統計学を学び始めた方にお勧めの入門書3冊

更新:2021.12.5

アンケート結果など、収集したデータを分析して仮説構築や改善策の立案に取り組む機会のある方は多いのではないでしょうか。ただ、その過程で「このようなときにはどう分析すればいいのだろう?」「このデータって妥当なのだろうか?」などといった疑問に直面することもあると思います。そのときに役立つのが、統計学の考え方です。苦手意識をもつ方も多いですが、強力な武器になることも事実。躊躇される前に、少し統計学の世界を覗いてみてはいかがでしょうか。今回は、統計学をザッと理解するための3冊をご紹介します。

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統計学の基礎となる知識をザクッと身につける。

著者
滝川好夫
出版日
2014-12-15

まずご紹介したいのが本著。私立大学3年生で水泳部のエースでもある主人公・月見野マキが留年の危機に立たされるところから物語はスタート。及第か落第かがかかっている「統計学」の講義の単位を確実に取得するために、大手証券会社に勤める姉に頼み込んで統計学の基礎を教えてもらうといったスタイルで、統計学の基礎をわかりやすく解説しています。

統計学とはそもそも何なのか?という話から、平均値・分散・標準偏差などのようにデータの数量的な特徴を明らかにする記述統計学、標本を分析して母集団の特徴を推定・仮説検定する推測統計学など基礎知識として覚えておいた方が良い内容をカバーしています。途中、内容が難しくなるパートもあり、しっかりと読み込まないと理解するのに時間がかかる内容もありますが、具体例やイラスト、図版などを多用しながら解説をしているので理解が深まりやすいのではないでしょうか。

統計や分析と聞くと「難しそう」と思って二の足を踏んでしまう方でも、マンガのストーリーに引き込まれてあまり抵抗なく読むことができる上に、姉妹のテンポ良いやりとりやボケなどが合間に入ってくることで飽きることなく読み進められる工夫がされているなと感じました。

統計学を学んだことがない方はもちろん、内容がしっかりしているので統計学を学んだことがある方でも自分の理解を確認したり復習したりする上で有用です。マンガだからといって侮ることなかれ! 私も大学生の頃に統計を勉強し、今の仕事でも当然統計学の知識を生かしてデータ分析などに取り組むのですが、そもそも自分が行っている分析の意図は何なのか? なぜそうなるのか? 限界は何なのか? などを見直すうえで参考になりました。

大学生の頃も人に勧められてわかりやすい書籍を読んでいたのですが、その前に本著でザクッと全体像に対する理解を深めていればもっと早く理解が深まったのではないかと思います。残念ながら、当時はこのようなマンガはなかったな・・・。

より広く、統計学で扱う内容について網羅的にカバーする。

著者
["涌井 良幸", "涌井 貞美"]
出版日
2015-05-01

続いてご紹介するのが本著。マンガではないですが、イラストや図表などを存分に活用し、できるかぎり簡潔に統計学で扱う各種テーマを紹介している書籍です。「マンガでわかる統計学」よりも扱っている内容の幅が広く、もっと詳しく統計学について勉強したいと考えた方にとってお勧めの書籍の一つです。

ビッグデータという言葉も普及してきていますが、現代は膨大に膨れ上がってきているデータなどの情報をいかに読み解き、情報におぼれずに実際に活かしていくか、つまり情報リテラシーをいかにしっかりと身につけていくかが重要になってきます。そのリテラシーを支える要素のひとつが統計学です。ただ、これまでの公教育ではあまり統計学がしっかり教えられる場がなかったために、多くの学生やビジネスパーソンが必要な知識を持ち合わせていない状況にあると著者は問題提起しています。自分もまだまだ勉強の身ですし、学べば学ぶほど自分の理解不足を痛感しつつ統計学の奥深さに感じ入るものがあるのですが、間違いなく今必須で求められる力だと感じています。

そのような必要性を感じている方にとって、本著は多くの示唆と理解を与えてくれるのではないでしょうか。ただ、こちらの本はわかりやすさやシンプルさを追求していく中でかなり説明をはしょっているところが多くあるので、読み進めていく上で「これってどういうことだろう?」と疑問を感じることも多いのではないかと思われます。その場合は、ネットで検索をしたりより詳しく解説をしている書籍を読んだりしながら理解を補っていく必要があるかもしれません。本著の良さを存分に活かしながら統計学に対する理解を深めていくためにはそのようにするのが良いかもしれません。

そのような意味では、完全に初心者の方が最初に読むというよりかは、これまで少しでも統計学を学んできた方/学んだことのある方が、学んできたことを整理したり理解の度合いをチェックしたりするために読むととても役立つのではないかと思います。自分も記憶の彼方に消えていっていた知識が本著を読むことでだいぶ蘇ってきました。

統計学という学問をよくここまでシンプルにまとめて解説しようとされているなと感じて思わず買ってしまった一冊です。

では、統計学を実際にビジネスなどの現場でどう使うのか?

著者
出版日
2016-01-19

統計学の基本的な知識や考え方を理解したところで次に課題になると思われるのが、それをどう実際の現場で活かしていくのかということ。すでに使っていてイメージが湧きやすいものもある一方で、「これってどう使うの?」と思うものもあるのではないでしょうか。それではせっかく学んだ内容も宝の持ち腐れです。

最後にご紹介するのは再度マンガです。主人公はビールメーカー勤務で3年間営業に従事してきたミホという女性社員です。ある日、経営陣からデータ分析を会社として強化していきたいからその旗振り役になってもらいたいと言われたミホと上司のタカハシ。彼らが大学等でデータ分析などを教えている先生からレクチャーを受けながら現場で問題に直面して試行錯誤を繰り返しつつ、データ分析をものにしていくというストーリーの中で、いかに統計学で扱う知見を現場で活かしていくのかということを学ぶことができます。

マンガの設定上、業界や業務内容を限定しているので扱う知見も一部に限定されていますが、統計学で学んだ内容を実際にどのように使うのかということがとてもイメージしやすくまとまっています。これもマンガだからこそ成せることかもしれないですね。

本著は現場で統計学を使うことを前提に書かれているので、分析をする際も特殊なツールを使うことなく、Excelを使っていかに分析を行うかという視点で知見が盛り込まれています。学んだ内容をすぐに試してみながら理解を深められ、徐々に使いこなせるようになっていく工夫がされていると思います。

「マンガでわかる統計学入門」に比べるとマンガの割合が少ないですが、解説がわかりやすいため読み進めるのも比較的容易なのではないでしょうか。自分の仕事であれば、どのように活かすことができるか?もし不足する点があれば何を追加で学ぶ必要があるのか?そのようなことを考えながら読むと、理解が深まるとともに次に学ぶべきテーマも見えてくると思います。

今回の記事はいかがでしたでしょうか? 自分ももともとは数字に強い方ではなく、大学時代の研究やマーケティング業務上の必要に迫られて勉強しながら徐々に慣れ、基本的な分析などを一通りはこなせるようになった人間です。最初は統計学について、苦手意識はかなりありました。でも、がむしゃらに統計学の分野に踏み込んでみて、試行錯誤を繰り返しながらも学びと実践を繰り返していくことで苦手意識もなくなり、新たな世界が見えてきたと感じています。分析を通して「これだ!」という結論を初めて導き出すことができたときは、本当にうれしかったものです。統計学は強力な武器になり得ます。私もまだまだこれからですが、今回ご紹介した書籍をきっかけに一人でも多くの方が統計学を学ぶきっかけになればと願っています。

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