テレビアニメ「天元突破グレンラガン」を、森小太郎の作画でコミカライズした本作。原作アニメに遜色ない作画とブレない構成で人気を集めています。今回は、そんな漫画版『天元突破グレンラガン』の魅力を徹底紹介!作品の魅力のひとつであるキャラをさらに楽しめるスピンオフ漫画もおすすめです!
近未来、地下で過ごす人類たちが、ひょんなことから地上へ……!そこで待ち受ける運命を描いた壮大なロボットアニメのコミカライズ作品が『天元突破グレンラガン』です。
地震と落石によって、地下世界の崩壊を恐れながら生活しているのは、主人公のシモン。兄貴分のカミナ、突然地上から降ってきた少女のヨーコとともに、地上世界を牛耳る「獣人」たちから地上の生活を取り戻すため、闘いをくり広げます。
- 著者
- ["GAINAX", "中島かずき", "ののやまさき"]
- 出版日
- 2013-12-27
『天元突破グレンラガン』の魅力といえば、個性豊かなキャラクター、「気合」で増幅する「螺旋力」という力を使ったバトルと、アツい展開、メカニックの詳細な描写……さまざまあります。
さらに、本作に登場するロボットは総じて「ガンメン」と呼ばれていますが、ガンメン同士の合体というロボットアニメ的な要素も人気の理由のひとつです。
アニメ原作のコミカライズが評価を二分するなかでも、本作はアニメ版と遜色のない作画や構成で、高い評価と支持を集めています。今回は、原作を見たことがない人はもちろんですが、アニメ版が好きな人にこそ読んでほしい作品として、おすすめの理由を説明していきます。
決まりきった日常が崩壊した時、シモンたちが進んでいく運命の行方は?彼らの戦いから目が離せませんよ。
ちなみに本作の魅力のひとつであるキャラクターですが、その人気からドラマCD作品やスピンオフストーリーも漫画として制作されました。そのうちの「男」シリーズは、キャラたちの魅力を存分に語っているものです。
地下世界の深くにある「ジーハ村」で、村を広げるために穴を掘っている主人公のシモン。自分の堀った穴の分、少しずつ村の様子が変わっていくのが嬉しいことと、「宝物」が見つかることもあり、穴掘りの仕事を嫌だとは思っていませんが、周囲からは「穴掘りシモン」とからかわれることもあります。
そんな彼は、兄貴分のカミナや村長など、村の人間と変わらない日常を過ごしていました。ある日、ひょんなことから小さな光るドリルを見つけます……。
- 著者
- ["森 小太郎", "GAINAX", "中島 かずき"]
- 出版日
- 2007-09-27
一方で、村の「開かずの天井」の上には地上世界があることを信じているカミナは、「グレン団」というグループを率いて、いつか天井を突き破り地上へ出ることを目論んでいました。
そんなある日、突如として天井が崩壊し、巨大メカと、自分と同じくらい大きな超電導ライフルを持った美少女・ヨーコが現れるところから物語は大きく展開していくのです。
本作の魅力のひとつがキャラクターたちの生きざま。それぞれがまるで実在の人物かのように生き生きと立ち回っている点です。
アニメ版では声優たちが登場人物に息を吹き込み、実際に動き回る映像で臨場感を伝えてくれますが、漫画版ではそれは難しいと思われるかもしれません。絵と文字だけであの立体的な世界に近づけるのかという声もさもありなんですが、そこが作者・森小太郎の腕の見せどころです。
- 著者
- ["GAINAX", "中島 かずき", "ののやま さき"]
- 出版日
- 2014-07-05
実際に声の聞こえてきそうなセリフと表情、キャラクターの雰囲気が伝わる仕草など、細かいところがしっかりと補完されており、アニメ作品の印象そのままなのです。イメージが劣化せずに漫画版で手元で楽しめるのが本作のいいところでしょう。
特にキャラクターに思い入れのある方に読んでほしいのが、ドラマCDをコミカライズしたスピンオフ「男」シリーズです。
舞台はなんと現代日本。『天元突破グレンラガン』の登場人物たちが学園に通うという設定でくり広げられる、パラレルワールドの物語です。作画は無印では森小太郎が手がけていましたが、このスピンオフではののやまさきが務めています。
主人公は人気キャラとして必ず名前があがるカミナ。その設定や雰囲気が原作と異るため、イメージが違うと感じる人もいるかもしれませんが、公式作品でカミナとニアが同じ時を過ごしているというだけでも価値があるでしょう。
もちろん見どころはそれだけではありません。全体的に軽い雰囲気になったストーリーはテンポの良さが抜群!それぞれのキャラクターの特徴がさらにデフォルメされて動き回り、どんどん読み進めてしまうのです。
しかし軽いだけではなく、本作の魅力である熱さも健在。現代日本という設定に馴染みながらも、しっかりと迫力満点のロボバトルも見せつけてくれるのです。
キャラ立ちと再現が素晴らしい無印、そしてそのキャラ好きにはたまらない「男」シリーズ、どちらも漫画版も面白い!と思わせてくれること間違いなしです。
シモンが拾った光るドリルは、なんと世界を変えるための道具だった……!と気づく場面、そして「開かずの天井」から人と巨大メカが落ちてくる……という壮絶な冒頭からスタートしていきます。
その後、わけも分からず戦いに巻き込まれた主人公が、パーティを組んで仲間の助けを借り、死を乗り越え、英雄として成長していく展開にも胸がアツくなりますね。
- 著者
- 出版日
- 2008-03-27
さらに、ロボット同士のバトルも見どころです!アニメでは動きがあるので分かりやすいですが、漫画もそれに劣らず躍動感いっぱいで、間近でロボットバトルがくり広げられているかのような錯覚を感じることができるのです。
アニメ同様にところどころで発せられる名言も堪能できます。特に、カミナが迷った時のシモンに言う「おまえを信じろ おれが信じるおまえを信じろ」は、もはや神セリフといっても過言ではないでしょう。自己肯定が苦手なシモンにとっては、このうえない叱咤激励となったに違いありません。
基本的にはアニメに忠実に物語が構成されているので、前半のアツい展開(獣人とグレン団との戦い、カミナとヨーコの恋模様、そして衝撃的なカミナの死など)はそのままに、さらに壮絶な展開が巻き起こる後半戦に突入します。
ついついアツくなってしまう理由としては、王道のセオリーが随所にちりばめられていることがあげられるでしょう。
ガンメン同士が合体することでより強大な敵に立ち向かっていくところや、宿敵としてシモンたちを苦しめた獣人のヴィラルが共に戦うようになるところなどは、少年漫画における王道中の王道展開です。
アニメになかったオリジナルエピソードを加えることはなく、原作のストーリーから取捨選択したうえで動いていく物語なので、「気合で乗り切る」「アツい男同士の友情」の熱が冷めない状態でラストへと進んでいきます。その熱に浮かされてどんどんページをめくってしまいますよ。
ぜひ最後まで、シモンの戦いとその生きざまを見届けてほしいです。
アニメをコミカライズした際に、もっとも気になる点のひとつとしてあげられるのが、作画ではないでしょうか。
元々イメージのあるものを作画することにおいて、登場人物はもちろん、メカニックや武器などが遜色ないように描かれていると、アニメ版のファンも納得できるというものです。
- 著者
- 森 小太郎
- 出版日
- 2008-11-27
その点、本作はアニメ版と漫画版との違和感はほとんどありません。動きがあるアニメと比べて、静止画で表現しなければならない漫画には、いかに躍動的があるかが重要ですが、本作は登場人物の表情や動きについても、本当に細かいところまで描かれています。
キャラクターの絵柄はもちろん、さらに特筆すべきはメカニックのディテールでしょう。
「エヴァ」をはじめ、アニメ制作会社であるGAINAXが手がけるロボットアニメに登場するメカは、とにかく曲線が美しく、連結部分や装備など細部にまでこわだって描かれています。
アニメの印象をまったく壊さない作画と緻密な描き込みで、違和感を極限まで減らすことに成功している作品です。
本作ではアニメ版のエピソードに加え、映画版のエピソードを間に差し込むことで、より深みを増した物語構成を作りあげています。
映画版で描かれた、シモンの成長やカミナとの友情の様子を物語として追加することで、2人の別れのシーンがより哀切なものになったり、カミナ亡きあとのシモンの様子や前を向いて進んでいく姿をより詳しく描くことで、彼への感情移入がしやすく、応援したくなるのです。
- 著者
- ["森 小太郎", "GAINAX"]
- 出版日
- 2009-06-27
さらに、物語の中盤で登場する謎の少女・ニアとの恋模様やシモンの生きざまなど、彼の人間味のある姿が描き加えられていますが、ストーリー展開に違和感なく読み進めることができます。
アニメだけでは語りつくせなかったさまざまなエピソードを隙間に差しこんでいくことで、ストーリーの大筋から外れることなく、また単なるロボットバトル漫画に留まらず、より重厚な物語が進行していくように仕上げた構成はさすがです。
また本作は、アニメ版の補完作品として読み進めることができるとアニメファンからも評判を集めています。
- 著者
- GAINAX
- 出版日
- 2017-08-05
アツい男たちのバトルが描かれた漫画版の本作。アニメのコミカライズ作品として、これ以上ないほどの絵柄の再現度で、展開の整合性においてもファンからの支持を集めるスペースオペラ作品となっているので、1度手に取ってみてください。
ちなみにもともとファンだった方、カミナ好きの方は、ぜひ「男」シリーズもご確認ください。あの世界観が蘇ること間違いなしです!