昆虫好きの子どもに人気のあるカマキリ。昆虫好きの芸能人が、カマキリの姿になって熱い授業を繰り広げる番組もつくられるほどです。実際に飼おうとする場合、どんな点に気をつけたら良いのでしょうか?今回は、飼育の基本から飼いやすい種類、寄生虫に至るまで、簡単に紹介します。おすすめの関連本も紹介しますので、ぜひ手にとってみてください。
カマキリは草木の茂った草むらや、花壇の近くで見つける事ができます。比較的捕まえやすい昆虫といってよいでしょう。
彼らは動くものしか興味を示さないので、見つけて素手で捕まえるしか方法がありません。鋭利なカマに攻撃されないよう、軍手を使って首の細いところとカマを一緒に掴んで捕まえます。
カマキリは止まり木を必要とします。
葉のついた木の枝を水の入った瓶などにさしてプラケースの中に入れておきます。このとき、彼らが瓶に落ちて溺れないように瓶の口に脱脂綿などを使い蓋をしておいてあげましょう。
木の枝は、カマキリを捕まえた近くのものを選ぶとよいでしょう。
水も同様に、溺れてしまわないように浅く小さなお皿に入れるか、脱脂綿に染み込ませてあげるのがおすすめです。
カマキリは基本的には生きている昆虫を食べます。具体的には、コオロギやバッタ、蝶、ハエなどを与えるとよいでしょう。ただ、毎日生餌を与えるには、餌となる昆虫のためのケージが必要です。
毎日は大変だという場合は、ヨーグルトと水を少量まぜてティッシュなどに浸したものを置いておくという方法もあります。
ご飯をあげる頻度は大体2日に1回、バッタを1匹あげる程度で十分です。
あなたはカマキリの卵を見かけたことはありますか?
秋から冬にかけて、木の枝に蜂の巣のようにも見えるような薄茶色の塊を見かけたら、それが卵です。大きさはピンポン玉ほどのものが多くみられます。
彼らは木の枝に卵の塊を産みつけます。産みつけられた卵はそのままの状態で越冬し、暖かくなると一斉に孵化して出てきます。ひとつの卵から生まれる子は数百匹ですが、無事に成虫まで育つのはその内の一握りだけです。
日本でよく見られる、身近にいるカマキリを紹介していきます。
オオカマキリ
日本に生息する種類のなかで一番大きな種類です。他の種類と区別するポイントは、後の翅の付け根が暗紫褐色しているところです。
チョウセンカマキリ
名前の通り、日本以外にも中国や朝鮮半島に生息しています。
オオカマキリと非常によく似ていて見分けづらいですが、体がやや小さく、後翅が透明がかっているものがチョウセンカマキリです。
コカマキリ
名前の通り小型の種類で体色は褐色のものが多いです。稀に緑色や赤みがかったものも見つけられることがあります。
ハラビロカマキリ
お腹の部分が平たく、ずんぐりむっくりとした体型が特徴です。後述する寄生虫のハリガネムシは、このハラビロカマキリに寄生していることが多いです。
カマキリには「ハリガネムシ」という恐ろしい寄生虫が寄生していることはご存知でしたか?
実はこの寄生虫、生態についてはまだまだ解明されていないことが多いのです。
彼らは、宿主(主にカマキリ)に寄生して栄養を吸収しながら大きくなります。大きいものだと1mほどの大きさになるものもいるそうです。
ハリガネムシは寄生した昆虫の脳にタンパク質を送り込み、体を乗っとり、寄生主を操って水辺までいき、お尻から出ていきます。水の中へ戻った後、水草に卵を産みつけ、その卵が育つとプランクトンに食べられ、それが水生昆虫に食べられ……と、食物連鎖を利用してまたカマキリまでたどり着くのです。
基本的に人間には寄生しないといわれています。
ここまでカマキリの基本的情報を紹介してきました。
しかし、もっとカマキリについて知りたいと思った人も多いはず!そこで、カマキリの生態や種類を深く知ることが出来るおすすめ本を紹介します。
日本に生息するカマキリはもちろん、世界中で生息する種類の写真や詳しい生態について載っています。
日本で見られる種類は少ないため、今までに見たことのない種類にたくさん出会えるでしょう。カラー写真で掲載されているので、体の特徴をじっくりと観察することができる1冊です。
- 著者
- 海野 和男
- 出版日
- 2015-06-26
威嚇をする時のポーズや花に擬態する姿、死んだふりをする姿など、彼らの意外な一面に出会えるでしょう。
著者のカマキリ愛にあふれており、「肉食で攻撃的だが、ネコに似た愛嬌」など独特な表現で説明していくため、面白さを感じられます。
昆虫が好きな子供も大喜びする、ボリューム感のある1冊です。
彼らにとって、「生きる」ということは、 獲物をとらえ、食べていくこと。 しかし、カマキリもほかの生き物たちに、 獲物として、狙われてもいるのです。
弱肉強食の世界、 生き残れるのは、孵化したなかでもわずかな数の幼虫のみ……。
オオカマキリの一生を通して、食物連鎖の仕組みを知ることができる写真絵本です。
- 著者
- 筒井 学
- 出版日
- 2013-07-10
著者が5年かけて、オオカマキリに密着し続けて完成させた大作です。
この絵本を通じて、食物連鎖や自然界で生きること、さらに彼らの一生を覗き見ることができ、写真絵本ですが大人が読んでも十分に楽しめる内容になっています。
それぞれのシーンが大きく写し出されているため、迫力満点の写真集として楽しむこともできるでしょう。
本書では、日本に生息するカマキリのなかでも11種に絞って生態から特徴、体のつくり、卵の様子などが徹底的に説明しています。
飼育の仕方や探し方、標本の作り方まで網羅していて、より詳しくカマキリについて知りたい方におすすめです。
- 著者
- 岡田 正哉
- 出版日
日本に生息するカマキリの種類なら、この本を読めばすべてが分かる!と言っても過言ではないくらい、情報量が豊富です。
この本を読破する頃には日本の種類はほとんど網羅した状態になることができます。マメ知識から本格的な情報まで、少々難解なところもありますが、カマキリに興味があるなら最後まで飽きることなく読めるでしょう。
何となく興味があるというお子さんに読ませてあげたい方は2冊目に紹介した写真絵本がおすすめです。本格的にカマキリが好きな方はすべて手にとってみてはいかがでしょうか?どの本も彼らの魅力を堪能できること間違いなしです!