読者を心配させましたが、どうやら創真と同じく改革に反対する者のようです。

一方創真は、第一席・司に「調理のサポートをしてほしい」とセントラルへ勧誘されます。しかし、彼は即断ります。そんな彼をどうしても手元に置きたい司は、自分の第一席の座と、創真のセントラル入りを賭けて料理勝負をけしかけるのでした。

まさかの第一席からの勝負の申し込みに、やる気をみなぎらせる創真。司の料理の凄さを知っている彼は、どんな料理を作るつもりでしょうか?

進級試験in北海道【20巻】

司と料理対決をした創真。その場に居合わせたせいで審査員をすることになったえりなと緋沙子も創真の品を褒め称えますが、それ以上に司の料理は美味でした。結果は、圧倒的な力の差を見せ付けた司の勝利です。

しかし司は、勝利はしたものの「創真を手元に置いておくには破天荒すぎる」という理由で、彼のセントラル入りを無しにしました。司は気づいていたのです。例年とはレベルが違いすぎる1年生たち、その勢いの中心にいるのが創真であると……。

後日、1年生たちは「進級試験」に挑むため、北海道に集められました。セントラルに逆らう生徒はこの進級試験でふるい落とされるに違いありません。しかしえりなは、薊から自分を匿ってくれた極星寮の生徒たちの優しさ、暖かさに触れたことで自分も薊に立ち向かいます。

そんな彼女は創真や寮生たちと「いっしょに2年生になる」という目標を実践すべく、彼らに北海道の食材や料理に関する知識をレクチャーするのでした。

著者
["佐伯 俊", "森崎 友紀"]
出版日
2016-09-02

第20巻では、司と創真という、注目の料理対決が実現しました。

強くなるための道筋としては、レベルの低い敵から倒して徐々に自分のレベルを上げ、最後に強敵と戦う、というのが一般的に思えます。それでいうと、第一席はその最後に登場する敵のような存在です。

無謀ともいえる戦いに挑んだ創真。その結果はもちろん司の圧勝で、彼も完敗だと負けを認めたのですが、司には何か思うことがあったようです。その違和感を薊にも報告しています。

物語ではたびたび、創真たちの世代の1年生のレベルが高いことが話題になります。先代の総帥も「玉の時代だ」などと言っていました。薊や司は、そのレベルの高さには何か秘密があるのではと疑っている様子です。今後注目していきたい点が、また一つ増えましたね。

そして、残党狩りから生き残った創真たちは次の課題「進級試験」に進むことになりました。試験の舞台は北海道。列車で移動しながら料理の試験を受けていくという特殊なスタイルです。どんな試験が待っているのでしょうか?

意外な対戦相手とは?【21巻】

ついに進級試験が始まりました。一次試験、二次試験ともに、満足な食材を与えてもらえないなどの陰湿な妨害を受けつつ、創真たちは進級試験前にえりなからレクチャーされた知識を使って合格ラインに達する料理を作っていきます。

どうにか進んだ三次試験。内容は、十傑との直接対決となりました。タクミと恵の相手は第二席・小林竜胆です。そして創真の相手はなんと、秋の選抜優勝者・葉山!薊の改革で十傑メンバーが入れ替わったことによる空席を、葉山が暫定の第九席として埋めていたのです。

意外な対戦相手に驚く一同。対決のお題は、創真も初めての「熊肉」。熊肉には独特の臭みがあり、スパイスをいかにうまく使いこなせるかが料理のできを左右します。そして相手はスパイスを扱わせたら右に出るものはいない、あの葉山です。

創真にスパイスのノウハウはありません。これでは葉山に勝つことができない……そんな時!意外な人物が彼に手を差し伸べたのでした。

著者
["佐伯 俊", "森崎 友紀", "附田 祐斗"]
出版日

進級試験では腐った食材しか与えない、そもそも食材の数が足りないなど、嫌がらせをされてきた創真たち。特に二次試験は「麺料理」を作れと言われるのに、麺はおろか小麦粉もない状況に追いやられます。これをクリアした意外な方法は、見事の一言でしょう。ぜひ、直接本編を読んでお確かめ下さい。

また、三次試験の十傑との直接対決では、かつて創真を負かした葉山が彼の前に立ちはだかります。薊側の人間として反逆者を打とうとしている彼ですが、どうやら彼の真意は別の場所にあるようです。その理由は、今後の物語で明かされてくることでしょう。

そして、再び葉山と戦おうとする創真に手を差し伸べたのは、なんと学園祭で中華料理対決をした久我でした。彼には「葉山に奪われた第九席の座を奪い返す」という思惑がありますが、香辛料を自在に操る彼の知識と人脈は、葉山に勝つためには欠かせません、

利害の一致から協力体制を組んだ以前のライバルは、どんな連携を見せてくれるのでしょうか。

熊肉を攻略せよ!【22巻】

久我の助けを受けて熊肉の扱い方をマスターした創真は、決戦の舞台に赴きます。

葉山は定評のあるスパイスの技術で熊肉をフライに。一方の創真も、熊肉を使ったメンチカツを作ります。同じ揚げ物対決となったこの試合、審査員は薙切宗衛が務めることになりました。宗衛はアリスの父親であり、遠月学園の前総帥の息子です。

そして、葉山がセントラルの一員に加わっていた理由も明らかにされます。彼にとっての大切な相手・汐見潤がスパイスの研究をしている「汐見ゼミ」を守るため、薊に従っていたのでした。彼が負けることはすなわち、研究の終わりを意味します。創真は負ければ退学となり、後がありません。

調理が終わり、どちらの品も甲乙つけがたい仕上がりになります。しかし宗衛は「料理人の顔」が見える品を作ったひとりが勝者だと告げるのでした。はたして、その勝者とは?

著者
["佐伯 俊", "森崎 友紀", "附田 祐斗"]
出版日

第22巻の表紙で創真と葉山が殴りあいをしていますが、この絵は実際の料理対決を実に見事に表したものとなっています。葉山がフライドベアで審査員の心を鷲づかみにしたかと思えば、創真はメンチカツと極上ソースの合わせ技で審査員から高評価をもぎ取り、ジャッジを惑わせます。

また最後のページでは、創真が葉山に絶対負けないという意思を示すセリフが発せられます。

「全部お前に美味いって言わせるため…… ギャフンと言わせるため! 俺が今日まで頑張ってきたのはそのためだろ」(『食戟のソーマ』22巻より引用)

秋の選抜以来、葉山の存在こそが、創真の料理のモチベーションだったわけです。薊の言うことを聞けば恩師のゼミを守れると言われ、仕方なく第九席の座に収まった葉山。しかし、これまで葉山の料理が美味しかったのは、恩師との研究で成果を出そうとあれこれ試行錯誤していたからです。

今回の創真との対決ではその情熱を失っていた葉山は、いつもの試行錯誤も不完全なままでした。創真は渾身のメンチカツで、葉山に以前の情熱を取り戻させることができるのでしょうか?

十傑の座を賭けた食戟へ【23巻】

進級試験の三次試験、十傑との勝負。それらに勝ち、生き残ったのは創真、タクミ、恵の3人だけです。反逆者にカウントされていないえりなを含めても4人しかいません。この不利な状況に落胆するえりなに、創真のから思いがけない一言が出ます。

「自分達が、遠月学園の十傑になれば、退学を撤回できるのではないか」と。

えりなが頭を下げても何も聞き入れない薊に対し、やはり料理で決着をつけるしかないと創真は十傑の席をかけた食戟を申し込みます。最初は嘲笑う薊でしたが、そこに創真を後押しする助っ人が現れました。

著者
["佐伯 俊", "森崎 友紀", "附田 祐斗"]
出版日

第23巻の見どころは、薊に食戟を申し込むシーンです。

創真から食戟を申し込まれた彼は、対決を受けるメリットがないと嘲笑いますが、そんななか創真の父・城一郎が登場すると態度が一変します。城一郎は食戟ではお互い重要なものを賭ける必要があることを熟知していますから、薊との交渉も創真より長けていました。
 

「(食戟を渋る薊に対して)この俺がお前の兵隊になり下がるとしてもか?」(『食戟のソーマ』23巻より引用)

創真が希望するのは、十傑の座。それに見合うだけのものは何かと考えた時、城一郎は料理人としての自分の腕だと判断したのです。この一言で薊が食戟を了承したのですから、やはり薊にとって幸平城一郎という料理人が、十傑の座に匹敵する貴重な存在であることがわかります。

この23巻は、進級試験から「連隊食戟(レジマン・ド・キュイジーヌ=集団対集団の食戟)」へと一気に流れが変わる、怒涛の一冊です。

連隊食戟、始まる【24巻】

セントラルと戦うため、さらなるレベルアップが必要と判断した堂島と城一郎は、創真たちに「連隊食戟」の模擬戦を経験させることにしました。その一環として始まったのは、城一郎・創真・えりなチームVS堂島・イサミ・恵チームによる、即席の連隊食戟です。

セオリー通りの料理を作る堂島チームに対して、型破りな料理を作る城一郎チーム。料理の方向性は違えど、それぞれ相手をうならせるだけの一品が出来上がりました。特にえりなはこの模擬戦を通じ、セオリー通りの料理してこなかった自分の殻から少しだけ飛び出すことを覚えたのです。

さて、決戦の舞台に赴いた創真たちを待っていたのは、セントラルのブーイングでした。創真は一色と、かつての十傑の第三席・女木島、「パーフェクト・トレース」で数多の料理人を苦しめた美作、などといった戦力を引き連れて初戦に挑みます。

創真のひいたお題は「そば」でしたが、創真の対戦相手・紀ノ国寧々は「和食界のサラブレッド」と呼ばれるほどのそば打ち名人だったのです。果たして、創真は勝てるのでしょうか?

著者
["佐伯 俊", "森崎 友紀", "附田 祐斗"]
出版日

第24巻は料理決戦も見所ですが、それ以上に大事なのはえりなの心境の変化です。今までの彼女は、型破りな料理は認められないと敬遠してきました。しかし、創真やその仲間たち、そして極星寮で過ごした日々が、彼女に気づかせてくれたことがあったのです。

まずは、料理の仕方。セオリー通りに、美しい皿だけを作ることに注力を注いでいたえりなが、模擬戦で初めて型破りな料理を作ります。自身の美徳に反するような、セオリーを無視した料理を作ったのに、彼女の顔に後悔はなく、むしろ楽しんでいる様子さえ見せました。

もう一つは、薊との決別です。父親と戦うことさえ思いも寄らなかったえりなが、薊に反抗します。

「今から…… ただの ただの「薙切えりな」です だって そ そうしなければ身も心も彼らの仲間とは言えませんから!!!」(『食戟のソーマ』24巻より引用)

その姿を信じた創真たちは「えりなに俺達の命を託す」と伝えるのでした。

これまで面と向かって父親に逆らえなかった彼女が、初めて反旗を翻すシーンは、しばらく忘れていたえりなの女王様っぷりを彷彿とさせるシーンとなっています。今後のえりなの復活に期待しましょう。

そば職人対定食屋の息子【25巻】

創真が寧々とそば対決を始めた一方で、一色も「うなぎ」をテーマに調理を開始します。その調理姿は、会場が息を呑むほど洗練されたものでした。そんな一色は、対戦相手の白津樹利夫が極星寮をバカにしたことに腹を立て、全力で倒すことを宣言します。

寧々は、幼い頃から修行を積んできたそば打ちの技術と経験を惜しむことなく発揮します。白津も領事館お抱えシェフの家系に生まれたイタリアンの凄腕です。そんな、生まれながらにして最高の料理人になることが決められてきたような人物たちを相手に、創真たちは立ち向かいます。

無事、反逆者チームに勝利をもたらすことができるのでしょうか?

著者
["佐伯 俊", "森崎 友紀", "附田 祐斗"]
出版日

第25巻の見どころは、一色の戦いです。一色といえば、裸エプロンで料理を作ったり、寮で畑を耕したり、学外でビジネスをしたりと、第七席でありながら料理の腕以外のことで目を引く人でした。そんな彼が、今回は満を持して料理対決に登場です。

「ようし決めたよ!君のことは本気で叩き潰そうかな」
「僕は和食を作ったつもりはない 作ったのは「僕の料理」だ」(『食戟のソーマ』25巻より引用)

また、十傑の面々からも一色の実力が恐れられていたことが判明します。第七席は十傑の中でいえば下位になりますが、彼は常に余力を残して戦っていたのです。第2巻で創真に料理を披露したこともありましたが、その時は実力のかけら程度しか出していなかったのです。作中で初めて、一色が本気で披露する料理とは、一体どんなものなのでしょうか。

料理人たちの真の実力が披露されはじめる、波乱の展開です!

十傑の実力が明らかに!【最新26巻】

十傑の座をかけた勝負、次の出場者が決定します。創真側は久我、女木島、美作。対するセントラル側は司、竜胆と、十傑で寿司のスペシャリスト・斎藤綜明です。

久我はかねてからの願いだった司との再戦を果たすため、なりふり構わず勝ちを狙いに行きます。それをサポートするのは、美作の「周到なる追跡・閃(パーフェクト・トレーススラッシュ)」。ラーメンマスター・女木島も含めた布陣でセントラルに挑みます。

一方のセントラル側も負けてはいません。これまで調理を披露したことのなかった竜胆と、斉藤の実力がついに明らかに。「希少食材マスター」と呼ばれ、珍しい食材ばかりを扱う調理に特化している竜胆は、見事な手さばきでワニ肉を操り、会場の度肝を抜きます。また斎藤は寿司職人にぴったりのお題「まぐろ」で見事な一品を作るのでした。

初戦に続き、創真たちは引き続き勝ちを奪えるのでしょうか?それとも、セントラル側が食い止めるのでしょうか?

著者
佐伯 俊
出版日
2017-09-04

食べてばかりで料理する姿を見せなかった竜胆の実力が、この巻でようやく明らかになります。彼女は世界中を飛び回っては希少食材を見つけたり、調理したりと、遠月学園でも稀有な料理人だったのです。また、女木島がラーメン職人、斎藤が寿司職人であることも分かりました。

第26巻で注目してほしいのは、久我が見せる司への執念です。食戟で戦ったのに名前さえ覚えてもらえていなかった悔しさを果たすため、久我が司へ宣戦布告します。

「あんたの常勝街道 ここで終わらせる」(『食戟のソーマ』26巻より引用)

久我は司にリベンジできるのでしょうか?また、竜胆が作ったワニ肉料理とは?その他の料理人たちも、見たこともない料理を披露していきます。

いざ、審査が始まるという最高潮のシーンで終わる26巻。27巻の発売が待ち遠しくなること間違いなしです!

アニメ『食戟のソーマ』の第5期が4月10日から放送開始!

 

アニメ『食戟のソーマ 豪ノ皿』が2020年4月11日から放送開始です!原作が終わってしまい寂しい読者にとってはうれしいお知らせですね!

世界的な料理コンクール「THE BLUE」に招待された創真が、常軌を逸したお題と新たなライバルに挑んでいきます。

放送情報やキービジュアルはTVアニメ『食戟のソーマ 豪ノ皿』公式サイトをご覧ください。

 

少年漫画の主人公は負けないというイメージがあると思います、ですが、この『食戟のソーマ』については、主人公は結構負けてしまいますし、主人公より料理がうまい人がたくさんいます。負けてばっかりで頼りない主人公と思うかもしれませんが、ストーリーを読む分にはそちらの方が面白いのです。

「今回は負けちゃうかも」と思ったら勝ったり、「絶対優勝だろう」と思ったら負けてしまったり等、ストーリーが進むごとに読み手はハラハラドキドキさせられるのです。まったく展開が読めないからこそ、続きが気になって読みたくなる。『食戟のソーマ』は、読者のイマジネーションを最大限膨らませてくれる作品です。

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