いわずと知れた陸上最速の動物「チーター」。小さな顔に、斑点のあるしなやかな身体、単独で狩りをする孤高の姿は気高く美しい印象があります。ただ彼らについて、実は足が速いという以外はあまり知られていないのではないでしょうか。この記事では、チーターの生態や性格、ヒョウやジャガーとの見分け方などを解説していきます。最後には子どもも楽しめるおすすめの関連本も紹介するので、ぜひチェックしてみてください。
食肉目ネコ科チーター属に分類される動物です。体長は110~150cmで、尾長は60~90cm。非常に長い尻尾をしていることがわかります。これは、急な方向転換をしても転ぶことがないように舵の役割を果たしているからだそうです。
また体重は40〜70kgで、ライオンなどの大型肉食獣に比べると3分の1ほどです。非常に身軽だといえるでしょう。
アフリカ大陸に広く分布しており、昼間に活動します。群れは形成せずに単独で縄張りを持ち、狩りをして暮らすのが一般的です。主な獲物は、インパラやガゼルなどの中型の動物で、時には野ウサギや鳥を襲うこともあります。
寿命は野生下で5〜7年、飼育下だと10〜12年ほどですが、幼獣の死亡率が大変高く9割を超えるといわれています。彼らは1年ほどで成獣となるので、大半の個体が生まれてからおよそ1年以内に死んでしまうということです。その要因のほとんどは、ハイエナやヒョウ、ライオンに捕食されてしまうからです。
最高時速100kmを越える足の速さを誇ります。秒速に換算すると約28mで、4秒足らずで100mを駆け抜けることができるということです。人間の100m走の世界記録はウサイン・ボルトが出した9秒58なので、いかに速いかがわかるでしょう。
ただ、その爆発的なスピードを維持できるのは長くても500mほどです。平均では200mしかもたないようなので、この距離のあいだで獲物を捕まえなければなりません。
スピードを出せる時間が限られているため、同じ肉食獣であるライオンやハイエナに捕食されることがあります。チーターは顎の力が弱く、正面から戦っても勝ち目はありません。彼らが狩りをする際は、相手の喉に噛みついて圧迫し、窒息死させる方法をとっています。
先述したとおり顎の力が弱く、ライオンやハイエナとは正面から戦うことができないため、基本的にはとても慎重な性格をしています。むしろ臆病ともいえるほどで、たとえ獲物を食べている時でも、敵が近づいてくるとそそくさと退散してしまうのです。
無駄に争うことはしない、平和主義ともいえるでしょう。
実は人間にもよくなつくため、海外ではチーターをペットとして飼っている人もいます。警察犬として有名なシェパードと比べると、顔も小さくて噛みつく心配もないので、大きくて美しい猫のような感覚かもしれません。温厚な性格に育つとのことです。
また鳴き声もかわいらしく、「ニャッニャッ」と高い声を出します。大型肉食獣特有の轟くように吠えるのではなく、猫の鳴き声と非常に似ており、リラックスした状態だと喉を「ゴロゴロ」と鳴らすこともあるようです。
みな似たような体の模様をしていて、一見見分けがつかないかもしれませんが、実はまったく違う特徴があります。「体格」と「生息地」の2点を比較してみましょう。
【体格】
チーター:体長110~150cm、体重40~70kg。足が速い。顔が小さいため噛む力は弱い。
ヒョウ:体長100~150cm、体重30~90kg。木登りや泳ぎが得意。獲物を木の上に運んで食べることが多い。
ジャガー:体長120~180cm、体重50~130kg。頭が大きく、噛む力が強い。
【生息地】
チーター:主にアフリカ大陸に生息。この3種のなかでは生息範囲がもっとも狭い。
ヒョウ:アフリカ大陸、アラビア半島、東南アジアにかけて広く生息。
ジャガー:南北アメリカに生息。この地域の生態系の頂点に君臨している。
- 著者
- 佐野 高太郎
- 出版日
写真家の佐野高太郎が、アフリカ南部のカラハリ砂漠で30か月かけて2頭の兄弟チーターを追い、その記録をまとめた1冊です。佐野は、イギリスのBBCが主催する写真賞を受賞するほどの腕を誇ります。
チーターだけではなくカラハリ砂漠に住む野生動物の生態についても触れられているので、現地の雰囲気を充分に感じられるでしょう。また小学校高学年以上で習う漢字にはフリガナがふってあるので、小さなお子さんでも問題なく読むことができます。
狩りに挑む真剣な姿や、失敗して木陰でふて寝する姿、兄弟でじゃれ合う姿などさまざまな表情があり、壮大な自然のなかで力強く生きる彼らの美しさを感じられる作品です。
- 著者
- 高岡 昌江
- 出版日
作者は動物に関する書籍を多数発表している高岡昌江です。子ども向けに出版されたものがほとんどですが、大人も思わずうなずいてしまうような濃い内容になっています。
本書で書かれているのは、たとえばムササビとモモンガ、アライグマとタヌキ、アザラシとアシカなど、姿が似ている動物の楽しい見分け方です。もちろんチーターとヒョウの違いもわかりやすく載っています。
見開き1ページに1組の似たもの同士が紹介されている構成で、大きなイラストがかわいらしいのが特徴。明日誰かに教えたくなるような雑学も満載で、動物園に行く前に読むのもおすすめです。
チーターは同じサバンナに住むライオンやハイエナに比べると小柄ですが、自慢の足を使った一本勝負の狩りには美しさすら感じます。また性格は温厚で人懐っこいところがあり、魅力がたくさんあります。紹介した2冊を読んで、さらに彼らの魅力を知ってみてください。