2016年にテレビアニメ化された『うどんの国の金色毛鞠』。宗太とポコの絆や香川の美しい風景が魅力的に描かれ、話題になりました。今回は、そんな人気漫画を3つの魅力と全巻の見所からご紹介します。
ふわふわの化けダヌキのポコと、四国に実家があるウェブデザイナー宗太のあたたかな日々を描いた『うどんの国の金色毛鞠』。滋味溢れる美味しそうな料理に、美しい自然、そして何より可愛らしいポコに愛される作品です。
今回はそんな本作を3つに魅力と全巻の見所からご紹介!ネタバレを含みますので未読の方はご注意ください。
- 著者
- 篠丸 のどか
- 出版日
- 2012-12-08
『うどんの国の金色毛鞠』は、香川の美しい自然のなかでくり広げられる宗太と化け狸の男の子ポコのほのぼのとした日常を描いた作品です。
東京でウェブデザイナーとして働いている俵宗太は実家の片づけのために一時的に地元の香川に帰省していました。彼の実家はうどん屋でしたが、父親が亡くなった今はもう営業していません。
すっかりぼろくなった家の戸を開けると、そこには見知らぬ男の子がいました。驚いた宗太ですが、みすぼらしい格好の男の子を放っておけず、面倒を見ることに。しかしこの男の子の正体は狸だったのです!
実家で出会った男の子が実は狸だったことに驚きと戸惑いを隠せない宗太ですが、見捨てることなどできず、男の子をポコと名付け、香川にいる間は面倒を見ることに決めます。
ポコとともに過ごすなかで、疎遠になっていた姉や地元の仲間と再びふれあい、地元を田舎だからとどこか見下していた宗太は変わっていきます。何もない地元に嫌気がさして上京したものの、ポコと一緒にいたいという思いがつのり、また香川には大切な思い出がたくさんあることに気づいたのです。彼は東京での仕事をやめて香川に帰ることを決意しました。
とはいえ、独身で子育ての経験のない彼がフリーでウェブデザイナーの仕事をしながらポコの世話をするのは簡単ではありません。ポコの正体が狸とはいえ、ペットを飼うこととはわけが違います。四苦八苦しながらもポコの世話に奮闘し絆を深めていく様子は心温まります。
『うどんの国の金色毛鞠』は、読んでいるこちらも優しい気持ちになれる素敵な作品です。
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『うどんの国の金色毛鞠』のマスコット的キャラクターである男の子、ポコ。食いしん坊で好奇心旺盛、でもちょっとビビりで甘えん坊な性格をしています。お腹を空かせていた時にうどんを食べさせてもらってから、宗太によくなついており、いつも一緒に過ごしています。
笑顔や泣き顔、驚いた顔や気の抜けた寝顔など、さまざまな表情が楽しめますが、なんといっても笑った顔はまぶしくて見ていて癒されるでしょう。また、普段は人間の姿をしていますが、油断したり驚いたりすると狸の耳やしっぽが出現します。疲れてしまうと完全な狸の姿に戻ることも。どんな姿のポコも可愛らしいのが魅力です。
ポコの魅力は可愛らしい見た目だけでなく、自然とかかわる人たちの心を癒してくれるところにあります。13話では、落ち込んでいる女の子がポコの何気ない行動で元気づけられるエピソードがありました。
東京で仕事の引継ぎを終え、宗太とポコは香川に帰ります。その道中に岡山駅から乗った快速電車「マリンライナー」には宗太の母校のジャージを着た女の子も乗車していました。その子はおそらく大会で思いどおりの結果が出せなかったようで、涙を流していたのです。
宗太とポコは偶然その子の前の席に座っていました。長時間の移動で疲れご機嫌ななめだったポコですが、宗太に買ってもらった桃の形の駅弁に大喜び。ついつい席から身を乗り出してしまいますが、そこで後ろの席に座る女の子と目が合います。その子が泣いていることに気づいたポコは、桃の形のお弁当のフタを使って「ぶらぶら~ぶらぶら~」と川を流れる桃を表現。なぜか真剣な表情のポコに思わず女の子は笑顔になるのです。小さな出来事ですが、とても心温まるお話です。
ポコが宗太や出会う人々の心を癒したり、優しい気持ちにさせてくれたりするエピソードはほかにも多くあります。
物語の舞台は香川県。作者である篠丸のどかの出身地でもあります。作中で宗太たちがが訪れた場所はすべて実際にあるところです。漫画を片手に観光してみたくなりますね。
たとえば8話では宗太とポコ、宗太の姉の凛子が屋島を訪れました。屋島は高松市の東北に位置する屋根のような形をした台地で、国の史跡および天然記念物に指定されています。非常に歴史ある場所で、日本書紀や平家物語に登場します。
特に有名なのは屋島の戦いで、那須与一が平家の船に掲げられた扇の的を射落としたエピソードが有名です。また、国立公園にも指定されており、人気の登山やハイキングコースとなっています。
屋島には太三郎(たさぶろう)狸伝説が言い伝えられており、作中でも触れられています。その昔、傷を負って死にかけていた狸が平重盛に助けられ、その恩義から平家の守護を誓いました。その狸の子孫である太三郎狸は平家の滅亡後屋島に住みつき、屋島に災いが起こる予兆を感じるとそれを屋島寺の住職に伝えるようになり、やがて屋島の守護神となったのです。この太三郎狸はポコと何らかの関係があるのかもしれません。
18話では、宗太とポコは仕事のために小豆島を訪れます。小豆島といえば映画化された小説『二十四の瞳』の舞台として有名でしょう。観光名所がたくさんあり、二十四の瞳映画村や国指定の名勝である寒霞渓、恋人の聖地として有名なエンジェルロードなどがあります。エンジェルロードは作中にも登場します。
また小豆島はオリーブや素麵の産地としても有名です。宗太とポコは20話で素麵にオリーブ果汁が練り込まれた「オリーブそうめん」を食べています。これは実際に販売されているものです。
このように美しい自然にあふれた香川県ですが、そこに暮らす人々も魅力的です。
医者として働く中島忍は宗太の幼馴染。やや性格が大雑把で子どもは嫌いだと公言していますが、友達思いで医者として多くの人を助けたいという志を持っています。はじめはポコをぞんざいに扱っていましたが段々打ち解けていき、宗太から「何だかんだで仲がいい」と評されるようになるのです。
姉の大石凛子は結婚してから高知に住んでいますが、時々香川に戻り宗太とポコに会いに来てくれます。勝ち気で物言いがきつい一面もありますが、面倒見がよく、ポコも「りん」と呼んで慕っているのです。
ほかにも近所の人や仕事仲間も温かく宗太とポコを見守ってくれます。子育てのアドバイスをしたり、迷子になったポコを一生懸命探してくれたり、思いやりにあふれた人々とのふれあいを見ていると穏やかな気持ちになるでしょう。
宗太とポコの絆の深さも見逃せません。ともに過ごしていくうちに2人の仲が本当の親子のようになっていくのを見ると胸が温かくなります。
初めて出会ったときから宗太はポコに対して優しく、ポコもなついていました。宗太は食欲旺盛で甘えん坊なポコを放っておけず一緒に過ごしていましたが、一時的な帰省だったので、実家の片づけが終わると東京に帰るつもりでした。
しかし自分が帰ったらポコはどうなるのか考え、迷いが生じます。また、ポコといることで地元香川への愛着に気づかされます。悩んだ末に宗太は香川に戻り、ポコと暮らすことを選びました。ポコも宗太のそばにいることに喜びを感じているのです。
とはいえ、子育て未経験の宗太はポコの世話に苦労することもしばしば。ポコの正体が狸だとばれないように耳としっぽをうまく隠すように言いつけても、うっかり耳としっぽを出してしまって慌てたり、ちょっと目を離した隙にポコがいなくなってしまってうろたえたり、ポコが壁に落描きしてしまったときにどうしつけをすればいいのか困惑したりと大変です。
ポコの世話に奮闘する宗太ですが、ひとりではありません。姉や近所の人たちがポコと遊んでくれたり、同級生で2児の母である田中さんにしつけするアドバイスをしてもらったりして、子育ての腕をあげていきます。
ポコに対する愛情もより深くなり、小豆島でいなくなってしまったポコを見つけて抱き寄せる姿は親そのものでした。
結局ポコと一緒に暮らすことになった宗太。1巻ではポコの可愛らしい表情が余すところなく表現されます。
初めて会った時は空腹のあまり野性味溢れる表情で生のままうどんを食べ、たぬきに畑を荒らされて見つけ次第必ずたぬき鍋にしてやると意気込む毒舌ばあさんにおいかけられて泣き、宗太を暗い表情にさせてしまったカップルにプンプン怒ってその彼氏の急所を的確に狙い、と喜怒哀楽を子供らしくそのまま表に出します。
最近のポコももちろん可愛いのですが、デフォルメされていない初期の頃のポコが好きという方も多いはず。初めの頃の彼は素朴な可愛さがあります。
そして1巻ではまだ地元に帰ってきたばかりで、心に傷を抱えた宗太の様子も見所。徐々に田舎ならではのあたたかさ、繋がりに馴染んでいく姿にはリアルな気だるさ、安心感と、まだ固い彼の様子が対比的です。
隣の毒舌ばあさんに、親友の中島、宗太の学生時代の片思い相手・真鍋(現在は結婚して田中)、宗太の姉・凛子、そしてポコ。周囲の人々に癒されていく主人公の様子をお楽しみください。
- 著者
- 篠丸 のどか
- 出版日
- 2012-12-08
会社の夏期休暇で字持ちに帰省し、両親が亡くなって誰もいなくなった製麺所の後片付けをしにきた、という設定で始まった本作。当初は家も売りに出して手放す予定でしたが、宗太はポコと一緒に香川に住むことを決めます。
いったん東京に戻り、会社を辞めることを直々に報告しに行く宗太。そのためにポコも上京することになるのですが、彼は慣れない都会に体調を崩してしまいます。
しかし相太は引き継ぎと残務処理に終われ、なかなかその様子に気づけません。今後男手一つで秘密を抱えたポコと暮らし、次の仕事も決めなければならず、と宗太の前に立ちはだかる壁は多そうです。
2巻では、そんな宗太の周囲の人々の優しさにうるりときてしまいます。宗太のためを思って我慢し続けてダウンしてしまうポコ、いきなりやめるといった部下に厳しくも優しいエールを送る上司のダーハマさん、いつも口が悪いものの宗太のことが大好きで彼を思って行動する中島。
人生の大きな転機、難しい時期だからこその人々の優しさを感じられます。東京も香川も、主人公のまわりはいい人ばかり。田舎の良さが感じられる本作ではありますが、東京も捨てたもんじゃないと思わせてくれる2巻です。
- 著者
- 篠丸 のどか
- 出版日
- 2013-06-07
2巻からいよいよホームが香川になった宗太。3巻では地元での交流をどんどん深めていく彼とポコの様子が見られます。
特に宗太と周囲とのエピソードは、ありきたりではありますが、家族の大切さを感じられるものばかりです。
宗太は隣家の毒舌ばあちゃんの孫・弥生に出会い、彼女が祖母からもらったお守りを一緒に探したり、中島に彼の両親との交流を促したりします。もちろんそこにポコも入っていい緩衝材になります。
この物語は宗太が父を亡くしたところから始まるので、彼の言う「話せる時に話した方がいい」という言葉は胸にずしん、とくるものがあるのです。
そしてそんな泣ける展開ももちろんですが、3巻ではガオガオちゃんというキャラも登場。今後ポコの大のお気に入りとなるこの戦隊キャラとの出会い、そしてその踊りを一所懸命踊るポコの可愛さをご覧ください。
しかしそんななか、お出かけ先の海辺でポコが行方不明になってしまい……。続きの気になる展開でさらに読者を引き込んでくる3巻です!
- 著者
- 篠丸 のどか
- 出版日
- 2013-12-09
3巻で行方不明になったポコを引き続き探すところから始まる4巻。不穏な展開です……。
しかし実はそれは小豆島のソフトウェア開発会社の代表取締役であり、ガオガオちゃんの生みの親である冴木学という男性がポコを舟釣りに誘っただけ、という顛末でした。
海辺で子供がいなくなったらどれだけ心配するかは、想像に難くありません。しかしあっけらかんとしており、我が道をいくタイプの学には、肩の力を抜けさせるゆるさがあり、ついつい仕方ないな、と思わされてしまうのです。
そしてこの一連の騒動で宗太はポコの存在の大切さを知ります。そして4巻ではそんな彼の優しく面倒見のいい性格が顕著になり、どんどんオカン化していきます。
徐々に地元に馴染み、フリーのデザイナーとして仕事のあてもできた宗太。人間関係でも、仕事面でもどんどん地元に根付き、そしてポコとの絆を深めていく様子が伺えます。
この他にも、宗太を慕って地元まで来てしまった前会社の後輩・宏司にポコの正体が見られてしまったり、キャラが濃すぎる彼の凛子への恋心などの展開も見所の4巻です。
- 著者
- 篠丸 のどか
- 出版日
- 2014-07-09
4巻で学と知り合ったことから仕事のつてができた宗太。5巻では宗太よりもその周囲の人物にスポットが当てられます。
実は学とダーハマさん、学を管理するしっかり者の妻である雪枝が学生時代に繋がりがあったことが明かされるのです。
彼らの関係はそれぞれの会社名「プラネット」と「サテライト」、そしてガオガオちゃんのストーリーにその謎が隠されていました。過去の背景を知ると、ガオガオちゃんにただの戦隊モノのキャラだとは言えない良さを感じます。
人と人の繋がりのあたたかさを感じられるのが本作の魅力のひとつ。宗太が会社をやめたことをきっかけに、さらに人々の物語が動いていく様子には感動のようなものを覚えます。
仕事もプライベートも、人と人との繋がりでいい方向へ動いていくのだな、と絆の大切さを感じられるエピソードが収録された5巻。
この他にも隣家のばあちゃんの孫・弥生との再会、ポコの可愛すぎるはじめてのおつかいなどにも癒され、それぞれ宗太、ポコの成長が感じられるお話です。
- 著者
- 篠丸 のどか
- 出版日
- 2014-12-09
周囲の人々のつながり、宗太とポコの成長が感じられた5巻。6巻では凛子とポコの交流が描かれます。
始めこそ、子供に好かれにくい性質のせいでポコから怖がられていた凛子ですが、実は優しい彼女のことを知ったポコは今ではかなりの仲良しです。
そして今回、凛子は母の命日にやってきて普段はしない料理などをし始めます。何やら様子がおかしい。しかも慣れない家事のせいで、その場はしっちゃかめっちゃかになってしまのです。
実は彼女のお腹には子供ができていました。凛子は家事もできず、子供にも好かれにくい自分に母親としての資格があるのかと悩んでいたのです。
そんな彼女に、ポコはある幻を見せます……。
誰しも自分が誰かの親になるとなったら、その資格があるのだろうかと考えるでしょう。凛子はお世辞にも一般的な母親のイメージからは遠く、その不安が人一倍大きかったのかもしれません。
そんな彼女の気持ちをくんだポコはさすが。というか、そんなことできるのね、と驚かされました。
そしてこの凛子の妊娠発表をきっかけに、中島が彼女にかつて潜めていた恋心を明かします。ふたりの会話が、切ないです。
この他にも僧侶兼DJ、そしてタヌキ好きというキャラ立ちまくりの良亮にポコの秘密がバレそうになったり、ポコが保育園に通うことになったり、という展開も見所。どんどん賑やかになるふたりの生活の様子をご覧ください。
- 著者
- 篠丸 のどか
- 出版日
- 2015-08-08
7巻はポコのキラキラした現在と、切ない宗太の過去話の対比に引き込まれます。6巻で保育園に通うことになったポコは、周りとも馴染み、とても楽しそう。いつもどおり、さまざまな可愛らしい表情を見せます。
しかしその保育園というのが良亮が園長の施設なので、今後ポコの秘密について宏司以外の誰かが知ることになりそうですね……。
また、7巻で丁寧に描かれていたのは宗太の過去。不幸な事故、上京することにしたきっかけ、若かりし頃のダーハマとの交流が描かれています。
辛いことがあってもやはり宗太のまわりにはいい人が必ずいるんだな、とほっこりさせられるエピソードです。ダーハマさんは面倒見の良さは変わっていませんが、若いだけあって髪の毛が……。
また、進路についての過去話は宗太だけでなく、中島が医者になるきっかけも描かれます。読者としては宗太が地元に嫌々ながら帰って来た場面からしか知らなかったので、過去を知ることでより登場人物たちに近づけるように思えて嬉しい内容です。
そしてほっこりさせるだけかと思いきや、物語の最後にこちらもモフモフなヒゲ外国人ダニーも登場し、急展開。ますます物語が面白くなりそうな予感を感じさせる7巻です!
- 著者
- 篠丸 のどか
- 出版日
- 2016-02-09
8巻で四国から飛び出し、豊島、直島にいくことになった宗太とポコ。島の魅力を伝えるホームページ制作を頼まれたので取材旅行です。
そこで出会ったのがヒゲモジャ外国人のダニー。彼は愉快な見た目だけではなく、島の良さを外から来た人間ならではの新鮮な視点から宗太に伝えてくれます。
というのも、スタイリッシュなホームページが完成したものの、それにダメ出しされてしまうのです。その原因が分からなかった宗太ですが、ダニーとポコとの地元をめぐる旅を通し、スタイリッシュさよりも本当の地元の良さを伝えようという意識をます。
実際にその土地の人に触れ、自然を感じ、そこでとれたものを食べて、地元の良さを知る。ありきたりなことかもしれませんが、その肌感や温度のようなものが伝わってくる展開でした。
ほのぼの、そして宗太の仕事が順調になってきてこれからがワクワクするような8巻でした。
- 著者
- 篠丸 のどか
- 出版日
- 2016-10-08
9巻ではポコがどんどん人間らしくなる様子が楽しめます。
お試し保育の様子が描かれています。お試し期間中のポコは楽しそうで、宗太も仕事がしやすくなるため毎日保育園に通わせることを考えるのです。しかし不安もあり、なかなか決めることができません。
そんななか、ポコが保育園で話題に出た「おたんじょうび」が自分にもあるのか、自分もお祝いをしてほしいとせがみます。しかし、ポコの誕生日はポコ自身も宗太も知りません。そこで宗太はポコの誕生日を決めることにするのですが、その決め方とは……。
また、そのあとの、風邪気味の宗太を看病しようとするポコの一生懸命な様子も見所。保育園で友達から聞いた知識を頼りに一生懸命看病します。濡れタオルを額に当てようとして顔面にかぶせてしまったり、ネギを首に巻いたり少々空回りしますが、頑張るポコに宗太は嬉しくなるのです。
あとから中島がやって来て雑炊を作ってもらうと、宗太が昔風邪を引いた時に父親が雑炊を作ってくれたことを思い出します。風邪で辛い時に誰かが看病してくれる喜びと、父親との思い出に胸がじーんとなるお話です。
番外編では宗太と中島の卒業式後の帰り道での会話が描かれています。お互いの将来について語り、それぞれの道を歩むことを決めた宗太と中島の別れを告げるのです。どこか寂しいお話ですが、本編では再び香川で仲良くしている2人が見られます。2人の友情は固く結ばれているんですね。
- 著者
- 篠丸のどか
- 出版日
- 2017-01-07
10巻は結構恋愛要素が多めな内容でした。中島のお見合いに、宗太にも恋愛展開の、と見所満載です。
そんななか、この巻では凛子夫婦の過去話が明かされます。以前子供に関して心配のあまり不安定になってしまった彼女ですが、それには過去のある出来事が関わっていました。
結構重い話ではあるのですが、それを優しく癒すのが凛子の旦那さんです。彼は凛子と一緒にいることで傷を癒し、彼女が笑っているだけで嬉しいのだ、と言います。
夫婦の絆にうるりとさせられ、こんな仲睦まじいふたりの間に生まれてくる子供はとても幸せだろうと思えるエピソードです。
この他にもポコの居残り保育の話も収録。彼が宗太の迎えを涙目で待っている姿にはキュンキュンしてしまいます。
- 著者
- 篠丸のどか
- 出版日
- 2017-11-09
宗太とポコの「親子愛」を中心に家族や仲間との温かいふれあいが描かれた『うどんの国の金色毛鞠』。気になった方はぜひ読んでみてください。