「七つの大罪」のひとり、妖精王のキング。その可愛らしさから読者の心を鷲づかみにし、高い人気を誇っているキャラクターです。29巻までの情報をもとに、過去には何があったのか、愛するディアンヌとの今後は?など紹介していきます。
- 著者
- 鈴木 央
- 出版日
- 2013-02-15
「七つの大罪」のひとり、通称キングと呼ばれている妖精王ハーレクイン。妖精界の神樹に選ばれた妖精王で、妖精の森の守護者です。
「七つの大罪」のなかでは特に常識的で真面目なので、バンとはぶつかることも多いのですが、メリオダスにいわせれば2人はいいコンビのようです。
大罪人の印となる熊は、キングの左足にあります。また普段は、神器シャスティフォルが変身した、クッションのようなものに浮いていることが多く、魔力は強いものの身体能力に関しては、ほぼゼロと言ってもいいでしょう。
妖精王なのに羽がないことを恥ずかしく思っており、羽のことを言われると逆上することもあります。しかし、27巻ではついに……!これについては、後ほど詳しく取りあげていきます。
ちなみに、2018年1月からアニメ放送が決定していて、キングの声を演じるのは福山潤。『コードギアス 反逆のルルーシュ』で主役、『おそ松さん』で一松役、『暗殺教室』で殺センセーの声を演じるなど、多彩な作品で活躍している声優です。
あどけなさが残る少年の姿ですが、バトルでは七つの大罪の一員らしい闘いっぷりを見せてくれるキャラです。かっこよさと可愛さをあわせ持つキャラクター、アニメの2期ではどのように演じてくれるのでしょうか?
【この記事で取りあげる内容】
『七つの大罪』のストーリーをおさらいしたい方は<漫画『七つの大罪』の魅力を全巻ネタバレ紹介!アニメ2期前に復習!>の記事がおすすめです。気になる方はぜひご覧ください。
キングの親友ヘルブラムは、弱くて愚かでも短い人生を、懸命に生きる人間が愛おしくて大好きでした。あるとき、知り合った人間に仲間を連れてきたらみんなにもあげると、人間の持っている「ガラクタ」が欲しくて、たくさんの仲間を連れて、人間の元に行ったのです。
しかし、人間は「妖精の羽は高く売れる」として、妖精たちを捕まえ、羽をもいで殺害してしまいました。そのころ、ヘルブラムと一緒に外に出た仲間が人間に捕まったとの報告を受け、キングは妹エレインの反対を押し切って外に出ていってしまったのです
その間、生き残ったヘルブラムはすべての人間を対象に、憎悪の限りをぶつけ、人間の大量虐殺を執行していました。一方でキングは、ヘルブラムを探している最中、仲間を殺害した人間と対峙し、怪我をして記憶を失っていたのです。
彼が記憶喪失になっていたことは、ヘルブラムはおろか、妖精族の仲間もだれひとり知るよしはありません。しかし、いくら記憶を失っていたからといって、たったひとりのために妖精王たる義務を怠ったことは重罪に値するとして、<怠惰>の罪を処せられたのです。
その後のヘルブラムとの関係については、後ほど詳しく説明していきます。
キングは、ヘルブラムを追った先での人間との対峙で怪我を負い、川辺で倒れているところをディアンヌに救われました。記憶を失っていたため、自分が妖精王であることも、ヘルブラムを救いに出たこともすべて忘れ、ディアンヌと楽しい時間を過ごすのです。(ディアンヌについては<『七つの大罪』嫉妬の罪ディアンヌを徹底考察!キングとの関係は?>で紹介しています。あわせてご覧ください。)
時折、夢の中に出てくる情報を元に、自分はハーレクインという名の妖精であること、ヘルブラムという親友がいたことなど、少しずつ思い出していましたが、肝心なことはわかりません。また、彼やディアンヌたちは、人間との時間の早さが違うので、つい昨日のように感じても人間たちにとっては何年もの時間が経過しています。
ディアンヌとの生活は楽しいものの、月日が過ぎるたび、キングの記憶にも変化が訪れはじめました。エレインという妹がいること、自分は妖精王の森を守るのが仕事ということ。それが本当ならば、自分は一体何者なのかと……。
ある日、ディアンヌと人間たちの集落に行ったとき、人間との会話のなかで「つがい」という言葉の意味を彼が説明してあげました。そして、ディアンヌをずっと好きでいるし、ずっと側にいるとも約束しました。
そんな時、人間のひく荷車の音に何かを感じた彼は、その夜すべての記憶を思い出したのです。彼は、ディアンヌに「キミの元に必ず戻る 約束するよ」と約束したものの、自分の罪は決して許されるものではないと、ディアンヌから記憶を消し、自分も去っていったのです。
彼にとってディアンヌは友達でもあり、大切な女性です。約束はしたものの、ずっと彼女の側にいることは出来なくなってしまったんですね。またひとりぼっちになってしまったという、寂しい思いをさせたくなかったから、ディアンヌの記憶を消したのでしょう。それが、彼ができる精一杯の感謝をお詫びだったのかもしれません。
しかし、14巻ではディアンヌが過去のすべてを思い出しています。このときキングは、バンとジェリコと、妖精王の森を訪れていたので、ディアンヌが記憶を取り戻したことを一切知りません。彼がそれを知ったのは、バンの口からでした。
急いでディアンヌの元に戻ったキングでしたが、時すでに遅し。ディアンヌはゴウセルと喧嘩になり、再び記憶を消されていました。それは、次にディアンヌが記憶を取り戻す27巻まで続きます。記憶を消されたり、取り戻したりと忙しいディアンヌですが、27巻では十戒ゴウセルからのお詫びと贈り物として、記憶を取り戻しました。
結局、心に深く刻まれた大切な思い出は、決して消えることがないんだと、改めてキングとディアンヌの絆を示した形になりましたね。今度こそ本当に、「ずっと好きでいるし側にいる」という約束を守れそうです。
初めは大切な友達という関係だった二人ですが、何度も試練を乗り越えた後には、ディアンヌからキングへのキスで、友人から恋人になったと考えていいでしょう。
上記で一通り、キングとディアンヌの関係を解説してきました。ここでは、彼女の記憶がなくなる過程を分かりやすくまとめていきます。
巨人族のディアンヌ。彼女は、里を抜け出した時に妖精族のキングと出会います。彼は妖精王でしたが、記憶を失っていました。
種族は異なりますが、2人は仲良く暮らし、人間たちからは「可愛らしいつがい」と認識されていました。500年ほどたったある時、キングは徐々に自分が妖精王だったことを思い出しはじめ……。
彼はディアンヌから、一緒に暮らしていた記憶を消し去って、故郷に戻ることを決意するのです。
これが、彼女にとっての最初の記憶喪失でした。
ちなみに、2人の微笑ましい暮らしぶりは、10巻に収録されている「ー外伝ーまちぼうけの妖精王」をご覧ください。
人間への恨みで暴走してしまった妖精族のヘルブラム。10巻では、彼を止めるため、ディアンヌは七つの大罪として戦っていました。そして、圧倒的な強さを前に、変わり果てた姿となってしまうのです。
そんな彼女にとどめが刺されようとしたとき、キングが全力で助けてくれました。巨人族のディアンヌをも包み込むような巨大な魔力のベールが張られ、敵の攻撃から守ります。
ほぼ瀕死状態に陥りながらも、力無い声で「このニオイ…覚えているよ…ハーレクイン」といいました。妖精族の彼は、花のような甘い香りを放っている体質です。
七つの大罪から、キングは「ハーレクイン」という名前では呼ばれていません。ディアンヌがこの名前を口にするということは……昔の記憶を思い出しはじめていたのです。
ただ、ここでは「懐かしい名前だけど、思い出せない」という状況で止まっていました。
14巻では、小さい姿になったディアンヌとエリザベスがガールズトークをしているシーンがあります。
エリザベスは、このとき彼女もメリオダスが好きなのだと思っていました。そのことを知っていながら、素直に「好き」と言うのです。「あなただって好きなのにね」とはにかむ彼女に、ディアンヌはある話をしはじめます。
それは、死にかけていた自分をキングが助けてくれた時に、彼と過ごした500年の記憶を全部思い出したというものでした。
自分の想いをすべて伝えたい。その気持ちがつのり、どこかへ行ってしまった彼が帰ってこなかったらどうしよう、と涙を流すのです。
早く2人が再会できますように、と願わずにはいられないシーンでした。
記憶を取り戻したディアンヌ。早く彼に想いを伝えたいと願っていたところでしたが、七つの大罪1空気を読めない人物、ゴウセルに記憶を消し去られてしまうのです。
なぜ消されてしまうことになったのか?その過程をおさらいしてみましょう。
簡単に人の記憶を操るゴウセル。彼は、感情を理解する心が欲しいと思っていました。人の記憶を操作し、自分との関係を結ぶことで人の感情を理解できると考えたのです。
平気でそのように振る舞うゴウセルに対して、ディアンヌは激怒。
「大切な想いを消すことは誰にもできないんだ!!」(『七つの大罪』14巻より引用)
心のないゴウセルに届いたかどうかはさておき……。キングとの思い出を取り戻した彼女の、説得力ある叫びでした。
このセリフがきっかけで、ディアンヌはゴウセルに記憶を消されてしまうのです。本当に大切な想いは消えることはないのか、確認するため。
せっかく記憶が戻ったのに、最愛の彼に想いを伝えることができなかった無念を感じる間もなく、記憶喪失になってしまいました。
26巻では、十戒のグロキシニアとドロールの修行により、2人は3千年前に起こった聖戦に巻き込まれます。
そこで出会ったのは、十戒のゴウセル。人形のゴウセルは、彼が操っているものでした。感情面で、まだ成長しきっておらず、ほぼ赤子のような状態。そんな彼の友達になって、正しい方向に導いてやってくれないか?と本物のゴウセルはディアンヌに願いを告げました。
二つ返事で承諾し、お礼に贈り物を受け取ります。この時には、何をもらったのか自分でもわかっていませんでした。
修行を終え、現代に戻ってきたディアンヌとキング。再会が嬉しくて、彼女はちゅむっと可愛いらしいキスをします。彼にとって、夢かと思うほど幸せな出来事でした。
2人が再び結ばれたのは、ゴウセルのおかげ。実は、修行のときに受け取った贈り物が「大切な記憶」だったのです。
こうして晴れて記憶が戻ってきたディアンヌ。今後は、キングとのイチャイチャをたっぷり見せてくれることでしょう。愛の絆で互いの力を高め、戦いでも活躍してくれることが期待できそうです!
10代のようなあどけなさが残る姿のハーレクイン。神器が普段クッションの形をしていて、それに乗ってふわふわ居眠りをしたり、大事そうに抱えたりする様子が余計に幼い少年のようです。
そんな可愛らしいキャラクターですが、緊張すると急に太ったおっさん姿に変身してしまいます。どっちが本当のキングなの!?と混乱してしまいますが、本人にとっておっさん姿は正装だそう。「七つの大罪」の手配書にも、おっさん姿で書かれているので、初対面では可愛らしい少年がキングだとは誰も気づきません。
バンと再会した3巻でも、バンはキングが誰だか分かりませんでした。どうやらリオネス国の聖騎士時代には、正装した姿しか見ていなかったようですね。
ただ、本人に言わせれば、正装した姿は肩が凝るとのこと。他のキャラクターから「キモい!」と言われてしまうなど、おじさん姿でいることのメリットはあまり感じられませんが……。どんなシーンでキングが姿を変えるのか、注目してみてくださいね。
キングとディアンヌは、十戒のグロキシニアとドロールによる修行を受けます。時は3000年前、2人はグロキシニアとドロールの体に乗り移り、森で起こった聖戦を目の当たりにするのです。
その時に決断を迫られた、グロキシニアとドロールの行動がはたして正しかったのかどうか……キングとディアンヌなら、どのような選択をするのか、それを見極めるための修行でした。
過酷な修行を終え、2人とも無事に現在に戻ってくることができるのですが、その時に彼の背中にはちっちゃな羽が生えていました。修行の成果で、闘級があがったためでしょうか。
やっと生えたことに大喜びするキング。しかし、直後にグロキシニアの立派な羽を想像して絶望します。そんな彼に、ディアンヌは「生えはじめだからだよ」と励ますのです。いつかは彼の羽も立派なものに成長するのでしょうか?まだまだ伸びしろのあるキャラクターです。
人間への憎しみから暴走してしまったヘルブラム。キングは親友でしたが、彼の暴走を止めるため、手をかけてしまうのです。しかし、妖精の森を訪れたときに死んだはずのヘルブラムが彼の目の前に現れます。
長年ぶりに訪れた妖精の森。王として森や仲間を守れなかったことで、妖精たちからは厄介者扱いされてしまいます。自分は救いようのない、ダメな王様だ……。と落ち込んで泣いていたところ、突然ヘルブラムの声が聞こえ、目の前に現れました。
なぜ死んだはずなのに現れることができたのか。彼は、本来なら死者の都に行くはずでしたが、親友のキングのことがほっとけず、彼の側で見守ることを決めたからでした。冑(かぶと)をかぶると、魂が姿として見えるようになる仕組みです。こうしてヘルブラムは、普段は冑の姿ですが、キングを支えていきます。
28巻では、そんな2人に訪れる別れのシーンが描かれています。
城塞都市コランドで十戒のメラスキュラと戦っていた時のこと。メラスキュラが仕掛けた術によって怨霊がディアンヌに取り憑いてしまい、七つの大罪を攻撃しはじめます。
その時、ヘルブラムが姿を現します。コランドは、昔ヘルブラムが人間への恨みから罪のない人々の大虐殺をおこなった地でした。その時に殺された人々が、怨霊として蘇っていたのです。ヘルブラムは、恨みを晴らすべき相手は自分だ、と怨霊に取り憑かれたディアンヌに立ち向かいます。
「さよならだハーレクイン
チミの親友でいられてよかった」(『七つの大罪』28巻より引用)
親友を思い、最後に魂を捧げるヘルブラム。温かい眼差しで見つめ、この世を去ります。
【魔力】災厄ディザスター
【状態促進】(ステータスポロモーション)
毒や傷を悪化させる魔力で、ドルイドの村での修練窟が描かれた17巻で、メリオダスの左肩の傷を拡大して悪化させていました。
【養分凝縮】(コンデンスパワー)
水滴の球を一気に凝縮し、鉄の球のような威力に変化させます。この技も、状態促進と同じ場面で、メリオダスに向けて飛ばしています。
【神器】霊槍シャスティフォル
キングの神器は、妖精界の神樹から作られたもので、鋼以上の強度を誇り、魔力【災厄】によって引き出されるものです。第10形態まであるとされています。神器は折られても再生し、神器解放するとさらなる強大な力とともに、彼の闘級もアップするのです。
本名はハーレクインですが、妖精王だからというわけではなく、あまりにも強過ぎることから「キング」と呼ばれています。神器の特性として、どんなものがあるのか、28巻までに明かされているものを、箇条書きにて紹介していきます。
【第1形態】霊槍シャスティフォル
通常の槍のような形をしており、3巻ではバンの胸を貫いています。また、神器を解放すると「真・霊槍シャスティフォル」となり、通常の数倍の大きさとなります。
飛び回る蜂(バンブルビー)
霊槍シャスティフォルが蜂のように素早く飛び回る技です。
【第2形態】守護獣(ガーディアン)
苔から作られた巨大な熊のぬいぐるみで、水分を多く含んでいるため、凍結には弱く火には強いのが特徴。神器解放後は、ディアンヌほどの大きさになって、威力も上昇します。
【第3形態】化石化(フォシライゼーション)
槍の先端が二股に分かれ、刃にふれたものを石化させる技。
【第4形態】光華(サンフラワー)
妖精界の神樹にさく、巨大なヒマワリのような花に変形し、高威力の光線を放つ技。また、神器解放時には、ラフレシアの花となります。
【第5形態】増殖(インクリース)
槍の先端のみのような小型で大量の剣で総攻撃をかける技。また、自身の周りを囲むことで、他界防御力を得ることも出来ます。神器解放時には、キングと同等の大きさまでになります。
炸裂する刃雨(ファイトファイア・ウィズファイア)
無数の槍を、対象目掛けて降らせることができます。
【第7形態】導苔(ルミナシティ)
土星のような光を放つ球体となり、暗闇を照らす明かりの代わりとなります。
【第8形態】花粒園(パレン・ガーデン)
バリアのような役割を果たし、花粉の治癒効果で内部にいる対象者を、外的から身を守りつつ、傷を癒す効果もあります。
【第6形態】【第9形態】【第10形態】は28巻現在不明です。
通常、キングがゴロゴロしたり浮いたりしているクッションのこと。体を心地よく包み込んだり、全身を覆う形にも変化します。
不明になっているものは、彼の神器形態だけではなく、バンの神器も手元にないことを考えると、今後「十戒」との戦いの中、何らかの形で描かれるのではないでしょうか。
「だって オイラは王様だもん!!大切なものを全部守れたら それが一番 素敵じゃないか」(『七つの大罪』15巻から引用)
15巻の番外編「ハーレクインとヘルブラム」でのセリフです。ヘルブラムが人間に教わったかけっこを、ハーレクインに教えているシーンで、一番にこだわるヘルブラムに、順番をつけることに何の意味があると考えるハーレクイン。
代えがたい大切なものが一番だと答えるヘルブラムに、ハーレクインが言った言葉です。妖精界と妖精王の森を守ること、妖精族を守ること、エレインもヘルブラムも自分にとって、かけがえのない存在だとして、自分にとっては全部が一番ということなんですね。
「どうして…オイラはいつも……いつも…大切なものを…守ることが…できないんだ」(『七つの大罪』10巻から引用)
リオネス奪還編で、人間の姿になったヘルブラムと対峙したディアンヌの、ボロボロになった姿を見た時のセリフです。かつて、妹エレインも親友ヘルブラムさえも守ることが出来なかったキングが、後悔に押しつぶれそうなほど苦しみ悲しんでいる場面です。
おっさん姿も面白いけど、やはりキングは可愛らしい少年が一番ですね。今後明かされるであろう、彼の秘密にも注目したいところです。