昔はよく田んぼで見かけたオタマジャクシ。最近では白いオタマジャクシが話題になることもありました。成長するとカエルになることは知っていても、その成長過程はとても不思議なものです。そこで今回は、60種類もの水辺の生き物など、不思議な生物の知識を深められるおすすめの本を紹介します。
オタマジャクシは水槽やプラスチックケースで飼育するのが好ましいとされていますが、大きなタライでも代用可能です。飼育容器にフタをする必要はありませんが、ベランダなど外で飼育する場合は、猫などにいたずらされないように、フタをしておく方がよいでしょう。
小さな飼育容器しか準備できない場合には、ポンプやフィルターを準備しましょう。また、オタマジャクシからカエルになるときに、エラ呼吸から肺呼吸に変わるため、溺れて死んでしまわないように小石や砂を入れ、傾斜や陸地を作っておいてあげることも大切です。 これらに留意しながら、お子さんと一緒に自由研究として作業するのもよいでしょう。
飼育容器に入れる水は水道水をそのまま使うのは避けましょう。水道水にはカルキ(塩素)が含まれており、人間にとっては微量なため飲んでも害はありませんが、体の小さい彼らにとっては殺菌力が強すぎて弱ってしまいます。
水道水のカルキを抜くためのもっとも簡単な方法は汲み置きです。バケツなどの容器に水道水を入れ、そのまま外に置いておくだけのシンプルな方法です。塩素は水よりも早く蒸発する性質があるので、天気のよい日であれば日当たりのよいところに1日置いておけば十分カルキが抜けます。急ぐ場合には、ペットショップなどで購入できる塩素中和剤を使いましょう。
そして、オタマジャクシを飼育する水槽には、カルキを抜いた水を容器の半分くらいまで入れます。水深は5〜10cmで十分です。はじめのうちは浅くし、活発に泳ぐようになったら少し深めにします。その後、カエルへと変態をはじめたら、呼吸方法がエラ呼吸から肺呼吸に変わるので、溺死しないように水深を浅くし、陸場を作ってあげましょう。
ポイントは、小石や砂などを使い、傾斜をつけ、徐々に水深が浅くなるように作ることです。水換えは4〜5日に一度の頻度が好ましいとされています。また、暖かい水温を好むので、直射日光を避け、なるべく日当たりのよいところに水槽を置いてあげましょう。
オタマジャクシは基本的には雑食です。田んぼや池の中では藻や葉っぱについている微生物を食べています。そのため、放っておいても成長する強い生物だといわれています。
まめにエサを与え、飼育する場合は、金魚やメダカのエサをあげるとよいでしょう。準備できない場合は、パンやごはん、煮干し、ほうれん草(茹でたもの)などを水の底にばらまくように入れます。
1回のエサの量は少量でよいのですが、最低1日に2回はエサを与えます。水槽にエサを入れると水が汚れてくるので、水が濁ってくる前に早めに水換えをしましょう。
また、広くない水槽にたくさんのオタマジャクシを飼ってしまうと、自然淘汰の力が作用し、共食いをする個体が現れたり、弱って死んでしまう個体が出てきたりするので、水槽を分けてください。
目安は幅60cmの水槽で、小さなオタマジャクシは20匹まで、大きくなった個体なら、5〜6匹までが目安です。
基本的に雑食ですが、成長後のカエルは肉食です。したがって、足が生え、カエルへと変態をはじめたら昆虫などを増やしてあげましょう。両前足が出てくると急激に成長するので、この段階に入ったらカエルへの変態が完了するまではエサを与える必要はありません。
カエルに成長するまでには、約1〜2か月かかるとされています。
しかし、ツチガエルやウシガエルは、オタマジャクシのまま越冬してカエルになるため、成長には長い時間を要します。 また、温度の低い日が続いたり、エサの量が不十分であったりすると、成長が遅くなるので注意しましょう。
オタマジャクシはペットショップでも購入できるところも多いですが、自分で採取する場合は、春先から田植えの時期に入る初夏〜7月頃がもっとも適しています。
彼らは水の流れが穏やかなところを好みます。したがって、温かくて水深が浅めの場所、つまり田んぼや用水路、大きな公園の池や小川などを探してみて、採取しましょう。
オタマジャクシが温かい水を好むといっても、人間の体温で直接触れてしまうと熱すぎて弱ってしまいます。
採取する場合は、網だけでも採取できますが、水ごとすくえる紙コップやプラコップ、2リットルくらいの大きめのペットボトルの口の部分を切って広くしたものを併用するなどの方法がおすすめです。
また、採取した場所の水を小さなペットボトル1〜2本分は入れて持ち帰りましょう。これは、初期の飼育用の水として使います。
現在、日本に生息するカエルの種類は約43種類といわれています。そのなかでも日本全土に満遍なく分布しており、よく見かけるカエルといえば、ニホンヒキガエル、ニホンアカガエル、ニホンアマガエル、トノサマガエル、ツチガエル、シュレーゲルアオガエルなどがあり、これらのオタマジャクシが比較的飼育がしやすいようです。
近畿から西の地域でよく見られる種類です。山道の水たまりや池でよく見られます。オタマジャクシのなかでも小型で体長35〜40mm、体表はこげ茶色。変態までの期間は1〜3か月です。
本州に広く生息する種類ですが、山池には少ないとされています。湿地の水たまりなど浅い止水で見かけることができます。オタマジャクシは、全長約38mmと少し小さめで、変態までの期間は約3か月です。
北海道を含め、日本全土で多く見られるカエルです。オタマジャクシは全長50mmと比較的大きめで、変態までの期間は約1~2か月。体表はやや赤みがかった茶色です。
関東、仙台平野を除く本州、四国、九州で見られるカエルです。オタマジャクシの全長は約69mmと大きめ。変態までの期間は約2か月です。
本州、四国、九州と、北海道の一部に生息するカエルです。池や沼地、河川敷の水たまりなどの浅い場所を好みます。また、市街地でもよく見かけられます。オタマジャクシの全長は約45mmと普通サイズで、変態までの期間は2か月〜1年です。
本州、四国、九州、五島列島と広く分布するカエルです。水田を好み、オタマジャクシの中では尾が細長くやや大きめなのが特徴です。変態までの期間は約1か月半です。
上記でご紹介した種類のオタマジャクシなら、地域にかかわらず、比較的採取しやすく飼育しやすいといえるでしょう。
種類によって、樹上生、陸生、水生の3つの暮らし方があります。日本全土に分布し、捕まえやすいカエルの多くは、もともと陸生の性質をもつため、変態後に上手に陸地に上がれないと溺死してしまうことがあります。そのため、飼育をスタートさせたらできるだけ早めに陸場環境を整えましょう。
アマガエルやヒキガエルを飼育する場合、注意しなければならないのはこれらのカエルがもつ毒性です。触っただけでは特に問題ありませんが、その手を洗わずに目などの粘膜を触ってしまうと炎症を起こす可能性があります。必ず触った後は、石鹸で手を洗うようにしましょう。
オタマジャクシの飼育に役立つ参考本を3冊紹介します。
生息している場所、種類別の分布図、種類ごとの大きさの比較などが一目で見てわかる、オタマジャクシの入門書です。全ページフルカラーで、携帯しやすいポケットサイズであることも魅力のひとつでしょう。
- 著者
- 松井 正文
- 出版日
- 2008-03-14
実際の生き物は、個体ごとに色や形、大きさが微妙に違います。それを写真だけで伝えるのは難しいですが、なるべく水辺で生き物を見つけやすいように、特徴を捉えたイラストやカラーで掲載し、解説を詳細に書いている点もおすすめのポイントです。
また、カエルだけでなく、サンショウウオやイモリなど水辺の生き物についての知識も一緒に深められるので、オタマジャクシの採取に向かう人にはぜひ携帯しておいてほしい1冊です。
幼児〜小学校低学年向きの読み聞かせ科学絵本です。美しいカラー写真と簡潔な解説文は、小さなお子さんでも楽しくわかりやすく読み進めることができます。
- 著者
- 小杉 みのり
- 出版日
- 2011-02-24
「カエルの子はオタマジャクシである」という知識はあっても、どんな風に変わっていくのかをじっくりと見たことのあるお子さんは少ないのではないでしょうか。
卵の状態からオタマジャクシになり、それから足が生え、カエルへと変化していく過程を拡大写真で見ていくと、自然と生物の神秘に引き込まれていくことでしょう。
また、カエルになり、自分で虫を捕まえるまでに成長する過程は、まるで自然が生み出すドラマそのものです。その他にも「ヒキガエルのくらし」など、知的好奇心をくすぐる情報も巻末につけられているので、子どもだけでなく、大人も十分に楽しめます。
図鑑や教科書だけでは分からなかったオタマジャクシの愛らしい表情を見てみたい方はぜひ読んでみてください。
水辺の生き物の観察に役立つ小型の図鑑です。川、池、田んぼの水辺にいる生物を約570種類収録しています。持ち運びしやすい小さな図鑑なので、オタマジャクシに限らず、川や池にいる生き物を調べたいときに持っておくと便利な1冊です。
- 著者
- ["白山 義久", "甲斐 嘉晃", "松井 正文", "駒井 智幸", "筒井 学", "佐々木 猛智", "月井 雄二", "和田 浩志"]
- 出版日
- 2013-06-20
写真は全てフルカラー、索引や分類もわかりやすく示しているので、気になる生き物を見つけたらすぐに調べられるのがメリットです。
よく目にする水辺の生き物であればほとんど網羅しているので、捕まえた生き物をすぐに調べることができます。また、図鑑といっても、ポケットサイズの図鑑なので、持ち歩きしやすいのも魅力でしょう。
そのほか、川に行く際の注意事項、採取した生き物を顕微鏡で観察する際の方法なども詳しく解説しているので、生物の授業が始まる小学校中学年、高学年以降のお子さんなら、持っておいて損はない1冊です。
いかがでしたか?今回はオタマジャクシの飼い方からおすすめの関連本までを紹介しました。最後までお読みいただきありがとうございました。
また、カエルに成長した時の飼育方法は以下の記事で紹介しています。ぜひ、参考にご覧ください。
カエルの飼い方を紹介!餌は何をあげる?飼育しやすい種類は?
小さい頃、外でカエルを捕まえて遊んだ思い出を持つ人も多いのではないでしょうか?つぶらな瞳がとても可愛らしいですよね。カエルをモチーフにしたキャラクターも多く存在し、比較的身近な生物と言えそうです。今回は基本的な飼い方と、彼らについてもっと知るための本を紹介します。