2017年現在、インターネットや口コミで人気が急上昇中のペットといえば「デグー」です。モルモットに似た愛らしい姿ですが、どのように飼育すればよいのでしょうか?今回は飼育に関する基礎知識をご紹介します。
デグーは、齧歯目(げっしもく)の一種で、テンジクネズミ亜目に属します。
主な生息地はチリの山岳地帯で、夏は乾燥し、冬は寒くて雨が多いという気候条件のもとで、地面に巣穴を掘って住んでいます。
【食べる物】
ネズミは雑食ですが、デグーの場合はモルモットと同様に草食です。イネ科の植物の葉や種子、樹木の皮、サボテンなどを主食としています。
【生活スタイル】
デグーは家族単位で群れを作って生活することが多い動物です。飼育する場合は、1匹で飼育するよりも血縁関係のある家族単位で飼育するのが好ましいですが、多頭飼育が難しい場合はストレスに強いメスを選ぶようにしましょう。
主な活動時間は昼間ですが、夏場は気温が下がってくる夕方から夜間に活動することもあります。
ここでは、デグーを飼育するために必要な準備物をまとめます。
【準備するもの】
ケージ内を飛び回って遊ぶデグーのために、おもちゃなどのグッズも充実させてあげましょう。 また床材については、ケージを購入した時に付属している網では足の細いデグーが怪我をしてしまう恐れがあるので、樹脂製のマットや、「バミューダヘイ」と呼ばれる牧草の床材、ウッドチップ、木製ペレットの使用がおすすめです。
もちろん、これらの床材を組み合わせて使用しても構いません。 ただし、木屑はホコリが出やすいため、鼻炎などのアレルギーをお持ちの飼い主さんは注意してください。
【デグーのエサについて】
デグーは草食動物です。「チモシー」と呼ばれる牧草や専用ペレット(デグーの健康を考えて開発されたペットフード)を与えます。チモシーやペレットはペットショップなどで購入可能です。可愛いからといって、安易に人間の食べ物などは与えないようにしましょう。
また食欲旺盛な動物のため、与えたら与えただけ食べてしまいます。過食は糖尿病などのリスクを高めてしまいますので、エサは1日1回、デグーの体重の5%を目安に与えるようにするとよいでしょう。
【ケージの掃除について】
排泄量が比較的多い動物ですので、できるだけこまめにケージを掃除し、新しい牧草を入れてあげるようにするのがおすすめです。頻度としては2〜3日に1回程度が好ましいとされていますが、糞と尿が混ざると雑菌が繁殖し、臭いもきつくなってきますので、可能であれば毎日してあげてください。
ケージは洗剤で洗って拭くだけでも十分ですが、1週間に1度はケージの金網の部分を取り外して綺麗に洗い、日当たりのよいところで乾燥させることで、さらに清潔に保つことができます。
【コミュニケーションの取り方】
デグーは小動物のなかでも頭がよく、「声で自分の気持ちを伝える」といわれているほど音に敏感な動物です。そのため、食事の際は飼い主が声をかけてあげながらエサを手渡すようにすると、徐々に信頼関係を築くことができます。
また、臆病な性格のデグーとコミュニケーションをとる際には背中側から掴むのではなく、おなか側からそっと包み込むように抱っこしてあげると喜びます。
*噛む場合の対策
デグーは齧歯類なので噛み癖があり、飼い主を噛んでしまうこともよくあります。 飼い始めて1ヶ月くらいなど、お互いに慣れてきた頃に甘噛みするようになってきますので、もし強く噛まれた場合は、噛まれている指の爪でデグーの歯を軽く叩き、「噛んだらダメ」ということを伝えましょう。
先に説明したとおり、コミュニケーションの取れる頭のよい動物のため、こちらの不快感を察知して徐々に噛む回数が少なくなります。
①熱中症、低体温症
20℃前後が快適に過ごせる室温とされていますので、夏は28℃以下、冬は10℃以上を目安に温度管理してあげましょう。もしもグッタリしている場合は、温度に応じて温めてあげる、冷やしてあげるなどの対応をし、早めに動物病院に連れて行きましょう。
②不正咬合
デグーは歯が一生伸び続ける性質を持っています。こまめなケアをしておかないと、噛み合わせの悪さから口の中を傷つけ、呼吸がしづらい、食事が取れないなどの危険な状態に陥ってしまう場合があります。
飼い主は定期的に歯・口周りをチェックし、伸びてきている場合は動物病院で削ってもらうなど、対処してもらうようにしましょう。
③ビタミンC欠乏症
新鮮な草や葉を食べていれば栄養不足に陥ることはほとんどありませんが、飼育されていると、どうしても新鮮さに欠け、必要な栄養素が不足しがちです。デグーの場合はその不足しがちな栄養素がビタミンCです。
体重があまり増えない、無気力で動きたがらないなどの症状が見られる場合は、小動物用のビタミンCサプリを補給させてあげましょう。
④糖尿病
食欲が旺盛な生き物なので、飼い主がエサを与えれば与えるほど食べてしまいます。しかし、デグーは血糖を調節する機能が弱いため、糖尿病になってしまうリスクが高い動物です。
「よく水を飲む」、「以前よりたくさん食べるようになった」などの症状が見られる場合は糖尿病の兆候かもしれませんので、早めに動物病院に行って診察してもらいましょう。
⑤その他
床材が肌に合わずアレルギーを起こしたり、皮膚炎を起こしたりする場合があります。普段から様子を観察し、いつもと違う行動や体の変化などがあれば動物病院に診察してもらいに行きましょう。
ただし、デグーは最近人気が出てきた動物であるために獣医さんの知識が追いついておらず、2017年現在は診ることができない場合があります。飼育する際には、デグーを診てもらえる動物病院をあらかじめ探しておくようにしましょう。
デグーの飼育に関する基礎知識だけでなく、病気に関する説明なども詳しく書かれている貴重な飼育本です。
- 著者
- ["大野 瑞絵", "井川 俊彦"]
- 出版日
- 2015-08-10
デグーは海外ではペットとしてポピュラーですが、急に日本で人気が出たペットなので、日本語で書かれている飼育本はほとんどありません。そのため、ハムスターやモルモットの飼育本で知名度の高い著者によって出版された本書は、デグーの飼育における貴重な一冊です。
日本での飼育の仕方、食事に関すること、病気に関することはもちろん、コミュニケーションの取り方まで網羅されているので、インターネットで検索した知識だけでは不安だという方におすすめです。
本書は絵や写真が多く使われており、1時間もあれば十分にデグーに関する基礎知識をつけることができるでしょう。
デグーに関する本を読んでみたいという方におすすめの入門書です。
- 著者
- 出版日
- 2016-02-16
デグーを飼育してみようと思う方は、ある程度インターネットなどで調べておられる方も多いと思いますので、もっと具体的な飼育に関する知識をつけたい方は先にご紹介した「デグー完全飼育」をおすすめします。
しかし、飼い主のご家族や、飼い主がお子様の場合は、シンプルにわかりやすく飼育の基本を教えてくれるこちらの本がおすすめです。
掃除の方法や、デグーが覚えられる芸まで詳しく記載されているので、かなりコストパフォーマンスがよい本だといえるでしょう。
いかがでしたか?今回はデグーの飼い方に関する基本からおすすめの関連本までをご紹介しました。最後までお読みいただきありがとうございました。