「メダカの学校」の童謡でも有名なメダカは小川や田んぼに生息しているイメージですが、観賞用の魚として丈夫であることもよく知られています。そこで今回は、その飼育方法の基本や飼育しやすい種類、飼育の関連本についてご紹介します。
【用意するもの】
飼育するために最低限必要なものはこれらのものですが、育てる場所によって必要な道具が変わってきます。
屋内の場合は透明の水槽が適しています。屋外で飼育する場合はスイレン鉢を使ったり、ミニビオトープを作ったりするのがおすすめです。屋外だと上からメダカを鑑賞することになるので、水槽とはまた違った美しさを楽しむことができます。
【水槽について】
ベランダなどの屋外で飼育する場合もありますが、屋内飼育で水槽を使うのが一般的です。では、水槽はどんなものを選ぶとよいのでしょうか。
1:おすすめはガラス製の水槽
ペットショップなどで売っている水槽には、プラスチック製のものとガラス製のものがありますが、おすすめはガラス製です。
プラスチックの水槽はコストが低く、持ち運びもしやすいので便利ですが、傷がつきやすいので外からメダカの状態を観察しづらいというデメリットがあります。ガラスの水槽は傷がつきにくいので、産卵の様子や稚魚なども詳しく観察したい方や、観賞用として楽しみたい方に向いています。
2:ガラス製の金魚鉢でも飼育可能
容量が2リットル程度のガラス製金魚鉢があれば、それも飼育におすすめです。ただし水槽よりも狭いので、1〜2匹で飼育するのがよいでしょう。
【水について】
飼育するのに水道水は厳禁です。水道水は塩素(カルキ)が入っているので、ひと晩汲み置いた水を使用するか、ペットショップなどで中和剤を購入し、カルキ抜きを済ませた水で飼育してあげましょう。
【水替え】
メダカは水質が命といわれていますので、定期的な水替えが大切です。春と秋は2週間に1度、夏は1週間に1度、冬は冬眠するので水替えの必要はありません。
水替えの手順は以下のとおりです。
1:新しい水(カルキ抜き)を準備する
2:水槽の3分の2程度の水を抜く
3:小さな網で水槽の中のゴミを取り除く
4:抜いた水の量と同じだけ、新しい水を入れる
新しい水を入れるときには、底砂が舞い上がらないよう、静かに入れるのがポイントです。
水草は観賞用のためだけではなく、水を浄化させるという大切な役割も持っているので、飼育する際には必ず水草を植えてあげましょう。
水草の植え方の手順は以下のとおりです。
1:水槽を設置する
2:底砂をバケツの中で濁りがなくなるまで洗う
3:水槽に底砂を敷く
4:流木や石などで美しく見えるようレイアウトを考える
5:綺麗な水で水草をすすぐ
6:水草に付着している巻貝や苔、枯れた葉があれば水草が傷つかないよう、優しく取り除く
7:水槽の底砂の部分に水草を植える
8:水を入れる
9:浮き上がらないように重りになる板を巻いて砂に埋める
水草の種類はいろいろありますが、おすすめの種類にはアナカリス(オオカナダモ)、カボンバ、マツモ、ウォーターマッシュルームなどがあります。数種類を組み合わせても構いません。メダカを水槽に迎える前に水草を植えて、環境を整えておきましょう。
メダカは野外でも採取しやすく、初心者でも飼育しやすい魚といわれていますが、どんな種類でも飼いやすいわけではありません。ここでは初心者でも飼育しやすい種類をいくつかご紹介します。
・ヒメダカ
もっともポピュラーな赤い色をした種類です。丈夫なので、初心者でも飼育しやすいといわれています。ペットショップでの購入や、野外での採取も可能で、入手しやすいのがメリットです。
ただし大型の魚の餌用として最低限の環境で売られている場合もあるので、飼育用に管理されたものを購入しましょう。
・クロメダカ
昔から日本に生息し、小さな体が特徴です。ヒメダカ同様に丈夫で飼育しやすいといわれています。
・アオメダカ
青みがかったやや灰色の体で、シロメダカ同様人気もあり、ペットショップで入手がしやすい品種です。こちらも飼育をしやすいとされています。
・シロメダカ
名前のとおり白い体をした種類です。比較的丈夫ですが、ペットショップでの流通量がヒメダカに次いで多いので、入手は簡単です。
・楊貴妃メダカ
ヒメダカよりも赤い色味が強く、他の4種類と比べて価格が少しだけ高くなりますが、成長するにつれて色が濃くなっているので、飼育しながら見た目の変化を楽しめる種類です。ただし、初心者向けの種類のなかでは病気になりやすい性質なので、注意しましょう。
メダカは比較的丈夫な魚なので、飼育するうえで手間もコストもあまりかからない生き物だといえます。しかし間違った飼育をするとすべて死んでしまう可能性もあります。そこで、ここでは飼育する際の注意点をまとめました。
【水槽の設置場所に注意】
メダカは日光を浴びて体を殺菌し、必要な栄養を補います。そのため、水槽は日当たりのよい場所に設置しましょう。また、感電の危険性がある家電製品のそばや、倒れる危険性のある不安定な場所は避けましょう。
【水流に注意】
メダカは泳ぎの得意な魚ではありません。したがって、人工的に水流を作ってやる必要はありません。濾過器(フィルター)やエアポンプを設置しているだけでも人工的な水流が起こることがあるので、水流を弱める機能がついていたら、もっとも弱く設定してください。
調整機能がついていない場合には排水口の近くに浮き草を浮かべるなどして、直接強い水流が当たらないように工夫しましょう。
【飼育密度に注意】
水槽を購入する際には、飼育密度を考慮することがとても大切です。 狭い水槽に何匹も入れると水が汚れやすくなり、あっという間に全滅させてしまう恐れもあります。
目安としては、1匹あたりに水1リットルとされていますので、10匹飼うなら10リットルの水が入る水槽を選んでください。あらかじめ飼育可能な数を決めてから水槽の大きさを選ぶことが、メダカを長生きさせることにつながります。
【エサのやりすぎに注意】
早く、大きく育てたいと、エサをたくさんあげすぎてしまいがちですが、メダカは少食で1度に食べられる量が少ないので、エサが水中に残ってしまい、水質を悪化させる原因となってしまうので注意してください。
エサの量の目安は食べ残さない量なので、初めは少なくし、食べきっているようであれば、少し増やしてみるなど、様子を見て与える量を変えていきましょう。
エサの回数は朝夕の2回が一般的です。
ここからは、メダカの飼育、または生態をより詳しく知るために役立つ本を紹介しています。
興味のある作品がありましたら、ぜひ手に取ってみてください。
子供と一緒にメダカを飼育される方におすすめの本です。
冒頭からさまざまな種類の写真が多数掲載されているので、生き物好きの子供が目を輝かせること間違いなしでしょう。
- 著者
- 青木 崇浩
- 出版日
- 2010-04-26
写真が豊富な飼育本のように見えますが、いざ読み進めると、メダカの飼育の基本がしっかり押さえられています。各セクションでチェックポイントのページがあるので、もれなく飼育に必要な備品や、知識をつけることができます。
水槽作りのレクチャーも、図解でわかりやすく説明されているところが魅力です。病気の種類や原因、対処法までわかりやすく書いてあるので、大人には役立ち、子供には楽しい飼育本です。
本書は大人向きのメダカ飼育本です。
水槽やフィルターなど、メダカの飼育に必要な準備物をひとつひとつを写真やイラストで解説しているのがポイントです。
- 著者
- 出版日
- 2010-06-16
せっかく飼育するなら、機材の品質にまでこだわりたいという方も多いのではないでしょうか。そんな方は、ぜひ本書を読んでみてください。
たとえばフィルターのページでは、いろいろなメーカーのフィルターの解説、メリット、デメリットが記載されているので、機材の比較もしやすくなっています。またメダカに関する豆知識のページもあるため、雑学好きの方も楽しむことができるでしょう。
本書では、飼育の方法だけでなく、世界に分布するさまざまな種類のメダカや、住処、田んぼでの採取方法まで図解でわかりやすく説明されています。
充実した内容で、幼児から小学生でも読みやすい本です。
- 著者
- 小宮 輝之
- 出版日
- 2001-03-16
メダカの卵の育ち方や、観察方法、実験方法なども紹介されているので、生き物に関する自由研究をしたい小学生におすすめです。
「かいかたそだてかたずかん」シリーズでは他にも動物、昆虫、野菜まで、実にたくさんの生き物の飼いかた・栽培方法が紹介されています。ぜひチェックしてみてください。
いかがでしたか?今回はメダカの飼い方の基本からおすすめの飼育関連本までをご紹介しました。最後までお読みいただきありがとうございました。