昔から多くの子どもたちを魅了してきたザリガニですが、いざ飼育しようと思うと、意外と知らないことが多いのではないでしょうか。そんな彼らの飼い方と、飼う前に読んでおきたい本を紹介します。
ザリガニの飼育に必要な道具は以下になります。
エラ呼吸をする生き物なので、魚を飼う時と同じように水槽を用意します。そして、飼育の大切なポイントとなるのは、水槽の底に敷く砂です。本来彼らは泥の中に棲んでいることが多いのですが、汚れの除去しやすい大磯砂などを、1~2㎝ほどの厚さになるように敷きます。
隠れ家があると安心できますので、シェルターや、その代わりになるパイプ・素焼きの植木鉢などを入れてあげましょう。
頻繁に水替えができるならば、フィルターやポンプはいりませんが、そうでないならばフィルターを用意します。ザリガニは砂を掘ったり動かしたりする性質があるので、上部式、もしくは外部式フィルターがよいようです。また、水草や流木は呼吸を助ける働きをし、また水槽の見栄えもよくなるのでおすすめです。
ただし、脱走が上手な生き物なので、逃げ出さないよう水槽の隙間はしっかりふさぎましょう。
ザリガニは上手に飼えば5年ほど生きるといわれています。なるべく長生きさせてあげるためにも、また繁殖させたい場合にも、飼育環境を整えることは非常に大切です。
雑食性の生き物で、自然状態では微生物による分解作用によって栄養価が高まった落ち葉などを主食に、小魚のような動物や水草なども食べて生きています。しかし、これらを餌として用意するのは難しいので、市販されている専用の餌を与えましょう。
できれば、栄養をバランスよく与えるために、4~5種類の餌をローテーションで与えるのが理想です。稚ザリの間は1日1回、大きくなれば1~2日おきに与えます。
孵化後、1年目には約10~13回、成体になると春と秋の年2回の脱皮をおこなうのが普通です。
脱皮は生命にかかわる非常に危険な行為です。脱皮のサインは、食欲の低下や、体の変色(黒くなる)など。何匹かを同じ水槽で飼育している場合は、前兆が見られた時点で隔離したり、別の水槽に移してあげたりして、安全を確保してあげましょう。
また、脱皮中のザリガニに刺激を与える行ためもNGです。
飲み口の部分を切り取ったペットボトルで罠を作る方法もありますが、おすすめはやはり「ザリガニ釣り」です。以下の道具を用意しましょう。
棒状のものに糸をくくりつけ、反対側に餌を結びつければ釣竿の完成です。また、餌と一緒に子石などを絡ませておくと、錘の役割を果たし、水への沈みがよくなります。
ザリガニは、小川や池などの泥が多いところに棲んでいます。夜行性のため、昼間は水草の下や石の陰にいますので、いそうなポイントにそっと釣り糸を垂らし、釣りあげたら網ですくいあげましょう。
世界には約540種類のザリガニがいます。大きさもいろいろで、体重が4キロ以上になるものから、小指ほどしかないのもの、食用として飼育されるものなどさまざまです。
日本で確認できるのは、以下の3種類になります。
一般的に知られているアメリカザリガニは外来種で、体も大きく、北海道から沖縄まで日本各地に分布しています。
ニホンザリガニは日本にもともと棲んでいた種類で、北海道と東北地方の北部にだけ生息しています。体色は茶褐色で、ずんぐりとした体型が特徴です。2000年に絶滅危惧Ⅱ類に指定されました。
3つ目は、ウチダザリガニです。ハサミの付け根が白いので、他の2種とは容易に区別がつきます。昭和初期頃に北米から輸入された外来種で、最近になって北海道東部を中心に生息範囲を拡大し、ニホンザリガニの生息を脅かしています。
ニホンザリガニは環境の変化に弱く飼育に適さないので、家庭で飼うならばアメリカザリガニが最もよいのでしょう。しかし、外来種は日本の生態系に多大な影響を及ぼすことがわかっていますので、外国産の生き物を飼育するならば、絶対に野外には放さずに最後まで飼育しましょう。
ザリガニの詳しい飼い方や生態、さらに世界のザリガニについて知ることができる本を3冊集めました。
アメリカザリガニを本気で飼いたい人に向けて、水槽のセッティング方法から、餌の与え方、水替えやフィルターのメンテナンス方法、脱皮のさせ方や繁殖方法や採取方法まで、全ページカラー写真で詳しく紹介しています。
世界に生息している種類を紹介するカラー図鑑もあるので、色鮮やかなザリガニの姿を楽しむことができるでしょう。
- 著者
- 砂川光朗
- 出版日
- 2013-07-19
まず、アメリカザリガニが赤色だけではないということに驚くはずです。白、黄、青、黒、グラデーションなど、カラフルなザリガニがたくさんの美しい写真で紹介され、またオリジナルカラーの作出経路なども掲載されています。
身近な生き物であるはずなのに、知らないことも多かったザリガニ。この本を読めば、「ザリガニは子どもが飼育するもの」という固定観念が崩れるのではないでしょうか。
芸能界一ザリガニ好きという俳優の村上幸平の楽しそうな写真が、その魅力をよく示してくれています。
小学校低学年向きに、ザリガニの形態や日本や世界に生息するザリガニの種類、生態や捕獲方法、飼い方がわかりやすく解説されているほか、世界中に生息するザリガニも紹介されています。
楽しいイラストときれいな写真、飼育のポイントは吹き出しで説明され、子どもでもよくわかるように工夫されています。
- 著者
- 出版日
- 2004-02-20
「ザリガニを飼ってみたい」という子どもの欲求をかなえてあげるには、ちょうどよい内容です。「好きな食べ物は?」「おしっこやうんちはどうやってするの?」など、子どもがザリガニについて抱く疑問にわかりやすく答えてくれます。大人でも知らなかった知識が満載です。
ザリガニ釣りに行く前に、親子でこの本を読んでから出かけるのはどうでしょうか。
日本に棲むザリガニ3種の形態や生育環境や分布や生態、外来種が日本に持ち込まれた歴史、体色と餌との関係、脱皮のことなど、ザリガニについて徹底的に分析・紹介している本です。
- 著者
- 川井 唯史
- 出版日
- 2009-09-18
体系的な研究によって得られた知識が紹介されていて、これを一冊読めば、子どもたちから受けるザリガニについての疑問に全て答えることができるでしょう。
また、この3種類の生息域からわかる日本の自然環境の変化や、外来種の問題に言及し、小学校高学年から高校生に向けて、水辺の豊かな環境を考える一つのヒントとしてザリガニを飼うことを提案しています。
子どもたちの学習教材の一つとして飼育するならば、ぜひ読んでおいてほしい本です。
主な生態・飼い方について紹介しましたが、おすすめした3冊の本には、さらに詳しく書かれています。ぜひ、これらの本を手に取って、飼育を楽しみ、あらためて日本の水辺環境について考えてみるのはいかがでしょうか。