ジャンプ誌上で絶大な人気を誇りつつも、休載によってやきもきさせられる漫画『HUNTER×HUNTER』。2017年9月現在、暗黒大陸編が一時中断されました。この機会に本作を振り返る意味で、登場人物についてご紹介したいと思います。
- 著者
- 冨樫 義博
- 出版日
ご存知「週刊少年ジャンプ」と言えば押しも押されぬ週刊誌漫画誌の王者です。通常でも圧倒的な売り上げを誇りますが、あるタイトルが連載された時はその数字が跳ね上がるのです。
そのタイトルとは冨樫義博の『HUNTER×HUNTER』。2017年現在既刊34巻のこの物語は非常に人気が高くて面白いのですが、長期休載されがちなのが玉に瑕。そのため、連載が再開されると普段ジャンプを購読していない層もこぞって買い求めるのです。
『HUNTER×HUNTER』の面白さは複雑で重厚なストーリーにあるといえるでしょう。そしてそのストーリーを支えるのが、作中に登場する多くの魅力的なキャラクター達。
惜しまれつつも暗黒大陸編が一時中断した本作。今回は復習を兼ねる意味で、『HUNTER×HUNTER』の面白さの一端を、登場人物を掘り下げることでご紹介したいと思います。
序盤から登場する物語の中心的キャラ達。基本的にはゴンが主人公ですが、エピソードによってはクラピカやキルアが主要人物としてスポットを浴びることもあります。
ゴン、クラピカ、レオリオは物語序盤のハンター試験会場への道中で知り合い、キルアはやや遅れて試験中に合流。4人パーティのようなイメージがありますが、意外にも全員が揃って一緒に行動するのはハンター試験編から天空闘技場編開始時点までの間と、幻影旅団編での旅団追跡の僅かな時のみ。
いずれも人気キャラなので、また揃って活躍するところを見たいものです。
少し異色なのがヒソカ。時に敵として相対し、時に味方となって背中を守る、掴みどころのないキャラです。あやふやな生き方は自称道化師の面目躍如と言ったところでしょうか。直近の活躍では初期にあったダーティな一面をあらためて発揮しました。
- 著者
- 冨樫 義博
- 出版日
- 2008-10-03
本作の主人公であるゴン=フリークス。僻地の小島、くじら島出身の野性味溢れる少年です。自然に囲まれて育ったためか、驚異的な身体能力を誇ります。天真爛漫で物怖じしない性格。直情径行もあって、深く考えることは不得手ですが妙に鋭い部分も。野生の勘がそうさせるのでしょうか。
母親は不明で、幼いゴンは育ての母ミトに預けられて育ちました。成長したゴンはハンターライセンスを持つカイトと出会い、自身の父親ジン=フリークスが高名なプロハンターであることを知ります。そこで彼は自らハンターを志望し、父親の消息を追う決意を固めました。
初期は若い頃の父親が使っていた釣り竿を駆使しますが、ハンター試験を境に徒手空拳に戦闘スタイルが変化。生粋のパワーファイターかと思いきや、野生動物並みの潜伏技能、直感による行動などで意外とトリッキーに振る舞います。
念能力の系統は、全系統中最もバランス良く戦える強化系。念能力とは、人間が生来的に備えた生命エネルギー「オーラ」を効率良く使いこなすため、体系立てられた技術のことです。作中では念能力を指導する武道として心源流拳法などが登場しています。ゴン達のような新米ハンターは、いずれかのタイミングで心源流に学んで念を習得することに。
ゴン、キルアの場合は、天空闘技場で知り合った心源流師範代ウイングに習いました。基礎を学んだゴンは、グリードアイランドの一件で第2の師匠ビスケに師事することで、さらなる念能力の発展として「発」の会得に成功しました。発とはいわゆる必殺技です。
それは強化系の「グー」、変化系の「チー(チョキ)」、放出系の「パー」から3択を迫る必殺技「ジャジャン拳」。かけ声をかけてから放つというデメリットのある、いわばテレフォンパンチ。しかしその威力は絶大で、一度見ればかわせるたぐいの技ではなく、一度見て威力を知っているから逆に竦む、という特性を持っています。
そしてもう1つ忘れてはならないのが、ファンから特に「ゴンさん」と呼ばれる状態です。キメラアント編終盤、絶対的実力差のある敵に対して、全てを捨てる覚悟でそれを打ち倒し得る年齢の肉体まで強制的に成長した姿。
その溢れるパワー、威圧感、悲哀を湛えた目、どこを取っても無邪気なゴン少年の面影はありません。そのため、気軽に「ゴン」と呼ぶことが憚られ、ファンの間では「ゴンさん」と呼ぶのが通例となっています。服装自体はそのままなので、シリアスな展開に対して若干シュールになった外見なのも人気のポイント。
ゴンは「ゴンさん」化の反動で衰弱、一時は危篤状態に陥りました。友人キルアの奔走で無事復活を遂げますが、代わりに念能力を失ってしまいます。「ゴンさん」化の代償か、あるいは他に原因があるのか……。シリーズ最新エピソードには登場していませんが、今後再登場する際は、その辺りに焦点が当たって力を取り戻す展開になるのではないでしょうか。
- 著者
- 冨樫 義博
- 出版日
- 2003-06-04
キルア=ゾルディック。劇中世界では有名な暗殺者一家「ゾルディック家」の三男にして期待の星。ハンター試験編でゴンと友人になってからは、ほぼ常に彼と行動をともにしています。冷徹な暗殺者の顔を持つ一方で、年相応の子どもっぽさも併せ持った不思議な少年です。
プロハンターのライセンスには、それだけで一財産築けるほどの価値があります。ですので受験者の多くは人生を賭けて挑みますが、キルアがハンター試験を受験したのは単なる気まぐれ。彼にとっては暇潰しの1つに過ぎませんでした。
幼少時からの英才教育の賜物で、ゴン達4人の中では最も身体能力が高い戦闘のプロフェッショナル。優秀な暗殺者を輩出するゾルディック家のなかでも、歴代を凌ぐ才能の持ち主と言われています。
出自こそエキセントリックですが、4人組の中ではクラピカに並ぶ常識人。やや偏った知見ですが、冷静沈着に物事に対処します。金銭感覚が杜撰でギャンブル狂なところはご愛敬。
元々暗殺に用いる体術を得意としていましたが、ゴンとともにウイングに学び、ビスケにも師事したことで念能力を体得しました。能力の系統は変化系で、幼少期の訓練をヒントにオーラを電気に変える力を発現。電撃を発する以外にも、「神速(カンムル)」という電気のオーラを全身に流すことで超人的な高速運動も可能となりました。
ゴンは、暗殺者として育てられ、まともに成長してこなかったキルアにとって、初めての大切な仲間で対等な友人。いわゆる「ゴンさん」化の反動で彼が衰弱した時、医者も除念師も匙を投げたゴンを救うために奔走しました。キルアにとってもう1人の大事な、そして禁忌の存在、ゾルディック家に秘匿された4人目の兄弟、アルカを用いて。
アルカの能力でゴンを治癒させたキルアは、そのまま妹を連れてゴンの下を離れます。本来アルカは外部へ連れ出すことを禁じられていました。キルアは自分だけの手でアルカを守ると誓い、それを実行するために単独で旅に出たのです。今後積極的に表舞台に出てくることはないでしょう。もし彼の出番があるとすれば、アルカ絡みとなるのは間違いないと思われます。
- 著者
- 冨樫 義博
- 出版日
- 2016-06-03
クラピカは少数民族クルタ族の生き残りです。普段は穏やかですが、非常に理知的な切れ者。難解な問題を冷静に読み解き、的確な判断を下せる優秀な人物です。本来の人格は誠実ですが、時に非情な手段も辞さない狡猾さも備えています。ゴンやキルアほどではないものの、体術もかなりのもの。
幻影旅団編では実質的な中心人物の役回りを果たし、最新エピソード(2017年9月現在)暗黒大陸編でも主導的立ち位置のクラピカ。クラピカ追憶編(単行本未収録)の扱いなどからして、彼もまた準主役といえるでしょう。クラピカは原作では性別不詳ですが、本稿では簡便のためとりあえず「彼」とさせていただきます。
クラピカをはじめとするクルタ族は特異体質で、感情が高ぶると目の色が文字通り変化、その状態の瞳は「緋の眼」と呼ばれ珍重されています。クルタ族はその緋の眼を狙われ、「幻影旅団」という盗賊集団に滅亡させられました。
クラピカがハンターを志望する理由、それは仇討ちであり、奪われた仲間の緋の眼の奪還です。プロハンターになれば賞金のかかった幻影旅団を追いやすく、緋の眼のような美術品の情報も得やすいわけです。
念能力は具現化系です。ゴン達と別れた後、イズナビという心源流拳法の師について体得。冒険の過程で能力を開花させたのではなく、師匠の下での修行で意識的に「発」に至りました。幻影旅団を捕らえ、繋ぎ止めるためにクラピカが具現化したのは、5指それぞれに異なる能力を備えた特殊な「鎖」です。
「鎖」は念能力を底上げする「制約と誓約」、そして緋の眼発現時のみ特質系に代わるというクルタ族の特異体質を利用した「絶対時間(エンペラータイム)」から、具現化系の範疇を大幅に超えた絶大な威力を発揮します。この絶対時間にも制約がかかっており、その内容は能力使用中1秒につき1時間寿命が縮むという凄まじいもの。クラピカの執念を感じさせます。能力はもちろん、特筆すべきはそのクレバーな立ち回り。
実際に劇中では戦闘能力、経験ともに格上であるはずの幻影旅団団員に対して、クラピカは終始圧倒する活躍を見せました。この活躍によって、念能力は単純な修練以外でも、身を削る覚悟があれば大幅パワーアップが可能だということが描かれました。これが後の「ゴンさん」の布石ともなっています。
暗黒大陸編では事実上の主役を張るクラピカ。持ち前の頭脳でうまく状況をコントロールしていますが、その全てが極限の綱渡り状態。王子を狙う刺客、そして王子自身の念獣と、不確定因子だらけのこの航海を無事に乗り切ることが出来るのでしょうか。
- 著者
- 冨樫 義博
- 出版日
- 1998-09-02
サングラスがトレードマークの青年、レオリオ=パラディナイト。目付きや態度から付き合いにくい人物かと思いきや、義理に厚い好人物です。ゴンに次ぐ単純な性格で騙されやすいのが欠点。浮き世離れした者の多い4人の中で最も世俗寄りで社交的。親分肌というかガキ大将というか、知らず知らずに仲間を増やすカリスマのようなものも備えています。
過去に高額な手術費を払えないことから友人を亡くしており、無償でその病気を治すべく医師を目指しています。しかし、そのためには莫大な費用が必要です。諸々の優遇、特権を得られるハンターライセンス取得が、夢を実現させる近道と思い定めてプロハンターを目指すようになりました。
念能力は放出系。ハンター試験後、独学で念の基礎に辿り着いたようで、そこから彼の才能の片鱗を感じさせます。物体に与えた衝撃を離れた位置に送ったり、オーラを波紋のように伝わらせてエコー検査やソナーのように探査したりすることが可能。戦闘のみならず、医術にも応用出来そうな能力です。
言葉巧みに人を丸め込むところは幻影旅団編から描かれていましたが、会長選挙編で本格的に人心掌握術が開花。ゴンのためにした熱い演説と言動が人々の胸を打ち、一時は次期ハンター協会会長候補とまで目されました。その素質を見込まれ、協会幹部「十二支ん」のメンバーに抜擢。その時、レオリオはクラピカも十二支んに推挙しました。
何かと重要な役回りの多いハンター協会幹部となったことで、レオリオの出番は今後も頻繁にあるでしょう。
- 著者
- 冨樫 義博
- 出版日
- 1999-12-01
ゴン達にとっては宿敵のような、仲間のような、奇妙な人物。それがヒソカ=モロウ。奇術師を自称しており、それに違わぬピエロのような奇抜な格好をしています。素顔はかなりの美男子ですが、言動の大半が変態的なため普段の風貌も相まって台なし。どこにでもトランプを持ち歩き、それを武器として戦うこともあります。
登場人物ではトップクラスに位置すると見られる実力者。気まぐれで嘘吐き、その上切れ者という厄介な人物です。殺し合いに快楽を感じる常軌を逸した戦闘狂。殺人の免罪符になるからとハンターを目指したり、幻影旅団団長と戦うためだけに旅団に入ったりするなど、まさにやりたい放題。利害関係を無視して動くので場合によっては頼もしい味方となりますが、結局信用出来ないので危険人物であることに変わりありません。
念能力は変化系。ハンター受験者の多くが合格後に念能力を会得しますが、彼は最初から身に付けていました。オーラをよく伸び縮みする性質に変化させた「伸縮自在の愛(バンジーガム)」と、オーラで平面上に物体の色や質感を再現する「薄っぺらな嘘(ドッキリテクスチャー)」の2種類を巧みに使いこなします。
どちらもヒソカが子どもの頃に好きだったお菓子が名前の由来。念能力は単純な方が応用範囲が広くて使い勝手がよいため、その意味では2種類を極限まで極めたヒソカの念は非常に強力です。また念能力は精神状態に左右される技術なのですが、自身を最強と信じて疑わない点もヒソカが劇中トップクラスである所以なのではないでしょうか。
暗黒大陸編で挿入されたヒソカ対クロロの激しい一戦。そこでヒソカは敗北を喫しましたが、それは騙し討ちに近いクロロの術策のせいでした。死の淵から蘇った彼は、姑息な手段を罰しつつ、今後同じ手を食らわないために旅団員の抹殺に動きます。最終的にクロロとの再戦を目論んでいるのでしょうが、果たしてそれはいつになるのでしょうか。
もしかすると旅団員の集合がかかったブラックホエール号に、彼もすでに乗り込んでいるのかも……。
ゾルディック家はパドキア共和国の高山、ククルーマウンテンに居を構える暗殺者一家。伝説の暗殺一族と恐れられていますが、隠れ潜むことは一切せず、地元の観光名所と化している不思議な家族です。
世を忍び影に生きるのが暗殺家業であるのに、なぜか世界一有名というちぐはぐさ。実際に作中でも、ヨークシンで家長のシルバ、ゼノと出会った現役暗殺者達も面食らっていました。名前は有名で知れ渡っていても、表向き一族ということになっている暗殺者組織、という認識だったのではないでしょうか。
家族構成は家長シルバ、先代ゼノ、先々代マハ、そして妻のキキョウとその子どもである5人兄弟。他にゾルディック家付きの執事達も登場します。
ファンの間では有名ですが、ゾルディック家兄弟は名前の真ん中に「ル」が必ず付くしりとりになっています。上からイルミ、ミルキ、キルア、アルカ、カルトという風に。
第4子アルカが登場したのは会長選挙編からですが、早くからこの法則性が知られていたため、キルアとカルトの間にアルカという名前の兄弟がいるだろうと言われていました。
- 著者
- 冨樫 義博
- 出版日
- 2012-12-04
ゾルディック家の第4子、アルカ=ゾルディック。長い黒髪に、巫女服を思わせるピンクを基調とした服装をした、純粋で無邪気さを感じさせる少女です。……おそらく。
一人称では自分を「あたし」と呼び、キルアも妹と断言しているのですが、他の家族や執事からはなぜか弟として扱われています。クラピカと同じように公式には性別不明。
その理由はもしかすると、アルカのもう1つの人格(?)に求められるかも知れません。アルカ自身はゾルディック家の一員にしては珍しく、なんの力もない見た目通り非力な子どもです。その真価は彼女の念能力――あるいはそれを越えた別次元の力――にあります。それは「ナニカ」と呼ばれる能力。ナニカはアルカとは別人格のように振る舞い、人知を越えた力であらゆる「お願い」を叶えることが可能です。
もちろん、これにはデメリットが伴います。1回の願いごとに対して、アルカの「おねだり」を3回聞かなくてはなりません。願いごとが大きいほどおねだりの難易度も上がりますが、おねだりを叶えなければならないのは、次に願いごとをする人物という特徴があります。払う代償は、叶える願いのためではなく、すでに叶った願いごとへのもの。
このおねだりが失敗すると、おねだりされた人物とその最愛の人物、さらに失敗した人物と長期間過ごした人物の最低3人が犠牲となります。
ナニカへのお願いにはおそらく上限がなく、なんでも叶えることが可能ですが、おねだりの難易度と失敗した時の犠牲者が指数関数的に増大するというハイリスク・ハイリターンな能力。
非常に危険かつ、使いようによっては強力な力です。そのためゾルディック家はアルカ(ナニカ)を秘匿し、表向きには存在しないことにしています。願いごとのルールは家族だけの秘密事項ですが、さらに例外となるルールをキルアだけが知っています。
さて、性別の話に戻りますが、家族間で認識が異なるのはアルカとナニカがそれぞれ性別が違うためだと考えられます。
ゾルディック的にはナニカの方が重要で、そのためナニカの性別である男=弟としていますが、逆にキルアはアルカを重視する言動が目立つので、ナニカよりアルカを優先していることが窺えます。そのためキルアはアルカの性別を女=妹と言っているのではないでしょうか? あくまでも推測の域を出ませんが……。
キルアの項目でも触れましたが、現在キルアとアルカは2人で旅をしています。逃避行も兼ねているので表舞台に出て来づらいはずですが、ナニカの正体については能力も含めて不明な点が多々あります。暗黒大陸5大厄災の1つ「ガス生命体アイ」との類似が示唆されており、今後の展開に要注目。
- 著者
- 冨樫 義博
- 出版日
- 1999-02-04
ゾルディック家長男、イルミ=ゾルディック。感情の起伏が乏しく、ほとんど無表情であるため何を考えているのかよくわからない人物。操り人形を生み出す能力と関係があるのか、彼自身が人形のような雰囲気を漂わせています。
キルアの兄にして、シルバとともに彼を暗殺者として育てた張本人。キルアに対してのみ過保護な態度を取りますが、イルミにとって暗殺家業は当たり前のことで、誰よりも溺愛する弟にそれを継がせるのも、本人的に特に疑問がないようです。
ただし教育方針は徹底していて、勝てる戦いしか教え込みませんでした。彼我の力量を計って、無理ならば逃げの一手を打つよう徹底的に刷り込んでいます。それは大事な場面においてもキルアの行動を縛る、呪いのような暗示と化していました。キメラアント編では、それが実際にイルミの念能力に由来する実質的な呪いであることが発覚。
イルミは操作系の念能力者です。針状の物体にオーラを込めて、人間を絶対服従の操り人形と変えることが可能なのです。キルアにはそれを応用して暗示を込めた針を刺していました。
キルアを愛し、過保護であることは事実ですが、ここからわかるように非常に屈折した愛情の持ち主。目的や効率のためには他人の犠牲を厭わず、ゴン達との経験を通して成長したキルアとは相容れない存在です。
計算高い野心家でもあり、ノーリスクでナニカにお願いが出来ると知ってからは、キルアをアルカとセットで手中に収めて傀儡化を目論みます。彼にとっては弟自身が大事なのであって、弟の自由意志など必要ないというわけです。
幻影旅団は通称「クモ」とも呼ばれる盗賊集団です。Aクラス判定の賞金首の集まりであり、手練れの賞金首ハンターですら手出しが難しい危険な集団。
構成員は13人。幻影旅団団員は体のどこかに、団員ナンバー入りの12本脚の蜘蛛の入れ墨を彫っています。結成当初のメンバーは全て、公的に存在しないとされる無法者の街、流星街の出身。
アウトロー中のアウトロー。強盗、殺人を是としますが、ごくまれに慈善活動もするとか。劇中での悪行からはおよそ想像出来ませんが、キメラアント編にて流星街に流れ着いた蟻の駆除も慈善活動の一環といえるかも知れません。
全員が強力な念能力者。基本的に蜘蛛の頭であるクロロの命令を遵守します。彼らの厄介なところは団員内の統制がしっかりしており、チームワークも抜群ということです。仮になんらかの理由(操られる、脅されるなど)で団長クロロと幻影旅団全体の行動が一致しない場合、優先すべきは団長ではなく旅団の存続ということが徹底されています。
団員同士の結束も固く、脱落した仲間のために涙するシーンも。数々の蛮行を繰り返し、クルタ族も滅ぼした幻影旅団。非情なる悪党集団とはいえ、相反する悪行と人間的行動が同居しており、それが不思議な魅力となって人気の一因ともなっています。
- 著者
- 冨樫 義博
- 出版日
- 2017-06-26
フルネームはクロロ=ルシルフル。幻影旅団結成時からのリーダーです。一見すると柔和な優男にしか見えず、場合によってはそのように振る舞いますが、必要ならばどこまでも冷酷になる非道な男。窮地においてもいささかも思考が鈍らない切れ者でもあります。
設定では26歳となっています。結成当時からさほど容姿が変わっていないので、幻影旅団として活動を始めてから10年未満というところなのではないでしょうか。その程度の期間で悪名高い組織を造り上げたのですから、その手腕は並みではありません。
念能力は珍しいとされる特質系、その名も「盗賊の極意(スキルハンター)」。相手の念能力を具現化した本に奪い取るという強烈な能力です。物品どころか、形のない能力すら奪ってみせる、生粋の盗賊ならではの力と言えます。真に驚くべきは奪った力を「ただ使う」ではなく「使いこなす」というところ。
特に天空闘技場でのヒソカ戦で見せた、スキルハンターに付随する新たな能力「栞のテーマ(ダブルフェイス)」によるコンボは強力無比。これは、奪った能力のページを開いた状態で持つ、というスキルハンターの弱点を克服するために会得したようです。栞を挟んで本を閉じれば両手が使える上に、別のページを開いて異なる2種の念能力を同時に使うことが出来ます。
ヒソカ戦では複数の能力の組み合わせと狡知を巡らせ、見事手玉に取って殺害成功。クロロによる、奇術師のお株を奪うような巧妙で万全の戦法でした。
作者によれば、幻影旅団関係者はクラピカも含めて全員死亡させるという構想があるようです。往々にしてそういった構想は物語の進展に従って変化するものですが……。
偶然か必然か、クロロがお宝を狙って乗船したブラックホエール号には、因縁の相手であるクラピカも乗り合わせています。クロロが旅団全員に集合をかけた描写もされているので、ひょっとすると旅団壊滅の日も近い……!?
- 著者
- 冨樫 義博
- 出版日
- 2000-07-01
幻影旅団団員ナンバー1、ノブナガ=ハザマは旅団結成の初期から在籍する1人。ナンバーは団員を表すためだけのものらしく、数の大小が実力に直結しているわけではありません。他にナンバー11のウヴォーギン、ナンバー9のパクノダなども初期メンバーですが、どういう基準で最初のナンバーが割り振られたのでしょうか。色々考えてみるのも面白いでしょう。
幻影旅団内での立ち位置は特攻要員。日本刀を所持する達人なので、文字通り切り込み隊長と言ったところでしょうか。1対1の戦いを得意としています。念能力の詳細は不明ですが、応用技「円」にかなり自信があるようです。能力も円の探知に関係すると見られ、おそらくは円の射程内に入った対象を即座に斬り捨てる居合い技。
団員らしく殺人などの犯罪には抵抗がない一方で、仲間意識が極めて強く、ウヴォーギンの死に際しては慟哭しました。同じ初期メンバーかつ特攻要員だったウヴォーギンは彼の悪友だったようです。ウヴォーギンは幻影旅団に特化した能力を持つクラピカの、最初の標的として倒されました。
仲間の死を悲しみ、怒り、復讐に燃える姿は別の立場、異なる作品なら主人公だとしてもおかしくほどでした。そして一端打ち解けると気さくになり、ゴンをウヴォーギンの後釜に推薦した際には馴れ馴れしいほどフランクになる一面も。
それまでクラピカの発言から推し量るしか出来なかった幻影旅団。ただの悪党集団ではない、とその印象を良い意味で裏切り、そしてその後、悪い意味で残虐非道なイメージを決定付けたキャラです。
- 著者
- 冨樫 義博
- 出版日
- 2000-07-01
左腹部に蜘蛛の入れ墨を入れた団員で、ナンバーは8。乱雑なボブカットの黒髪にジーンズと、かなりラフな格好をした女性です。大きめの眼鏡がチャームポイント。幻影旅団の中では比較的新しいメンバーであるようです。
見た目通りにおっとりしていて、やや天然の気があります。しかし、その垢抜けない見た目とは裏腹に、幻影旅団のメンバーらしく障害と判断したものには容赦なく対処する面も。仲間思いではあるものの、幻影旅団の規則には忠実で、感情的な行動は控える様子が窺えます。
特筆すべきはその能力です。彼女は具現化系能力者で、「デメちゃん」という出目金にも似た掃除機を作りだし、念能力の産物や生物以外の無生物をほぼ無制限に吸い取ることが可能。
これは幻影旅団が基本的に盗賊であることを考えると、途轍もなく便利な能力です。どんな対象でも、どれほどの量でも、決してかさばらず隠して持ち運べるわけですから。非常に重要で重宝されていると考えられます。また死体は無生物にカウントされるらしく、殺害現場の死体や血糊を吸い取るなど、事後処理にも使われました。
戦闘では弱いのかと思いきや、本人の身体能力と掃除機を殴打武器に使うなどで侮れない戦闘力も誇ります。劇中ではキメラアントの兵隊長パイクを仕留めるという功績を上げました。
- 著者
- 冨樫 義博
- 出版日
- 2000-11-01
マチ=コマティネイト。コミックスでアルファベットの綴りが公開されたことでフルネームが判明しましたが、カナ読みがこれで正しいかはわかりません。改造浴衣のような服を着用しています。旅団メンバーとしては最も早く劇中に登場。その際にヒソカとは個人的繋がりがあることを示唆されました。
ナンバーは不明ですが旅団結成時のメンバーの1人。仲間をたしなめる、間に入ることが多いように見受けられます。団員を取り持つ調整役なのかも知れません。旅団には人一倍思い入れが強いようで、クロロには並々ならぬものがある様子。旅団の掟よりもクロロの命を優先しようとしたことからもそれが窺えます。
念は変化系能力者。オーラを糸状に変化させ、追跡や拘束、絞殺と様々な用途に応用することが出来ます。特に念糸縫合という特殊な医療技術を持っており、念糸と彼女自身の技術によって切断された身体をほぼ元通りに繋ぎ合わせることが可能です。女性ながら身体能力もかなりのもの。腕力だけなら団長クロロを上回ります。
天空闘技場のヒソカ対クロロ戦において、クロロをサポートしていた説がファンの間で指摘されていましたが真偽不明。作者の異例の解説によって一応は否定された形となっています。
件の一戦後、マチはヒソカによって幻影旅団員殺害を宣言されました。それは実際に有言実行されたわけですが、マチを殺さなかったのはメッセンジャー役を務めさせたかったからでしょうか?
ヒソカはマチに対して再三好意を口にしており、その彼女にとって団長や旅団は大事なもの。殺害宣言をされたことで、彼女が必死に抗う様を楽しみたい、というヒソカの変態的嗜好ゆえなのかも知れません。
- 著者
- 冨樫 義博
- 出版日
- 2001-03-01
コミックスで公開された情報によると、フルネームはシャルナーク=リュウセイ。流星街出身者のようなので、ファミリーネームはそこから来ているのでしょうか? プロハンターのライセンスを所持しているので、その登録関係で必要があったため適当に偽造した、ということが考えられます。流星街には戸籍などがないはずですから。
幻影旅団のブレーンは言うまでもなくクロロですが、シャルナークの立場はその補佐のように思えます。頭の回転が速くて知識が豊富、物事を客観視出来て弁も立ちます。旅団結成メンバーではないのに、クロロの補佐的ポジションであることから彼の有能さが垣間見えるようです。
操作系能力者で、その能力はアンテナを刺した対象を操る「携帯する他人の運命(ブラックボイス)」。アンテナは2本しかなく、その数分だけしか操作出来ないようですが精度は抜群。言動から何から何まで思いのままに操り、捜査対象の視界を共有することも可能です。暗殺に、諜報にと非常に便利な能力。
アンテナ操作は自分に対して使用することも可能で、使った場合にはオーラの保有量がアップして攻撃的になりますが、自動操作のため細かい調整がおそらく出来ません。しかも使用後は極度の疲労に襲われ動けなくなるようです。基本は裏方に徹して、表だって戦わない彼のまさに奥の手といえるでしょう。
天空闘技場ヒソカ対クロロ戦ではクロロにブラックボイスを貸し出して協力。クロロの力を削ぐため手段を選ばなくなったヒソカによって、コルトピとともに旅団員の中で真っ先に犠牲となりました。自分のせいで団員を亡くしたクロロの心中は穏やかではないでしょう。ヒソカの狙いは肉体的にも精神的にも、クロロを追い詰めることにあるように思えます。
直接的、あるいは間接的にストーリーに関わる(関わってくる)キャラ達です。他の登場人物に対して、その人生を変えるほど多大な影響を及ぼしているのが特徴。
ネテロはハンター協会会長なので言うまでもありません。ジンはその型破りな人格と人望(?)、そして実績があります。カイトはゴンの生き方を良くも悪くも大きく変化させました。
そしてジャイロ。キメラアント編で意味深に登場しただけのように思われますが、彼もまたすでに影響をおよぼしているのです。人に、ではなく、蟻側に、ですが。
今回はご紹介していませんが、ここで挙げる者達以外にもゴン、キルアの師匠に当たるウイングもその後の作中で重要なウェイトを占める念能力を教えたという点で、重要なキャラと言えるかも知れません。さらに言えば、天空闘技場でキルアと対戦した少年ズシも、念能力についてゴン達が興味を抱くきっかけとなった転換点のキャラでしょう。
- 著者
- 冨樫 義博
- 出版日
- 2012-12-28
「この親にしてこの子あり」とはよく言いますが、この場合は「あの子にしてこの親あり」とでも言いましょうか。型破りで破天荒、無邪気で身勝手、それでいて人を惹き付けるところがゴンそっくりです。特に意味はないと思われますが、同作者『幽☆遊☆白書』主人公の浦飯幽助によく似ています。ほとんど生き写し。
ゴンの父親にして、彼がハンターを志してくじら島を飛び出したきっかけ。劇中のゴンと同じ年頃の時分に、突如島を飛び出してハンターになりました。良くも悪くも悪ガキがそのまま成長したような人格で、彼を慕う人が多い一方、反感を持つ者も少なくありません。しかし、反感を抱く者も本気で嫌い抜いているわけでもなさそうなのが、ジンの凄いところ。
二ツ星(ダブル)ハンターと呼ばれるハンターのなかでも優れた人物。その偉大な功績から、本来は世界に数人しかいないとされる三ツ星(トリプル)ハンターに任じられてもおかしくないのですが、申請が面倒というそれだけの理由でダブルハンターのままだとか。名誉よりも、「面白いもの」「未知のもの」を優先するジンを表すエピソードです。
ハンター協会会長ネテロをして、念能力者として5本の指に入ると言わしめる使い手。「発」や能力の系統は不明ながら、一度食らった他人の能力を分析してコピーしたり、アレンジ出来たりするようです。しかもそれは念能力由来でおこなうことではなく、単純に才能の豊かさゆえに真似出来るというのだから、完全に規格外と言えます。
活動は貴重な遺跡保護から、ハンター専用ゲーム「グリードアイランド」製作まで多岐に渡ります。現在は世界の外側、暗黒大陸への挑戦を目論んでおり、会長選挙編に続く活躍が期待されます。
- 著者
- 冨樫 義博
- 出版日
ハンター協会のトップである会長にして、ハンター試験審査委員会の会長も勤めるアイザック=ネテロ。本人は100歳と公言していますが、ゼノ=ゾルディックの発言が正しければおそらく本当は200歳近いと思われます。推測があっていればまさしくハンターの生き字引。
天狗のようにも見える好々爺然とした人物ですが、意外と茶目っ気もあり、悪戯好きなことが窺えます。普段は飄々としていますが、キメラアント編の宿敵の発言には気を悪くして語気が荒くなるなど、俗っぽい一面も。
ネテロはゴン、キルア、クラピカに念能力を教えたウイング、ビスケ、イズナビら所属する心源流拳法師範。裏ハンター試験と言われる念能力習得も、ネテロの手の内だったというわけです。
齢46にして肉体の限界に気付き、これまで己を鍛えてくれた武道への恩返しとして「感謝の正拳突き1日1万回」を強行。それを日課とするうち、限界を超えて世界最強の武道家となりました。同時にネテロは世界最高の念使いでもあります。ただし、本人曰く全盛期に比べれば実力は半減しているとのこと。
強化系能力者ですが、ネテロが本気を出した時には巨大な千手観音「百式観音」を具現化させて攻撃します。能力発動の際にはその都度合掌を必要としますが、恐ろしい修練の末に合掌の挙動にかかる時間は限りなくゼロに等しくなっています。
しかし、人類最高峰とも思えるネテロの凄まじい能力を持ってしても、キメラアント編最大の強敵にはほとんど通用しませんでした。最期には人間個人ではなく、人間全体の悪意の凝縮ともいえる行動を取って、結果的に相打ちに。この最期には正義や悪の所在について深く考えさせられました。
ネテロは死してなお、登場人物達に影響を与え続ける偉大なるハンター協会会長です。
- 著者
- 冨樫 義博
- 出版日
- 2008-10-03
ゴンにハンターとしての道を示しただけでなく、生き方の手本となった人物。見方によっては彼こそゴンの最初の師匠といえるかも知れません。生物調査専門のハンターで、調査や保護などが主な活動。
ゴンの父ジンの弟子であり、ジンの居所を見つけるのがカイトの卒業試験でした。その卒業試験、ジンの行方を追う旅の途中に立ち寄ったくじら島で、カイトと幼いゴンは出会いました。
その専門知識から、流れ着いたキメラアントの危険性にいち早く気付き、成長途中ながら、力量充分と判断してゴン、キルアを伴ってNGLに入国。キメラアントの師団を壊滅させるものの、格違いの護衛軍ネフェルピトーが現れたことで形勢逆転。ゴンを庇って彼らを逃がし、1人奮戦するも敵わずに死亡しました。
物語では、ネフェルピトーによって変わり果てた姿でゴン達の前に現れます。カイトの死や変わり果てた姿は、純粋なゴンに復讐心を芽生えさせ、「ゴンさん」化のきっかけに。
念能力はランダムで9種類の武器を具現化する「気狂いピエロ(クレイジースロット)」。劇中では大鎌、ライフル銃、メイスのみが登場しました。
その後、会長選挙編のエピローグにて思わぬ形で再登場。クレイジースロットには、死に物狂いで生に執着した時のみ発現する番号の武器があると言われていましたが……。そこから考えるに、カイトの転生はキメラアントの特性ではなく、クレイジースロットに秘められた能力に由来するものなのかも知れません。
- 著者
- 冨樫 義博
- 出版日
ジャイロはキメラアントの1体として意味深に登場しますが、活躍が描かれることなく物語の表舞台から姿を消しました。
元になった人間はキメラアント編の舞台となったNGL(ネオグリーンライフ)の設立者。世界中に悪意を撒くという危険な思想の持ち主です。
幼少期に壮絶な体験をしたため、上昇志向の強い人格となりました。その貪欲な自我は殺害され、キメラアントに取り込まれ、生まれ変わっても変わらなかったほど。強靱な意志を誇り、キメラアントにとって絶対である女王の意志にも反抗して見せました。
そのため活動自体はありませんでしたが、生前仲間だったウェルフィンやイカルゴが師団長であることから、おそらくはジャイロも師団長クラスの実力があると思われます。念能力の有無も不明ですが、キメラアントの特性上、身に付けているのではないでしょうか。
特にウェルフィン(生前の名前はザイカハル)に強く影響を与えており、彼の行動指針になるほどです。
女王の死後、拡大する自我の赴くまま、自分にとっての居場所である第2のNGLを建国するために旅立ちます。キメラアントが生前の記憶と経験を持っている、という一例を出しただけとも考えられますが、ジャイロはあまりにもインパクトがあって印象的な存在でした。
今後の伏線とも考えられるので、暗黒大陸編が一段落して、再びゴン達にフォーカスが当たった時に再登場するかも知れません。ひょっとすると、世界5大災厄に目を付けて、ブラックホエール号に人知れず乗り込んでいる可能性も……?
この項目でご紹介するのは、それぞれのエピソードで特徴的な活躍をしたキャラ達です。縁の下の力持ちから、その後の展開を決定付けた試金石の役割を担った者達、そして忘れることの出来ない印象深い敵役達など多種多様。
エピソードを跨いで選出したので、詳しくはそれぞれの項目にて。
- 著者
- 冨樫 義博
- 出版日
- 1999-02-04
ゴン達とはハンター試験で競い合い、同期合格したハンターです。帽子がトレードマークの小柄な青年。常識的な思考をし、不正や不義を見咎める部分もあり、同期の受験生の中では一歩劣るもののハンターとしての適性は高く評価されていました。
弓を用いて遠距離から狙う狩人で、接近戦は苦手という実にハンターらしいハンター。当初は薬品や立ち回っていましたが、試験合格後はいずれかのタイミングで念能力を習得したようです。幻獣ハンターとしてそこそこ名を挙げてもいたようなので、ゴン達とはほとんど同時期に覚えたのではないでしょうか。
能力は放出系で、オーラの矢を放つ「七色弓箭(レインボウ)」。名称からすると7種類の特性がありそうですが、大半は劇中未登場です。
キメラアントの調査、討伐のためNGLに赴いていましたが、師団長ザザンの部隊に発見され交戦。奮戦虚しく敗北、生け捕りとなりました。女王に献上される肉に混じって生き延びて脱出の機会を探っていましたが、ネフェルピトーの円に見つかってしまいます。
ネフェルピトーによって脳をいじられ、念能力について洗いざらい知識を引き出された後、あらためて肉として女王に供されてしまう最期を遂げました。
ポックルは序盤から登場していた人気の準レギュラーキャラだったので、この展開はとても衝撃的でした。これがまさにキメラアント編の試金石。今後さらに苛烈になっていくことを予想させ、読者を震え上がらせたのです。
- 著者
- 冨樫 義博
- 出版日
正規のライセンスを持たないアマチュアハンター。ゴン達とは同期の受験生でした。彼女は劇中ハンター試験の第4次試験にてレオリオのターゲットだったため、奪われて脱落。翌年の試験にも参加したものの、キルアが受験者を全滅させたことに巻き込まれてやはり不合格に。
気が合ったのか、無事試験に合格したポックルと組んでハンター活動は続けていたようです。ポックルの助手を務めていた様子。その関係か、彼女自身が使えるかは定かではありませんが、念能力についても知識があるようです。
ポックルや他の仲間とNGLに潜入、調査を行っていましたがキメラアントの部隊に発見されてチームは壊滅。唯一脱出出来たポンズは、緊急事態を伝えるため蜂を放ちますが、その直後に武装したザザン隊の戦闘兵ギョガンに銃殺されてしまいます。
ポンズも可愛らしい女性キャラとして人気があったのですが、殺害されて捕食されるという凄まじい最期が描写されました。ポックルの一件とあわせて、キメラアント編の方向性を否が応でも読者に印象付けた出来事です。
- 著者
- 冨樫 義博
- 出版日
- 2000-04-01
正規のライセンスを持つプロで、音楽を専門とするミュージックハンターです。背が低く、ある事情から、よい意味ではなく人目を引く容貌。性格はきわめて常識的、善良な人物です。
登場は幻影旅団編から。マフィア「ノストラードファミリー」に雇われた、組長の娘ネオン=ノストラードの護衛を務めるクラピカの同僚。
ノストラードファミリーではクラピカの事情を知る唯一の人物。彼にとっては信頼の置ける数少ない仲間となっています。
クラピカと同じく、自身の目的のために収集癖のあるネオンの護衛役となりました。その目的とは、魔王が作曲したという曰く付きの楽曲「闇のソナタ」を探すこと。かつてそれを友人と聞いたセンリツは、その呪われた曲によって体を蝕まれ、能力に目覚めました。友人は死亡し、彼女は醜い容姿と消えない傷跡を体に受けたのです。
センリツは自分の体を元に戻すため、そしてさらなる犠牲者を出さないため、闇のソナタの楽譜をこの世から抹殺しようとしています。
音に関係する放出系能力者で、音楽を奏でることで対象を回復させたり、精神状態を落ち着かせたりすることが出来ます。他に異常発達した聴力を持っており、極小の音を拾って探索したり、心音から相手の精神状態、思考を読心術のように把握したりすることも可能。
暗黒大陸編では久々に登場しました。第10王子カチョウの護衛を担当しており、今後の展開次第ですが、信頼出来るプロハンターとしてクラピカのサポートに回るのではないでしょうか。
- 著者
- 冨樫 義博
- 出版日
彼女は本名をビスケット=クルーガーと言いますが、ほとんどの場合で愛称の「ビスケ」と呼ばれています。一見すると見目麗しい華奢なティーンエイジャー少女。その実、誰もが驚くその正体は大の男を越える偉丈夫、いや偉丈婦なのです。年齢も驚きの57歳。
本性の方が力を出せるのですが、ビスケ自身がその状態を可愛くないと嫌っており、普段は能力を駆使して若返っているようです。
少女の状態でも見た目に騙されてはいけません。心源流拳法の使い手で、なんとネテロ会長の直弟子。二ツ星ハンターの称号を持つ、1流のストーンハンターなのです。ストーンハンターとは希少な宝石や、おそらく鉱石も扱う専門職。ゲーム「グリードアイランド」に参加したのも、そこにしかないという幻の宝石「ブルー・プラネット」を手に入れるためでした。
念の系統は変化系。ビスケの奥義は「魔法美容師(まじかるエステ)」で具現化した万能エステティシャンのクッキィちゃん。オーラをローションに変化させ、様々なマッサージを行います。休息、回復に重宝する便利な能力です。戦闘には完全に不向きですが、ビスケ自身が武道の達人かつ1流の念使いなので、こと接近戦に関して困ることはありません。
グリードアイランド編ではゴン、キルアの協力者として指導し、続くキメラアント編でもさらなる修行を課しました。現在の暗黒大陸編ではブラックホエール号に乗船し、第13王子の護衛を担っています。今のところクラピカとは共闘していませんが、思惑は合致するはずです。展開次第では他のハンター、センリツやハンゾーと組む可能性もあるでしょう。
- 著者
- 冨樫 義博
- 出版日
彼はグリードアイランド編で登場し、ゴン達プレイヤーの前に立ちはだかった強敵です。ゲーム「グリードアイランド」内で行われる特殊イベント戦のボスキャラかつ、生身の人間でゲームマスター。グリードアイランドの作成および維持と保守を担当する人物です。
グリードアイランドは、ジン=フリークスが主導となって作られたハンター専用のゲーム。つまり、レイザーはジンの同志なのです。ゲームはジンが気まぐれで作っただけではないようで、どうやらゴンがプレイすることが想定されていた様子。順序良くクリアすれば、念能力者として成長する仕組みになっていました。
そしての成長の最後の壁となったのが、このレイザーです。イベントボス戦がドッジボールということで驚いた読者も多かったのですが、いざ始まってみれば途轍もなく熱い勝負となりました。レイザーの能力「14人の悪魔」はかなり精密に動作する念人形。それに加えて放出系の本来の力である、ボール状のオーラを放つ技はきわめて強力でした。
ゴンに破れたレイザーは、自身の生い立ちや、ジンに救われたことを語ります。ジンに直接繋がる手がかりを求めていたゴンにとってはやや肩透かしな情報でしたが、父親の人となりを他人の口から聞くのは、彼の旅の励みとなったはずです。
- 著者
- 冨樫 義博
- 出版日
人間にとって恐るべき害獣、キメラアントの王を宿命付けられた人物で、キメラアント編の裏の主人公的存在。
キメラアントとは、通称「蟻」と称される外来生物です。作中世界の外側、未踏の領域に由来するもの達。ジンは暗黒大陸原産だと推測しています。捕食した種の特徴を取り込み、次代で急速に進化する生命体。お気に入りの種を絶滅するまで捕食することがあり、隔離指定種に指定されている危険生物でもあります。
その存在は知識層には知られていましたが、本来は名称の由来となった通常の蟻と同程度の大きさのはずでした。ところが作中に登場したキメラアントは人間大ほどに大型化した突然変異種。しかも次世代を産む役目を背負った女王蟻でした。なぜ大型化したのかは不明です。暗黒大陸原産とされることから、今後ストーリーで謎に触れることもあるかも知れません。
女王蟻は次々に仲間を増やし、食料を運ばせ、巣作りを行いました。その結果、特に意識して産み分けられたのが直属護衛軍のネフェルピトー、シャウアプフ、モントゥトゥユピーの3体。その後、女王は遂に真の役目であるキメラアントの王――メルエムを出産しました。
メルエムの性質は残忍。人間を食料としか見なさず、暴力によって永続支配しようとする正真正銘の暴君でした。NGLで産まれた彼は、より効率的に人間牧場を運営すべく移動し、東ゴルトー共和国へ至ります。そこは1人の独裁者が支配する、メルエムの目的に適った理想的な国でした。
やがて彼らは、念能力による国民の選別に取りかかります。きわめて低い確率ですが、選別に生き残った者は強力な念能力者の軍隊になると考えたからです。念能力者は一騎当千。国民500万人中、例え100分の1、1000分の1でも生き残れば恐るべき勢力となるはずです。
メルエムは暴君ですが、産まれながらに優れた知能も持っていました。選別実行までの時間を利用し、暇潰しとして文化系の競技に興じ始めます。ほとんどの競技で名人を圧倒するメルエムでしたが、東ゴルトー発祥の「軍儀」のチャンピオンにだけはなぜか勝てませんでした。
そのチャンピオンの名前はコムギ。盲目の上に貧しい生まれで学のない彼女だけが、あらゆる競技、武に優れるメルエムを倒したのです。このことがきっかけで、暴力一辺倒だったメルエムに変化の兆しが現れ、身体的に弱くても、価値のある存在があり得ることを学びます。
キメラアントは念能力に高い順応性を持った生物です。当然メルエムも念能力者。しかも、おそらく特質系です。彼らが「レアモノ」と呼ぶ人間、念能力者を食べることでオーラの絶対量が増やし、能力すら取り込むという恐るべきもの。
当然、ハンター協会が送り込んだキメラアント討伐隊の最優先目標です。メルエムを狩る任務を負ったのは、協会の最高峰、ネテロ会長でした。死力を尽くす人間最強のネテロをいなすメルエムには、王者の風格すら感じられました。
登場時はただ恐ろしいだけの暴君だったメルエム。人間の強さの極地にあるネテロ、弱さの極地と同時に異なる次元の強さを持ったコムギとの触れ合いの中でそれが変化。善政を敷く名君の片鱗すら感じさせました。が、それも結局は人間の狡賢い策謀で潰えます。
人間と相容れない人外の存在ながら、最期には誰よりも人間的になり、感動的に逝った印象的な敵でした。
- 著者
- 冨樫 義博
- 出版日
通称「ピトー」と呼ばれる、キメラアントの王メルエム直属護衛軍の一角。同じ立場にあるシャウアプフ、モントゥトゥユピーとは出生を考えれば(これは王にも言えますが)異父兄弟に当たりますが、それぞれ似たところはまったくありません。それぞれが独自の思惑を持ちつつ、メルエムに絶対の忠誠を誓っています。
キメラアントとしては猫科動物の特徴が色濃く出ており、気まぐれで移り気。猫耳や尻尾、人形のような球体関節を除けば、愛らしい少女のようにも見えます。その外見に反して圧倒的な戦闘力を誇り、ネテロ会長をして自分より強いと言わしめるほどです。
カイトやポックルへ衝撃的な仕打ちを行った張本人。メルエムが登場するまでは、ネフェルピトーがキメラアントの強大さを象徴するキャラでした。
念能力は特質系。膨大な量のオーラを保有しており、ネフェルピトーの展開する円は禍々しさを全面に押し出して描かれました。能力は対象の肉体を修復したり、肉体改造したりすることの出来る「玩具修理者(ドクターブライス)」と、ネフェルピトー自身を操作して戦闘力を飛躍的に向上させる念人形「黒子舞想(テレプシコーラ)」。
メルエムへの忠誠心は高く、王の意向を何よりも優先します。劇中ではそれを端的に表すシーンとして、キメラアント討伐隊のゴンに対して、降参の仕草をしつつ重傷を負ったコムギを助けたいと申し出た場面があります。必死で弱った者を庇う姿は、母猫のそれと重なりました。
最終的にゴンと決裂。その際、有名な「ゴンさん」化が起こりました。強制成長したゴンを目の当たりにして、野生の勘の成せる技か、ネフェルピトーはゴンが自身より強くなったと見抜きます。その心中の吐露からすると、この時点のゴンの力はメルエムにも通用するようでした。
最期はゴンさんの力がメルエムにではなく、自分に向けられたことへの安堵を感じながら死亡しました。
メルエムともども、彼らが行ってきたことを考えれば憎むべき仇敵なのですが、端々で見せた人間的な行いで複雑なものを感じさせました。
- 著者
- 冨樫 義博
- 出版日
パーム=シベリアはハンター協会のキメラアント討伐隊の1人で、実力者ハンターのノヴの弟子です。味方なのですが、非常にヒステリックな性格しており、師匠ノヴに執着するストーカー気質の女性。
初登場時は身なりが凄まじく、ホラー映画に出てくる幽霊のような出で立ちでした。素顔は意外なほど美人で、ゴン達の修行に付き合った報酬代わりのデートシーンでは、別人かと思うほどの姿を見せました。
念能力は強化系なのですが、人魚のミイラに自らの生き血を捧げることで、水晶球に遠隔地の情報を映し出すことが出来ます。特質系のように思えますが、水晶あるいはミイラの遠隔視の力を強化している、ということなのでしょうか。
美人の素顔と念能力を活かして、東ゴルトー共和国の裏の実質的支配者であるビゼフ長官に取り入って、情報収集をするのが彼女の役目でした。試みは結果的に失敗し、パームは捕らえられてキメラアント化させられました。
キメラアントとなったパームは能力も変化。能力は右目で見た者の透遠隔視が可能な「淋しい深海魚(ウィンクブルー)」、髪の毛で鎧を構築する「暗黒の鬼婦神(ブラックウィドウ)」の2種類。人間であった時の力がそのまま強大になったようでした。
キメラアント化した後は洗脳改造されて、討伐隊として王宮に侵入したキルアと交戦。その途中で自我を取り戻して原隊復帰。最後にはネテロによる自爆、メルエムの異変にいち早く気付き、その目で王とコムギの末期を見届けました。
いかがでしたか? 本作の連載が始まったのは1998年のこと。もう20年近く続いているのです。こうしてあらためてその年月で語られた物語を振り返ると、新たな発見があったのではないでしょうか? 物語の続きを心待ちにしつつ、今一度ご自身でシリーズを再読してみるのもよいのではないかと思います。