本格料理漫画として人気を博する『食戟のソーマ』。随所にちりばめられたお色気要素も楽しみな本作には「遠月十傑評議会」と冠する個性豊かな10人の人物が登場します。今回は、そんな「十傑」の実力や個性について、席次順にランキングでご紹介しましょう。
名門料理学校「遠月学園」を舞台に繰り広げられる、料理に青春をささげる高校生たちの姿を描いた物語が『食戟のソーマ』です。主人公・幸平創真をメインに、「食戟」と呼ばれる手に汗握る料理バトルを通じて、仲間たちとともに料理の腕を磨いていく様子は、さながらスポーツ漫画のようにアツい展開で楽しませてくれます。
そんな遠月学園において、最高意思決定機関として機能しているのが「遠月十傑評議会」、通称「十傑」です。
遠月学園総帥直属の組織で、学内評価の上位10名によって構成されており、その決定には学園の講師ですら逆らえないほど絶大な権力をもっています。また、十傑に選ばれた生徒は「料理のために」という名目の下で、学園が持つあらゆる権限や財力の一部を自由に使うことができ、その権限は席次が第一席に近づくほど増していくのです。
十傑メンバーは、料理の腕はもちろんのこと、授業成績、合宿などの成果・実績、また学園への貢献度など、幅広く選定されています。なかでも最も重要視されるのが「食戟の戦績」です。
十傑の過半数の賛同があれば、学園の運営方針や学園長の交代にいたるまで意見を反映することができるという、名実ともに「最高機関」と呼ぶにふさわしい組織形態となっています。
今回は、そんな十傑メンバーについて、現役からOB、OGまでを実力ランキング順でご紹介します!
- 著者
- 附田 祐斗
- 出版日
- 2013-04-04
遠月学園において史上最年少で「第十席」を獲得したのが、遠月学園総帥・薙切仙左衛門の孫娘であり、本作のヒロインの1人である薙切えりなです。
「神の舌」と呼ばれるほどに優れた味覚と抜群の料理の腕前を持つうえ、勉学にも優れた、まさに才色兼備のお嬢様。幼少時より父・薊(あざみ)の「自分が認めた料理以外はクズである」という洗脳教育を受けていたため、当初は幸平創真の実家である大衆食堂「ゆきひら」などの庶民的な料理を否定していました。
恵まれた環境で育ったゆえかプライドが高く、わがままで高飛車な性格をしている彼女は、そのプライドの高さゆえ傲慢だと誤解されがちですが、実は料理に真摯に向き合う一途な面も持っています。
また、彼女は創真の作る料理の魅力や腕前を表向きは認めていませんが、それは幼少時の教育やプライドゆえに素直に褒めることができないせいだったのです。このツンデレ加減が、彼女の魅力です。
さらに、徐々に創真やその仲間たちの人柄に触れ、さまざまな価値観や考え方を認められるようになってくると、普段のツンとした姿だけでなく、素直な一面を見せるようにもなっていきます。
そんなえりなといえば、父の呪縛に負けず「自分の思いのまま」を貫いて十傑の第十席を返上したシーンは見応えたっぷりです。
父親の前に出ると震えてしまうほど、その支配に縛られていた彼女でしたが、創真や仲間たちとの信頼関係を経て少しずつ穏やかに成長し、「父親に逆らうことなど考えたこともなかった」自分から生まれ変わることができたのです。
その後は創真やその仲間たちと「一緒に2年生へと進級」するため、自らの持てる知識を彼らに伝えることでサポートし、先陣を切って薊の組織する「中枢美食機関」との対立するなど、頼もしい姿を見せるようになっています。
まさに聖女・ジャンヌダルクのようなカリスマ性を発揮してますます魅力たっぷりのえりなに注目してください。
眼鏡がトレードマークの叡山枝津也は、十傑第九席に名を連ねながら、料理人というよりはフードコンサルティングの腕が卓越していることで一目置かれる存在です。
遠月に入学したのも「金になるから」という根っからの拝金主義者である彼は、入学初年度からさまざまな店舗のコンサルを務め、コンサル業だけでその年の学年全生徒の入学金をはるかに上回る額を稼ぎ、金を生み出すその手腕から「錬金術師」という異名を持っています。
プライドが高く、自分に楯突く存在には容赦をしない性格で、創真を傘下に引き入れようとして拒否されると彼を目の敵にし、徹底的な排除を宣言するなど苛烈な姿が印象的です。
創真との因縁は、叡山自身がコンサルを務めていた唐揚げ専門店「もず屋」の東京進出にはじまります。
駅前一等地で営業展開する「もず屋」に客足を取られてしまった「すみれ商店街」は、創真の地元です。閑古鳥の聞こえる商店街は創真の力を借り、起死回生を狙って「すみれ印の唐揚げロール」を考案。見事、商店街に人を呼び戻すことに成功しました。
「もず屋」の売上も下落してしまったことで、叡山が経歴にキズが付いたと考えるのも無理はありません。その一件以来、創真を「自分のキャリアを汚した存在」として、完膚なきまでにつぶすことを目論んでいます。
また、「金の亡者」で「卑怯者」という描写が多く、九席に座するほど腕のある料理人のイメージはありませんが、その実力はもちろん高く、十傑第二席の小林竜胆からも「コンサル業にのめり込まなかったら、現十傑メンバーの何人かは食われていたかもしれない」と評されるほどです。
さまざまな店をコンサルできるのも、あらゆる料理に精通している証拠といえるのでしょうね。
登場するシーンのほとんどがクズなイメージの叡山ですが、彼の最大の見どころはやはり「料理人・叡山枝津也」の姿を描いた、創真との食戟です。
テーマとなる「さつま地鶏」を、特段の下準備や仕込みなく即興で料理に仕上げる技は「さすが」のひと言。日頃の彼からは想像しがたい、料理中の優雅な姿には、ちょっぴりキュンとしてしまうでしょう。
さらに、創真の料理をひと口食べて「おいしい」と言うのを必死でこらえている叡山の顔がなんとも言えずキュートで、思わず唸ってしまいそうな意外な一面を見せてくれるところも、見どころですよ。
中華料理研究会主将の久我照紀は、常にテンションが高く、馴れ馴れしい振舞いと相手を挑発するような言動が特長の2年生です。身長が低いことを気にしていて、「ちび」とからかわれると激怒するなど子供っぽい一面を持ち合わせています。
数ある中国料理のなかでも、辛さの中に旨みを感じる本格四川料理を得意としており、一般店にもレシピを提供するなど、学園内外からも注目を置かれる存在です。
虎視眈々と上席である3年生を引きずりおろそうと目論んでいて、特に、第一席の司とは何やら因縁がありそうな雰囲気も……。
実は、久我は1年のときに当時の十傑に食戟を挑み、司との勝負に惨敗しています。さらに司が自分との食戟を忘れていたという屈辱から、「打倒、司」を誓うことになり、常に司に食戟を挑むタイミングを見計らっているのでした。
なかなか実現しない司との食戟ですが、遠月学園の学園祭「月饗祭」では、本格中華を提供する「久我飯店」を出店し、開催期間5日間中、連続で売上1位を獲得できたら司と食戟をする約束を取り付けます。司と同じ偉業を成し遂げることで、同列の土俵に立とうと考えたのでしょう。
しかし、月饗祭の4日目に、自身の店のさばき切れなかった客を創真の出店していた中華屋台に奪われてしまったことで売上順位を2位と落とし、またも司との食戟はお預けになってしまうのでした。
何かと不真面目な態度が目に付く久我ですが、料理にかける情熱と腕はピカイチです。司を倒すことだけを考えながらもなかなか報われない姿には、いとおしさすら感じられますが、そんな彼は「中枢美食機関」の意向に沿わないとの理由で十傑から除籍されてしまいます。
除籍されたとはいえ十傑の座を諦めた訳では無く、再び返り咲くために創真たち「反逆者チーム」に加わり、集団VS集団で戦う「連隊食戟」で、念願だった司との対峙が叶うことになるのです。
久我の実力がいかんなく発揮される連帯食戟での料理シーンをチェックしてみてください。
遠月学園の学生寮である「極星寮」は、今でこそ入寮者も少なく「変わり者の巣窟」と呼ばれる場所となっていますが、かつては十傑全員が入寮生という黄金時代もあったほど、由緒ある学生寮です。
そこの寮生であり十傑の第七席をつとめるのが、一色慧。後輩思いの穏やかな性格をしていて、創真をはじめ入寮生たちの能力や技術を見抜いて的確なアドバイスをするなど、現寮生たちのリーダー的存在でもあり、みんなに慕われています。
見目麗しい姿とは裏腹に、寮内ではやたらと服を脱ぎ、褌一丁で農作業をしたり、裸にエプロン姿で料理を作ったりとかなりの変人。初登場時から裸だったため、読み進めるうちにその姿に見慣れ、公の場での制服姿に違和感を感じてしまうほどの馴染みっぷりがいっそ清々しいほどです。
極星寮の裏にある畑で毎日作物の世話をしているため、授業にはほとんど出ていませんが、頭脳明晰で畑で採れた野菜でビジネスをおこなうなど、実業家としての手腕も申し分ありません。婦人相手の料理教室を開催するなど、高校生ながらに多岐にわたる活動を行っています。
さらに一色は、京都・祇園で代々割烹料理店を営む西の名門「一色家」の跡取り息子で、家のしきたりから4歳の頃には東の名門「紀ノ国家」で料理修行に励んでいたため、同じ十傑第六席である紀ノ国寧々とは幼馴染みとなります。
和食を得意としていますが、さまざまな料理技法や食材を組合せ、「超攻撃的和食」と評されるなど和食の枠に留まらない創作料理が彼の真骨頂で、その実力は折り紙つきです。
穏やかで人懐こい印象ながら、手の内を明かさない飄々とした雰囲気をまとい、人間関係においても一線を引いているような、つかみ所のない一面も。本気を出さずとも食戟に勝利するなど、幼馴染みの紀ノ國をはじめ、他の十傑からも実力を高く評価されています。
そんな底の見えない一色の本当の実力は、「中枢美食機関」とそれに対抗する「反逆者チーム」との連隊食戟で垣間見ることができます。
連隊食戟の第1戦では、「うなぎ」をテーマにした料理で対決。高校生ながら高度な調理技術と、長年の修行が必要といううなぎの「腹開き」を披露するなど、超絶技巧の持ち主です。
その食戟の場において、極星寮の後輩を侮辱した対戦相手に対して怒りをあらわにし、「全力で叩き潰す」ことを決意します。一色の本気モードが発動した瞬間です。そして、後輩たちが作った日本酒や燻製、野菜といった食材を使った「ひつまぶし~極星寮風味~」で勝利を手中にします。
本作において、最も創真たち1年生と関わりが深く、創真たちを導いてくれる存在である一色の今後の活躍からも目が離せません。
遠月十傑の第六席を排するのは、丸眼鏡とおさげ髪が特徴の紀ノ国寧々。
基本的に口数は少ないのですが、同じ十傑の久我にからかわれた時に「しね」と発言するなど、時折辛辣な一面を覗かせることもあります。
第七席の一色とは幼馴染みで、同じ91期生として研鑽しますが、寧々が努力の末に習得した技術をあっさりと身につける一方、本気を出さずに飄々としている一色に対して憤りを感じています。
実家は「江戸そば」を現代まで継承してきた神田の老舗そば屋で、幼少時よりそば作りに必要な技術はもとより、茶道や懐石料理などを含む日本料理の神髄をその身に染みこませてきた「和食界のサラブレッド」で、遠月学園91期生最強とうたわれる才女です。
そのお陰か、和食料理全般を得意としていますが、特にそばは「必殺料理(スペシャリテ)」にするほど得意で、熟練の技で珠玉のそばを仕上げて食通を唸らせています。
薊の組織する「中枢美食機関」での連隊食戟では、「そば」をテーマに創真と対戦。持てる力を全て使って「九割そば~桜エビのかき揚げを添えて~」を完成させるも、最も重要なそばの香りが立たずに敗北してしまいます。
その原因は、対戦地が冬の北海道という環境であったことで、室温が低く香りの立ちにくい状況であることを見極められず、「最高のそば」と幼少時に教えこまれた一番粉にこだわり、「いつもと同じように」作ってしまったためでした。
最も得意とするそばで敗北してしまった彼女ですが、この食戟によって自分が「教えられたことを繰り返しているだけ」で、「物事の本質を見られていない」と気付くことができたのだから、きっとこれからもっとよい料理人になることでしょう。
「十傑」の第五席を預かる斎藤綜明は侍のような出で立ちをした3年生で、モヒカンと鼻の上をとおる横一文字のキズが特長です。
刀ほどある巨大な包丁「いさな斬り」を常に持ち歩き、武士口調で話すなど武士道を志す一本気な性格をしています。
得意な料理ジャンルは寿司で、愛用するいさな斬りで巨大なマグロを瞬時に解体するなど優れた刀工技術も見どころです。
登場シーンはそれほど多くありませんが、「反逆者チーム」の美作と対決する連隊食戟では、美作の見事なトレースに賞賛を送り、より対等の立場で対決するためいさな斬りを差し出すなど、フェアな性格が描かれています。
「当代きっての寿司職人」と呼ばれるだけに、食戟の場では、大柄の体躯とは裏腹に繊細な手まり寿司を披露し、洗練された技術を見せつけました。
常に「ブッチー」と呼ばれるネコのような、クマのようなぬいぐるみを抱いている茜ヶ久保ももは、十傑の中で最も小柄な3年生です。
人見知りが激しく、目を合わせて会話できるようになるまで1ヶ月はかかるそう。小さくキュートな外見にそぐわず、かなりの毒舌家というギャップが彼女の魅力を引き立てています。
洋菓子やケーキを中心としたスイーツ全般を得意とするもも。遠月学園でトップクラスのパティシエで、巧みな技術とセンスで他の追随を許さない腕前です。
ももの登場シーンはまだ少なく、食戟も成立していないためその実力はまだ未知数なので、どんな料理(スイーツ)が登場するのかこれからが楽しみですね。
勝負事を嫌う性格で、食戟嫌いの料理人として知られる寡黙な男・女木島冬輔は、日本全国を屋台を引きながら修行し、ラーメンを極めたことから「ラーメンマスター」の異名を持っています。
日本一の料理学校という評判を聞きつけて遠月学園に入学しましたが、自分のラーメンを極めるいとまもなく、毎日望まない食戟を挑まれるため、かたっぱしから勝負を受けていたらいつのまにか十傑の第三席まで上り詰めていた、という異色ともいえる経歴の持ち主です。
そのため十傑の地位にはそれほどこだわっておらず、料理の勝ち負けは「いかに客を喜ばせられるかどうか」という競争でよく、自分のラーメンをバトルの道具にしたくないと思っている、真面目な男なのです。
女木島は、全国での修行のかたわら経営難に陥ったラーメン店を助けたり、店同士のいざこざを解決したりするうち、日本中のラーメン店の店主から絶大な信頼を得るようになります。そのうち、「若旦那」や「組長」などと呼ばれるラーメン界に君臨する王者となったのです。
3年生の十傑の中で唯一、料理に対する薊の方針に反対し、2年生の一色、久我とともに十傑の地位を剥奪されてしまいます。
その後女木島は北海道入りし、薊の「日本の美食のため不出来な品を出す店を殲滅する」という考えのもと圧力に苦しむラーメン店のため、自身の人脈を駆使して食材の流通などに尽力するようになります。この、「男は黙って行動」という男気あふれる女木島の姿はたまらなく格好よく映るでしょう。
そんな女木島の腕を見込んだ創真から同じチームとして連隊食戟への参加を要請されますが、ラーメン店の立て直しで手一杯と断ります。しかし、諦めない創真の熱意や、自由に料理ができる環境のために対決しようとする思いを汲んで、「反逆者チーム」のメンバーとして参加することを決意するのでした。
ラーメン店のために、そしてすべての料理と料理人のために、立ち上がった食戟嫌いの眠れる獅子・女木島の活躍を、見逃さないでくださいね。
茶目っ気たっぷりで明るい性格の十傑第二席は、料理はもとより食べることが趣味というちょっぴり変わった小林竜胆(こばやしりんどう)という女生徒です。後輩からは「竜胆先輩」と呼ばれ親しまれています。
笑うとのぞく八重歯や左目を髪で隠しているのが特長で、遠月学園の歴史のなかでも稀な「希少食材マスター」です。ワニなどの爬虫類や昆虫類など、希少食材の解体法や捌き方などをはじめ、食材に対する膨大な知識と未知の味へのあくなき探究心を持っています。
元々の知識に加え、十傑入りした当初から海外を飛び回って、生態系に影響が出ないと判断されたすべての生物を食べつくすことで、さらに知識を深めたというバイタリティあふれる女の子です。
十傑の第一席に座する司とは中等部の頃からの知り合いで、司に興味を持ち、十傑の第一席に着くという司の夢に対して、「じゃあ自分は第二席に着く」という約束を実現して今に至ります。
登場からしばらくは、食べるばかりで料理をする姿は描かれていませんが、連隊食戟の2戦目に参戦し、「唐辛子」をテーマにした料理で、元三席の女木島と対決しました。
およそ、薊の方針とは真逆のような明るい彼女ですが、「新しい流れにドキドキするから」という理由で「中枢美食機関」に加担するなど、何を考えているか分からない、食えない一面も持っています。
食えない食わせ者の竜胆が今後巻き起こす(かもしれない)展開、要チェックです。
遠月十傑のトップに君臨する司瑛士は、儚げでクールな美青年です。
利口で冷徹な雰囲気をまとっているため、喋らなければ酷薄そうに見えますが、実際は「人前に立つタイプじゃない」と自ら語るほど気弱で、第一席という立場や責任のプレッシャーに押しつぶされそうになっているのでした。
フランス料理を得意とし、創真たちが「自分らしい料理」を目指しているのに対し、徹底して自分らしさを排除した、素材の良さのみを極限まで研ぎ澄ませた料理を重要視しています。
料理に対しては絶対の自信をもっており、数々の料理人を見てきたえりなからも、感性と技術は美食をつかさどる神々の領域へ踏み込んでいると評されるほど。また、良くも悪くも気弱なため他人に調理作業を任せることができず、調理はすべて1人でおこなうなど、他人を頼らない孤高の人として絶対的な存在となっています。
また、自分の料理を極めることが彼にとって最も重要なことで、他者への配慮や心遣いを一切考えない傲慢な一面を持っており、そのため「中枢美食機関」の方針である「日本の美食のため不出来な品を出す店を殲滅する」という考えに賛同し、大衆料理店が潰れることも仕方のないことと割り切っているようでした。
「中枢美食機関」が発足した後、自らが講師を務めた講義で、サポート役に回った創真の能力の高さを気に入り、助手として勧誘するも断られてしまいます。その後、創真たち「反逆者チーム」との連隊食戟では第2戦に参戦し、因縁のある久我と「緑茶」をテーマに対決することになるのです。
今後、司がどのように創真たちと関わっていくのかもチェックしておきたいところですね。
『食戟のソーマ』の物語では、現役の十傑だけでなく、卒業した十傑OB・OGも、講師や審査員として登場します。
十傑に選ばれるには個性的じゃないといけないのか?と思うほどに個性豊かな面々が、創真たち現役生を時にフォローしたり、時に指導者となったりしながら一流料理人へと導いてくれるのです。
でもやっぱり、みんな生粋の料理人なので、若手の情熱に煽られて立場を忘れて興奮したりアツくなったりするんですよね。そんな人間らしい一面も楽しめる遠月学園の十傑OB・OGを、年代順にご紹介します。
遠月学園に在学中は、十傑の第一席として名を轟かせていた堂島銀。現在は、遠月学園が運営する「遠月リゾート」の総料理長であり取締役員を務めています。
筋肉質でがっちりした体形と坊主頭がトレードマークの彼は、生真面目で人情味あふれ、他の卒業生からも一目置かれ慕われる存在です。
風呂場で創真と鉢合わせした初登場時には、筋肉隆々の体を惜しげもなくさらしたポーズをとり、威厳もへったくれもない姿をあらわにするなど、時折見せるユーモアに富んだ言動で周囲を和ませ、次代の料理人を一流の世界へと導いてくれています。
当時の歴代最高得点で学園の卒業試験をクリアした堂島は、学生時代には、創真たちが入寮している極星寮に入寮しており、創真の父・城一郎とともに極星寮の黄金時代を築いた1人です。
城一郎が天才ゆえのスランプから自主退学となった際には、その状態に気づけなかったことに責任を感じ、ひどく落ち込んでいましたが、総帥である薙切仙左衛門の誘いを受けて、後進の育成のために現在の地位へと歩んでいくことになります。
薊の動きを知り、城一郎とともに薊を止めるべく連隊食戟を提案すると、城一郎とともに創真やえりなたちと一緒に特訓として「紅白戦」を取り入れるなど、面倒見のよい姿が描かれています。
言わずと知れた創真の父で、大衆食堂「ゆきひら」の店主である幸平城一郎(旧姓は才波)は、在学当時は堂島銀とともに極星寮に属し、当時の十傑の第二席をつとめていました。
現在はボサボサの長髪と無精ひげを生やした風貌をしており、非常にマイペースな性格です。息子の創真とは日常的に料理勝負をしていて、その勝負数は450回以上にものぼり、すべてに勝利しています。そしてそのたび重なる敗北経験が、息子の創真を料理人として向上させている糧となっているのです。
創真が幼稚園の頃から、自身の料理技術や料理人としての心構えを叩きこみ、今や創真にとって城一郎は、目標であり超えなければならない壁となっています。
かつては同期の堂島とともに極星寮の黄金時代を築き、堂島を凌ぐ料理の腕前で、第69期最強の料理人と謳われていましたが、初めて試す料理やゲテモノ料理などを食戟の場で出すなどといった破天荒な行動が多かったため、素行不良で二席に甘んじている状態でした。さすが創真の父ですね。行動がそっくりです。
類まれなる料理センスを持った天才として讃えられ、城一郎の作りだす料理のファンは数多くいましたが、しだいに新しい料理を生み出すことの苦痛、さらに自分を「天才」と決めつけ勝負を放棄する生徒たちに絶望し、ついにはスランプ状態に陥ってしまいます。
そんな城一郎を心配した仙左衛門に、料理から少し離れてみることを提案され、自分の在り方を探すために遠月学園を去るのでした。 その数年後、「食事処 ゆきひら」をオープンさせ、現在に至ります。
また、創真が中学を卒業すると「2、3年休業する」と言い残して、創真には遠月茶寮料理学園へ入学させると行方知れずとなってしまうのです。
現在は世界中を転々としながら料理を振る舞っていますが、薊の不穏な動きを察知し、その改革に待ったをかけるべく帰国。創真たちが十傑に勝てるように特訓を課すこととなります。
中村薊(薙切薊)は遠月学園の第71期卒業生で、1年生の時に十傑第三席まで上り詰めたという実績の持ち主です。薙切えりなの実父で、中村は旧姓。
三席を拝していた当時は、第一席、第二席だった堂島と城一郎の後輩にあたり、穏やかな口調と柔和で整った顔立ちながら、「僕のために料理の秘密を話して」などという、慇懃無礼であけすけな物言いが特徴的です。
学生時代から現在に至るまで、徹底した美食主義を貫き、美食を追求した料理に対しては「芸術」と評するのに比して、美食に値しないものは「餌」であると断言し、また、真の美食は限られた者のみで共有すべきとするなど、極端な思考を持っています。
実の娘であるえりなに対しては、元来の「神の舌」を完全なものにすべく、洗脳とも呼べる英才教育を施していましたが、そのことがきっかけで仙左衛門の怒りを買い、薙切家と遠月学園を追放されてしまうのでした。
再びえりなの前に現れた彼は、現在の遠月学園の状況を「憂えている」と述べ、遠月学園を「あるべき姿」へ正すべく、仙左衛門に代わって自ら総帥に就任すると、圧倒的な独裁政権が誕生することになるのです。
薊は遠月学園の現在の授業やゼミ、同好会などの解体とともに、「中枢美食機関」を設立。「自分が認めた料理のみを提供する料理人」の育成のため、無用なものを排除しようとする目的の第一段階として、遠月学園の改革を進めています。
横暴な暴君のように見える薊ですが、一方で遠月学園に通いながらも実力がおよばない生徒からすると、「誰でも十傑レベルの料理がつくれるようになる」という方針は、将来のためにはプラスなため、生徒の中には薊を支持する者もあらわれるなど、数々の波乱を呼んでいるのです。
しかし、圧倒的な悪役かと思いきや、進級試験の会場である北海道では、スキーをしながら登場するなどお茶目な一面をのぞかせています。
真面目すぎるほどに真面目なゆえ極端な思考に陥ってしまっただけで、本来の薊は悪い人間ではなかったのかもしれない、と想像すると、また違った面白さが発見できますね。
薊の思考は極端ですが、それを是とする人間もいて、どちらがよいのか判別しにくい混沌とした状況が、物語をさらに面白くしているんです。
パリにあるフランス料理店「SHINO'S」のオーナーシェフを務める四宮小次郎は、第79期卒業生で、在学中に遠月十傑の第一席に君臨していました。
卒業後すぐにフランスへ渡り、研鑽を積んだのちに自分の店「SHINO'S」をオープン。瞬く間に人気となり、フランス料理の発展に貢献した料理人に送られる勲章を受章するなど、実力の高さは折り紙つきです。
それまで肉料理がメインだったフランス料理において、野菜を中心とした料理でフランス料理に革命を巻き起こしたことから、「レギュムの魔術師」と呼ばれています。
料理人として高いプロ意識とプライドを持ち、頑固なところはありますが、料理の腕前は本物。当初、創真たち1年生の宿泊研修の講師としてやってきた四宮は、傍若無人の限りをつくし、さらに課題の料理のための食材に傷んだものを混入させるなど、非道な手段で退学者を出そうと目論んでいました。
しかしその窮地を、創真の同期である田所恵がワインビネガーを使うことで脱すると、勝手にルセット(レシピ)を変更したと激怒し、退学処分を言い渡します。
結果、それに異を唱えた創真と恵のチームと、堂島の指揮のもと非公式な食戟を争うことで己に足りなかったものを見つけ、さらなる高みを目指すためにフランスへと戻って行くのです。
その後東京に2号店をオープンすることとなり、その店舗に、実地研修(スタジエール)のためやってきた創真との間に信頼関係を築き、創真からは「師匠」と呼ばれるなど良好な関係を築くこととなります。
四宮小次郎と同期で、在学時は十傑第二席の地位にあった水原冬美は、卒業後はイタリア料理店「リストランテ エフ」のシェフを務めています。
基本的に無表情で、皮肉っぽい話し方をするのが特徴で、四宮には得意とするイタリア料理バトルで負けを喫して以来、ライバル視しています。
が、実は料理中の四宮の真剣な表情は悪くないと思っているとかいないとか……?
宿泊研修終了後には、創真とイタリアの大衆食堂を実家に持つアルディーニ兄弟をスカウトしようとするなどリクルート活動も積極的におこなうバイタリティの持ち主です。
日本料理店「霧のや」の女将で、女性料理人。遠月学園第80期卒業生の乾日向子は、在学時に最高位として十傑第二席の地位に上り詰めた実力派です。
マイペースでおっとりした雰囲気ながら、料理に対しては冷徹な一面を見せることもあり、「霧の女帝」という二つ名で恐れられていました。宿泊合宿の際に、学園OB・OG試験官として創真やアルディーニ兄弟の課題の担当教官を務めます。
優しげな印象ですが、審査は決して甘くなく、ニコニコしながら合格点に至らない生徒を次々切り捨てていくというまさに「霧の女帝」さながらの冷酷さで大量の不合格を出しました。
この合宿の際に、健気に料理に取り組む恵が大のお気に入りとなり、合宿終了後には自分の店で働かないかとスカウトするほどの執着を見せるのでした。
四宮に対して余計なひと言を口にしては殴られている光景は、『食戟のソーマ』において定番ネタとなっており、登場シーンは少ないものの、「やっぱり乾はこうでなきゃ」と思わせるインパクト満点の女性です。
スペイン料理店「タキ・アマリージョ」シェフである角崎タキは、短気で毒舌家な女性です。在学中は十傑の第二席を務めました。
怒りっぽい性格をしていて、特に料理のマナーが悪いものに対しては容赦がありません。「調教」と称した体罰もいとわないような過激な女性です。
自分に似たタイプの水原に対しては、「冬美先輩」と呼ぶなど敬意を払っていますが、子供っぽい性格の乾に対しては、後輩ながらタメ口で接するという失礼な一面も持っています。
遠月学園第89期の卒業生で、現在は洋食専門店「春果停」のシェフを務めるのが木久知園果です。
基本的に気弱で大人しい性格ですが、料理のことになると、時折、豊富すぎるうんちくを語るという面倒くさい癖を持っています。
1年先輩の角崎タキから「乳房お化け」と呼ばれるほど豊かなバストサイズを誇る園果は、在学中は十傑第二席を務める実力者で、秋の選抜準決勝の審査員を務めました。
元は、インドのスラム街で暮らしていた孤児だった葉山アキラは、香辛料を研究する「汐見潤ゼミ」に属する1年生です。
褐色の肌と銀髪が特徴で、薙切えりなに次ぐ天才と注目されるエリート。スパイスを使った香り高い料理を極めるため、創真たち1年生同士で研鑽を積んでいます。
以前、悪質なスパイスを売られそうになっていた汐見潤をアキラが助けたことがきっかけで知り合い、その類まれな嗅覚とカレーやスパイスに関する豊富な知識を見出した潤によって遠月学園へ招かれることとなりました。
「秋の選抜」の決勝戦では、創真と、同じく1年の黒木場リョウの2人に勝利し、名実ともに1年生で最強という名声を手に入れることになるのです。
年上の潤に対してタメ口で話しますが、自分の才能を見い出してくれ、またスラムでの、他人に虐げられる人生から救ってくれたことに対して深く感謝しているようで、いつも「潤のために」と、非常に強い想いを抱いています。
薊が総帥となった遠月学園において、汐見ゼミの解体を阻止するために薊の傘下に入り、十傑入りをかけたサバイバルを勝ち抜くことで、九席の座を手に入れました。
しかし、進級試験において創真との対戦で敗北し、「敗北したら退学」という約束の通りに退学処分となり、十傑からも外れることとなるのでした。
遠月学園の誇る「遠月十傑評議会」の面々、いかがでしたか。キャラがめちゃくちゃ濃いですよね。主人公・創真を取り巻く彼らのキャラクターがあってこそ盛り上がる『食戟のソーマ』。これからの展開も楽しみですね。