大きな瞳に長い舌。体の色を変幻自在に変えることの出来る不思議な生態。カメレオンの独特の魅力は多くの人の心を惹きつけて止みません。今回はそんなカメレオンの飼育方法と、飼育に役立つ3冊の本をご紹介します。
ここでは一般的に飼いやすいと言われている4つの種類についてご紹介します。
<エボシカメレオン>
価格は8千円~2万円程度。50cm前後まで成長します。多湿環境を好むので、湿度管理と、風通しの確保を徹底してあげましょう。またストレスに弱く、一度体調を崩すと回復にかなりの体力を使ってしまうことがあります。湿度とストレスに注意すれば、5年程度は生きることが出来る最も飼いやすい種類です。
<セネガルカメレオン>
5千円~1万円と、比較的安い価格で売られています。個体によって黄緑や茶色、グレーなどバリエーション豊かな体色をしています。体長は20cm程度で、オスよりもメスのほうが大きいのが特徴です。小さい体でゆったりと動く姿が可愛らしく、観賞用にもおすすめの種類です。
<パンサーカメレオン>
エボシカメレオンと同じく、50cm前後まで成長します。価格は5万円~13万円とやや高めです。体の色を変えるのも得意で、緑や赤などにくるくると体の色を変化させます。平均寿命は3年程度。人によく慣れる種類なので、手に乗せたり餌付けをしたりすることができます。体も丈夫で病気にもかかりにくいです。
<コノハカメレオン>
5千円〜2万円程度。5cmほどの小さな体で、見た目も木の葉そっくりなのでこの名前が付けられました。タンザニア共和国やケニア共和国に生息しているため高温多湿を好みます。小さな体ですが、コオロギを10匹程度食べるなど食欲旺盛な種類としても知られています。
<飼育のために用意するもの>
カメレオンは紫外線を浴びることでビタミンD3を生成し、骨を丈夫にしています。そのため、飼育環境では常に紫外線ライトをつけておくことが必要です。この紫外線ライトがないとカルシウムが不足して、手足に力が入らなくなる「クル病」にかかってしまいます。
また、給水機とホットライトは必ず必要なものではありません。給水機がなければスポイトで水をあげればよいですし、ホットライトがなければ室内のエアコンでも代用できます。
多湿環境を好む生き物なので、1日最低2回は霧吹きで体に水を吹きかけてください。ただし蒸れも病気の原因となる場合があるので、風通しもよくし、理想の飼育環境に近づけてあげましょう。
<カメレオンの餌>
主食はバッタやカマキリ、コオロギなどの昆虫ですが、動いているものしか食べ物だと認識しないので、生き餌を用意する必要があります。餌用の昆虫をペットショップなどで購入しましょう。
餌をあげる頻度は2~3日に1度で大丈夫です。タイミングは、朝カメレオンが起きて体を温めてからがおすすめ。体を温めてから餌を食べて、満腹になると木陰で体を休めるというのがルーティーンになるからです。
カメレオンは体をあまり動かさず、長い舌を動かして餌を食べます。餌を食べている独特の姿はとても可愛らしいのでぜひ観察してみてくださいね。
餌を食べている間以外は、尻尾を木の枝に巻いて木の上でじっとしていることが多いです。また、両目をバラバラに動かして周囲の状況を把握する生き物なので、時々観察してみてください。
飼育に関していくつか注意点があるのでご紹介します。
<水の与え方>
カメレオンに水を飲ませるのは一番大変な仕事の一つです。餌の昆虫同様、動いている水しか認識できず飲もうとしません。
自然界では雨水により水分補給をしています。そのため、飼育の際は専用の給水機でドリップ式に水を落としていくか、スポイトで水を落としてあげる方法で水分を補給させましょう。体調を崩して死んでしまう原因になりますので、水は意識してこまめにあげるようにしないといけません。
<ケージの掃除>
カメレオン自体は無臭なのですが、生きている虫の餌によりケージが匂ってしまう事があります。多湿環境を保つことで、ケージの中も湿っていて匂いが発生しやすいです。ケージの掃除はこまめに行い、清潔な環境を保ってあげるようにしましょう。
<病気のサインを見逃さない>
カメレオンの舌があまり伸びない、目がしぼんでいるなどといった様子は、脱水症状のサインかもしれません。もし水をきちんと飲んでいるようならば、舌をケガしている可能性があります。また、目の異変は照明が明るすぎる場合にもおこりますので、いつでも光の強さを調節してあげられるようにしましょう。
本書の監修の加藤学は、爬虫類・両生類の専門店の店主をしていて、多数の専門書の執筆に参加しています。
本書はカメレオンの飼育の基本から、雑学までを分かりやすくまとめた一冊です。
- 著者
- 川添 宣広
- 出版日
前半部分はカメレオンを写真とともに紹介する図鑑形式。人気のものから見たこともない種類までたくさん紹介されています。つぶらな瞳や、真一文字に結ばれた愛らしい口。写真からカメレオンの愛くるしさがひしひしと伝わってくるでしょう。
後半部分は基本的な飼育の仕方や実際の飼育例、飼育のノウハウなどを紹介。写真や図を用いてそれらの情報を解説しています。作者が自身の実際の経験をもとに得たノウハウが掲載されていますので、実際に飼育をしている人も納得の内容です。
Q&Aのページからは、飼育の悩みを聴いてもらっているかのような安心感を得られるでしょう。これから飼いはじめようとしている人にも役立ちそうです。
本書はカメレオンを種類ごとに分けて、その生態や飼育方法などを細かく解説した専用の図鑑です。
大量の情報が分かりやすくまとめられていますので、この一冊で飼育から観察まで全て網羅することができます。
- 著者
- 海老沼 剛
- 出版日
- 2011-09-21
カメレオンに関する情報は、科学的観点から提供されているものも多いです。しかし彼らも生き物。数字や科学的根拠だけでは計り知れないハプニングが起こることも考えられます。本書では、実際の飼育者の飼育体験をもとに問題解決のヒントが掲載されているため信憑性があり、飼い主も安心です。
特異な生態を持つカメレオンだからこそ、知っておきたい知識。それらが図や写真とともに丁寧に解説されています。本書を読むと、カメレオンの飼育にいかに細やかなケアが必要なのかを感じ取ることが出来るでしょう。
図鑑として眺めているだけでも楽しい一冊です。すでにカメレオンについての基礎知識がある人も、本書を読めば新しい発見があるかもしれません。ぜひ手に取ってみてください。
本書は68種類の世界のカメレオンの写真が掲載されているビジュアル図鑑です。
手元に置いて何度でも楽しみたくなるような、多種多様な写真が多数載せられています。
- 著者
- 増田 戻樹
- 出版日
- 2011-11-01
本書で撮られているのは自然の中に生きるカメレオンです。ケージの中にいる姿をじっくり観察するのも楽しいですが、大自然の中にいるカメレオンはまた一味雰囲気が違います。野外で暮らす彼らの生態を環境とともに知れるのは、マニアにとっては嬉しいポイントなのではないでしょうか?
自然界の彼らの様子だけでなく、幼体写真や産卵・ふ化の様子なども写真で紹介。簡潔な説明書きも添えられていますので、目で楽しめるだけでなくお得な情報もぎっしり詰め込まれています。
どこまでも続く砂漠の中で生きる種類。体までオレンジ色に染まりそうな見事な夕焼けの中に生きる種類。家で飼っているだけでは見られないカメレオンの様子が本書では楽しめます。
いかがでしたか?今回はカメレオンの飼育方法と飼育に役立つ3冊の本をご紹介しました。最後までお読みいただきありがとうございます。