バクステ外神田一丁目・堀内華央理です。夏も終わりすっかり秋らしい日々が続いていますね。食欲の秋、芸術の秋などとも言いますが、もちろん読書の秋でもあります。私は暑さが過ぎ去ったカフェのテラスなどでホットコーヒーを飲みながら、秋の風と共に読書するのが大好きです。
そのきっかけは高校時代。アメリカの高校へ留学していたのですが、課題で要求される読み物の量が多く、気分転換にカフェで本を読み始めました。小さい頃から読書は好きでしたが、カフェでの読書がルーティーンに加わったのはこの頃。アメリカの高校は秋学期からが一年の始まりなので、秋が来ると高校時代の読書の思い出が胸をよぎります。
今回は初めて書かせていただくということで、今まで出会った本の中から、思い出深いものだったり、印象深かったり、自分に大きい影響を与えた本を3冊紹介させていただきます。
完結まで目が離せない!40年の時をかける「ザ・少女漫画」
1976年より「月刊プリンセス」にて連載中の「王家の紋章」。現在に至るまで単行本で60巻が刊行されています。主人公はアメリカに生きる16歳の少女キャロル。金髪に青い目、真っ白な肌な彼女は古代エジプトにタイムスリップし、若き王・メンフィスと恋に落ちます。古代エジプトでは珍しいルックスの美少女で、考古学を専攻している且つ、未来から来たために、歴史がどう動くか把握しているキャロルを神の娘と呼び、各国のイケメン王たちがキャロルを奪い合うという、時空を越えた歴史物語。
60巻というなんとも長いストーリーにも関わらず、読者を飽きなさせない展開。ぱっちりな目の中には星や輝きが描かれ、まつげも人形並みにばさばさといった「ザ・少女漫画」の美形な登場人物たちが繰り広げる壮大なドラマ。幾多の困難に立ち向かいながら育まれる、まっすぐで熱い愛。「そんなことありえる……!?」といった少女漫画らしい展開や、現実世界ではなかなか耳にすることのないであろうくさいセリフも、この漫画なら自分がキャロルになった気分で味わえる! 歴史の知識がなくてものめりこめること間違いなしのスペクタクル少女漫画です。
自分に残された時間を知らされた時、人は何を思い、どんな行動をするのであろうか?
アメリカのスポーツジャーナリスト、ミッチ・アルボムが、難病により死を目前にしているモリー教授による「最後の授業」をテープレコーダーに録音し、本として出版したノンフィクション作品。少し前に話題になったアイス・バケツ・チャレンジの難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)は、知っている方は多いのではないでしょうか? ALSを発症したモリー教授は少しずつ病気に蝕まれて体の自由が利かなくなるなかで、かつての教え子ミッチに最後の授業を行います。そのミッチは、だんだんと、忙しい日々追われて忘れかけていた「人生に大切なもの」を思い出す……。死とは、生物である以上避けては通れない道です。それを目の前にした時にどのようなものが見えてくるのか。初めてこの本を読んだ時、私の胸に深く刺さったモリー教授の言葉を今でも覚えています。
「いずれ誰もが死にゆくことを受け入れ、それに向けて準備をするべき。そのほうが人生に真剣にとりくめる」
そんなモリー教授の言葉を読み、改めて自分の生き様について考えることができました。何が本当に大切か、どのように人生を歩んだら、急に死の淵に立たされても今までの人生を後悔せずいられるか。自分は本当にやりたいことをやっているのか、本当の幸せとは何か。毎日の忙しい生活に追われ、ついつい忘れがちな大切なことを教えてくれる一冊です。私はこの本に出会い、夢を追いかけるための一歩を踏み出す勇気、やりたいことにチャレンジする勇気をもらいました。読み終えた時、ふと心がしがらみから解き放たれて軽くなるような、新しいこれからの人生が、幕を開けたような気がすると思います。