さまざまな部活動が盛んな学校では、なんと帰宅部という名前の部活が存在していた!?本作は、今までにない環境を舞台に、ハイテンポなボケとツッコミが飛び交う日常系ギャグストーリーです。この記事では単行本全5巻の内容をネタバレを含めて紹介していきます。
帰宅部という部活動でくり広げられる日常が描かれるギャグ漫画です。
ツッコミ担当の主人公の安藤夏希(あんどうなつき)、ゆるふわ天然女子の塔野花梨(とうのかりん)、帰宅部部長の道明寺桜(どうみょうじさくら)、萩月流古武術継承者の大萩牡丹(おおはぎぼたん)、超お金持ちのお嬢様の九重クレア(ここのえくれあ)、その他にも個性豊かすぎるメンバーがまだまだ登場します。
- 著者
- くろは
- 出版日
- 2012-05-22
基本的には主人公がツッコミ担当で、他の4人がボケ担当となっています。ただ、あまりにも突拍子のないボケに対して、時には主人公以外もツッコミにまわったり、主人公さえもボケるほどの事態になったり……。そんなハイテンポかつ今までにないボケのクオリティが本作の魅力になっています。
また、1巻ごとに12話から14話程度のストーリーが収録されており、そのほとんどが1話完結型のため、どこからでも読みはじめられます。そして、それぞれの話がまったく違う角度から展開される構成になっているので、いくら読んでも飽きずに笑えること間違いなしでしょう。
本作の主人公である安藤夏希(あんどうなつき)は、部活動に対してあまり興味がなかったため、帰宅部として部活動に入らないという選択をしたつもりでした。
しかし、実は帰宅部という部活動が存在していることを花梨から教わり、そのまま流れで入部することになります。そこには萩月流古武術の継承者を名乗り、数々の武勇伝を誇る牡丹と、超お金持ちの財閥令嬢で金銭感覚がかなりずれているクレア、そしていたって普通の自由人である帰宅部部長の桜という3人の先輩が待っていました。
そんな、個性の塊ともいえる面々からくり出されるボケの数々と、冴えわたる主人公のツッコミが常に飛び交う日常が描かれていきます。
第9話「文学のすゝめ」では、高校の教科書に載っていた小説の内容について、帰宅部メンバーたちのボケがくり広げられます。
授業で出てきた夏目漱石の小説『こころ』がクラスで流行っているようで、そのセリフを全力でかっこよく言ってみた牡丹に対して、すかさず夏希がツッコミを入れる場面では、まさにテンポの良さを感じられます。また裏ではクレアがさらっと冷酷な台詞を吐いているのも見どころです。
「りんごを買いに行く話とかありましたよね。たしか千円持って買い物に行ってひとつ80円のリンゴを……。これは算数でした」(『帰宅部活動記録』1巻より引用)
先輩たちが教科書に載っていた思い出の小説話をしていたとき、花梨も思い出したかのように「リンゴを買いに行く話があった」と語りはじめるのですが、まさかの国語ではなく数学の話になっているという天然要素も全開に発揮しています。
都市伝説には有名なものからその地方だけの言い伝えのようなものまで、さまざまあります。今回はそんな都市伝説、ムラサキババアの存在についてのお話。
高速道路を走行しているときに窓をノックしてくる100キロババアは知っているけど、ムラサキババアというのは聞いたことがない夏希でしたが、帰宅部のメンバーにとってそんな都市伝説は大したことはないようです。
この話では完全に面白おかしく語っている内容に対して、あえてシリアスな雰囲気や背景を組み合わせて、ミスディレクションを演出することでさらに面白さが増すように描かれているところが見どころになっています。
「これはこの前、カードゲームでボコった小学生に聞いた話なんだけどね。今小学校はその話題で持ち切りらしいよ」(『帰宅部活動記録』2巻より引用)
どこからツッコめばよいのか分からない発言です。桜の話によるとその小学生のクラスではすでに半分以上の目撃情報があるという、なんとも目撃率の高すぎる都市伝説だな……と読んでいるこちらも思わずツッコミを入れてしまいます。
一体、ムラサキババアの正体とは何だったのか?気になる方は、『帰宅部活動記録』第2巻22話をご覧ください。
弟から醤油を買ってきてほしいと電話が来たことにより、夏希に弟がいることが判明しました。もちろん、そんな興味を引く存在を帰宅部のメンバーが放っておくはずもなく、夏希の家へと遊びに行く計画が立てられました。
家に着くなり、弟の登場を要求されて夏希は渋々に弟を呼びます。やはりツッコミ担当の弟は鋭いツッコミ能力があるというわけか、夏希に勝るとも劣らないツッコミが先輩たちにつき刺さります。
それに対して、先輩たちへの口のききかたに夏希が少し怒るのですが、部室ではそんなの関係なしにツッコミを入れる彼女に対して桜が心の中でツッコミを入れて……。ツッコミに対するツッコミに、さらにツッコミを入れるという、間髪をいれずに超ハイテンポな会話が続きます。
今回のメインは弟の登場でしたが、家に遊びに来たということで夏希の部屋に移動すると、そこにはちょっと見られたくないものもあり……。
気になる方はぜひ『帰宅部活動記録』第3巻をご覧ください。
「桜がクレアに頼んで帰宅部の裏サイトを作ったということで、そのURLがプリントで夏希たちに配布された」という出来事が10日前にあったと思い出す場面から今回の話は始まります。カバンからプリントを見つけた夏希は帰宅部の裏サイトにアクセスしてみることにしました。
まず、サイトのトップページのアクセスカウンターが1842回になっていることに夏希は驚きます。夏希以外の4人でどれだけアクセスしているんだと、読者でも思わずツッコミを入れたくなるはず。このような些細なボケが至るところに散りばめられていて、そこが面白さのポイントになっています。
「正直夏希ちゃんのことどう思う? なんかあの子私達に対して先輩への敬意みたいなもの全くないよね? 」(『帰宅部活動記録』4巻より引用)
みんなが書き込みできる掲示板をのぞいてみると、そこには夏希についての不満が書かれていました。まさか自分がこんな風に思われていたのかと知り、落ち込む夏希でしたが、読み進めてみるとまさかの展開に……!?
予報と異なり雨が降ってきてしまい、桜の予定が狂ってしまいました。そのため、彼女はおもむろに全国高校帰宅部選手権大会の申込用紙を取り出します。
全国の帰宅部の帰宅っぷりを競う大会ということらしいのですが、一体どんなルールがあるのか興味津々な一同が描かれています。
これは、帰宅部という環境を舞台としているからこそのボケでしょう。ただ、大会の内容などは意外としっかりとしていて、逆にありかな?と思ってしまうところもあるのです。
また、なぜか鳥取県に対する全員のイメージがあまりにも斜め上をいきすぎていて、見逃すのはもったいない内容になっていますので、ぜひチェックしてみてください。少なくとも全員が鳥取県の土地はほとんどが砂漠だと思っているようです。
第5巻65話が『帰宅部活動記録』の最終話となっているのですが、まさに帰宅部らしいラストとなっていますので、気になる方は最後まで読んでみてください。
- 著者
- くろは
- 出版日
- 2014-07-22
今回紹介したキャラクター以外にも個性が豊かすぎる面々が登場します。また、合間に可愛いアザラシをモチーフとした作者自身に関するネタがいくつか組み込まれていて、それがまた良い味を醸し出していますので、ぜひご覧ください。